遺言書を探す方法の1つである遺言検索システムとは?利用条件や方法!
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亡くなった方(被相続人)の遺言書はどうやって探す?
遺言書は基本的に3種類の方式があります。
- 自筆証書遺言:被相続人が自筆で作成した遺言
- 秘密証書遺言:内容を秘密にできる遺言
- 公正証書遺言:公証人が作成した遺言
どの方式で作成したかによって、遺言書を探す方法はそれぞれ異なります。
- 自筆証書遺言(被相続人が作成し、自分で保管)→被相続人の自宅等を探す
- 自筆証書遺言(自筆証書遺言書保管制度を利用)→法務局で遺言書情報証明書の交付申請を行う
- 秘密証書遺言→公証役場で遺言検索システムによる遺言を確認後、被相続人の自宅等を探す
- 公正証書遺言→公証役場で遺言検索システムを利用し、遺言書を取得する
自筆証書遺言は、被相続人が自筆証書遺言書保管制度を利用していたなら、法務局で確認がとれます。それ以外は被相続人の自宅を探したり、貸金庫等を探したりして、遺言書の有無を確認しましょう。
被相続人が公正証書遺言を作成していた場合、公証役場に直接出向き「遺言検索システム」を利用すれば判明します。その後、遺言書謄本の請求手続きを行いましょう。
なお、秘密証書遺言は遺言検索システムで遺言書を作成したかどうかのみが確認できます。
ただし、公正証書遺言のように公証役場で保管しているわけではないので、相続人が自宅等を探して発見しなければいけません。
遺言検索システムとは?
遺言検索システムとは、日本公証人連合会が運用している公正証書遺言のデータを管理するシステムです。
本システムは1989年以降に日本全国の公証役場で作成された公正証書遺言のデータが、一元的に管理されています。
そのため、日本全国どこで作成された遺言であっても、最寄りの公証役場から検索が可能です。なお、遺言検索は無料となっています。
ただし、本システムを誰でも利用できるわけではなく、遺言者が生きているか亡くなっているかで、遺言検索を請求できる人の範囲は異なります。
遺言検索システムを利用できる人の条件とは?
遺言者が生存中か亡くなっているかで、遺言検索システムの利用可能な人の範囲は異なります。
遺言者が存命中の場合は遺言者本人に限定され、たとえ遺言者の法定後見人による請求であっても認められません。遺言者が代理人を委任した場合のみ、遺言者以外の人でも請求が可能です。
一方、遺言者が亡くなった場合、相続人等の法律上の利害関係人が遺言検索システムを利用できます。
相続人以外の人(例:被相続人の特別縁故者や不動産の共有者等)が、法律上の利害関係人と認められるか否かは、公証人(公証作用を担う公務員)に確認する必要があります。
遺言検索システムを利用する方法
遺言検索システムは日本全国どこでも最寄りの公証役場で利用が可能です。手数料は無料となります。
利用の手順は次の通りです。
- 請求者が必要書類を準備する
- 最寄りの公証役場に向かい遺言検索の手続きをする
- 公証役場から照会結果通知書が交付される
- 検索の結果、公正証書遺言があった場合は閲覧や謄本交付の請求手続きに進む
請求する人が必要書類を揃えたら、公証役場の窓口に向かい手続きを進めます。公証役場の業務時間は平日(月曜〜金曜)、午前9時〜午後5時までとなっています。
訪問前、遺言検索について問い合わせた後、公証役場で手続きする日時を予約しましょう。
遺言検索システムを利用する際の必要書類を解説!
