贈与と所得の違いは?所得税や扶養控除に影響する?節税方法も解説!

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遺産相続

贈与とは?所得(収入)とどう違うの?

贈与とは自分の財産を無償または条件を付けて相手方へ渡すことです。自分が相手方への贈与を希望し、相手方が同意した場合に成立します。

一方、所得(収入)とは、労働等の対価として受け取る報酬(お金)を指します。贈与にも負担付贈与はありますが、贈与物の対価とまでは言えない程度の負担を負います。

具体的には自分の戸建て住宅を贈与する条件として、相手方に残りの住宅ローンを負担してもらう等があげられます。

贈与税がかかるのはどんなとき?法人から財産を受け取った場合は所得税が課税される!

個人間で贈与を行えば「贈与税」がかかります。こちらでは贈与税が課されるケース、法人から財産を譲渡されたときに課される税金について解説します。

贈与税は基本的に暦年贈与で節税

贈与価額が1年間で110万円以内に収まるならば、贈与税はかかりません(暦年贈与)。暦年贈与の場合、非課税枠である110万円を超えた分が贈与税の対象となります。

個人間での贈与では贈与する人に課税されず、贈与を受け取った人へ、非課税枠を超えた分だけ贈与税が課せられます。ただし、贈与価額が1年間で110万円以下となれば、必ず非課税となるわけではありません。

自分が毎年、同じ相手に一定の贈与物を一定の時期に贈与してしまうと、税務署からあらかじめ分割して渡すつもりだったと判断され「定期贈与」とみなされる場合があります。

例えば10年間にわたり、110万円ずつ同じ相手方へ、その相手方の誕生日に渡してしまうと、税務署から総額1,100万円を分割した定期贈与と判断され、非課税枠を認められないこともあります。

そのため、毎年違った贈与額で渡す、贈与する時期をずらす、贈与する度に贈与契約書を作成する等の工夫が必要です。

法人から財産を譲渡されたときは所得税

法人から個人へ贈与する場合は、贈与する側の法人には法人税が課されます。一方、贈与を受け取る個人には所得税がかかります。なお、法人と個人の間に雇用関係があれば給与所得となります。

その他、雇用関係が無い場合は一時所得となり、最高50万円の特別控除が利用できます。この50万円以内に贈与価額が収まるなら、所得税はかかりません。

贈与税申告の流れは?財産を贈与されたら所得税・住民税の金額は変わってしまうのか

贈与を受けた人が贈与税を申告することになります。贈与税は贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に、自分の住所地を管轄する税務署へ申告します。確定申告とは別に申告手続きを行います。

贈与税申告の流れ

申告の手順は次の通りです。

1、贈与税が課されることを確認
2、申告書類の収集
3、申告期限内に贈与税申告・納税する

申告に必要な書類は、主に次の通りです。

・贈与税申告書:税務署の窓口で取得可能
・全部事項証明書または一部事項証明書:本籍地の市区町村で取得、贈与物が410万円を超えた場合に必要
・土地、株式等の評価に関する書類:土地や株等を贈与された場合
・登記事項証明書:法務局で取得、住宅を贈与された場合

どんな贈与物を受け取ったかによって、提出する書類は変わるので注意が必要です。

所得税と住民税への影響

贈与税を申告した場合「所得税・住民税が更に高くなるのではないか」と心配な方がいるかもしれません。しかし、贈与が所得ではないので財産の贈与の際、所得税・住民税には重い負担が課せられるわけではありません

贈与を受けたら所得に含まれる?扶養家族から外れてしまうのかどうかも解説!

贈与は所得に含まれず、贈与者から譲渡を受けただけならば、所得税を支払う必要はありません。また、自分が家族を扶養(配偶者・子等)しているならば、家族への生活費や教育費の支給は非課税です。

贈与の事実があったからといって、基本的に社会保険や税金面での扶養から外れることはありません。こちらでは、この2つの視点から扶養から外されるケースがあるのかを解説します。

