贈与税が非課税となる110万円以下の贈与に必要な証拠の残し方!贈与契約書や節税方法についても解説
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贈与税の非課税枠とその活用方法
ここでは、贈与税の非課税枠の基本、非課税枠を活用した相続税対策や2023年に行われた税制改正などについて解説します。
年間110万円以下は申告不要で非課税
贈与者から贈与を受けた人(受贈者)に課せられる税金が贈与税です。
ただし、贈与を受けたら必ず贈与税が課せられるわけではなく、基礎控除額110万円が用意されています。
贈与された財産の合計額から、基礎控除額を差し引いた残りの金額が贈与税の対象です。この仕組みは「暦年課税」と呼ばれています。なお、1年間の贈与額合計が110万円以下に収まれば、非課税となります。
非課税枠110万円を活用した相続税対策
贈与税は贈与を受けた人(受贈者)が対象となるので、基礎控除額110万円は「贈与を受けた人」の贈与財産の合計額から差し引きます。
対象となる期間は1年間(1月1日〜12月31日まで)に受け取った、贈与された財産の合計額です。そのため、複数人の贈与者から贈与を受けた場合、それぞれの贈与額が110万円以内に収まっても、贈与税が課される可能性もあります。
例をあげると次の通りです。
(例)2022年3月1日、祖父A・父Bは子(孫)Cにそれぞれ100万円相当の贈与をした。Cは2022年にそれ以外の贈与を受けていない。
祖父A:贈与額100万円
父B:贈与額100万円
いずれの贈与も基礎控除額110万円を下回っていますが、Cの受け取った1年間の贈与額の合計が110万円を超えています。
(祖父Aの贈与額100万円+父Bの贈与額100万円)-110万円=90万円
このケースでは90万円が課税対象です。
2023年の税制改正について
2023年の相続税改正により、生前贈与加算が3年から7年に延長されます。2024年1月1日以降に行われた贈与が対象です。この改正で相続財産が増加し、相続税が重くなるケースも想定されます。
ただし、2024年1月1日からの適用なので、7年分の延長にカウントされるのは、最短で2031年1月1日の相続からとなります。また、延長された4年間で合計100万円が控除可能です。
贈与が成立するための条件
ここでは、贈与が成立するための条件について解説します。
贈与者と受贈者双方の意思確認が必要
贈与契約とは、ある人が自分の財産を無償で他の人にあげる約束のことです。財産をあげる側を「贈与者」、受け取る側を「受贈者」と呼びます。
贈与契約が成立するには、贈与者が「この財産をあげる」と意思表示し、受贈者が「それを受け取る」と意思表示する必要があります。つまり、贈与契約はお互いの合意があって初めて成立する契約です。これを「諾成契約」といいます。
贈与は一見、贈与者の気持ちだけでできそうに思えますが、受け取る側にも合意が求められます。不要なものを押し付けられると困る場合もあるからです。
また、贈与契約が成立するために「契約書を作ること」は必須ではありません。口頭だけでも契約は成立します。
口頭で行った贈与契約は、あとからどちらかが契約をやめることができます。これは民法で認められています。
一方、贈与契約書を作成した場合は、契約を守る義務が生じます。そのため、簡単には解除できません。契約書を作ることで、贈与が確実に実行されるようになるのです。
「名義預金」とみなされないための注意点
「名義預金」とは、実際にお金を持っている人と口座の名義人が異なる預金のことです。例えば、祖父母が孫名義で口座を作ったり、配偶者の収入を専業主婦(夫)が自分名義で貯金する場合などが該当します。このような預金は、名義人の財産ではなく被相続人の財産とみなされ、相続税の対象となります。税務署も名義預金に注目しているため、注意が必要です。
