相続登記の登録免許税とは?納税・計算・免除の3つのポイントをわかりやすく解説!
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相続登記の登録免許税とは?どのようなケースでかかる税金なのか解説!
登録免許税とは、不動産の登記の際に必ずかかる税金であり、家屋や土地などの不動産を相続し、名義変更する場合、法務局で登記申請の手続きをおこなう必要があります。
登録免許税は、登録免許税法に基づき、登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課せられる国税です。
登録免許税の課税標準は、不動産の価額とされており、その税率は以下の内容から2通りの税率が定められています。
- 相続又は法人の合併による移転の登記、共有物の分割による移転登記の場合には、0.4%の税率
- 不動産の売買や贈与等を原因とする移転登記の場合には、2%の税率
不動産を登記する際に登録免許税を納付する必要がありますが、以下の内容である場合には登録免許税は免除されます。
なおこの免税措置については、後ほど詳しく解説します。
- 相続により土地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合
- 価額が100万円以下の土地について相続登記を申請した場合
相続登記の登録免許税はいつ・どこで誰が支払う?
相続登記による登録免許税は不動産登記をする際に所得税や法人税などのように、納付期限があります。ただし、その期限までに納付するのではなく、申告書に登録免許税相当額の印紙を貼り付けて提出する必要があるので納付期限とは申告書の提出日といえます。
登録免許税の納税額は上述したように、固定資産評価証明書に記載された不動産の評価額を基準とするため、その証明書が発行された年度内に納付する必要があります。
登録免許税の納税者は、不動産を相続により取得した人になります。
登録免許税を課されるのは相続登記を行う時のみになるため、相続登記の際には必ず登録免許税を納付する必要があります。
また、家を新築し所有権保存登記を行う際や住宅ローンにより抵当権の設定、抹消登記を行う際にも納付する必要があります。
相続登録免許税の納税方法とは?必要書類とともに解説!
ここでは相続により取得した不動産登記の一連の流れと必要書類を解説し、相続登録免許税の納税方法について解説します。
また、相続登記で登録免許税以外にかかる費用についても紹介します。
不動産登記の一連の流れ
① 不動産の必要情報を収集する
まず、相続により取得した不動産の地番や家屋番号を確認しておきます。
確認方法としては、固定資産納税通知書や登記簿謄本などで確認する事が出来ます。
② 戸籍関係書類を収集する
相続登記を行うにあたり、戸籍関係書類を集める必要がありますが、こちらに一番苦労する場合が多いです。
理由としては、戸籍に関する法律は度々改正が行われており、法律の改正にあわせて形式や内容が変化しているからです。
必要な戸籍関係書類としては、亡くなった人の戸籍や相続人全員の戸籍などをそれぞれ住んでいる市役所で取得する必要があります。
なお、亡くなった人の戸籍関係書類については、出生から死亡までの戸籍を取得する必要があります。
③固定資産税の評価証明を取得する
相続登記を行う場合には、登録免許税を法務局へ納付する必要があります。
登録免許税は、土地や建物などの不動産の価格をもとに計算するため、これらの不動産の価格を確認するために固定資産評価証明書を不動産が所在している市役所などで取得する必要があります。
④相続登記に必要な書類の作成
相続関係を一枚の書面にまとめた相続関係説明図を作成し、登記申請書に添付します。
その他に、亡くなった被相続人が遺言書を残していない場合には、相続人全員で相続財産の分配方法を決定した遺産分割協議書が必要になります。
⑤登記申請書類の準備
登記申請書類の原本を返してもらうためには提出するための準備が必要になります。
戸籍関係書類は、相続関係説明図を提出することで原本を返してもらえますが、その他の書類については一定の準備をしないと原本を返してもらえません。
相続関係説明図を提出することで原本を返してもらえる書類は以下の通りです。
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の出生までのすべての除籍・改製原戸籍
- 相続人全員の戸籍謄本
準備をすることで原本を返してもらえる書類については以下の通りです。
原本還付とは、原本の他に下記書類の写しを併せて窓口へ提出することにより、原本を返してもらえる制度のことをいいます。
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 印鑑証明書
- 不動産を取得する人の住民票または戸籍の附票
- 不動産の固定資産評価証明書または納税通知書
⑥法務局へ登記申請する
上記①から⑤の一連の流れが全て完了したら最後に法務局へ登記申請の手続きを行います。
登記申請手続きとしては以下の3つが挙げられるので、いずれか好きな方法を選択します。
- 法務局の窓口で申請する方法
- 郵送で申請する方法
- インターネットで申請する方法
インターネットで申請する場合には、PCの設定や電子証明書を取得するといった手続きも別途必要になってきます。
相続登録免許税の納税方法
登録免許税とは、相続した財産の所有権を登記する際にかかる税金のことを言います。
登録免許税は以下の方法により、納税する事が可能です。
- 現金で納付する方法
- インターネットより電子納付する方法
- 収入印紙で納付する方法
原則として現金により納付することになりますが、インターネットより電子納付することや収入印紙で納付することも可能です。
納付先は金融機関で行うことになります。
収入印紙で納付が可能なのは、登録免許税額が30,000円以下の場合です。収入印紙は、法務局や郵便局で購入できます。
相続登記で登録免許税以外にかかる費用
相続登記では登録免許税の他に以下に掲げる費用もかかってきます。
- 相続登記を司法書士へ依頼する場合の司法書士手数料
こちらは、件数にもよりますが5万円から10万円となります。
- 戸籍関係書類や住民票などといった必要書類の取得費用
戸籍関係書類の取得費用は、戸籍謄本であれば450円、住民票であれば1通300円ほどになります。
- 遺産分割協議書や遺言書などといった書類の作成費用
遺言書の作成費用であれば20万円から30万円程度の作成費用がかかります。
