相続するものがない場合の手続き【2026年最新】やるべき事リスト
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【記事内容を動画で解説】
「相続するものがない」とは?2つのケースを解説
「相続するものがない」といっても、実際は2つのケースに分かれ、取るべき対応が異なります。
ケース1:プラスもマイナスも財産が全くない場合
相続財産にはプラスとマイナスがあります。
- プラスの財産:預貯金、現金、株券、建物、土地、宝石・美術品 等
- マイナスの財産:借金、未払金 等
どちらも一切ない状態が本来の「相続するものがない」ケースです。ただし調査すると、忘れられていた口座や少額の財産が見つかることもあります。
ケース2:財産がほとんどない・少額の場合
多くの人が感じているのは、実際には「財産が少額」のケースです。
- 預貯金が数十万円だけ残っている
- 田舎に価値の低い土地がある
- 賃貸暮らしで現金がわずかにある
少しでも財産があれば、金額の大小にかかわらず手続きが必要になることがあります。
【ケース別】相続財産がほとんどない(少額)場合の対処法
預貯金が数十万円など少額のみの場合
金融機関の口座は名義人の死亡で凍結され、引き出すには相続手続きが必要です。金額が少ない場合は簡易手続きを利用できる金融機関があります。
ゆうちょ銀行では、貯金合計残高が100万円以下の場合、簡易な相続手続きを利用できます。取扱基準や必要書類は金融機関ごとに異なるため、口座のある金融機関に確認しましょう。代表相続人が手続きする場合も、他の相続人の同意を得ておくと安心です。
価値の低い不動産(田舎の土地など)しかない場合
価値の低い不動産でも相続登記は必要です。2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です(出典:法務省)。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象で、2027年3月31日までに登記が必要です。売却が難しい土地は、一定要件を満たせば国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」も検討できます(出典:法務省)。
不動産しかない場合の遺産分割方法4選
相続人が複数で不動産しかない場合の分割方法は4つです。
1. 現物分割:特定の相続人が不動産をそのまま取得
2. 代償分割:一人が取得し、他の相続人へ代償金を支払う
3. 換価分割:売却して代金を分ける
4. 共有分割:全員の共有名義にする
共有分割は簡単に見えますが、後の売却・管理で全員の同意が必要になりトラブルの火種になりやすい点に注意です。
生前贈与で財産がゼロになった場合
被相続人が生前に全財産を贈与し、相続時点でゼロのケースもあります。特定の相続人が受けた生前贈与は「特別受益」として遺産分割で考慮されることがあります。
遺留分(一定の相続人に保障された最低限の取り分)を侵害する贈与には、遺留分侵害額請求ができる可能性があります。この権利は、相続開始および侵害する贈与・遺贈を知ったときから1年以内(または相続開始から10年以内)に行使が必要です。諦める前に生前贈与の有無を確認しましょう。
相続財産が本当にないか?プロが行う具体的な調査方法
STEP1:故人の遺品や郵便物を確認する
まず被相続人が保管していた書類を確認します。
- 預貯金:通帳、キャッシュカード
- 不動産:登記済権利証、固定資産税の納税通知書
- 自家用車:自動車検査証
- 借金:金銭消費貸借契約書、督促状
郵便物も重要です。金融機関・証券会社・貸金業者からの郵便で、未把握の口座や借入が判明することがあります。
STEP2:預貯金・有価証券を調査する
- 名寄せ:金融機関に照会し、被相続人名義の口座を一括確認。別支店の口座も把握できます。
- 休眠口座:長年放置された口座に残高が残るケースあり。ネットバンクは通帳がなく見落としやすい点に注意。
- ほふり(証券保管振替機構):「登録済加入者情報の開示請求」で、被相続人が口座を持つ証券会社を確認できます。
STEP3:不動産を調査する
「名寄帳」が有効です。名寄帳は市区町村が管理する所有者ごとの不動産一覧で、相続人は被相続人の死亡と相続権を証明する戸籍謄本等を提出して取得できます。
ただし、名寄帳にはその市区町村内の不動産しか記載されません。複数地域に不動産がある場合は各市区町村で取得が必要です。
STEP4:借金・ローンを調査する
信用情報機関へ照会します。主な機関はJICC(日本信用情報機構)、CIC、全国銀行個人信用情報センター(KSC)です。銀行・信用金庫からの借入はKSCで確認できます。
JICCでは法定相続人または2親等以内の血族が郵送で開示請求でき、開示申込書、本人確認書類、亡くなった事実と相続関係がわかる戸籍謄本等、手数料が必要です(出典:JICC)。
CICでも法定相続人が郵送で開示請求でき、申込書、本人確認書類、戸籍謄本等、所定の手数料が必要です。必要書類・手数料は変更されることがあるため、請求前に各機関の公式サイトで確認してください(出典:CIC)。
相続するものがない場合、手続きは本当に不要?
