相続登記の申請は郵送でも可能?申請方法と手続きの流れを解説!
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相続登記の申請方法とは?郵送でも可能?
相続により不動産を取得した相続人は、なるべく早く登記を済ませましょう。登記をすれば、第三者に対して権利を主張できる、不動産取引を行うとき円滑に手続きが進められる、という効果が期待できます。
相続登記には次の3種類の方法があります。
- 窓口申請
- 郵送申請
- オンライン申請
いずれの方法を選ぶかは申請者本人次第なので、最も自分が行いやすい方法で申請しましょう。
以下ではそれぞれの申請方法のメリット・デメリット、手続きの流れについて解説します。
申請方法① 法務局の窓口で申請する場合
最も基本的な申請方法で、申請は相続不動産の住所地を管轄する法務局で行います。法務局が自宅の近くや公共交通機関または自家用車で十分移動できる距離にある場合は、この方法で申請した方が確実です。
窓口申請のメリット・デメリット
法務局の窓口で手続きをする場合、担当職員に直接提出するので、迅速に登記手続きを済ませられる点がメリットです。ただし、提出したらすぐに手続きが完了するわけではなく、最短で2日〜1週間ほどかかります。
一方、法務局の業務取扱時間が限定されている点はデメリットといえます。業務取扱時間は平日の午前8時30分〜午後5時00分なので、その時間帯に合わせて来庁する必要があるでしょう。
また、土曜日、日曜日、祝日、年末年始期間はいずれも休みとなり注意が必要です。
窓口申請の流れ

次のような手順で手続きを進めます。
- 必要書類の収集
- 相続登記の申請書を作成・押印
- 登録免許税分の印紙を法務局印紙販売窓口で購入
- 申請書・必要書類を法務局に提出
- 手続き完了後に登記事項証明書を取得し確認
手続きが完了したかどうかは、各法務局が登記完了予定日をホームページにて掲示しているので、それを目安に来庁しましょう(参考:東京法務局「東京法務局各庁別登記完了予定日」)。
その際に、登記申請書に押印したものと同じ印鑑を持参すれば、登記識別情報通知書及び登記完了証を取得できます。
申請方法② 郵送で申請する場合
自宅から法務局が遠い、業務取扱時間中は自分も仕事なので申請が難しいという人は、郵送申請を行いましょう。郵送先はやはり相続不動産の住所地を管轄する法務局となります。
郵送申請のメリット・デメリット
法務局の業務取扱時間を気にせずに提出できる点がメリットです。また、法務局に来庁する手間も省けるので便利な方法といえます。
しかし、実際に法務局へ持参するよりも郵送の方が到着は遅くなってしまいます。なお、申請書等が法務局に到着した日が申請日となるので、なるべく早く手続きを済ませたい人には向いていない方法です。
郵送申請の流れ
郵送申請も窓口申請と同じ手順で進めます。添付書類の綴じ方は登記申請書を1番上にして、次の順番でまとめましょう。
- 登記申請書・収入印紙貼付台紙
- 委任状(代理申請の場合)、相続関係説明図(戸籍の返却を受けたい場合戸籍のコピーが不要になります)
- 書類のコピー
- 返却を受ける書類の原本※これは綴じません
郵送の際は封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と明記し、書留郵便により送付します。登記完了時、還付を希望する書類や登記完了証を郵送で返却を希望するならば、宛名を記載した返信用封筒・書留郵便のための郵券を同封します。
なお、登記識別情報を郵送で交付してもらいたいときは、本人限定受取郵便等による方法となるので、「書留料金+210円」(ただし、金額変更の場合あり)の郵券が必要です。
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郵送申請を効率化する最新の制度と義務化対策
2024年4月からの相続登記義務化に伴い、郵送で手続きを進める方が知っておくべき「負担を減らすための新制度」が2つあります。
戸籍集めの手間を激減させる「広域交付制度」
郵送申請の準備で最も時間がかかるのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍収集です。
- 新制度のメリット:2024年3月より、最寄りの市区町村窓口1箇所で全国の戸籍を一括請求できるようになりました。
- 郵送申請への影響:これまでは全国各地の役所に「郵送請求」を繰り返す必要がありましたが、窓口で一括取得したものを法務局へ郵送するだけで済むようになり、準備期間が大幅に短縮されました。
期限に間に合わない時の救済策「相続人申告登記」
相続登記には「3年以内」という期限があり、正当な理由なく遅れると10万円以下の過料の対象となります。
- 結論:遺産分割協議がまとまらない場合は、郵送でも申請可能な**「相続人申告登記」**をまず行いましょう。
- 理由:自分が相続人であることを法務局に申し出るだけで、登記義務を暫定的に果たしたとみなされ、罰則を回避できます。
- 注意点(期限):
- 通常の相続:不動産の取得を知った日から3年以内。
- 2024年4月以前の相続:2027年3月31日が最終期限です。
| 項目 | 本登記(正式な名義変更) | 相続人申告登記(暫定措置) |