名義預金とみなされないためには、いくつかの対策が効果的です。まず、贈与が行われた事実を証明するために「贈与契約書」を作成することが大切です。口頭での贈与でも成立しますが、契約書を用意すれば、贈与が正式なものであると明確に示せます。
また、贈与税を申告することも、贈与の証明として有効です。申告は110万円を超える贈与があった場合に行い、税務署に贈与を正式に伝える手段となります。
さらに、名義人が預金口座を自分で管理し、通帳や印鑑を持って自由にお金を使える状態にしておくことも重要です。これにより、贈与の実態がはっきりし、名義預金とされるリスクを減らせます。贈与や相続に関するトラブルを防ぐため、これらの対策をしっかり講じておくことをおすすめします。
生前贈与における証拠の重要性
生前贈与においては、贈与を行ったという証拠を残すことが重要です。そうしないと、税務署に「贈与」ではなく「相続」とみなされ、、相続税の対象となってしまうことがあります。
税務署に否認されないための証拠とは
税務署に「贈与ではなく相続である」と否認されないようにするためには、以下の証拠を準備することが有用です。
贈与契約書を作成する方法
贈与を確実に証明するためには、「贈与契約書」を作成するのがおすすめです。贈与は口頭の約束だけでも成立しますが、書面があれば後から贈与の事実をはっきり証明できます。特に、贈与契約書には贈与者と受贈者がそれぞれ署名や押印をするため、贈与の合意が明確になります。
もし契約書を作成していない場合、税務署の調査が入ったときに、贈与が本当に行われたのかを客観的に説明するのが難しくなるかもしれません。また、受贈者(贈与を受ける人)を守るためにも、契約書は重要です。口頭だけの約束だと、贈与者が「やっぱりやめる」と簡単に撤回することが可能です。しかし、契約書があれば、贈与者が自由に撤回することはできなくなります。
贈与契約書を作成することは、贈与が確実に行われるための安心材料になるだけでなく、後々のトラブルを防ぐ手段としても有効です。贈与を計画している場合は、事前に契約書を用意することをおすすめします。
現金ではなく銀行振込を活用する理由
贈与契約を結んだ後は、その内容を実際に履行し、その証拠を残すことが大切です。例えば、「現金で110万円を贈与する」と契約しても、現金手渡しだと実際に贈与が行われた証拠を示すのが難しくなります。そのため、銀行振込を利用するのが便利です。
銀行振込を使えば、送金の履歴が口座に記録されます。この記録があれば、贈与が確実に行われたことを簡単に証明できます。また、税務署の調査があった場合でも、振込履歴が贈与の事実を裏付ける証拠になります。
現金のやりとりは証拠が残りにくいので、贈与の際は銀行振込を活用することをおすすめします。こうすることで、後々のトラブルや誤解を防ぐことができ、安心して贈与を行うことができます。
「あえて贈与税申告」を行う意義
贈与の事実をしっかり証明する方法の一つとして、「あえて贈与税の申告をする」という考え方があります。例えば、贈与額111万円で贈与税が1000円の申告を行うケースなどがこれにあたります。この方法は、税務署に「生前贈与を実施した」とアピールする意図があると考えられます。
しかし、贈与税の申告書だけでは贈与の証拠として十分ではありません。申告書は基本的に贈与を受けた側が作成するため、贈与者と受贈者の合意を裏付けるものとは言えないからです。また、親が子どもの代わりに申告を行う場合、「親が子どもの財産を勝手に管理しているのではないか」や「名義預金があるのでは」といった疑念を税務署に与えてしまうリスクもあります。こうした誤解を招かないためにも注意が必要です。
とはいえ、何も記録を残さないよりは、贈与税の申告を行う方が証拠として有効です。ただし、申告に加えて贈与契約書を作成し、贈与の合意を明確にすることが大切です。契約書は贈与者と受贈者がそれぞれ保管できるように2部作成し、またお金の移動記録も銀行振込などで残しておくと安心です。こうした対策を組み合わせることで、贈与の事実をしっかり証明できるようになります。
贈与額が年間110万円以下でも証拠は残しておくべき?
