貸金庫の中身は相続税の対象となる!貸金庫の相続手続きやトラブルの対処法

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遺産相続

貸金庫の中身は相続税の対象となる?

貸金庫の中身によっては被相続人の相続財産となるので、正確に相続税を算定しなければいけません。

貸金庫に家族写真や賞状等のような物があった場合は、相続財産の対象外です。一方で現金、貴金属、証券等が保管されていれば、その分は相続財産に加えます。

また、デジタル資産(例:仮想通貨、電子マネー等)のID・パスワードが保管されていた場合、その資産額を確認したうえで、相続税の計算を行います。

貸金庫の種類は次の通りです。

  • 全自動:個室ブースで専用カードまたは暗証番号を使用し、貸金庫が自動でレールに乗って届く
  • 半自動:専用カード等で金庫室へ入室し貸金庫を利用する
  • 手動:銀行の担当者の立ち会いまたは手続きをして金庫室へ入庫し利用する

貸金庫の中身は税務署にばれる?申告しなかった場合の罰則は?

税務署の職員は、貸金庫がしばしば脱税に悪用されることを知っています。そのため、相続税の調査の際に貸金庫の有無は必ずチェックされるとみてよいでしょう。

税務職員には金融機関を調査する権限も有するので、被相続人が貸金庫を契約していたかどうかすぐに把握できます。

相続人が被相続人の貸金庫の存在を知らず、相続税の申告期限の経過後、貸金庫の相続財産を見つけた場合、修正申告を行う他、次のようなペナルティを課せられます。

  • 過少申告加算税:相続財産を見落としたときや、計算ミスで少なく申告したときに課せられ、原則として10%上乗せ(新たな納税額が当初の申告納税額か50万円いずれか多い金額を超えている:超過部分は15%)される
  • 延滞税:納税を期限内にしなかったとき課せられ、原則として年7.3%上乗せされる

ただし、税務署から調査通知を行う前に修正申告が完了した場合、過少申告加算税はかかりません。貸金庫で相続財産を見つけたら、速やかに相続税を計算し直して申告しましょう。

相続人が故人の貸金庫を開ける時の手続き方法を解説!

遺言書がない場合・ある場合によって、貸金庫を開ける方法は異なります。

遺言書がない場合

貸金庫の存在がわかったら、貸金庫のある銀行に相続人の代表または相続人全員が立ち会います。

遺言書が無い場合、相続人が貸金庫の鍵を持参する他、様々な書類を銀行の担当者に提出する必要があります。

  • 相続に関する依頼書:保管先の銀行所定の書類、相続人全員の署名・実印が必要
  • 出生時〜死亡時までの被相続人の戸籍謄本や除籍謄本:被相続人の本籍地の市区町村役場で取得、1通450〜750円
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書:住所地の市区町村役場で取得、1通200円
  • 遺産分割協議書または相続人全員が同意した旨を明示した書面
  • 貸金庫の鍵または専用カード

遺言書がある場合

被相続人の遺言書に遺言執行者が指定され、貸金庫の手続きの権限が付与されていれば、相続人全員の同意がなくても遺言執行者単独で実行できます。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現させるため、権利・義務を負う人です。

被相続人は家族の誰かを遺言執行者に指定しても良いですし、弁護士・司法書士・行政書士等の士業専門家や信託銀行を指定しても構いません。

遺言執行者が貸金庫を開ける場合、主に次の書類を提出します。

  • 相続に関する依頼書
  • 遺言書
  • 出生時〜死亡時までの被相続人の戸籍謄本や除籍謄本
  • 検認済証明書:公正証書遺言や遺言書情報証明書がある場合は不要
  • 貸金庫の鍵または専用カード
  • 遺言執行者の実印・印鑑登録証明書

貸金庫内に遺言書が保管されている場合の取り扱いについて

貸金庫内への遺言書の保管はできるだけ避けましょう。なぜなら、貸金庫に保管された遺言書の存在を、相続人が気付かないおそれもあるからです。

被相続人が貸金庫へ保管したい場合は、エンディングノートを作成し遺言書の存在・保管場所について明記しておきましょう。

相続人が貸金庫から遺言書を取り出したい場合、保管されている銀行へ次の書類を提出します。

  • 相続に関する依頼書:相続人全員の署名・実印が必要
  • 出生時〜死亡時までの被相続人の戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 相続人全員が同意した旨を明示した書面
  • 貸金庫の鍵または専用カード

被相続人が契約していた貸金庫を解約する方法!

