戸籍謄本に有効期限はある?取得方法や戸籍謄本が必要な相続手続きまで解説!

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遺産相続

戸籍謄本とは?戸籍に記載のある全員の身分関係を証明するもの

戸籍謄本は、戸籍の始めに記載される人(筆頭者)とその家族の情報が記載されている書類です。記載されている事項は次の通りです。

  • 本籍地
  • 戸籍の始めに記載される人(筆頭者)の氏名
  • 戸籍に記載されている人全員の氏名・生年月日・続柄・出生・死亡・婚姻・離婚・養子縁組・離縁
  • 父母または養親の氏名

一方、戸籍謄本と名称の似た書類に「除籍謄本」があります。こちらは、次のような原因で戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態を証明する書類です。

  • 死亡
  • 婚姻、離婚、養子縁組
  • 本籍地を変更

例えば、存命の方がおひとり(X)しか記載されていない戸籍の場合は、Xさんがお亡くなりになれば、Xさんの死亡届を市区町村役場に提出することで、Xさんが亡くなったことが戸籍に反映され、この戸籍に記載されている方は誰もいなくなったという「除籍謄本」を受け取ることになります。

一方で、4人家族(A,B,C,D)のうち、Aさんが亡くなれば、Aさんの死亡届を市区町村役場に提出することで、Aさんが亡くなったことが戸籍に反映され、Aさんのところに「除籍」と記されたB,C,Dさんが記載されている「戸籍謄本」を受け取ることになります。

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書・戸籍抄本との違いは?

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて解説します。

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は名称が違うだけで同じものです。戸籍全部事項証明書とは、戸籍を電算化した後の名称のことです。

戸籍謄本には戸籍全部事項証明書ともう1つ似たような書類があります。それは、戸籍抄本です。戸籍謄本は、戸籍に記載されている内容の全ての写しになります。一方、戸籍抄本は戸籍に記載されている方のうち一部について記載されています。

相続の手続きで必要な戸籍謄本の種類とは?

相続の手続きにおいて、以下の2種類の戸籍謄本が必要となります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することにより、法定相続人を把握することができます。

もう一方の相続人全員の現在の戸籍謄本は、法定相続人の生存を確認するために必要なものです。

戸籍謄本や除籍謄本が必要な相続手続きとは?

戸籍謄本や除籍謄本は法務局や税務署のような行政の窓口へ提出する場合だけでなく、金融機関等への提出も必要となります。なぜなら、被相続人(亡くなった方)が亡くなったという事実を確認するとともに、法定相続人を確認するためです。主な提出先は次の通りです。

(1)行政機関窓口への提出

  • 法務局で被相続人から相続人へ 不動産(土地・建物)の名義変更(相続登記)を行う場合
  • 運輸局で被相続人から相続人へ 自動車の名義変更を行う場合
  • 税務署で相続税の申告を行う場合

(2)民間団体への提出

  • 金融機関に被相続人の預金の解約手続きを申し込む場合
  • 生命保険会社に死亡保険金を請求する場合
  • 証券会社に被相続人の保有株の名義変更を請求する場合

相続に必要な戸籍謄本や除籍謄本に有効期限はある?用途や提出先によって違う

戸籍謄本や除籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得します。発行元の市区町村役場では交付した戸籍謄本に有効期限を設定しておらず、一定期間が経過しても書類として扱えなくなるわけではありません。

ただし手続きの際、戸籍謄本の提出を要求する行政の窓口では一定の条件を設けていたり、金融機関等では独自に有効期限を設定していたりするところがあります。下表を参考にしてください。

行政・金融機関等戸籍謄本の有効期限
法務局(不動産 相続登記)無し
税務署(相続税 申告)無し
運輸局(普通自動車 名義変更)
軽自動車検査協会 (軽自動車 名義変更)
無し
家庭裁判所(相続放棄・遺言書検認等)無し
金融機関
・銀行(預金解約)
・証券会社(保有株の名義変更)
3ヵ月~6ヵ月以内
生命保険会社(保険金請求)3ヵ月~6ヵ月以内