社会保険の扶養の場合

社会保険には健康保険と厚生年金があります。このいずれの場合でも、贈与という一時的な収入で保険の適用を判断することはありません

例えば全国健康保険協会(協会けんぽ)の扶養条件は、扶養家族の年収が130万円未満で、かつ被保険者の年収の2分の1未満であることが必要です。

しかし、これ以上に多額の贈与を受け取っても、一時的に譲り受けた財物は所得へ含まれないので、贈与を受け取った家族が扶養から外されることはありません。

税金面での扶養の場合

扶養家族が贈与された財物(土地・家屋等)を売却した場合、それら以外の所得と合わせて合計所得金額が48万円を超えれば、扶養控除を受けることができなくなります。扶養控除を受けられないと、所得税や住民税が増加してしまいます。

贈与物を売却し譲渡益が生じた場合、税法上では健康保険のように継続的な収入の有無で判断しません。つまり、譲渡益は所得にあたり、得られた金額によっては扶養から外れる場合があるのです。

所得税も贈与税も発生してしまう二重課税になるケースとは?

基本的には財物を譲渡して課税されるとしても、所得税か贈与税のいずれかが課されることになります。「無償ならば贈与税がかかるので、財産を低い価額で譲渡すれば良いのでは?」と考える人も多いはずです。

しかし、低い価額で譲渡した場合、売主側に所得税がかかるばかりか、買主側に贈与税も課せられる恐れがあります。こちらではみなし贈与、そして二重課税になり得るケースを解説します。

みなし贈与とは

みなし贈与は、贈与する・贈与されるという意思の合意が、譲渡する側やされる側に無くても、実質的に贈与されたと同じように扱われる事を指します。

贈与税の税率は非常に高く、双方が売買したことにして、低価格で譲渡するという行為を防ぐためにつくられた仕組みです。

どれくらいの売買価格がみなし贈与とされるかは、各税務署が判断することになります。土地取引の場合ならば東京地方裁判所にて「時価の80%未満の価格」を指すと判示されています。

二重課税になり得るケース

例をあげて二重課税となり得るケースについて解説します。

(例)先祖代々の土地を所有者父Aから子Bへ譲渡する場合

・譲渡人(売主):父A(70歳)
・譲受人(買主):子B(40歳)
・土地:時価9,000万円
・譲渡価額:1,000万円
・父Aの土地所有期間:30年

時価の80%未満の価格を大幅に下回るため、みなし贈与とみなされます。

(1)父Aの場合:譲渡所得税

土地の取得費が不明なので概算取得費5%を適用されます。

譲渡価額1,000万円-取得費(1,000万円×5%)=譲渡所得950万円

土地の所有期間が5年を超えるので、所得税及び復興特別所得税15.315%+住民税5%となり

譲渡所得950万円×税率20.315%=譲渡所得税約193万円

父Aは譲渡所得税として約193万円を納めることになります。

(2)子Bの場合:贈与税

贈与で取得した財産が他にない場合は

時価9,000万円-譲渡価額1,000万円=贈与とみなされる金額8,000万円

基礎控除110万円から差し引きます。

贈与とみなされる金額8,000万円-基礎控除110万円=課税価格7,890万円

子Bは40歳なので特例贈与が適用され、基礎控除後の金額が7,890万円なので税率55%、控除額は640万円となります。

課税価格7,890万円×税率55%=約4,340万円

約4,340万円-控除額640万円=贈与税約3,700万円

子Bは贈与税として約3,700万円を納めることになります。

贈与税の控除と非課税の違いは?贈与税を節税する方法とは?

贈与税の控除とは、暦年課税による110万円の基礎控除、相続時精算課税制度の2,500万円の特別控除が該当します。贈与財産総額から差し引く金額を指します。

一方、非課税とは本来は課税対象となるが、政策的な理由で特別に課税されない贈与を指します。

贈与税を節税する方法としては、主に次のような制度が利用できます。

贈与税の配偶者控除

夫婦の間で居住用不動産や、その取得のための資金を贈与した場合、2,000万円まで贈与税がかからないという特例です。

夫婦の婚姻期間が20年以上であること、受贈者はその翌年3月15日までに贈与で取得した不動産へ居住し、その後も引き続き居住する見込みであること等が条件です。

相続時精算課税制度

生前に2,500万円まで贈与しても税金がかからないという制度です。ただし、相続時に相続財産の他、この制度で贈与を受けた金額も加わります。

ただし、相続税にも基礎控除枠はあり、贈与を受けた金額も含めた課税価格の合計額が「3,000万円+600万円×法定相続人数」の枠内に収まるなら、申告および納税は不要となります。

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