年間110万円以内の贈与は税金もかからず、申告も必要ありません。そのため、贈与の手続きは簡単に済ませてしまう人も多いでしょう。しかし、税務署が調査を行った際、「本当に贈与だったのか」と疑われる場合があります。このとき、贈与契約書があれば、贈与の事実を証明する確実な手段となります。
贈与契約書を作成しておくと、「合意のもとに贈与された」という証拠が残り、後々のトラブルを防ぐことができます。特に相続の場面では、他の家族から「贈与ではなく名義を借りただけでは?」と疑われる可能性もゼロではありません。金額が少なくても、契約書を作っておくことで安心感が得られます。
たとえ贈与税がかからない範囲であっても、しっかり証拠を残しておくことが重要です。簡単な内容でも良いので、贈与契約書を準備しておきましょう。
生前贈与時に注意すべきポイント
贈与額が基礎控除額110万円に収まれば、必ず非課税になるとは限りません。次のような例外もあるので注意しましょう。
定期贈与と連年贈与の違いと税務署の認識
定期贈与とは契約書を作成し、一定期間・一定の財産を贈与する方法です。例えば「15年間にわたる連年贈与と定期贈与」はいずれも毎年贈与を行う点では共通していますが、その違いは贈与の意図や取り決めの有無にあります。
連年贈与とは、特に事前の取り決めがなく、結果的に毎年贈与が行われている場合を指します。この場合、各年ごとに贈与された金額に対して贈与税が課税されます。
一方、定期贈与とは、あらかじめ贈与を毎年行う約束がある場合を指します。この場合、贈与額全体が一括して課税対象となり、その合計金額に基づいて贈与税が計算されます。
相続時精算課税制度を利用した場合
相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子(孫)へ贈与が行われる際に、子(孫)の選択により利用できる制度です。
この制度には2,500万円の特別控除があり、特別控除の限度額に達するまで贈与税が課されません。ただし、限度額を超えてしまうと超過分に一律20%の贈与税がかかります。
また、本制度は2,500万円分が税金の免除対象となるのではなく、相続が発生するまで納税が猶予される仕組みです。相続時に贈与分も課税対象となります。
その他、相続時精算課税と暦年課税の併用はできず、「贈与額が2,500万円の特別控除を超えたら、今度は基礎控除額110万円を利用する。」という方法も認められません。
そのため、特別控除が適用されなくなった後、たとえ年間の贈与額が110万円以内に収まっても、課税対象となる可能性があります。
死亡前3年以内の贈与が相続税対象になるケース
贈与者(被相続人)が基礎控除額110万円を利用し贈与する方法で、コツコツ財産を譲渡し、相続税の節税対策を実行している場合もあります。
しかし、相続開始前3年以内の贈与は110万円を超えなくても、相続人の相続税課税価格にこの贈与額が加算されます(生前贈与加算)。
つまり、相続財産に相続開始前3年以内の贈与分を含め、相続税を計算しなければいけません。そのため、贈与者がこの方法で相続税対策を進めたいならば、なるべく早く贈与を実行に移した方が無難です。
貰った額が年間110万円を超えた場合
贈与税がかかる場合、贈与を受けた人(受贈者)が税務署へ申告しなければいけません。贈与を受けた翌年の2月1日〜3月15日の間に申告・納税を行います。
なお、贈与税を申告していなかった場合は「無申告加算税」、贈与税を少なく申告した場合は「過少申告加算税」、納期限に遅れたら「延滞税」等のペナルティが課せられるので気を付けましょう。
贈与税の計算方法は「特例贈与財産」「一般贈与財産」に区分されます。
特例贈与財産
受贈者(贈与年の1月1日で18歳以上の人、2022年3月31日以前の贈与の場合は20歳以上の人)が、直系尊属(例:父母・祖父母等)から贈与で得た財産を対象とします。
(例)1月1日~12月31日までの1年間で、30歳の受贈者が祖父から910万円の贈与を受け取った
910万円-110万円=800万円
800万円×30%-90万円=150万円
贈与税額は150万円となります。
特例贈与財産の税率や控除額は下表の通りです。
特例税率 | 基礎控除後の課税価格 | 控除額 |
10% | ~200万円 | 0円 |
15% | ~400万円 | 10万円 |
20% | ~600万円 | 30万円 |
30% | ~1,000万円 | 90万円 |
40% | ~1,500万円 | 190万円 |
45% | ~3,000万円 | 265万円 |
50% | ~4,500万円 | 415万円 |
55% | 4,500万円超~ | 640万円 |
