戸籍謄本に有効期限はある?取得方法や相続手続きに必要な書類の種類を解説
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戸籍謄本とは?戸籍に記載のある全員の身分関係を証明するもの
戸籍謄本とは、個人の出生や結婚、死亡などの身分情報が記録された「戸籍簿」のコピーです。この戸籍簿は役所で保管されており、本人や関係者が申請することで、戸籍謄本として発行してもらえます。住民票が現住所を示すのに対し、戸籍謄本には本籍地と個人の身分に関する情報が記載されている点が異なります。
戸籍謄本の基本的な説明
戸籍謄本は、戸籍の始めに記載される人(筆頭者)とその家族の情報が記載されている書類です。
記載されている事項は次の通りです。
- 本籍地
- 戸籍の始めに記載される人(筆頭者)の氏名
- 戸籍に記載されている人全員の氏名・生年月日・続柄・出生・死亡・婚姻・離婚・養子縁組・離縁
- 父母または養親の氏名
一方、戸籍謄本と名称の似た書類に「除籍謄本」があります。こちらは、次のような原因で戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態を証明する書類です。
- 死亡
- 婚姻、離婚、養子縁組
- 本籍地を変更
例えば、存命の方がおひとり(X)しか記載されていない戸籍の場合は、Xさんがお亡くなりになれば、Xさんの死亡届を市区町村役場に提出することで、Xさんが亡くなったことが戸籍に反映され、この戸籍に記載されている方は誰もいなくなったという「除籍謄本」を受け取ることになります。
一方で、4人家族(A、B、C、D)のうち、Aさんが亡くなれば、Aさんの死亡届を市区町村役場に提出することで、Aさんが亡くなったことが戸籍に反映され、Aさんのところに「除籍」と記されたB、C、Dさんが記載されている「戸籍謄本」を受け取ることになります。
戸籍全部事項証明書・戸籍抄本との違い
戸籍謄本と戸籍全部事項証明書、戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて解説します。
戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は名称が違うだけで同じものです。戸籍全部事項証明書とは、戸籍を電算化した後の名称のことです。
戸籍謄本には戸籍全部事項証明書ともう1つ似たような書類があります。それは、戸籍抄本です。戸籍謄本は、戸籍に記載されている内容の全ての写しになります。一方、戸籍抄本は戸籍に記載されている方のうち一部について記載されています。
戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本や除籍謄本は本籍地のある市区町村役場の窓口で取得できる他、郵送での請求やコンビニ交付が可能です。
窓口申請の場合
戸籍謄本は本人や親族、それ以外に代理人ならば取得可能です。本籍地の市区町村役場にて、戸籍課・窓口サービス担当課・出張所等で取り扱っています。取得の際に必要な書類は次の通りです。
- 戸籍謄本等交付請求書:市区町村役場の窓口で取得
- 本人確認書類:マイナンバーカード(個人番号カード)、運転免許証、パスポート等
- 委任状:代理人が申請する場合
なお、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を交付してもらう場合、手数料が1通450円(除籍謄本750円)かかります。
コンビニ交付の場合
マイナンバーカード(個人番号カード)があれば、コンビニのキオスク端末(マルチコピー機)から戸籍謄本を取得することができます。
ただし、除籍謄本や改製原戸籍は取得することはできませんのでご注意ください。なお住民登録がない市区町村役場への申請は、事前にキオスク端末(マルチコピー機)からの利用登録申請(登録完了まで約1週間)が必要です。
また、対応していない市区町村役場やコンビニもあるため、事前に確認をされた上でご利用下さい。
郵送申請の場合
本籍地の市区町村役場に出向かなくても、郵送で戸籍謄本や除籍謄本の交付申請が可能です。
郵送請求の場合は、交付請求書や本人確認書類の写しの他、手数料相当の小為替、切手を貼付した返信用封筒を同封し、市区町村役場に郵送します。
市区町村役場が郵送申請を受理してから発送をするまでに1週間程度かかる場合もあるため、余裕をもって申請しましょう。お急ぎの場合は、速達郵便にする等の対応をされると良いでしょう。
何度も取得するのが面倒な場合の対策
戸籍謄本は1通450円(除籍謄本750円)かかり、必要になったときに、その都度申請するのは手間も費用もかかります。