相続登記の際には上記内容の費用がかかることも理解しておく必要があります。
登録免許税の免除の対象となる場合とは?減免条件を解説
平成30年度の税制改正によって、相続による不動産の登記により発生する登録免許税について、以下2つの免税措置が設けられました。
① 相続により⼟地を取得した人が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置
例えば、土地を所有している父が亡くなり、相続人である母と子が土地を取得する前に、母も亡くなってしまった場合、母へ移転登記しようとしていた土地については亡くなった相続人名義になる部分なので、当該部分についての登録免許税は免税措置が適用されます。
②不動産の価額が100万円以下の土地に係る登録免許税の免税措置
相続により取得する不動産について、その価額が100万円以下である場合には、令和7年3月31日までは、登録免許税は免税措置が適用されます。
免税措置は、平成30年4月1日から令和7年3月31日までに申請する登記です。亡くなった方の日が期間内にある必要はなく、申請する日が期間内であれば免税されます。
登録免許税の免税を受ける方法
以上の免税措置を受けるためには、免税措置の根拠となる法令の条項を申請書に記載する必要があります。
登録申請書の登録免許税を記載する箇所に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
この記載以外に手続きする必要はありません。
登録免許税の金額の計算方法を説明
登録免許税は登記にあたり、不動産を取得する人が国に納める税金になります。
登録免許税の計算式は以下の通りです。
- 不動産の固定資産税評価額×税率=登録免許税
固定資産税評価額は、固定資産課税台帳に記載されています。固定資産税評価額を知りたい場合には、固定資産証明書を確認します。
固定資産証明書は固定資産課税台帳の固定資産評価額を転記し、市区町村がその年の固定資産税評価額を証明したものなので、確認することが可能です。
税率に関しては、土地や建物を相続による所有権移転登記をした場合にかかる税率は、0.4%になります。
よって、固定資産税評価額2,000万円の不動産を相続により移転登記した場合、かかる登録免許税は、2,000万円×0.4%=8万円になります。
法定相続人以外の相続の場合は、税率は2.0%になります。
登録免許税の金額を計算する際に注意が必要なのは端数の処理です。登録免許税の金額の計算の流れを解説します。
まず、固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨てます。もし、複数の不動産の登記申請を行う場合は、合算した固定資産税評価額の1,000円を切り捨てます。
その後、税率を掛けます。税率を掛けた後に100円未満を切り捨てた額が登録免許税の金額になります。
いつの固定資産税評価額を使う?
登録免許税の金額を計算する際に用いる固定資産税評価額は、登記を申請する日が属する年度のものを使用します。
年ではなく年度で区切るため、注意が必要です。
相続登記は2024年に義務化される!内容を詳しく解説!
相続登記は、2024年4月1日より義務化されます。こちらでは、相続登記の義務化に関して詳しく解説します。
相続登記が義務化されることにより、不動産を相続した相続人は、不動産の所有権を所得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をする必要があります。
また、遺産分割の協議がまとまった際は、不動産を相続した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記の申請も義務化されました。
もし、正当な理由なく申請をしなかった場合は、10万円以下の過料を課せられる対象となります。
登録免許税の納付や計算時に注意すべき点とは?
登録免許税の納付の際や登録免許税額を計算する際に注意すべき点について解説します。
1.建物が未登記の場合はすぐに相続登記することはできない
相続した建物が古い場合、建物表題登記をしていない場合が多いです。登記していない場合は、最初に建物表題登記の手続きを行う必要があります。
2.登録免許税額の計算時の切り捨てに注意する
相続登記の「課税価格」は、土地や建物の評価額の合計から1000円未満を切り捨てた額となります。
また、算出した登録免許税額は100円未満を切り捨てた額となります。そのため計算時は、注意が必要です。
3.登録免許税の収入印紙は割印や消印しない
収入印紙は、登録申請書の余白か別紙に貼り付ける必要があります。その際、割印や消印はしないでください。
相続登記の登録免許税について困ったときの相談先は?
相続が発生した際に依頼する相談先としてはさまざまな相談先が考えられます。相続争いの解決などであれば相談先は弁護士になります。そのほか登記関係であれば司法書士になります。相続税の申告であれば税理士になります。
相続税の申告はさまざまな特例もあるため、自分で計算するよりも専門家である税理士へ依頼した方が手間や労力がかからず節税になることも考えられます。
また、相続発生時に相談先をどこに決めればいいのか、何をすべきなのかといった状況であれば、相続診断士を利用することもおすすめです。
相続診断士は、さまざまな士業の中でそもそもどの士業へ相続すべきなのかわからない人に対して、その相談先を教えてくれたりと、右も左もわからない人にとって、とても頼りになる存在になります。
相続が発生した場合に、困ったら相続診断士へ相談することもおすすめです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表 株式会社ミラシアコンサルティング 代表取締役
元木 翼(もとき つばさ)
◦千葉商科大学 特別講師
◦一般社団法人OSDよりそいネットワーク 理事
◦日本弔い委任協会 理事
◦生前対策実務家倶楽部ミラシア 代表
相続、遺言、後見、家族信託などが専門。終活・相続関連の相談実績は累計1,000件を超える。豊富な経験・事例を基に、“オーダーメイド”の終活・相続対策サービスを展開している。
【保有資格】
司法書士・行政書士・宅地建物取引士・AFP
【メディア実績】
フジテレビ「とくダネ!」、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、毎日新聞、夕刊フジ、週刊朝日、サンデー毎日他多数
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