【完全版】相続税を節税する対策15選!注意点も解説!
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そもそも相続税って何?税率はいくらかかる?
相続税とは被相続人が亡くなり、遺産を相続人が取得した場合、その法定相続分に応じた取得金額へ課される税金を指します。
相続税は一律にかかるわけではなく、取得金額に応じて税額が決定されます。下表をご覧ください。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ‐ |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
例えば取得金額が2,500万円の場合、相続人に課せられる相続税の総額は次の通りです。
(2,500万円×15%)-50万円=325万円
相続税の総額は325万円となります。
相続税は義務?免除の方法はある?
相続人が遺産を取得した場合、相続税を納付しなければいけません(相続税法第1条)。
ただし、被相続人の遺産を取得すれば必ず相続税が発生するわけではなく、一定の取得金額に達したときに課税対象となります。
また、相続開始時にはいろいろな特例が用意されており、一定の条件へ合致すれば相続税の軽減・免除が可能です。その他、被相続人が生前の内に取り組める節税方法もあります。
相続税を節税する方法15選!
ここでは相続時に活用できる節税方法、被相続人が生きているうちに行える合わせて15の節税方法を解説します。
節税方法 | 内容 |
相続時の方法 | 相続税基礎控除配偶者控除(配偶者の税額の軽減)贈与税額控除未成年者控除障害者控除相次相続控除外国税額控除小規模宅地等の特例死亡退職金の非課税枠葬儀費用 |
被相続人が生前に取り組む方法 | 生前贈与生命保険に加入墓地・仏具の生前購入養子縁組不動産の利活用 |
節税対策1:相続税基礎控除
相続税には基礎控除が設けられています。まずは基礎控除を差し引いて、基礎控除を超える課税遺産総額となるか確認しましょう。
課税遺産総額は「課税価格の合計額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」で計算します。
例えば課税価格の合計額が4,800万円で、法定相続人が配偶者・子2人の計3人だった場合は、
4,800万円-(3,000万円+600万円×3人)=0円
課税価格の合計額が基礎控除を超えなかったため、相続税の申告・納税は不要です。
節税対策2:配偶者控除(配偶者の税額の軽減)
被相続人に配偶者(事実婚のパートナーを除く)がいる場合、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額が控除されます。
ただし、配偶者は相続が発生したら自動的に本控除を受けられるわけではなく、次の条件が必要です。
・相続税の申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割を完了
・相続税申告書を税務署に提出
遺産分割がまとまらない場合は、相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すれば3年間の猶予を得ることができます。
また、本控除を利用するには課税価格の合計額を基礎控除から差し引き、たとえ課税遺産総額が0円でも相続税申告書を提出しなければいけません。
節税対策3:贈与税額控除
相続開始の3年以内に被相続人が相続人へ贈与した財産は課税対象となります。しかし、相続人が既に贈与税を納めていた場合、その贈与税分が相続税から控除されます。
節税対策4:未成年者控除
法定相続人が未成年者である場合に適用される控除です。控除額は次の2通りに分かれます。
・2022年4月1日~:(18歳-相続発生時の年齢)×10万円
・2022年3月31日まで:(20歳-相続発生時の年齢)×10万円
なお、未成年なら無条件で認められるわけではなく、遺産を取得したとき日本国内に住所のある法定相続人が対象です。
節税対策5:障害者控除
法定相続人がハンディキャップのある人の場合に適用される控除です。控除額は次の2種類です。
・一般障害者(特別障害者以外):(85歳-相続発生時の年齢)×10万円
・特別障害者(重度の知的障害者等):(85歳-相続発生時の年齢)×20万円
ただし、ハンディキャップのある人なら無条件で認められるわけではなく、遺産を取得したとき日本国内に住所のある法定相続人が対象です。
節税対策6:相次相続控除
相次相続控除は一次相続(1回目)から一定期間内に二次相続(2回目)が発生したとき、相続税額から一定の金額を控除する特例です。
計算方法は次の通りです。
A×{C/(B-A)[求めた割合が100/100を超える場合、100/100とする]}×(D/C)
×{(10-E)/10}=各相続人の相次相続控除額
・A:二次相続の被相続人が一次相続の際に課せられた相続税額
・B:被相続人が一次相続時に取得した純資産価額(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務・葬式費用の金額)
・C:二次相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した全ての人の純資産価額の合計額
・D:二次相続時の相続人の純資産価額
・E:一次相続から二次相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)
本控除は単に相続が連続すれば適用されるわけではなく、一次相続から10年以内に限定されます。
節税対策7:外国税額控除
