相続した実家に住むメリットとは?判断ポイントや手続きを解説!
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親が亡くなった場合実家に住むことはできる?
被相続人である親が亡くなった場合、所有していた不動産(土地・建物)も相続対象となります。
この場合、被相続人が事前に遺言書を作成しているなら、不動産を引き継いでもらいたい相続人が指定されているはずです。
また、遺言書が無くても相続人の間で遺産分割協議をして、誰が引き継ぐかを決める方法もあります。
遺言書もしくは遺産分割協議いずれの場合も、主に被相続人と同居していた相続人や、長男に引き継いでもらうケースが多いです。
実家を引き継いだ相続人はもちろん実家に住めます。ただし、2024年4月1日から相続登記が義務化されるので、忘れずに登記申請を行いましょう。
相続した実家に住むメリット・デメリットとは?
実家を引き継いだ相続人は、子供の頃の思い出が詰まった実家に住めて安心する反面、税金等がかかる点にも注意が必要です。
相続した実家に住むメリット
思い入れのある実家を手放したくないと考える相続人が引き継いだら、他の相続人も安心して管理を任せられるはずです。
被相続人と別居していた相続人が引き継いだ場合、これまで賃貸物件で生活していたならば、もう賃借料や管理費の負担を気にする必要はありません。
また、被相続人と同居していた相続人が実家を相続する場合は「小規模宅地等の特例」を利用し相続税を軽減できる可能性があります。
本特例は、被相続人が住居として使用していた土地(限度面積330㎡)等を相続する際に適用され、相続税を算出する際に当該土地の評価額を最大80%も減額可能です。
相続した実家に住むデメリット
実家を相続すれば、その所有者に対して固定資産税が課されます。固定資産税がどのくらいの金額になるかは、自宅へ送付される納税通知書・課税証明書等で確認が可能です。
また、子供の頃に住んでいた実家は、築年数が相当経ってしまっているはずです。ところどころ傷みも出てきて、定期的な修繕・リフォームが必要になるかもしれません。
外壁塗装、水回りの設備の交換等、ケースによっては高額なリフォーム費用が発生する可能性もあります。このような場合は、費用負担をよく考慮したうえで、実家に住むかどうかを検討しましょう。
相続した実家に住むか売るかを判断するポイント!
子供の頃の思い出が詰まった実家ですが、実際に住むか否かを決める際、次の内容を冷静に判断しましょう。
- 引き継いだ実家があまりに遠い
- 被相続人の遺産が実家しかなかった
思い入れのある実家を引き継いだとしても、現在住んでいる地域からかなり離れた場所にある場合は、通勤や通学に大きな影響が出るかもしれません。
実家に住むと相続人本人や家族の生活に支障が出そうな場合は、別の方法で実家を活用した方が無難です。
また、被相続人の遺産が実家しかなく、かつ複数の相続人がいるならば、公平な遺産分割ができない可能性もあります。
この場合は実家(土地・建物)を売却したお金で遺産分割した方が、公平に分けやすく、他の相続人からの不満も抑えられるはずです。
相続した実家に住まない場合の活用方法
実家を相続したものの、あまりに遠くて住み難いという場合は、次の2つの活用方法を検討してみましょう。
賃貸として活用する
実家に住むと自分や家族の通勤・通学に影響が出たり、金銭的な負担が大きくなったりするが、実家を手放すのに抵抗がある場合は、実家を賃貸物件として貸し出す方法もあります。
借主が見つかれば賃料も受け取ることができるので、実家を維持しつつ副収入が期待できます。まずは地元の不動産会社と相談し、借主を探してもらえるよう依頼してみましょう。
空き家バンク活用する
空き家バンクとは、空き家の賃貸・売却を希望する所有者と、空き家を利用・活用したい方々とを各市区町村が仲介する制度です。
地方自治体のサイトはもちろん、空き家を扱う賃貸情報サイトもあります。実家が田舎にあっても、田舎暮らしに憧れて借りたいと思う人や、子供たちを自然の豊かな土地で育てたい人が、借主に名乗り出るかもしれません。
空き家バンクの登録手続きは概ね次のように進められます。
- 市区町村役場の窓口に相談するか、市区町村役場のホームページで空き家バンク登録手続きの確認
- 空き家登録の条件をチェック
- 申請書等を取得:各市区町村のホームページからも取得可能
- 窓口へ必要書類提出:申請先の市区町村の必要書類を取集し、申請書と共に提出
- 窓口の書類受理
- 登録完了後、物件登録完了通知書が申請者宅へ送付される
相続した実家に住むための手続き方法を解説!