一般贈与財産
受贈者が贈与で得た特例贈与財産以外の財産を対象とします。
(例)1月1日~12月31日までの1年間で、16歳の受贈者が祖父から910万円の贈与を受け取った
910万円-110万円=800万円
800万円×40%-125万円=195万円
贈与税額は195万円となります。
一般贈与財産の税率や控除額は下表の通りです。
特例税率 | 基礎控除後の課税価格 | 控除額 |
10% | ~200万円 | 0円 |
15% | ~300万円 | 10万円 |
20% | ~400万円 | 25万円 |
30% | ~600万円 | 65万円 |
40% | ~1,000万円 | 125万円 |
45% | ~1,500万円 | 175万円 |
50% | ~3,000万円 | 250万円 |
55% | 3,000万円超~ | 400万円 |
贈与契約書の役割と作成の注意点
贈与契約書は、財産を贈与する際に作成する書類です。口頭での合意だけでも贈与は成立しますが、書面を残しておくことで贈与の履行が確実になり、後からトラブルを防ぐ役割を果たします。相続時に他の相続人との間で争いが起こるのを避けるためにも、贈与契約書があると贈与の事実を明確に証明できます。
また、税務調査において「名義預金」や「定期贈与」として指摘されるリスクも軽減できます。
ただし、贈与契約書を作成する際には、以下のような点に注意が必要です。
必要な記載事項と様式
贈与契約書は、贈与を確実に実行するために大切な書類です。書き方に厳密なルールはありませんが、内容が曖昧だと誤解を招き、トラブルの原因になります。以下のポイントを押さえて作成しましょう。
必要な記載事項
贈与契約書には以下の5つを明確に記載します。
- 贈与者の情報:誰が贈与するのか。氏名と住所を記載します。
- 受贈者の情報:誰が贈与を受けるのか。氏名と住所を記載します。
- 契約日と実行日:契約を結んだ日と、実際に贈与を実行する日を明記します。
- 贈与する財産の内容:具体的に何を贈与するのかを記載します(例:金額、不動産の住所、車の種類など)。
- 贈与の方法:どのように贈与を実行するのかを明記します。
契約書作成のポイント
贈与契約書作成のポイントを4つまとめました。
- パソコン作成でもOK
契約書自体はパソコンで作成しても問題ありません。ただし、当事者の署名は手書きにすると、本人確認の信頼性が高まります。 - 捺印は実印がベスト
信頼性を高めるために、捺印には印鑑登録されている実印を使いましょう。三文判では法的な効力が弱くなる可能性があります。 - 未成年者が受贈者の場合
受贈者が未成年の場合は、親権者も署名捺印する必要があります。親権者が内容を確認し、同意していることを示すためです。 - 不動産贈与には印紙が必要
贈与財産が不動産の場合、契約書には印紙を貼らなければなりません。金額の記載がない場合は200円、金額が記載されている場合はその額に応じた印紙が必要です。印紙は郵便局やコンビニなどで購入できます。
贈与契約書は、贈与の証拠として重要な役割を果たします。正確な内容を記載し、必要な手続きをきちんと行いましょう。
代理人による代筆も可能
贈与契約書は、本人が直接署名できない場合でも、代理人が代筆することで作成可能です。例えば、高齢や病気で字が書けない場合や未成年者が受贈者の場合に利用されます。ただし、代筆を認めるにはいくつかの注意点があります。
まず、代筆による契約書が本人の意思で作成されたことを証明する必要があります。そのため、実印を使用して押印し、印鑑証明書を添付することで本人確認を強化するのが一般的です。また、第三者に立ち会ってもらい、立会人として署名をしてもらうと、信頼性がさらに高まります。場合によっては、公証役場で確定日付を取得することで、書類の作成日を公的に証明することも可能です。
未成年者の場合は、親権者(法定代理人)の同意が必要です。署名や捺印も親権者が行い、未成年者の代わりに手続きを進めることが求められます。ただし、未成年者が単に贈与を受け取るだけの場合には、親権者の同意が不要な場合もあります。
いずれの場合も、代筆を利用する際は、贈与契約が正しく行われた証拠をしっかり残すことが大切です。契約内容が明確であれば、トラブルや税務調査への対応にも役立ちます。
連年贈与を防ぐための記載ポイント
贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、この範囲内であれば税金がかかりません。ただし、毎年同じ額を贈与する行為が「連年贈与」とみなされると、贈与税の対象になるため注意が必要です。例えば、「毎年110万円を20年間贈与する」という計画は、総額2,200万円に対して一括で贈与税が課税される可能性があります。