原則、遺産分割協議などの相続手続きは不要
プラスもマイナスも財産が本当にない場合、遺産分割協議や相続登記は基本的に不要です。分けるべき財産がないためです。
ただしマイナスの財産(借金)が多い場合は手続き必須
借金がある場合は別です。何もしなければ「単純承認」となり、相続人が返済義務を負います。借金を引き継ぎたくない場合は次章の手続きが必須です。
マイナスの財産(借金)しかない・多い場合の手続き

借金しかない、または借金が上回る場合、返済負担を避けるには「相続放棄」または「限定承認」を検討します。
相続放棄|借金も財産もすべて引き継がない
相続放棄は遺産を一切受け取らず、債務も引き継がない方法です。放棄するとその相続で最初から相続人でなかったものとみなされます。
手続きは、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。主な必要書類は次のとおりです(手数料は目安)。
| 必要書類 | 取得場所 | 手数料 |
|---|---|---|
| 相続放棄申述書 | 裁判所HPまたは家庭裁判所窓口等 | – |
| 被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 住所地/本籍地の市区町村役場 | 各1通約300円 |
| 死亡記載のある被相続人の戸籍謄本(除籍・改製原戸籍) | 本籍地の市区町村役場 | 戸籍450円/除籍750円/改製原750円 |
| 申述人の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 1通450円 |
| 収入印紙 | 郵便局・コンビニ等 | 800円分 |
※このほか連絡用の郵便切手(数百円程度)が必要です。
限定承認|プラスの財産の範囲内で借金を返済する
限定承認は、相続で得たプラスの財産の限度内でのみ債務を承継する方法です。「財産と借金のどちらが多いか不明」な場合に有効です。相続人全員が共同で行う必要があります。手続きは、相続の開始を知ったときから3か月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。
| 必要書類 | 取得場所 | 手数料 |
|---|---|---|
| 限定承認の申述書 | 裁判所HPまたは家庭裁判所窓口等 | – |
| 被相続人の住民票除票または戸籍附票 | 住所地/本籍地の市区町村役場 | 各1通約300円 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍) | 本籍地の市区町村役場 | 戸籍450円/除籍750円/改製原750円 |
| 申述人(相続人全員)の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 1通450円 |
| 収入印紙 | 郵便局・コンビニ等 | 800円分 |
※限定承認には、みなし譲渡所得課税(所得税の準確定申告)など税務上の論点が生じる場合があります。手続きも複雑なため、専門家への相談をおすすめします。
いずれも3か月の期限が短いため、借金の可能性があれば早めに専門家へ相談を。判断が難しい場合は家庭裁判所へ「熟慮期間の伸長」を申し立てる方法もあります。
相続財産の有無にかかわらず必要な死後の手続き一覧
遺産がなくても行政上の手続きは必要です。期限が短いものが多いため早めに対応しましょう。
| 届出・手続き | 期限 | 手続先 | 必要書類 |
|---|---|---|---|
| 死亡届 | 死亡を知った日から7日以内(国外死亡は3カ月以内) | 死亡地・本籍地・住所地の市区町村窓口 | 死亡診断書(死体検案書)等 |
| 埋火葬許可申請 | 死亡届と同時(7日以内が目安) | 同上 | 死亡届の提出等 |
| 年金受給停止 | 死亡後速やかに(国民年金14日以内、厚生年金10日以内) | 年金事務所・年金相談センター | 年金受給権者死亡届、年金証書等 |
| 介護保険資格喪失届 | 死亡から14日以内 | 市区町村役場(福祉課等) | 介護保険証等 |
| 住民票の抹消届 | 死亡届で原則自動抹消 | 市区町村役場(戸籍課等) | 本人確認書類等 |
| 世帯主の変更届 | 死亡から14日以内 | 市区町村役場(戸籍課等) | 届出人の本人確認書類等(残る世帯員が2人以上の場合) |
※マイナンバーカードと基礎年金番号が結びついている等、日本年金機構が死亡を確認できるときは、年金受給権者死亡届を省略できる場合があります。
相続するものがないなら相続税の申告は不要?