手続きの際に有効期限が定められているケース

金融機関に被相続人の預金の解約手続きを申し込む場合、生命保険会社に死亡保険金を請求する場合、証券会社に被相続人の保有株の名義変更を請求する場合、概ね被相続人の死亡年月日が確認できて、市区町村役場から発行されてから3ヵ月以内の戸籍謄本が要求されます。

ただし、金融機関や生命保険会社等の中には発行日より6ヵ月以内の戸籍謄本でも良い場合があります。各金融機関・生命保険会社では独自のルールを設けているので、カスタマーセンターで電話質問をしたり、窓口の担当者に確認したりして、提出先の条件に合った戸籍謄本を取得し提出するようにしましょう。

手続きの際に有効期限を設けていないケース

戸籍謄本や除籍謄本を相続登記のために法務局へ提出する場合、運輸局で相続による自動車名義変更を行う場合、相続税申告の際に税務署へ提出する場合、いずれも明確な有効期限は設定されていません。

相続人の戸籍謄本には条件が付されている

それぞれ相続人の戸籍謄本に関しては、次のように条件が付されています。

  • 法務局での相続登記・運輸局で相続による自動車名義変更の場合:被相続人の死亡日以後の証明日が明記された戸籍謄本
  • 税務署への相続税申告の場合:相続開始日から10日経過後に作成された戸籍謄本

相続人の戸籍謄本に条件が付されている理由は相続開始時に、相続人が存命していた事実を確認するために必要だからです。

被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本が必要な場合、特に条件は付されていない

行政機関で相続手続きを行う際、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は、出生〜死亡までのものを提出します。被相続人の場合、期限等の特別の条件は設けられていません。

ただし、何十年も経っていて判別不可能な戸籍謄本であったり、最近取得した戸籍謄本でも不注意で汚したりしたら、別の戸籍謄本を提出し直すよう職員から要求される場合があります。

念のため行政職員に確認を

たとえ各行政機関のホームページや相続手続きの案内等で、戸籍謄本に特段の条件(例:有効期限、死亡日)が明記されていなくても、事前に窓口職員へ「どんな戸籍謄本を準備したらよいのか?」と確認をしておいた方が無難です。

窓口職員は「被相続人の死亡日が明記されたもの」「なるべく3ヶ月以内のもの」と回答するかもしれません。これは法定されていないものの、職員側がこのような戸籍謄本ならば確認しやすい、ということを意味しています。

職員側の希望に沿った戸籍謄本を提出すれば、相続手続きが円滑に進むでしょう。

戸籍謄本や除籍謄本は本籍地のある市区町村役場で取得できる!

戸籍謄本や除籍謄本は本籍地のある市区町村役場の窓口で取得できる他、郵送での請求やコンビニ交付が可能です。

窓口申請の場合

戸籍謄本は本人や親族、それ以外に代理人ならば取得可能です。本籍地の市区町村役場にて、戸籍課・窓口サービス担当課・出張所等で取り扱っています。取得の際に必要な書類は次の通りです。

  • 戸籍謄本等交付請求書:市区町村役場の窓口で取得
  • 本人確認書類:マイナンバーカード(個人番号カード)、運転免許証、パスポート等
  • 委任状:代理人が申請する場合

なお、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を交付してもらう場合、手数料が1通450円(除籍謄本750円)かかります。

コンビニ交付の場合

マイナンバーカード(個人番号カード)があれば、コンビニのキオスク端末(マルチコピー機)から戸籍謄本を取得することができます。

ただし、除籍謄本や改製原戸籍は取得することはできませんのでご注意ください。なお住民登録がない市区町村役場への申請は、事前にキオスク端末(マルチコピー機)からの利用登録申請(登録完了まで約1週間)が必要です。

また、対応していない市区町村役場やコンビニもあるため、事前に確認をされた上でご利用下さい。

郵送申請の場合

本籍地の市区町村役場に出向かなくても、郵送で戸籍謄本や除籍謄本の交付申請が可能です。

郵送請求の場合は、交付請求書や本人確認書類の写しの他、手数料相当の小為替、切手を貼付した返信用封筒を同封し、市区町村役場に郵送します。

市区町村役場が郵送申請を受理してから発送をするまでに1週間程度かかる場合もあるため、余裕をもって申請しましょう。お急ぎの場合は、速達郵便にする等の対応をされると良いでしょう。

