農地は相続放棄できる?管理義務や相続した場合の活用法も解説!

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遺産相続

農地はどのように相続する?相続時の注意点や相続する手順を解説!

農業を営んでいた被相続人が亡くなり、遺言書で農地を引き継ぐ人が指定されていたり、遺産分割協議で農地の相続が決まったりした場合には、宅地と同様に相続登記する他、農業委員会へ届け出も必要です。

相続登記に関する詳しい手順は下記からご覧ください。

https://stalgie.co.jp/kokoaru/inheritance/sozokutoki-gimuka-kigen/

農地を相続する手順は次の通りです。

1.農地の所在地を管轄する法務局で相続登記(名義変更)

2.農地の登記事項証明書を取得する

3.農地を管轄する農業委員会へ届け出る

4.届出書・登記事項証明書等を提出

農業委員会の届出は、相続人が相続開始を知ってから原則として10か月以内に届け出る必要があります。届出の放置などが原因で期限を超過していたら、ペナルティ(10万円以下の過料)が課せられる場合があるので注意しましょう。

農地の相続はするべき?メリットや農地を放置した場合のリスクとともに解説!

相続人によっては農地を引き継ぐと大きなメリットが得られます。一方で、農地を持て余し放置すれば深刻な事態が発生する場合があります。

農地を引き継ぐメリット

農業に従事したい相続人ならば次のようなメリットが期待できます。

農業をする土地が手に入る

農地を相続した場合、農地の購入や賃貸借をする際の金銭的負担がかからずに農業経営が行えます。また、被相続人の使用していた農機具をそのまま利用すれば費用を軽減できます。

まとまったお金がないが安価に農業を始めたい場合や被相続人の営んでいた農業を今度は自分が引き継ぎたい場合など、農地の相続は本人にとって願ってもない機会といえます。

税金が大幅に軽減される

国内で安定した食料自給率の確保や農家の負担軽減のため、農地に関する税負担はかなり軽減されています。

農地を保有している場合に課せられる固定資産税は、一般的な農地で10a(1,000㎡)あたり1,000円程度です。一方、宅地の場合は10aあたり数十万円になる場合もあり、一般的な農地の税額はその100分の1以下となります。

また、相続の際は農業を営んでいた被相続人から農地を相続後、一定の要件に合致すれば「相続税の納税猶予の特例制度」が利用できます。この制度は、相続税の全部または一部の納税が猶予される仕組みとなっています。

農地を引き継ぐリスク

農地の維持・管理が行き届いていないと、予想外の事態が発生するおそれがあります。

農業生産以外の管理

農地からの収穫だけを目的とするのではなく、農地の適切な維持・管理に注力する必要があります。例えば、農地周辺の草刈・除草、農道・用水路の整備等も重要な作業です。

農地は保水機能、地域に生息する動植物の多様性を維持する役割も担います。農地の維持・管理をせず放置すれば、周辺の農家に迷惑がかかる他、地域の自然環境のバランスを崩す事態も想定されます。自然環境のバランスが崩れれば、害虫・害獣による農作物への被害等のリスクが増すので注意しましょう。

農地を他の用途に使うのは困難

農地は安定した食料自給率の確保のため、その所有者が勝手に農地から宅地にして(農地転用)、自宅やアパートのような建物の建築を認めていません。

農地転用の際は農業委員会の許可が必要で、相続人のニーズに応じた柔軟な土地活用が難しい一面もあります。

「農地だけ」の相続放棄はなぜできない?

農地を被相続人から引き継いだものの、自分は会社員のような農業と異なる仕事に就いている等、農地を持て余しそうなときは相続放棄を検討することになる可能性もあります。

ここでは相続放棄の特徴について解説します。

農地の相続放棄自体は可能

農地を相続し維持・管理が重い負担となる場合は、相続放棄によって農地の相続も放棄することは可能です。ただし、相続の放棄をした人は「初めから相続人とならなかったものとみなす」と法定されています(民法第939条)。

つまり、放棄をすれば最初から相続人でなかったことになるので、農地の他、自分が相続するはずだった金融資産・不動産資産も取得できなくなります。

相続放棄しても農地は放置できない

相続放棄を家庭裁判所に申述し認められた場合でも、一定期間にわたり農地の管理が必要です。

他の相続人が農地を相続する場合

自分の他に相続人がいた場合、相続人の誰かが農地を引き継ぎます。農地を取得する人の準備が整うまで(例:法務局へ相続登記・農業委員会への届出、農機具の準備・設置が完了した等)、農地周辺の草刈・除草や農道・用水路の整備は放棄した本人が基本的に行います。