自分の住んでいる住居から実家へ引っ越す場合、異なる市区町村からの引越しなら転出届(現在の住所地の市区町村役場へ提出)・転入届(引越し先の市区町村役場へ提出)を行います。
また、同じ市区町村内での引越しなら、転居届を市区町村役場へ提出します。
ただし、それだけではなく2024年4月1日から相続登記が義務化されるので、忘れずに登記申請を行う必要があります。
相続登記の手順
被相続人の実家を引き継いだ相続人は、実家の所在地を管轄する法務局で、不動産の名義変更(登記)の手続きを行います。
相続登記を申請後、手続きが完了するまで数週間〜2か月くらいかかる可能性があります。
手続きが完了すると、法務局から登記完了証・ 登記識別情報通知書が交付されます。不動産の所有権が明記された重要な書類なので、大切に保管しましょう。
相続登記の必要書類
相続登記で必要となる主な書類は次の通りです。
相続登記の申請で必要となる書類等 | 内容 |
登記申請書 | 法務局窓口またはホームページからダウンロードして取得可能。 |
被相続人の戸籍謄本または除籍謄本 | 本籍地の市区町村役場で取得。出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本の収集が必要。 ・戸籍謄本:1通450円 ・除籍謄本:1通750円 |
被相続人の住所に関する書類 | いずれかの書類を取集。 ・住民票の写し:1通200円〜300円、住所地を管轄する市区町村役場で取得 ・住民票の除票の写し:1通300円、住所地を管轄する市区町村役場で取得 ・戸籍の附票の写し:1通300円、本籍地を管轄する市区町村役場で取得 |
相続人の住所に関する書類 | 住民票の写しを、自分の住所地を管轄する市区町村役場から取得。 |
登記簿謄本(登記事項証明書) | 被相続人の不動産情報を記入するため、法務局から1通600円で取得。 |
固定資産税評価証明書 | 登録免許税を計算する際に必要。不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得。 |
登録免許税 | 土地・建物を相続する場合、ともに登録免許税は固定資産税評価額の0.4%分を納税。 |
その他 | (1)遺言書 被相続人の遺言に従い実家を引き継ぐときに必要。 (2)遺産分割協議書 遺産分割で実家を引き継いだ場合に必要。 協議書には、相続人全員が印鑑登録証明書と同じ印(実印)を押し、その印鑑登録証明書を各1通添付する。 ※印鑑登録証明書:それぞれの住所地を管轄する市区町村役場で取得(1通300円)。 |
相続した実家に住む際のメンタル面の準備やコツをご紹介
相続した実家に住む場合、懐かしい思い出に浸れる反面、メンタル的な面でやや抵抗を感じてしまうケースがあるかもしれません。心の準備も必要となる場合があります。
例えば、被相続人が寝室で亡くなっていた、または病院で亡くなったものの、実家に戻って遺体を寝室に寝かせ、お通夜をしたというケースもあるでしょう。
このようなケースならば、被相続人の寝室だった部屋の利用に抵抗を感じてしまうのは、やむを得ない感情です。
そんな時は次のように工夫してみるのも良い方法です。
- 被相続人の寝室に仏壇を置き、家族みんなが手を合わせる場所にする
- しばらくの間、被相続人の生活していた時のまま保存する
実家を引き継いだ相続人は、自分なりに落ち着いて住める方法を検討してみましょう。
必見!相続した実家の改修やリノベーションをする場合のポイント!
実家が古い建物のため、このまま住み続けると危険だったり、実家を相続した人が住みやすいようにリノベーションする場合は、多額の費用がかかるおそれもあります。
この場合は公的な機関等が実施している補助金・助成金制度を利用しましょう。制度の一例を取り上げます。
- 次世代省エネ建材支援事業:「一般社団法人環境共創イニシアチブ」が省エネリフォームを促進するために実施しており、戸建て住宅で最大400万円の補助金が受けられる。
- 各地方自治体の補助金・助成金制度:Uターン者を対象とした実家等改修補助金制度。安心して住み続けられる居住環境を確保するため住宅改修工事の補助金制度を設けている自治体も多い。
補助金・助成金制度を受ける条件は各団体・各地方自治体によって異なるので、まずは条件等をよく確認しましょう。
相続した実家に住む際に注意すべき点は?
こちらでは、相続した実家に関する注意点、そして相談先について解説しましょう。
実家を相続した際の注意点
民法と不動産登記法が改正され、2024年4月1日から相続登記が義務化された点に注意しましょう。
不動産を引き継いだ相続人は、原則としてその取得を知った日から3年以内に相続登記を行われなければいけません。
期限内に相続登記をしないと、ペナルティ(10万円以下の過料)を課せられることになっています。そのため、3年以内に手続きを終えられるようにした方が良いでしょう。
また、以前は相続人が住んでいた実家でも、年月が経ち、相続人本人を知っている近隣住民はいなくなっている可能性があります。
近隣の住民からは「よそ者がやってきた。」と思われるケースもあるので、事前に挨拶回りを済ませた方が良いでしょう。
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この記事を監修したのは…
高齢対策専門 仲島司法書士事務所
仲島 拓郎(なかじま たくろう)
「ゆく人 のこる人 まわりの人 みんなの平穏を守る」をモットーに高齢に関わる問題の解決を専門としています。
認知症に備えての対策から亡くなったあとの相続手続きまで、高齢にかかわる問題のご相談を伺っています。
神戸市の西部~明石市にお住まい方は、お伺いしてお話を聞かせて頂くことも可能です。