相続した山の場所が分からない!場所の特定方法について詳しく解説!
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相続した山の場所が分からない!住所から特定できる?
被相続人の所有する山を相続したものの、その所在地がよくわからない場合もあるでしょう。
そのような時は「公図」で山の土地の配置や形状が把握できます。公図とは法務局に備え付けられている図面で、地番さえ分かれば、誰でも取得できる法的な地図です。
相続した山の土地の地番が分かれば、公図と照らし合わせ、相続した土地の場所がわかります。
なお「住所」「地番」には次のような違いがあります。
- 住所:住所をわかりやすく表示する制度で、郵便局・宅配等が届く場合に使われる。管轄は市町村。
- 地番:土地一筆ごとに振り分けられている番号、土地の登記関係で利用される。管轄は法務局。
相続する山は固定資産税の明細書で確認できる!
公図で相続した山の土地を確認したい場合、地番がわからなければ調査できません。
地番は「固定資産税・都市計画税の課税明細書」で確認が可能です。
こちらの明細書は固定資産税の課税対象となる土地・家屋の課税内容を確認できるように、市町村役場から毎年4月に届く納税通知書へ同封されています。
被相続人宛に送付されてきた当該明細書の所在地番を確認しましょう。
もし、課税明細書が届いていない場合(固定資産税がかかっていない)は、登記済み権利証や売買契約書で確認しましょう。
地番は把握できたけれど、被相続人の課税明細書が見つからない場合、固定資産評価証明書を市町村役場で取得できます。土地分なら5筆まで1通200円程度かかります(固定資産課税台帳の閲覧申請は無料)。
相続した山の場所を特定する方法を解説!
固定資産税・都市計画税の課税明細書等で地番が判明したら、公図等で場所を特定します。
法務局で公図を取得
基本的には法務局で公図を取得し、場所の特定を図ります。
法務局の窓口にて「地図証明書申請書」を提出し、手数料1通450円を支払い申請します。申請書には申請者の住所・氏名・地番を必ず記載しましょう。なお、郵送申請も可能です(1通450円の収入印紙、返送分の切手が必要)。
その他、法務省「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」からオンライン申請が可能です。オンライン請求で郵送受取なら1通450円・窓口受取は1通430円を支払います。
なお、オンライン申請が可能な時間帯は平日の午前8時30分〜午後9時までです。
登記情報提供サービス
公図のデータに関しては、一般財団法人民事法務協会「登記情報提供サービス」からPDFファイルでダウンロードが可能です。
こちらは1通362円と法務局の手数料よりも低く設定されていますが、法務局からの証明はありません。場所の特定だけをしたい場合に、有効な確認方法といえます。
地図及び図面情報については、オンライン申請が可能な時間帯が平日の午前8時30分〜午後9時までとなっています。
その他
公図だけでは場所の特定が難しい場合は、各都道府県庁の水産林政部等の部署で管理している「森林計画図(地域森林計画の対象となる民有林の区域を示した図面)」でも確認できる場合があります。こちらの手数料は1通360円程度です。
また、市町村役場では「地形図」をホームページにてPDF、DM、SHP、DXF等の形式で公開・ダウンロード可能なケースが多いです。
この他、「MAPPLE法務局地図ビューア」というインターネットサイトで調べることもできます。留意点はすべての土地を網羅していないことです。
このような図面等や公図を参考に、相続した山の土地がどこなのかを確認できます。
相続した山の場所を特定するのにかかる費用はどのくらい?
相続した山の場所の特定には、数百円~数千円程度の費用がかかります。こちらでは費用(目安)を取り上げます。
- 固定資産評価証明書:市町村役場で取得、土地だけなら5筆まで1通200円程度
- 公図(窓口取得):法務局で取得、1通450円
- 公図(郵送取得):法務局で取得、1通450円の収入印紙・返送分の切手
- 公図(オンライン取得):郵送受取なら1通450円・窓口受取は1通430円
- 公図(登記情報提供サービス):1通362円
- 森林計画図:都道府県庁で取得、1通360円程度
当然、全ての書類を集める必要はありません。被相続人の固定資産税・都市計画税の課税明細書があれば、固定資産評価証明書の交付は不要です。
公図等に関しては、相続人が最も利用しやすい方法で申請を行いましょう。
山を相続した後にやるべきこととは?