何度も戸籍謄本を取得するのが面倒な場合

戸籍謄本は1通450円(除籍謄本750円)かかり、必要になったときに、その都度申請するのは手間も費用もかかります。

そのため、相続手続き申請時に提出した書類の原本を返却してもらう「原本還付(げんぽんかんぷ)」の利用を検討してみましょう。

原本還付の手順は次の通りです。(戸籍謄本の場合)

  1. 「戸籍謄本」のコピーを取る
  2. コピーの1番上にくる書類へ「原本還付」と赤字・枠付きで記入、さらに「原本と相違ありません」と記入し、申請人が署名捺印する。
  3. 複数の書類があれば、1枚目の裏面・2枚目の表面にまたがるよう契印(割印)する。2枚目・3枚目も同様。契印(割印)をすれば1枚ごとの署名捺印が不要となる。
  4. 窓口で「戸籍謄本」の原本と共に「原本還付」と記載した「戸籍謄本」のコピーを提出
  5. 窓口で「戸籍謄本」の原本だけを返還してもらう(郵送でも可)

法定相続情報一覧図も便利

法定相続情報一覧図とは、被相続人(亡くなった方)の法定相続人が誰であるのかという相続関係を家系図のように一覧図にまとめたものです。

申出人が被相続人と全ての法定相続人の戸籍謄本を収集し、法定相続情報一覧図を作成した上で、それらを持って管轄する登記所へ申出をし、登記所から法定相続情報一覧図を証明書として発行してもらいます。

法定相続情報一覧図を一度作成しておけば証明書の発行手数料は無料で法務局から取得できるため(申出日の翌年から5年間)、戸籍謄本等を提出することなく、代わりに「法定相続情報一覧図」を提出することで、相続登記や相続税申告等が可能です。

ただし、金融機関によっては「法定相続情報一覧図」の提出を認めていない場合もありますので、あらかじめ提出機関へご確認の上、ご利用ください。

戸籍謄本と印鑑証明書の原本還付方法を解説!

印鑑証明書や戸籍謄本は、申請先に原本を取られてしまうと別の手続きの際に使えなくなってしまいます。

その場合は、各申請先に従った方法を行い、提出した原本を還付してもらいます。原本を還付する方法は各申請先により異なります。こちらでは法務局での還付申請方法を解説します。

返却してもらいたい書類を原寸大でコピーします。コピーした用紙の末尾の余白部分に「これは原本の写しである。」と記載し、次の行に会社・法人名、証明者の氏名を記載します。

この書類を法務局へ提出します。

被相続人や相続人が外国籍の場合の戸籍謄本回収はどうする?

被相続人や相続人が外国籍であったり、外国に移住している場合は戸籍謄本が取得できません。戸籍謄本がない場合は、他の方法で被相続人との関係を証明する必要があります。

日本と同様の戸籍制度がある国の場合は、その国の戸籍を証明する書類を取得することができます。戸籍制度がない場合は、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書などが戸籍謄本の代わりとなります。

【参考】相続に必要な書類の有効期限はある?

相続手続きの際、戸籍謄本や除籍謄本の書類自体に有効期限はありません。ただし、提出機関によっては有効期限を設定している提出先がありますので、提出先の条件に合った書類を取得し、手続きを行うようにしましょう。

例えば住民の居住関係を公に証明する「住民票」や、手持ちの印鑑を本人のものとして公に証明する「印鑑登録証明書」は、戸籍謄本と共に相続手続きのときに提出する書類です。

これらの書類も金融機関や生命保険会社では、3ヶ月または6ヶ月と有効期間を指定してる場合があります。必ず戸籍謄本の場合と同様に提出先へ期限の確認を行っておきましょう。

分からないことは相続診断士に相談しよう

戸籍謄本や住民票等、相続手続きの際の書類に関してわからない部分があれば「相続診断士」に相談をしてみましょう。

相続診断士は相続全般に関する専門知識を持つ有資格者なので、相談者にわかりやすくアドバイスしてくれます。

また、士業専門家の紹介も行ってくれるので、相続で不安な点や手続き等を依頼したい場合、相続診断士は頼りになる存在となるでしょう。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

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