被相続人の契約していた貸金庫を解約する場合、当該銀行へ主に次の書類を提出します。

  • 相続に関する依頼書:相続人全員の署名・実印が必要
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • 貸金庫の鍵または専用カード
  • その他:遺産分割協議書等

相続人と連絡が取れない場合の対処法を解説!

被相続人が遺言書で遺言執行者を指定し、貸金庫の手続きの権限を付与していたなら、遺言執行者が単独で貸金庫を開けられます。

ただし、それ以外の場合は被相続人の貸金庫を開ける際、銀行側から依頼書への相続人全員の署名・実印を求められる他、相続人全員の戸籍謄本等を要求されるケースがほとんどです。

また、銀行によって、相続人全員の同意により相続人の代表だけで貸金庫が開けられる場合もあれば、相続人全員の立ち合いを要求される場合もあります。

いずれにしても相続人全員の協力が必要となります。

もしも相続人の中に行方不明者がいるならば、次の方法で対処しましょう。

  • 住所や連絡先が不明→「戸籍の附票」から住民票上の住所を確認
  • 完全に行方不明の状態→家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任・権限外行為の許可の申し立てを行う
  • 生死もわからず7年が経過している→家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てる

戸籍の附票は本籍地の市区町村役所で取得でき、1通300円程度となります。

一方、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の申し立ては、原則として行方不明となった相続人の従来の住所地または居所地の家庭裁判所に行いましょう。

不在者財産管理人を選任すれば、行方不明となった相続人に代わり、その財産を保存・管理します。また、権限外行為の許可をえれば遺産分割協議の同意も可能です。

また、失踪宣告は、相続人の生死が7年間(震災等の場合は危難が去ってから1年間)明らかでないとき、当該人物は死亡したものとみなす制度です。

貸金庫の相続でよく起こる問題・トラブルの対処法

相続人全員の同意や、銀行に提出する書類をすべて揃えた場合でもまだ安心はできません。貸金庫を開ける鍵やカードを見つける必要があります。

被相続人の部屋や遺品を探しても見つからない場合、貸金庫が開けられないと相続手続きは停止してしまいます。

鍵やカードが見当たらなければ貸金庫を保有している銀行に、再作成・再発行を依頼しましょう。再作成・再発行の手数料は1万5,000〜3万円程が相場です。

被相続人が契約していた貸金庫を引き続き利用するための手続き

被相続人の貸金庫がある銀行に名義変更を申し込めば、引き続き利用できる可能性があります。

名義変更を希望するならば、主に次の書類の提出が必要です。

  • 貸金庫名義書換依頼書(相続)
  • 出生時〜死亡時までの被相続人の戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本または戸籍抄本
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
  • その他:遺言書、遺産分割協議書、貸金庫を引き継ぐ相続人を明かにする書面等

ただし、相続人が被相続人の貸金庫を引き続き利用できるかどうかは、各銀行の判断によります。

相続人が複数いる場合、銀行側からいったん被相続人の解約したうえで、貸金庫を利用したい相続人が新規に契約するよう要求されるケースもあります。

貸金庫を相続した際の注意点を知りたい

こちらでは貸金庫が関係する相続の注意点、被相続人に貸金庫があるときどこに相談すべきかを解説します。

相続税の申告期限に要注意

被相続人の遺産総額が多く、相続税がかかると判明したならば、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に申告・納付が必要です。

ただし、遺産分割協議後に貸金庫の存在がわかり、そこに多額の現金が見つかった場合、再び協議をしなければいけません。

申告期限内に何とか相続人全員の合意が得られるよう、迅速な対応が求められます。

そこで、被相続人の方でトラブル防止の対策をとっておきましょう。

相続人のために、あらかじめ遺言書やエンディングノートを利用し、貸金庫の存在と、そこに保管されている財産を明記しておいた方が良いです。

なお、遺言書で誰が引き継ぐのかを指定しておくことで、遺産分割で相続人が揉める事態も回避できます。

貸金庫への対応に困ったら、専門家に相談を

被相続人の貸金庫の存在が判明し、どう対応してよいかわからない場合は円満相続ラボに相談してみましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料でサポートします。

相続診断士は有資格者なので、貸金庫を開ける方法、解約や明記変更等について有益なアドバイスが期待できます。

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【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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