遺言書の作成は弁護士への依頼が安心!メリットや手続き流れ、費用や注意点を解説

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弁護士に遺言書の作成を依頼すべき人とは
遺言書を作成する際、弁護士に依頼したほうが良いとされるのは、法律的なトラブルや相続人間の揉めごとが懸念されるケースです。
相続に不安を感じている方
相続は突然発生し、その準備ができていないと混乱が生じます。特に、不動産や預貯金、株式、事業資産など多岐にわたる財産がある場合には、法律や税務の知識が求められます。
そんなとき、弁護士に相談することで適切な準備がしやすくなります。相続放棄や限定承認を検討する際にも、弁護士の知見は心強いでしょう。
相続人同士で揉める可能性がある方
兄弟姉妹間や親子間でも、相続を巡って争いが起きることは珍しくありません。遺産分割協議がこじれると、家庭裁判所の調停や訴訟に発展することもあります。
弁護士が作成した遺言書は、法的に有効で明確な意思表示となるため、トラブルの予防に効果的です。調整や仲裁にも対応可能な点は大きな強みです。
確実に自分の意思を遺したい方
「この人にだけ遺したい」「特定の財産はこの用途に使ってほしい」など、具体的な意思がある方にとって、遺言書は不可欠です。
自筆証書遺言では不備が生じやすいため、法的な正確さを保証する弁護士に任せることで、意向を正しく文書化できます。
弁護士に依頼することで得られる遺言書作成のメリット
弁護士に依頼すれば、法的効力のある遺言書を確実に作成でき、相続に伴うさまざまな不安を未然に防ぐことができます。
法的に有効な遺言書が作れる
遺言書は法律で定められた方式を守っていないと、心を込めて書いたとしても無効となることがあります。
弁護士は民法に定められた要件を踏まえ、確実に有効な形で遺言書を作成します。形式的な不備や誤解を生まないよう文案を整え、法的にトラブルのない状態で遺言を残せるのです。
相続トラブルを事前に防げる
「なぜこの人に多く遺すのか」「なぜ一部の人には遺さないのか」といった疑問が相続人間でトラブルの火種になることがあります。
弁護士は、遺留分侵害の有無や相続税の問題、遺産分割の実務まで見据えた構成で、相続人間の混乱を未然に防ぐ遺言書の作成をサポートします。
自分に合った遺言の形式を選べる
遺言書には主に自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、どちらが良いかは個々の状況によって異なります。
弁護士は本人の健康状態、財産の種類、相続人の構成を見極めて、どの形式が望ましいかを提案します。費用や手続き、保管方法、検認の必要性も含め、総合的に判断できます。
自筆証書遺言の特徴と注意点
自筆証書遺言は費用を抑えて作成でき、手軽である一方、法律要件を満たさなければ無効となるリスクも高いです。
令和2年の法改正により、財産目録のパソコン作成が認められましたが、検認が必要で、保管に失敗すると発見されないままになるおそれもあります。
公正証書遺言のメリットと手続き
公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人の立会いのもとで作成するため、形式面での不備がなく、遺言者の意思確認も行われるため安全です。
検認手続きが不要で、相続発生後すぐに手続きが進められる利点があります。費用はかかりますが、信頼性は極めて高いです。
正確に相続財産を把握できる
弁護士は、不動産登記簿や金融資産、保険契約、債務状況まで細かく調査し、正確な財産一覧を作成します。
相続財産の全体像を把握することは、漏れのない遺言作成や相続税対策の第一歩です。相続人への説明責任も果たしやすくなります。
遺留分への配慮も可能になる
相続人の中には、遺留分という最低限の取り分が保障されている人がいます。
この権利を侵害すると、遺留分侵害額請求を受ける可能性があるため、弁護士はこの点を考慮しながら、遺言内容を調整します。法的トラブルを避けながら、遺言者の意思も尊重するバランス感覚が求められます。
手間なく一貫したサポートが受けられる
