株式の相続税評価額の計算方法|相続時の注意点や節税方法も解説!

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遺産相続

株式はどのように相続する?流れをチェック!

相続人が上場株式を所有している場合、相続により当該株式を取得する際の流れについて解説します。

なお、株式の場合も他の現預金などの相続財産であっても以下の流れは大きく違いはありません。

①株式を所有しているかどうかを確認

まずは被相続人が株式を所有していたかを確認します。

確認方法としては、証券会社に残高証明書などを発行してもらい確認する必要があります。

②遺言書の有無について確認

被相続人が株式を所有していた場合には、遺言書に誰が何の株式を相続するかの記載があるかどうかを確認します。

③相続権が誰にあるのかを確認

配偶者、子供、親、兄弟など誰に相続権があるのかを確認する必要があります。

この確認は戸籍謄本で確認することができます。

④相続放棄をするかどうかの確認

相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てをした場合には、相続財産を放棄することが可能です。

相続人のうち、相続を放棄する人がいるかどうかを確認する必要があります。

⑤遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合には、遺産分割協議書を作成することにより、誰にどの財産が相続されるのかを確定します。

遺産分割協議書は相続人全員の合意が必要となるため、相続人全員の実印を押印する必要があります。

1人でも遺産分割協議書に押印していない場合には、遺産分割協議は確定しないので、その場合には家庭裁判所へ「遺産分割調停」の申し立てをする必要があります。

⑥名義変更を完了させる

遺言書がある場合は遺言書に基づき、遺言書がない場合には遺産分割協議書に基づき、株式の名義変更を行う必要があります。

名義変更の場合には、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明なども必要になってきます。

以上が株式を相続する場合の流れとなります。

株式の相続に必要な書類とは?

相続により株式を取得する場合に必要な書類は以下の通りです。

必ず必要な書類

・証券会社指定の相続届出書

・相続人名義の証券口座振替申請書

遺言書がある場合に必要な書類

・遺言書

・検認済証明書(自筆・秘密証書遺言の場合)

・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本

遺言書がない場合に必要な書類

・遺産分割協議書(原本)

・被相続人の出生から死亡までが確認できる戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書

上場株式と非上場株式の相続税評価方法とは?

株式には上場株式と非上場株式の2種類があります。

相続により取得した場合、これらの株式はそれぞれ評価方法が異なってきます。

以下ではそれぞれの評価方法に関して解説していきます。

上場株式の相続税評価方法

上場株式を評価する場合には、以下4種類の市場価格があるため、下記のいずれかもっとも低いものを相続税計算時の1株あたりの株価として評価します。

・相続開始日の終値

・相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均額

・相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額

・相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均額

以上が原則的評価となります。

なお以下では例外的な場合の評価方法について紹介します。

①相続開始日が土日、祝日の場合

 証券取引所は原則として平日のみ稼働しています。

よって、市場は土曜・日曜・祝日・年末年始などは休みであるため、その日の終値を確認することができません。

 相続発生日が休日であり、上場株式を相続により取得した場合の上場株式の評価は、相続が始まった日に近い日の終値で判断します。

例えば、相続開始日が土曜の場合には、その前日の金曜の終値で株価を判断します。

また、日曜が相続開始日の場合には、株価を判断するのは翌日の月曜の終値となります。

②新株割り当てや配当金支払いがある場合

上場株式を所有する際に、新株割り当てや配当は、基準日にその株式を持っていなければ対象にはなりません。

株式の権利を得られなくなる日のことを権利落ち日といい、配当を貰える権利の日を配当落ち日と言います。

一般的に株式は購入日の3営業日後に受け渡されるため、基準日の前日と前々日に株式を購入しても、新株割り当てや配当の権利を取得することはできません。

相続により株式を取得した日が基準日にはない場合、株式の評価を正しく実施するのが困難になります。

その場合は特殊な方法を用いて株式を評価します。

例えば、課税時期が権利落ち等の日から株式の割り当て等の基準日までの間にある場合についてです。その場合は、課税時期が権利落ちまたは配当落ちの日から株式の割り当て、株式の無償交付又は配当金交付の基準日までの間にある場合の上場株式の価格は、その権利落ち等の日の前日以前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格により評価します。