| 主な必要書類 | 遺産分割協議書、印鑑証明書など | 申出書、戸籍謄本のみ |
| 登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% | 無料 |
| 郵送申請 | 可能(返信用封筒が必要) | 可能 |
専門家からのアドバイス
郵送申請は移動の手間がない分、書類の不備があると電話でのやり取りや再郵送の手間が発生します。特に義務化以降は期限が厳格なため、書類に不安がある場合は「相続人申告登記」でひとまず期限をクリアしておくのが安全な戦略です。
申請方法③ オンラインで申請する場合
自宅のパソコンから手軽に相続登記の申請を行いたい場合は、オンライン申請が可能です。
オンライン申請のメリット・デメリット
ほとんどの登記手続きを自宅で行える点がメリットです。また、法務局に来庁する手間が省ける他、申請書に誤りがあってもオンライン上で修正可能、更に登録免許税の支払いはインターネットバンキングを利用し電子納付できます。
ただし、パソコンがなければそもそもオンライン申請は利用できず、申請用総合ソフトのインストールや電子署名(マイナンバーカード等)の準備と、申請前に手間がかかるのはデメリットです。
その他、全ての申請がオンラインで完結するわけではなく、書面で作成された添付情報を、オンライン申請の受付日から2日以内(初日・休日等を除く)に、法務局に持参か書留郵便等で送付しなければいけません。
オンライン申請の流れ
次のような手順で手続きを進めます。
- 事前準備:申請者情報の登録・申請用総合ソフトのインストールをする
- 申請書作成・必要書類の取集
- 申請情報へ電子署名付与(マイナンバーカード等を取得)
- 申請情報送信
- 登録免許税納付(電子納付)
- 書面で作成された添付情報を、法務局に持参か郵送
- 登記完了証取得
登記申請をスムーズに済ませたい場合、オンライン申請は非常に便利な方法です。
しかし、インターネットを利用した手続きが苦手だ、マイナンバーカードの取得に手間取っている、という人は無理せず、窓口申請または郵送申請で手続きをした方が良いでしょう。
相続登記に必要な書類とは?書類はどこで取得できる?
相続登記の申請の際、主に次のような書類が必要です。
| 必要書類 | 取得場所・手数料等 |
| 登記申請書 | 法務局の窓口、ホームページで取得可能 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本) | 被相続人の本籍地の市区町村役場で取得、手数料1通450円~750円 |
| 被相続人の住民票の除票または戸籍の除附票 | 被相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円から400円(市区町村役場により異なる) |
| 相続人全員の現在の戸籍謄本 | 各相続人の本籍地の市区町村役場で取得、手数料1通450円 |
| 相続人全員の印鑑登録証明書 ※遺産分割協議を行ったときのみ | 各相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円から300円(市区町村役場により異なる) |
| 不動産を相続した人の住民票 | 相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円から300円(市区町村役場により異なる) |
| 固定資産評価証明書 | 不動産の所在地を管轄する市区町村役場または都税事務所で取得、手数料1通300円(市区町村役場により異なる) |
| 収入印紙・切手 | 郵便局・コンビニ等で取得 |
その他、次のような書類もケースに応じて準備します。
- 遺産分割協議書:遺産分割協議を行った場合に作成
- 遺言書:遺言者が作成していた場合
- 委任状:代理申請する場合
- 相続関係説明図:申請の際戸籍謄本等を返却してもらいたい場合に作成
- 法定相続情報一覧図:戸籍謄本等の提出を省きたい場合に作成
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相続登記を申請する場合にかかる費用はどのくらい?
必要な書類を収集する場合は、相続人の数にもよりますが概ね手数料として5,000円〜10,000円程度かかります。その他に相続登記の場合は「登録免許税」の費用も負担しなければいけません。
登録免許税は相続不動産の固定資産評価額に0.4%の税率をかけ計算します。不動産の評価額が高ければ登録免許税も高くなります。下表を参考にしてください。
| 固定資産評価額 | 登録免許税 |
| 1,000万円 | 4万円 |
| 1,500万円 | 6万円 |
| 2,000万円 | 8万円 |
| 5,000万円 | 20万円 |
| 1億円 | 40万円 |
登録免許税は基本的に法務局へ登記申請書を提出する際、収入印紙で納めます。法務局ではこの印紙売り場も設置されていますが、事前に購入したい場合は郵便局やコンビニでも入手可能です。
高額の登録免許税の納付の場合は、主に登録免許税を銀行で納付後、取得した領収証書を登記申請書に貼付し提出する方法がとられます。
その他、オンライン申請時は、Pay-easy(ペイジー)対応の金融機関にて電子納付が可能です。
相続登記の申請する時の注意点を解説!
