相続登記申請書の書き方とは?必要書類の綴じる順番も説明します!
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そもそも相続登記って何?義務化はいつから?
相続登記とは不動産の所有者である被相続人が亡くなった時、不動産名義人を相続人へ変更する手続きです。この手続きを行うことで土地や建物の所有権を移転させる事が出来ます。
現在、相続登記の手続きは任意ですが、2024年4月1日以降は相続登記が義務化されます。期限としては、相続で不動産を引き継いだ人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をする必要があります。
2024年4月1日以降に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料を科せられるおそれがあるので注意しましょう。また、相続登記の義務化は2024年3月31日以前の過去の相続にも適用され、この場合は施行される2024年4月1日から3年以内に手続きが必要です。
相続登記の申請書の書き方とは?相続登記申請書の入手方法や必要事項を解説!
相続登記を申請する場合、所定の用紙に必要事項を記入し法務局へ提出します。ここでは相続登記申請書の入手方法と、申請書に記入する内容を解説します。
相続登記申請書の入手方法
相続登記の申請には「所有権移転登記申請書」へ必要事項を記入します。この申請書は相続による不動産名義人の変更の際に必要な書類で、相続の発生日、どんな不動産(土地・建物)を引き継いだのかについて法務局へ報告する役割を担います。
申請書は最寄りの法務局窓口で取得でき、インターネット環境が整っていれば法務局のホームページからダウンロードできます。
所有権移転登記申請書に漏れなく記入し、必要書類が準備できたら、不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。
「法務局ホームページ 不動産登記の申請書様式について」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
申請書に記入する内容
所有権移転登記申請書は次のような書類となります。
書類を上の方から説明していくと、次の内容となります。
1.登記の目的:登記を行う目的を記入
2.原因:被相続人が亡くなった日付を記入
3.相続人・被相続人氏名:括弧内は被相続人の氏名を、その下に相続人の氏名・住所・電話番号を記入
4.添付情報:登記原因証明情報、住所証明情報を記入
5.登記識別情報の通知希望の有無を記入
6.移転登記申請日と管理法務局:申請書を提出する日付、管轄法務局を記入
7.課税価格・登録免許税を記入
8.不動産の表示:相続した土地・建物の情報を記入
なお、管轄法務局がわからなければ法務局のホームページから検索できます。また、記入後は余白または印紙貼付用台紙に登録免許税分の収入印紙を貼付します。
相続登記の申請書のシチュエーションごとのサンプルをお見せします!
申請書用紙は手書きで記入して構いませんが、パソコンで入力することもできます。法務局のホームページからダウンロードする場合、様式を一太郎・Word・PDFから選べます。ここでは、各シチュエーションの記載例を紹介しましょう。
相続人氏名等の書き方
相続人・被相続人氏名の項目には、括弧内に被相続人の氏名、その下に相続人の氏名・住所・電話番号・印鑑(認印でも可)を記入・押印します。こちらは相続の内容によって書き方が異なります。
(1)不動産の相続人が1人の場合
(2)不動産の相続人が2人以上の場合
不動産を共有して相続する場合、共有相続人全員の持分割合(サンプルでは持分それぞれ1/2ずつと想定)・氏名・住所・印鑑を記入・押印します。なお、電話番号は平日の日中に法務局からの連絡を受けることができるのであれば、携帯電話の番号を記入しても差し支えありません。
課税価格・登録免許税の書き方
価格・税額を記入する場合、固定資産評価証明書または固定資産税課税明細書に記載されている金額をそのまま明記するわけではありません。
・課税価格:固定資産評価額から1,000円未満を切り捨てた金額
・登記免許税:「課税価格×0.4%」から100円未満を切り捨てた金額
固定資産評価額は固定資産評価証明書や固定資産税課税明細書に記載があり、例えば評価額が45,910,169円の場合、課税価格には45,910,000円と記載します。
一方、登記免許税の場合は課税価格が45,910,169円ならば「45,900,000円×0.4%=183,640円」です。100円未満を切り捨てるので登録免許税は183,600円となります。
申請書には次のように記入します。
不動産の表示の書き方
登記事項証明書を参考に記入していきます。この登記事項証明書は法務局で取得し、申請書に次の事項を記入しましょう。
・土地:不動産番号(任意)・所在・地番・地目・地積
・建物:不動産番号(任意)・所在・家屋番号・種類・構造・床面積
申請書には次のように記入します。
相続登記申請書に添付するべき必要書類は?