相続した山の場所が特定できたら、山の相続に関する手続きを進めましょう。
相続登記
山を相続した場合は山の所有権に関する名義変更手続きをします。
相続した山の所在地を管轄する法務局に、登記申請書等を申請し登録免許税も支払います。
- 登記申請書:法務局で取得
- 被相続人出生~死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍いずれか:本籍地の市町村役場で取得、1通450円~750円
- 被相続人の住民票除票または戸籍の附票:住民票除票は住所地の市区町村役場で取得(1通約200円)、戸籍附票は本籍地の市区町村役場で取得(1通約300円)
- 相続人の戸籍謄本:法定相続人全員の戸籍謄本が必要
- 住民票:住所地の市区町村役場で取得、1通約200円
- 登録免許税:不動産の価額の0.4%を納付
- その他:固定資産評価証明書、遺産分割協議書、遺言書等
相続登記の義務化が2024年4月1日から実施されます。原則として改正法の施行日または相続で不動産取得を知った日から3年以内に、手続きを行う必要があります。
市町村長に届出
相続で山を取得した相続人は、その面積に関わらず市町村長へ届出をしなければいけません(森林の土地の所有者届出制度)。
届出期限は山の所有者となった日から90日以内です(遺産分割未完了の場合は、法定相続人の共有物として届出)。
新たに所有者となった相続人は、相続した山の所在する市町村ごとに、届出書等を提出する必要があります。
- 森林の土地の所有者届出書:市町村役場で取得
- 当該土地の位置を示す地図
- 当該土地の登記事項証明書その他の届出の原因を証明する書面
この義務を怠ると10万円以下の過料に処されるので注意しましょう。
やっぱり相続したくない!そんな時の対処法とは?
被相続人の所有していた山を相続したくない場合、次の対応を検討してみましょう。
相続放棄
相続人が単独で行える相続を放棄する方法です。相続の開始があった事実を知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します。
相続放棄の申述書に、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本、収入印紙800円分、連絡用切手等を添付し申し立てます。
申述が認められれば、申述人は被相続人の相続権を失います。ただし、基本的に山だけでなく他の全ての遺産も取得できなくなるので注意しましょう。
相続土地国庫帰属制度
相続した山を国に引き取ってもらう方法です。この方法なら相続放棄のように相続権を失わず、不要な山だけを引き取ってもらえます。
山の所在地を管轄する法務局に承認申請を行います。承認申請書に、山の図面や写真、申請者の印鑑登録証明書、固定資産税評価額証明書等を添付し申請します。
申請後は書面審査・実地調査が行われ、負担金の納付も必要です(面積に応じて算定)。
なお、建物が建っている、担保権が設定されている、汚染されている等の事実が判明すれば、申請は認められないので注意しましょう。
森林組合に相談する
山を相続はしたものの、やはり山を売却・譲渡したい、管理を誰かに任せたいと考える相続人も多いことでしょう。
その場合は、森林組合に山の売却等の意思表示を行えます。森林組合が売却や譲渡、管理をサポートしてくれるので、まずは森林組合の窓口で対応を協議しましょう。
相続した山の場所が分からない等の山の相続でのお困りごとの相談先は?
相続した山の場所がわからないときは、行政書士や司法書士等に相談してみましょう。士業専門家に任せれば、山をはじめとした不動産の場所等の調査代行が可能です。
また、相続全般について相談したいなら「円満相続ラボ」で問い合わせてみましょう。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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この記事を監修したのは…
株式会社プロサーチ 代表取締役
松尾 企晴(まつお きはる)
「不動産を持っていて相続に悩む方の問題解決」を専門とするプロサーチ株式会社代表取締役。家族信託、
アパートなどの不動産相続対策など幅広いジャンルに精通しこれまで5,000人以上の悩みや不安を解決。
『話をじっくり聴く』、『お客様のありたい姿を引き出す』という提案ありきではない姿勢に定評がある。