海外の資産へ日本の相続税に当たる税金を納めていた場合、控除対象となる制度です。
計算方法は、「その年分の所得税額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)」となります。あくまで控除の範囲は国外所得の割合に限定されます。
節税対策8:小規模宅地等の特例
被相続人や生計を一にしていた親族の居住用・事業用の不動産資産である場合、一定の要件に合致すれば、宅地等評価額の50%~80%まで減額可能です。
ただし、本特例でたとえ課税遺産総額が基礎控除額以下となっても、期限内に相続税申告をする必要があります。
節税対策9:死亡退職金の非課税枠
被相続人が事業所に勤務していて、勤務先から死亡退職金が下りた場合、遺族は死亡退職金の非課税枠を利用できます。この非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。
課税価格の合計額から非課税枠を差し引けば相続税の軽減が可能です。ただし、被相続人の死亡後3年以内に支給の確定した死亡退職金が対象となります。
死亡退職金の受け取りが死亡してから3年を経過していた場合、所得税が課されるので注意しましょう。
節税対策10:葬儀費用
被相続人やお葬式にかかる費用も遺産総額から差し引けます。その分、課税価格の合計額を減らせて相続税の軽減が可能です。
ただし、相続税の負担を避けるため、数千万円〜数億円にも上る高額な葬儀費用をかけた場合、税務署から指摘を受け、遺産総額からの差し引きが認められないケースもあります。
節税対策11:生前贈与
被相続人が生前に行う節税対策です。毎年、贈与したい人(受贈者)1人につき110万円を超えない範囲で贈与(暦年贈与)を続ければ、基本的に贈与税は非課税となります。
例えば配偶者・子供3人の計4人に贈与する場合、毎年440万円ずつ(1人につき110万円)贈与すれば、受贈者に贈与税を課すことなく、被相続人の財産を減らしていけます。
生前に被相続人の財産を減らせていけば、その分だけ相続人の負担となる相続税を軽減できます。
節税対策12:生命保険に加入
被相続人が加入した生命保険でも節税は可能です。例えば終身保険(死亡保険)の場合なら、終身払いという一生涯保険料を払い続ける方法があります。
この方法で保険料を払い続けていけば、一生涯にわたり被相続人の金融資産を減らせます。
また、死亡保険金が下りた場合、その保険金の非課税枠を利用できます。この非課税枠は「500万円×法定相続人の数」です。相続人が課税価格の合計額から非課税枠を差し引けば、更に相続税の軽減が可能です。
節税対策13:墓地・仏具の生前購入
被相続人が生前に墓地や墓石、仏具等を購入する方法も、財産を有効に減らす方法といえます。
特に先祖代々にわたるお墓が無い、自分の趣向に合った仏壇を購入したいという被相続人は、元気なうちから、亡くなった後の埋葬・供養に関して準備をしていた方が良いでしょう。
この方法なら相続人が負担する供養に関しての費用や相続税も軽減されます。
節税対策14:養子縁組
被相続人が養子縁組をすれば、法定相続人はその分増えるので相続税の基礎控除額等が増加します。ただし、何人でも養子として良いわけではなく、次のような制約があります。
・被相続人に実子がいる場合:養子のうち1人まで法定相続人に含められる
・被相続人に実子がいない場合:養子のうち2人まで法定相続人に含められる
ただし、税務署から明らかに相続税対策のみを目的とした養子縁組とみなされた場合、法定相続人にカウントできない可能性もあるので注意しましょう。
節税対策15:不動産の利活用
被相続人が複数の不動産資産を持っている場合、不動産会社に売却して現金化、その分を生前贈与という形で受贈者へ贈与すれば、相続財産を減らせます。
また、先祖代々から受け継いだ土地を売却したくないなら、所有している土地にアパート・マンションを建て、節税につなげる方法も良いでしょう。
土地は「貸家建付地」となり借地権割合に借家権割合を乗じた金額分が差し引けます。また、建築した建物は貸家に当たるので、相続税の評価額は借家権(一律30%)を差し引いて計算できます。
更に建築した際の借入金額は、被相続人の債務として遺産総額から控除が可能です。
相続税を節税する上での注意点
いくら相続税を節税したくても、遺産を不正に隠匿したり、遺産額を偽り相続税申告が行われたりした場合は、税務署から重いペナルティ(例:10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、これらの併科、重加算税等)を受けるおそれもあります。
あくまで特例の適用や適切な生前贈与等を行い、合法的な節税方法に努めなければいけません。
なお、特に所有している土地にアパート・マンションを建て、節税へつなげる方法をとった場合、賃借人がつかず空室ばかり目立ってしまう事態が想定されます。
結果的にプラスの財産より負債が多くなる結果になるかもしれません。負債があまりに多くなれば、相続人に十分な遺産を残せなくなるので注意が必要です。
相続税の節税に関する相談先はこちら
相続税の節税でアドバイスを受けたい時は、税の専門家である「税理士」に相談してみましょう。税理士は相続税に深い知識を有しており、有益なアドバイスが得られるはずです。
また、事前に相続全般の知識を有する「相続診断士」へ相談するのも有効です。相続診断士は士業専門家への橋渡しを担っており、相談者の事情に合った税理士を紹介してくれることでしょう。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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