連年贈与とみなされないためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 毎回贈与契約書を作成する
贈与のたびに契約書を作成し、その都度の合意を証明することが重要です。「毎年○○円を贈与する」と一括で記載するのではなく、個別に契約書を用意して贈与の事実を記録しましょう。 - 時期や金額に変化をつける
毎年同じ時期に同じ金額を贈与すると、連年贈与と判断されるリスクが高くなります。贈与額を100万円や110万円に変える、贈与の時期を異なる月にするなどの工夫をしましょう。
これらの対策をとることで、連年贈与とみなされるリスクを軽減できます。正しい手続きを心がけて、安心して贈与を進めてください。
贈与税を節税するための知識
贈与税を軽減したい場合は、条件が限定されているものの、特定の控除制度と基礎控除(110万円)との併用が可能なケースもあるので、参考にしてみてください。
夫婦間の住宅贈与における非課税枠
居住用の不動産を購入する際、夫婦間での贈与が行われたケースで利用できる控除制度です。基礎控除との併用が可能なので、最高2,110万円まで非課税となります。
贈与税の配偶者控除 | 控除制度の内容・条件等 |
控除額 | 2,000万円 ※基礎控除と併用可能 |
控除対象 | 居住用の不動産、購入資金のいずれでも可 |
条件 | ・婚姻期間20年以上 ・受贈する配偶者が住む不動産かその資金 ・受贈配偶者は受贈した翌年の3月15日までに居住、継続して居住する見込みである |
注意点 | 同一の配偶者間で、一生に一度のみ適用可 |
申請方法 | 贈与税の申告の際に申請 |
住宅取得資金贈与の控除制度
直系尊属(親・祖父母等)から住宅の新築等のため、資金贈与を受けた場合に利用できる控除制度です。基礎控除と併用が可能です。
住宅取得資金贈与の控除 | 控除制度の内容・条件等 |
控除額 | ・省エネ等住宅:最高1,000万円 ・それ以外の住宅:最高500万円 ※基礎控除と併用可能 |
控除対象 | 住宅の新築・取得又は増改築等のため資金贈与を受けた場合 |
対象贈与期間 | 2022年1月1日から2023年12月31日まで |
受贈者の合計所得金額 | 2,000万円以下 |
条件 | 次のいずれかに該当 ・断熱性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上 ・耐震等級2以上もしくは免震建築物 ・高齢者等配慮対策等級3以上 |
申請方法 | 贈与税の申告の際に申請 |
教育資金の一括贈与の非課税枠
直系尊属が30歳未満の子・孫の教育資金に充てる目的で、教育資金口座開設をした場合に適用される控除制度です。基礎控除と併用が可能です。
教育資金の一括贈与の控除 | 控除制度の内容・条件等 |
控除額 | ・学校:最高1,500万円 ・学校以外の塾や習い事:最高500万円 ※基礎控除と併用可能 |
対象贈与期間 | 2013年4月1日から2026年3月31日まで |
条件 | 次のいずれかに該当 ・贈与者から信託受益権を取得した ・贈与者から書面による贈与で取得した金銭を銀行等へ預入した ・贈与者から書面による贈与で取得した金銭等で証券会社等から有価証券を購入した |
申請方法 | 受贈者が、口座開設をした金融機関等の営業所等を経由し、教育資金非課税申告書を提出する |
結婚子育て資金の一括贈与の非課税枠
直系尊属が20歳〜50歳未満の子・孫の結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等で結婚・子育て資金口座開設をした場合に適用される控除制度です。基礎控除と併用が可能です。
結婚・子育て資金の一括贈与の控除 | 控除制度の内容・条件等 |
控除額 | ・結婚以外:最高1,000万円 ・結婚:最高300万円 ※基礎控除と併用可能 |
対象贈与期間 | 2015年4月1日から2025年3月31日まで |
条件 | 次のいずれかに該当 ・贈与者から信託受益権を取得した ・贈与者から書面による贈与で取得した金銭を銀行等へ預入した ・贈与者から書面による贈与で取得した金銭等で証券会社等から有価証券を購入した |
申請方法 | 受贈者が、口座開設をした金融機関等の営業所等を経由し、結婚・子育て資金非課税申告書を提出する |
よくある生前贈与に関する疑問と回答
ここでは、「贈与契約書を遡って作成すべきか?」、「110万円以下の贈与でも契約書が必要か?」などといった、生前贈与に関するよくある疑問に対して回答します。
贈与契約書を過去に遡って作成すべきか?