非上場株式の相続税評価方法

非上場株式の発行会社の規模は、大きい会社は上場会社に匹敵するものから、小さい会社は個人企業と変わらないものまで様々であることから、その株式の価額は、評価しようとする株式の発行会社の規模に応じて、それぞれの会社に適用すべき評価方式を次のように定めて評価することとしています。

①上場会社に匹敵するような大会社の株式は、上場会社の株式の評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として、類似業種比準方式により評価します。

②個人企業とそれほど変わるところがない小会社の株式は、個人事業者の財産評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として、純資産価額方式により評価します。

③大会社と小会社との中間にある中会社の株式については、大会社の評価方式と小会社の評価方式との併用方式によって評価します。

以上のことから会社の規模ごとに上記方法で評価をしますが、この他にも特例的な評価方式である配当還元方式などの評価方法もあります。

上場株式と非上場株式の相続税評価額の計算方法を解説!

上述したように上場株式と非上場株式とでは評価方法が異なります。

ここでは、上場株式と非上場株式の相続税評価額の計算方法を解説します。

上場株式の相続税評価額の計算方法

被相続人が亡くなったのが8月15日で、株価が以下のとおりであったとします。

8月15日の最終価格 → 4,400円

8月の最終価格の平均額 → 4,600円

7月の最終価格の平均額 → 3,500円

6月の最終価格の平均額 → 4,100円

上記4つの価格のうち最も低い価格により、相続税評価額を評価することになります。

最も低い価格は3,500円なので、1株あたり3,500円で評価します。

株式を10,000株保有していた場合は3,500円×10,000株=35,000,000円が株式の相続税評価額となります。

 非上場株式の相続税評価額の計算方法

非上場株式の相続税評価額を算出するには、上場会社の株式とは異なり、取引相場がない為、会社の売上や資産など様々な項目を考慮し、評価する必要があります。

非上場株式を評価する場合には、以下の手順に沿って評価すべきです。

①株主の区分判定

株主の区分判定として、同族株主かどうかなどを判定します。

②会社規模の判定

従業員数や会社区分を判定する必要があります。

③特定の評価会社の判定

評価する会社の資産の保有状況や営業状態が著しく異なる会社があるため、これらの会社を特定の評価会社として一般的な会社とは区別し、その実態に応じた評価方法を判定します。

④評価方法の決定

以下4つのうち、どのような方法で評価するか検討します。

・類似業種比準価額方式

・純資産価額方式

・原則的評価方式

・配当還元方式

株式の相続税の節税対策をご紹介!

株式を相続する際、相続税の納税額を低く抑える節税対策を紹介します。

株式を生前贈与する

相続税評価額が少なければ相続税額も低く抑えることが出来ます。

そのためには、生前贈与で相続財産となる株式を無償で渡すことにより、相続税評価額となる相続財産を減らすことができ、相続税の節税に繋がります。

ただし生前贈与の場合、贈与税が発生することになるので、相続税の税率と比較しながらより納税額の少ない方法で株式の移転を検討することが必要です。

自社株の評価額を引き下げる

会社を事業承継する際、当該会社の株価が高いと相続税評価額も高くなります。

相続税評価額を引き下げるためには、自社株の評価額を引き下げる必要があります。

自社株の評価額を引き下げる方法としては、配当金の支払いを検討すること、合併など会社規模を変更することにより株式の相続税評価額を引き下げる方法などが挙げられます。

株式を相続するときの注意点

株式を相続する際にはいくつか注意点があります。

以下では注意すべき例を解説します。

被相続人の準確定申告を忘れない

相続が発生した場合には、相続人が被相続人に代わり確定申告を行う必要があります。

これを準確定申告といい、準確定申告の申告期限は相続開始を認識した日の翌日から起算して4ヶ月以内となります。

相続した株式の売却には所得税がかかる

相続した株式を売却した場合には、譲渡所得として所得税がかかるため、所得税の確定申告をする必要があります。

こちらの申告期限は、譲渡した年の翌年3月15日になります。

以上、株式を相続により取得した場合について解説してきました。

株式を相続により取得する場合にはさまざまな注意点があるので、今回の記事が参考になれば幸いです。

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