相続人全てが相続放棄した場合

自分の他に相続人のすべてが相続を放棄した場合は、相続財産を管理してくれる人が現れるまで、最後に相続放棄した人が農地を管理しなければいけません。

なお、放棄により相続人が全くいなくなった場合、農地をはじめとした被相続人の遺産は国庫に帰属します。

国庫帰属に関する手続きには概ね1年以上かかってしまい、手続き完了まで家庭裁判所から選ばれた相続財産管理人が管理します。相続を放棄した人は、相続財産管理人に管理等の費用を支払わなければいけません。

農地を含むすべての財産を相続放棄する手順・注意点をチェック!

相続放棄は、相続開始があった事実を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述します。その際に必要な書類の収集や、他の相続人に対して配慮しなければいけない点があります。

相続放棄の手順

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ、次の流れで手続きを行っていきます。

1.相続放棄の申述書や被相続人および放棄をしたい人(申述人)の戸籍謄本等を収集

2.期限内に家庭裁判所へ書類を提出

3.しばらくして家庭裁判所から照会書・回答書が自宅へ届く

4.所定の書類に回答し返送

5.家庭裁判所から受理通知書が届く、相続放棄完了

家庭裁判所に申述(書類の提出)してから、相続放棄の完了まで1ヶ月程度かかります。

相続放棄の注意点

相続放棄をすると他の金融資産や不動産資産まで相続できないばかりか、他の相続人とトラブルに発展するおそれもあるので注意が必要です。

相続放棄は放棄したい人が単独で家庭裁判所に申述できる制度です。そのため、他の相続人の同意は不要であり、たとえ黙って手続きを進めても家庭裁判所などからペナルティは課せられません。

しかし、他の相続人たちから余計な遺産を押し付けられた、と反発を招くおそれもあるでしょう。また、放棄をすると後順位の人が繰り上がって相続人となる場合もあり、後順位の人は予想しなかった相続人という立場に驚く事態が想定されます。

そのため、他の相続人や次順位の人達に配慮し、相続放棄をする前に関係者へ報告しておいた方が無難です。

サラリーマンなどの農業をしない人が農地を相続した場合の活用法をご紹介!

農地を相続した人が農業に従事しない場合、相続放棄だけではなく、次のような利活用も検討してみましょう。

農地を売却する

農地を持て余しているならば、同じ地域で農業を営んでいる人に売却する方法があります。農業委員会の許可(農地法第3条)を得れば売却できます。ただし、農地を欲する人がなかなか現れず、売却が進まない事態が考えられます。

農地の用途を変更したら売却できそうな場合(例:農地から宅地へ変更)、農業委員会の許可(農地法第5条)を得れば用途変更が可能です。ただし、第1種農地(生産力が高いと認められた農地等)に指定された農地は、原則許可が下りず、用途変更がかなり難しい点に注意しましょう。

農地を貸す

農地を賃貸して利活用したい場合も、農業委員会の許可(農地法第3条)を得れば可能です。売却ほどまとまった収入は得られないものの、毎月一定の賃料収入が得られ、農地の維持管理も賃借人が行ってくれます。

自分で無理に賃借人を探す必要はなく、市区町村役場が運営する農地中間管理事業(農地バンク)に登録しておきましょう。

市区町村役場のホームページを見て現れた希望者と、農地の賃貸借契約を締結できる可能性が高まります。

農地を商業施設にする

農地の用途を変更し、コンビニや飲食店等を経営する方法もあります。駅から離れていてもトラックや自家用車が頻繁に通る国道沿い等へ建築すれば、大きな利益が期待できます。

用途変更が難しい農地か否か、店舗を開設してどのくらいの収益が得られそうか、よく検討してから活用を進めた方が無難です。

農地をどうするか悩んでいるなら、まず専門家に相談

農地を相続すべきか迷っている、相続放棄のやり方がわからないと悩んでいるなら、まず「相続診断士」へ相談してみましょう。相続に関する知識が豊富な有資格者なので、相続人に応じた最適なアドバイスを無料で行ってくれるでしょう。

相続診断士は他の法律の専門家とのパイプ役を担っていて、農地の相続登記・農業委員会への届出を希望する場合は司法書士、相続放棄の申述には弁護士を紹介してくれます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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