本システムを利用する際、遺言者の生存中か亡くなった後かで必要な書類が異なります。
(1)遺言者の生前:遺言者本人が請求する場合
- 遺言者の本人確認資料:運転免許証やパスポート、マイナンバー(個人番号)カード等
(2)遺言者の死亡後:相続人が請求する場合
- 遺言者が死亡した事実を証明する書類(遺言者の死亡記載のある戸籍謄本、除籍謄本):戸籍謄本(1通450円)、除籍謄本(1通750円)は本籍地の市区町村役場で取得
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の本人確認資料:運転免許証やパスポート、マイナンバー(個人番号)カード等
(3)遺言者本人または相続人が代理人による請求(委任)を行う場合
- 委任状:請求者が作成、雛形はこちらで取得可能
- 委任者の実印:委任状に押印するとき必要
- 委任者の印鑑登録証明書(発行後3か月以内のもの):住所地の市区町村役場で取得(1通200円程度)
なお、代理人は請求者の親族・親戚の他、士業専門家(例:司法書士・行政書士等)に任せても構いません。
検索システムでは遺言の内容を確認できない!中身を確認する方法
遺言検索システムで被相続人が公正証書遺言を作成していたと把握できても、その遺言内容までは確認できません。
確認後、公正証書遺言を取得するには、公証役場で謄本の交付を請求します。もしも、自宅から公正証書遺言の原本を保管している公証役場が遠方にあるなら、郵送で請求しましょう。
必要書類は遺言検索の手続きと同様です。
一方、2019年4月1日から、公正証書遺言の原本を保管する公証役場が遠隔地にある場合、最寄りの公証役場で手続きをすれば、謄本の郵送請求が可能となりました。
ただし、郵送請求の場合は署名認証が必要となり、認証1件につき2,500円の手数料がかかってしまいます。
遺言を探す際に注意すべき点とは?
こちらでは遺言を探す際の注意点、そして遺言検索システムや遺言に関して疑問や不明な点があった場合の相談先を説明しましょう。
注意点その1:遺言書が自宅にあるとは限らない
公正証書遺言の原本は公証役場に必ず保管されます。
そのため、相続人や第三者から原本が破棄されたり、改ざんされたりするリスクはないですが、取得の際は交付請求の手続きが必要です。
一方、自筆証書遺言は被相続人が作成し自身で保管している場合、自宅の書斎や貸金庫等に保管されている可能性があります。
相続発生後、まずは被相続人の使用していた部屋から重点的に調べましょう。
ただし、自筆証書遺言書保管制度を利用していたならば、法務局で遺言書情報証明書の交付申請を行わなければいけません。
相続人は被相続人から遺言書の作成の有無や保管方法、保管場所を聞いていないと、発見が難しいかもしれません。
そのため、被相続人は遺言書に関する情報を「エンディングノート」へ明記しておきましょう。
エンディングノートとは、自分の所有する財産の種類・所在地、葬儀や埋葬はどのようにしたいかを明記しておく記録帳です。もちろん、エンディングノートに遺言書の存在の有無も記入できます。
このエンディングノートを利用すれば、相続人が発見しやすくなります。
注意点その2:遺言書を見つけてもいきなり開封してはいけない
被相続人の自筆証書遺言・秘密証書遺言を見つけたら「検認」が必要です。
封がされた遺言書は開封せずに、封がされていない遺言書はそのままの状態で、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に「遺言書の検認の申立」を行います。
検認とは、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きで次の役割があります。
- 相続人に対し遺言書の存在・遺言内容を知らせる
- 遺言書の形・加除訂正の状態・日付・署名等、検認の日現在の内容を明確にする
ただし、公証人が作成した公正証書遺言や、自筆証書遺言書保管制度を利用し交付された遺言書情報証明書に検認は不要です。
不明点・疑問点があれば専門家に相談しよう
本制度を利用したいものの、遺言検索システムや遺言に関して疑問や質問があるなら、相続に詳しい司法書士や行政書士のような士業専門家へ相談してみましょう。
遺言検索システムや遺言に関する適切なアドバイスをしてくれます。
また、相続全般の専門知識を有する「相続診断士」に相談するのも良い方法です。
相続診断士は有資格者なので、相談者の悩みや不明点へ丁寧に助言を行います。
相続診断士の助言を踏まえつつ、遺言書を作成するべきかどうか、方式はどれを選ぶのか冷静に検討しましょう。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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