法務局へ申請する際は、申請書に加え次の書類を添付します。
①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(改製原戸籍、除籍謄本):被相続人の本籍地の市区町村役場で取得、手数料1通450円~750円
②被相続人の住民票の除票:被相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円(市区町村によって手数料が変わります)
③相続人全員の現在の戸籍謄本:各相続人の本籍地の市区町村役場で取得、手数料1通450円
④不動産を相続した人の住民票:相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円(市区町村によって手数料が変わります)
⑤固定資産評価証明書:不動産の所在地の市区町村役場(23区は都税事務所)で取得、手数料1通300円(市区町村によって手数料が変わります)
⑥収入印紙:郵便局・法務局等で取得
⑦委任状:代理申請する場合
遺産分割協議書がある場合は、上記に加えて下記が必要になります。
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑登録証明書:各相続人の住所地の市区町村役場で取得、手数料1通200円(市区町村によって手数料が変わります)
また、遺言がある場合は、上記の②④⑤⑥⑦に加えて下記が必要になります。
・遺言書
・被相続人の死亡の記載のある戸籍
・不動産相続する人の戸籍
相続登記の申請に関する書類の綴じ方とは?
登記申請書に漏れなく記入し必要書類も準備したら、最後に書類を綴じます。次の順番で並べます
1.登記申請書・収入印紙貼付台紙
2.代理申請する場合:委任状・証明書類の返却を受けたい場合:相続関係説明図
3.添付書類(コピー・原本)
綴じる手順は、まず登記申請書・収入印紙貼付台紙を重ねてホチキスで綴じ、書類の見開き部分に契印を押印します。
なお、委任状や相続関係説明図を用意している場合は、登記申請書・収入印紙貼付台紙の下に重ねます。委任状・相続関係説明図はホチキスで綴じないで、契印もしません。
次いで、証明書類のコピーをホチキスで綴じ、ページ毎に契印をします。一番上の書類に写しは、原本と相違ない旨を記載します。
最後に全て書類をまとめてホチキスで一つに綴じます。大型のホチキスを使用した方が綴じやすいでしょう。戸籍謄本をはじめコピーをとった提出書類の原本は、ホチキスでは綴じずクリップでまとめ、クリアファイルに入れて提出します。
相続登記申請の手順とは!添付書類を返してもらう方法も解説!
登記申請は窓口申請の他いろいろな方法があります。ここでは各申請方法と、提出する添付書類を返してもらう方法について解説します。
相続登記申請の方法
申請方法は窓口申請、郵送申請、オンライン申請の3つがあります。それぞれの流れを解説します。
(1)窓口申請
1.申請書作成・必要書類の取集
2.不動産の住所地を管轄する法務局へ提出:業務取扱時間は平日8時30分~17時15分
3.法務局で審査:登記には1週間~10日くらいを要する
4.登記が済んだ場合、法務局から登記識別情報の通知・登記完了証が受け取れる
(2)郵送申請
1.申請書作成・必要書類の取集
2.不動産の住所地を管轄する法務局へ郵送:封筒表面に「不動産登記申請書在中」と記載し書留郵便またはレターパックプラスで送付
3.到着後に法務局で審査:登記には1週間~10日くらいを要する
4.登記が済んだ場合、法務局から登記識別情報の通知・登記完了証が受け取れる
登記完了時、還付を希望する書類や登記完了証がある場合、郵送で返却等を望むなら、宛名を記載したレターパックプラスを同封しましょう。
(3)オンライン申請
1.事前準備:申請者情報の登録・申請用総合ソフトのインストールを行う
2.申請書作成・必要書類の取集
3.申請情報へ電子署名付与
4.申請情報送信
5.登録免許税納付
6.書面で作成された添付情報を、オンライン申請の受付日から2日以内(初日・休日等を除く)に、登記所に持参か書留郵便等で送付
7.到着後に法務局で審査:登記には1週間~10日くらいを要する
8.登記が済んだ場合、法務局から登記識別情報の通知・登記完了証が受け取れる
以上の通りオンライン申請は可能ですが、全てのプロセスをオンラインで完結はできないので注意が必要です。オンライン申請については法務局ホームページで詳細な案内が掲載されています。
「法務局ホームページ 不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudosan_online03.html
なお、窓口、郵送、オンライン申請どの手段でも登記完了時に還付を希望する書類や登記完了証がある場合、郵送で返却等を望むなら、宛名を記載したレターパックプラスを同封しましょう。窓口に受け取りにいくことも可能です。
添付書類を返してもらう方法
申請手続きの際に原本の返却を受けられる書類は、戸籍謄本、固定資産税評価証明書、印鑑登録証明書等があります。これらは返却してもらうためにコピーをとります。
ただし、戸籍謄本等は相続人・被相続人の分が必要なので枚数も多く、すべてをコピーして提出するのは手間がかかります。そこで、相続関係説明図を持参すれば、その提出をもって原本の返却を受けられます。相続関係説明図は被相続人と相続人との関係を示した家系図のような書類です。
相続登記の申請や相続関係説明図の作成に不明点・疑問点があれば、司法書士または弁護士に相談をしましょう。
相談者へ的確な助言を行い、スムーズに相続手続きが進むよう協力してくれるはずです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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この記事を監修したのは…
saku-RA司法書士/代表司法書士
佐久原 綾子(さくはら あやこ)
商業専門事務所、相続専門事務所、不動産専門事務所を経験し、
令和4年10月にミカン下北にてsaku-RA司法書士を開業。
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