基礎控除以下なら申告・納税は原則不要
正味の遺産額(債務・葬式費用等を差し引いた額)が基礎控除以下なら、相続税の申告・納税は原則不要です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
プラスの財産が見つかっても、この範囲内なら相続税はかかりません(出典:国税庁)。
なお、2024年1月1日以降の暦年課税による生前贈与は、相続開始前に加算される期間が従来の3年から段階的に7年へ延長されています。生前贈与がある場合は加算対象になることがあります。
特例(小規模宅地等・配偶者控除)を使う場合は申告が必要
相続税がかからなくても、次の特例を使うときは申告が必要です。
- 小規模宅地等の特例:一定の宅地の評価額を最大80%軽減。申告書に特例適用の旨を記載し、明細書・遺産分割協議書の写し等を添えて提出。
- 配偶者控除(配偶者の税額軽減):配偶者が取得した正味遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで非課税。税額軽減の明細を記載した申告書に、遺産分割協議書の写し・相続人全員の印鑑証明書等を添えて提出。
これらは「申告して初めて受けられる」制度で、結果として相続税が0円でも申告は必要です(出典:国税庁)。
申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内です。遺産分割が長引く場合も、期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、後日分割成立時に小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を受けられます。
【注意】申告不要なのに税務署から連絡が来たら?
「申告不要」と判断していても、税務署から「相続税についてのお尋ね」が届くことがあります。税務署が財産状況をある程度把握したうえで送るものです。無視せず、財産を再確認して内容に沿って回答しましょう。実は申告が必要だったケースもあります。迷う場合は専門家に相談を。
申告漏れのペナルティ(無申告加算税・延滞税)とは
本来申告すべきなのにしなかった場合、本来の税に加えペナルティが課されます。申告しなかったことに対する「無申告加算税」と、納付が遅れたことに対する「延滞税」です。無申告加算税の税率は、税額や自主申告か否か等で変わり、近年は高額な無申告への加重措置も設けられています(出典:国税庁)。少しでも財産がある場合は慎重に判断しましょう。
【危険】相続手続きの放置で起こる5つの深刻なリスク
相続登記のように義務化・過料対象の手続きもありますが、多くの手続きは放置しても直ちに罰則はありません。ただし次のリスクがあります。
リスク1:銀行口座が凍結され、預金が引き出せなくなる
死亡が金融機関に伝わると口座は凍結され、相続手続き完了まで引き出せません。当面の資金が必要な場合は、一定額まで単独で引き出せる「預貯金の払戻し制度」を利用できることがあります。
リスク2:預貯金の引き出しに余計な手間がかかる
長期放置で休眠口座となり権利関係が複雑化します。先延ばしすると、引き出す際に余計な手間がかかります。早めの手続きが安全です。
リスク3:相続人が増え、関係が複雑化する
放置中に相続人がさらに亡くなると数次相続が発生し、権利関係が一気に複雑化します。
祖父・父・姉の相続が立て続けに発生し、相続人が疎遠な親戚を含め20名に膨れ上がった事例があります。財産は地方の土地と少額の預貯金のみでしたが、戸籍収集だけで2カ月以上を要し、協議の協力要請も困難でした。財産が少額でも、放置すれば実費や専門家費用がかさみ、財産価値を上回る負担になりかねません。
認知症などで判断能力が不十分な相続人がいる場合は、協議のため成年後見人の選任が必要になるなど手続きが煩雑になります。
リスク4:不動産の管理責任を問われ、売却もできなくなる
2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく期限内に登記を怠ると10万円以下の過料の対象です。名義変更しないと売却もできず、放置が近隣トラブルを招くこともあります。
長年放置した空き地で草木が隣家へ越境し害虫が大量発生、名義人は故人のまま相続人も多数に分かれ、最終的に自治体が対応した事例もあります。不動産を相続したら速やかに名義変更を行いましょう。
リスク5:借金の相続放棄ができなくなる(3ヶ月の期限)
相続放棄・限定承認の期限は、相続の開始を知ったときから3か月です。過ぎると原則単純承認となり借金をすべて引き継ぎます。「財産がない」と放置した結果、実は借金があり気づいたときには放棄できなくなる事態を避けるためにも、早期の調査と判断が重要です。
相続財産がないと思っても、まずは専門家へ相談を
「相続するものがない」と思っても、調査すると口座やネットバンク、借金が見つかることは少なくありません。ネットバンクは通帳がなく放置されているケースもあります。財産はないと決めつけず、契約書類にしっかり目を通しましょう。
不安な場合は財産調査を専門家に依頼するとスムーズです。葬儀や各種届出で忙しい時期でも、調査を任せて手続きを着実に進められます。
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