遺言書の作成には多くの工程がありますが、弁護士に依頼すれば、財産調査から文案作成、公証役場との連携、書類の収集、保管方法の助言まで、一括してサポートを受けられます。
依頼者は面倒な手続きをすべて任せられるため、精神的・時間的負担が軽減されます。
遺言執行者としても弁護士を任せられる
弁護士を遺言執行者に指定することで、相続発生後の手続きをスムーズに進めることができます。利害関係を持たない中立的な第三者として、相続人間の対立を避けつつ法的手続きを実行します。
特に、財産が多岐にわたる場合や相続人間の関係が複雑な場合に有効です。
弁護士に依頼したときの遺言書作成の流れ
弁護士に依頼することで、複雑な遺言書の作成も段階的にスムーズに進行できます。ここでは相談から完成・保管までの一連の流れを解説します。
弁護士の選定と初回相談
まずは、自身の目的や事情に合った弁護士を探します。遺言や相続分野に強い事務所かどうかを確認し、口コミや実績などを参考に選びましょう。
初回相談では、相続人の状況や財産の全体像、希望する分配方法などを丁寧にヒアリングしてもらいます。多くの法律事務所では、初回の法律相談を無料または定額で提供しています。
内容の検討と必要書類の準備
相談内容をもとに、弁護士がどの形式の遺言書が適しているかを提案します。
それに応じて、財産一覧や家族関係図、登記簿謄本、通帳コピーなど、必要書類を準備します。分からない場合や収集が難しいときには、弁護士が適切なアドバイスをしてくれます。
遺言書の作成と内容確認
資料がそろったら、弁護士が遺言書の文案を作成します。相続人の遺留分、税務面での影響、不動産や事業承継の扱いなども考慮されます。内容を確認し、必要に応じて修正や加筆を行い、最終的に依頼者が納得した形に仕上げます。
自筆証書遺言を選ぶ場合
依頼者が自筆証書遺言を希望する場合、弁護士は要件に沿った記載内容を指導します。
近年では法務局での保管制度も始まり、安全性が高まりました。弁護士がチェックしたうえで法務局に預けることで、紛失や改ざんのリスクも抑えられます。
公正証書遺言を選ぶ場合
公正証書遺言を選択した場合は、公証役場との日程調整や必要資料の提出も弁護士が代行します。
証人2名の手配、遺言内容の読み上げ確認、最終署名に至るまで、専門家が立ち会うことで手続きの信頼性が高まります。
完成後のフォローや保管について
完成後の遺言書は、自宅保管、信託銀行、弁護士事務所、法務局などさまざまな方法で保管可能です。
弁護士が遺言執行者となる場合は、そのまま事務所で保管されることも多く、安心感があります。保管後も内容の見直しが必要なときは、別途費用が必要な場合もありますが、定期的なフォロー相談も受けられます。
弁護士に依頼する場合の費用と内訳

弁護士に遺言書の作成を依頼する場合、事前にどのような費用がかかるのかを把握しておくことが大切です。ここでは、主な費用項目とその相場、内訳を丁寧に説明します。
初回相談料の目安
法律事務所では初回相談を30分〜60分程度に設定しており、費用は5,000円〜1万円程度が一般的です。なかには無料相談を実施している事務所もあります。
予約時に電話番号などの連絡先を通じて確認しておくと安心です。
遺言書作成の報酬相場
弁護士による遺言書の作成費用は、10万円から50万円程度が相場です。ただし、遺言内容が複雑な場合や遺産額が大きい場合は、100万円以上になることもあります。
相続財産の額や構成(不動産、金融資産、信託など)が複雑になるほど、報酬額は高くなる傾向があります。
公証役場に支払う手数料(公正証書遺言)
公正証書遺言を作成する際は、公証役場に手数料を支払う必要があります。
遺言書に記載する財産の額に応じて異なり、たとえば5,000万円の遺産を記載する場合で約4万円です。
証人の手配を弁護士に依頼した場合、別途費用がかかることもあります。
必要書類の取得などの実費
登記簿謄本や戸籍謄本、住民票などの取得には各種手数料がかかります。これらは1通あたり数百円〜1,000円程度の実費であり、複数の書類を揃える必要があるため、総額として数千円〜1万円前後となることが一般的です。
遺言書の保管にかかる費用