過去にさかのぼって贈与契約書を作成するのは絶対に避けましょう。こうした行為は「バックデイト」と呼ばれ、不正な文書偽装とみなされます。税務調査でバックデイトが発覚すると、重加算税の対象になるリスクがあります。
過去に贈与契約書を作成していなかった場合でも、口頭での合意で贈与は成立します。そのため、過去分について無理に契約書を作成する必要はありません。代わりに、贈与した人ともらった人の間で「過去の送金は生前贈与であった」と確認する覚書を交わすことが有効です。
これから贈与契約書をしっかり作成するのであれば、過去分の書類がないことで過剰に心配する必要はありません。ただし、不動産を含む贈与を行う場合は200円の収入印紙を貼る必要があります。この印紙のデザインは定期的に変更されるため、過去の日付で契約書を作ると印紙の不一致から不正が疑われることもあります。
正しい方法で手続きを進め、安心して贈与を行いましょう。
110万円以下の贈与でも贈与契約書が必要か?
税務署から定期贈与と疑われないためにも、毎年、贈与者と受贈者が贈与契約書を作成しましょう。それぞれ契約書に署名・押印して贈与が行われていれば、税務署へ定期贈与ではないことを示す証拠になります。
贈与契約書に記載する内容は、主に次の通りです。
- 贈与者・受贈者の氏名・住所
- 贈与金額
- 贈与する期限
- 贈与方法(指定口座への入金等)
なお、現金を贈与する場合は銀行振り込みを利用した方が良いでしょう。なぜなら、銀行振り込みにすれば履歴が残り、契約書通りの内容で贈与された事実が一目でわかるからです。
一度作成した贈与契約書を繰り返し利用できるか?
贈与の条件が同じであれば、それをテンプレートとして、繰り返し使うことも可能です。ただし、贈与の日付や金額については、その都度正しいものを記載しましょう。
また、記名押印についても、その都度行いましょう。
未成年者に贈与を行う場合の注意点は?
未成年者に贈与をする際は、いくつか注意が必要です。まず、贈与を受けた未成年者が成人したときには、財産管理を親権者などの法定代理人から本人に引き継ぐ必要があります。特に、大きな金額を贈与する場合は、成人後に本人が適切に管理できるか、金銭感覚への影響がないかをしっかり考えましょう。現金ではなく生命保険を活用するなど、リスクを抑える方法も検討する価値があります。迷った場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのもおすすめです。
また、名義預金とみなされないよう注意が必要です。名義預金とは、口座名義は受贈者でも、実際の管理者が別にいる場合を指します。これが税務署に指摘されると、贈与と認められず、相続財産として課税される可能性があります。たとえば、祖父が孫名義の口座に入金しても、その管理を祖父が続けていれば名義預金と判断される恐れがあります。
こうした問題を防ぐためには、贈与契約書を作成して贈与の事実を明確に残すことが大切です。また、受贈者が通帳や印鑑を自分で保管し、贈与されたお金を少額でも実際に使うことで、名義預金とされるリスクを軽減できます。
未成年者への贈与は、財産管理や税務面でのリスクを十分に考慮し、慎重に進めることが重要です。適切な準備と対応を心がけましょう。
相続時精算課税における証拠の残し方は?
2024年から相続時精算課税制度に年間110万円までの非課税枠が追加されました。この非課税枠を利用して贈与を行う場合でも、贈与が実際に行われたことを示す証拠をしっかり残しておくことが重要です。税務署に否認されないための対策として、贈与契約書の作成や送金履歴を確保することをおすすめします。
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与する際に利用できる仕組みです。この制度を選択するには、事前に税務署へ届出を行う必要があります。主な特徴として、累計で2500万円まで贈与税がかからない「特別控除」と、年間110万円までの非課税となる「基礎控除」があります。
特別控除の贈与分については、相続時に相続財産に加算され相続税の対象となりますが、基礎控除の分は相続税が課税されません。このため、どの枠を使って贈与するのかを明確にし、それを証明できる書類や記録を残すことがポイントです。証拠を確実に残すことで、贈与が正当に行われたことを主張しやすくなります。
贈与税に関する相談は誰にすべき?
もし、贈与税や相続税に関してわからない点があれば、税理士に相談してみましょう。税理士は税に関する豊富な専門知識を有しているので、依頼者の悩みや質問に的確なアドバイスを行ってくれるはずです。
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