民法・不動産登記法の改正により、相続登記は2024年4月1日から義務化されます。申請期限も明記されているので、速やかな申請が求められます。
相続登記の義務化に注意
相続登記はこれまで、申請期限が明確化されていないばかりか、手続きをしなくても罰則等が課せられなかったため、申請しない人も多い状況でした。
しかし、2024年4月1日から相続登記の義務化が開始されます。相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がないにもかかわらず、登記・名義変更手続きをしなければ10万円以下の過料が課せられます。
また、今まで相続登記をしてこなかった場合は、原則として2024年4月1日から3年以内に相続登記をする必要があるので注意しましょう。
今のうちから準備を行い、窓口・郵送・オンラインいずれかの申請方法で、速やかに手続きを進めることが大切です。
【2024年以降】相続登記の「完全義務化」と最新の手続きルール
2024年4月1日より、不動産の相続登記は「義務」となりました。放置すると過料(罰則)の対象となるだけでなく、2025年からは付随する登記も義務化されます。
1. 相続登記義務化の結論と罰則
結論:相続を知った日から3年以内に登記申請を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
- ⚠️ 過去の相続も対象: 2024年4月以前に発生した未登記の物件も、2027年3月31日までに登記が必要です。
- 追加の義務(2025年4月〜): 相続登記後、引っ越し等で住所が変わった場合も、変更から2年以内の登記が義務化(5万円以下の過料)されます。名義変更だけでなく、情報の更新も必須となります。
2. 遺産分割がまとまらない時の救済策「相続人申告登記」
結論:期限内に誰が継ぐか決まらない場合は、暫定的な申告で罰則を回避できます。
「話し合いが終わらないから登記できない」という悩みは、新設された相続人申告登記で解決できます。
- メリット: 自分一人の戸籍謄本だけで申請でき、登録免許税(税金)もかかりません。
- 効果: 「私は相続人です」と法務局へ申し出るだけで、3年の期限を遵守したとみなされます。
- 注意: これはあくまで「暫定措置」です。後日、遺産分割が成立した際は、改めて3年以内に「正式な名義変更」を行う必要があります。
3. 戸籍の広域交付による書類収集の劇的効率化(2024年3月〜)
結論:全国の戸籍を最寄りの市区町村窓口1箇所でまとめて取得できるようになりました。
相続登記で最も負担だった「全国からの戸籍集め」が、以下のルールで効率化されました。
- 一括請求が可能: 亡くなった方の「出生から死亡まで」の全ての戸籍を、本籍地に関わらず最寄りの窓口で請求できます。
- 所要時間の注意: 原則即日発行ですが、システム状況や古い手書き戸籍の確認により、数日〜1週間程度かかるケースもあります。余裕を持って窓口へ行きましょう。
4. 登録免許税の免除措置(2025年3月31日まで)
結論:特定の条件を満たす場合、登記にかかる税金が免除される特例があります。
全てのケースではありませんが、以下の土地などは免除の対象となる可能性があります。
- 100万円以下の土地: 市町村が指定する「法務大臣が定めた地域」の低廉な土地の相続。
- 数次相続の中間登記: 相続が2回以上重なり、中間の相続人が1人の場合。
専門家への相談を推奨する理由:
免除の判定や、2025年からの「住所変更登記の義務化」への対応は、個人では見落としがちです。過料を防ぎ、正確に不動産を守るために、司法書士や相続診断士への早期相談をお勧めします。
相続登記の悩みは専門家に相談しよう
相続登記の義務化で慌ててしまい、申請方法がよくわからず困っているならば、不動産登記の専門家である「司法書士」に相談しましょう。司法書士は相談にのってくれる他、登記申請を依頼すれば、依頼者に代わり手続きを行ってくれます。
また、相続登記をはじめとした相続全般に疑問点・不明点があるなら「円満相続ラボ」を利用しましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料でサポートしてくれます。
相続診断士は相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、相続登記等に関する悩みに対して適切なアドバイスを行ってくれるはずです。
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【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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この記事を監修したのは…
司法書士/民事信託士
中濱 知子(なかはま のりこ)
2023年1月リンクウィズ相続・司法書士事務所開業。
相続・不動産手続きでパラグアイ・スイスへの出張経験があります。
登記手続きはもちろん、お客様のお悩みごとを解決するためのご提案からお手伝いいたします。
他士業との連携によるワンストップサービスのご提供、海外案件、英語対応も可能です。