弁護士事務所や信託銀行に保管を依頼する場合、年間数千円〜1万円の保管料が発生する場合があります。法務局での遺言書保管制度を利用すれば、3,900円の手数料で保管できます。確実な保管場所を選ぶことがトラブル回避の第一歩です。
遺言執行を依頼する際の費用
弁護士に遺言執行者を依頼する場合、その報酬は相続財産の金額に応じて決まることが多く、相場は財産の1〜3%程度とされています。
遺産相続の手続き全体をスムーズに進めるための費用として、事前に見積もりを確認することが重要です。
弁護士と他の専門家の違い、選ぶポイント
遺言書の作成をサポートする専門家には弁護士のほか、司法書士や行政書士もいます。それぞれの業務範囲と特徴を理解したうえで、自分に合った専門家を選ぶことが重要です。
司法書士・行政書士との業務範囲の違い
司法書士や行政書士は遺言書作成のアドバイスや文案作成はできますが、相続人間のトラブルや訴訟対応はできません。
対して弁護士は、相続放棄や遺留分侵害請求といった法的トラブルにも対応可能で、より複雑な案件に強みを持っています。
法的トラブルに対応できる弁護士の強み
相続は、時に協議が難航したり、感情のもつれが裁判にまで発展することがあります。
弁護士であれば、裁判所での代理人となりうる法的資格を持っており、万が一のトラブルにも備えることができます。この点が他士業との決定的な違いです。
弁護士費用が高い理由と納得できる価値
弁護士費用は一般的に高めに感じられますが、それは法律に基づいた正確な対応力、複雑な事情への対応力、そして予防法務の視点を含む包括的な支援が含まれているためです。
費用に見合う価値があると評価される理由も、十分に理解できます。
弁護士に依頼する際に気をつけたいこと
弁護士に遺言書の作成を依頼する際は、後悔しないためにもいくつかのポイントに注意しておくと安心です。
複数の事務所を比較して選ぶ
一つの法律事務所だけで決めず、いくつかの事務所に相談してみましょう。
それぞれの事務所の得意分野や対応方針、費用感が異なるため、比較検討することで自分に最適な事務所が見つかります。
実現したい内容を明確に伝える
遺言書に何を記載したいか、誰に何を相続させたいのか、自分の希望を明確に伝えることが大切です。
弁護士はその意図を汲み取り、法的に実現可能な形で遺言内容を設計してくれます。遠慮せず、思いをしっかり伝えましょう。
疑問点は納得できるまで確認する
専門的な言葉や制度について疑問を感じたときは、遠慮せずに弁護士に確認しましょう。納得しないまま進めると、後で「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。弁護士との信頼関係を築くうえでも重要なステップです。
執行まで対応可能な弁護士かを確認する
遺言書の作成だけでなく、遺言執行者としての対応まで可能かどうかもチェックしておきましょう。万が一のときにスムーズに相続手続きを進めるためには、一貫して依頼できる体制がある弁護士を選ぶことが望ましいです。
まとめ
遺言書は、残された家族への「最後のメッセージ」であると同時に、相続トラブルを防ぐための法的手段でもあります。しかし、遺言書には法律上の要件が細かく定められており、わずかな不備で無効になるリスクもあります。だからこそ、専門知識をもった弁護士に相談・依頼することが、もっとも確実で安心な方法だといえるでしょう。
弁護士に依頼すれば、自筆証書遺言・公正証書遺言の違いをふまえたうえで、自分の希望や家族構成に合った形式を選べます。また、相続財産の調査や遺産分割の方針、遺留分の配慮など、複雑な点についてもトータルでサポートを受けられるため、自分の意思を正確に遺すことができます。
さらに、弁護士を遺言執行者に指定しておけば、死後の手続きもスムーズに進み、相続人間のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。費用はかかりますが、その分、安心と確実性、そして家族の平穏という大きな価値を得られるのです。
遺言書の作成は、人生の集大成ともいえる重要な選択です。だからこそ、迷いや不安を抱えたままにせず、早めに信頼できる弁護士に相談することをおすすめします。
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