そのため、相続手続き申請時に提出した書類の原本を返却してもらう「原本還付(げんぽんかんぷ)」の利用を検討しましょう。
原本還付の手順は次の通りです。(戸籍謄本の場合)
- 「戸籍謄本」のコピーを取る
- コピーの1番上にくる書類へ「原本還付」と赤字・枠付きで記入、さらに「原本と相違ありません」と記入し、申請人が署名捺印する。
- 複数の書類があれば、1枚目の裏面・2枚目の表面にまたがるよう契印(割印)する。2枚目・3枚目も同様。契印(割印)をすれば1枚ごとの署名捺印が不要となる。
- 窓口で「戸籍謄本」の原本と共に「原本還付」と記載した「戸籍謄本」のコピーを提出
- 窓口で「戸籍謄本」の原本だけを返還してもらう(郵送でも可)
法定相続情報一覧図の利用
法定相続情報一覧図とは、被相続人(亡くなった方)の法定相続人が誰であるのかという相続関係を家系図のように一覧図にまとめたものです。
申出人が被相続人と全ての法定相続人の戸籍謄本を収集し、法定相続情報一覧図を作成した上で、それらを持って管轄する登記所へ申請をし、登記所から法定相続情報一覧図を証明書として発行してもらいます。
法定相続情報一覧図を一度作成しておけば証明書の発行手数料は無料で法務局から取得できるため(申出日の翌年から5年間)、戸籍謄本等を提出することなく、代わりに「法定相続情報一覧図」を提出することで、相続登記や相続税申告等が可能です。
ただし、金融機関によっては「法定相続情報一覧図」の提出を認めていない場合もありますので、あらかじめ提出機関へご確認の上、ご利用ください。
戸籍謄本に有効期限はあるのか?
戸籍謄本の使用用途によっては有効期限が定められている場合があります。以下、ケースごとに解説します。
戸籍謄本自体の有効期限について
戸籍謄本や除籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得します。発行元の市区町村役場では交付した戸籍謄本に有効期限を設定しておらず、一定期間が経過しても書類として扱えなくなるわけではありません。
提出先による有効期限の違い
手続きの際、戸籍謄本の提出を要求する行政の窓口では一定の条件を設けていたり、金融機関等では独自に有効期限を設定していたりするところがあります。下表を参考にしてください。
行政・金融機関等 | 戸籍謄本の有効期限 |
---|---|
法務局(不動産 相続登記) | 無し |
税務署(相続税 申告) | 無し |
運輸局(普通自動車 名義変更) 軽自動車検査協会 (軽自動車 名義変更) | 無し |
家庭裁判所(相続放棄・遺言書検認等) | 無し |
金融機関 ・銀行(預金解約) ・証券会社(保有株の名義変更) | 3ヵ月~6ヵ月以内 |
生命保険会社(保険金請求) | 3ヵ月~6ヵ月以内 |
手続きの際に有効期限が定められているケース
金融機関で被相続人の預金を解約する場合や、生命保険会社で死亡保険金を請求する場合、また証券会社で被相続人の保有株の名義変更を行う場合には、被相続人の死亡年月日が確認できる、市区町村役場で発行された3ヵ月以内の戸籍謄本が求められることが一般的です。
ただし、金融機関や生命保険会社によっては、発行日から6ヵ月以内の戸籍謄本でも受け付けてもらえる場合もあります。
手続きの際に有効期限を設けていないケース
戸籍謄本や除籍謄本を相続登記のために法務局へ提出する場合、運輸局で相続による自動車名義変更を行う場合、相続税申告の際に税務署へ提出する場合、いずれも明確な有効期限は設定されていません。
相続人の戸籍謄本には条件が付されている
それぞれ相続人の戸籍謄本に関しては、次のように条件が付されています。
- 法務局での相続登記・運輸局で相続による自動車名義変更の場合:被相続人の死亡日以後の証明日が明記された戸籍謄本
- 税務署への相続税申告の場合:相続開始日から10日経過後に作成された戸籍謄本
相続人の戸籍謄本に条件が付されている理由は、相続開始時に相続人が存命していた事実を確認するために必要だからです。
被相続人の戸籍謄本が必要な場合、特に条件は付されていない
行政機関で相続手続きを行う際、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本は、出生から死亡までのものを提出します。被相続人の場合、期限等の特別の条件は設けられていません。
ただし、何十年も経っていて判別不可能な戸籍謄本であったり、最近取得した戸籍謄本でも不注意で汚したりしたら、別の戸籍謄本を提出し直すよう職員から要求される場合があります。
念のため行政職員に確認を
たとえ各行政機関のホームページや相続手続きの案内等で、戸籍謄本に特段の条件(例:有効期限、死亡日)が明記されていなくても、事前に窓口職員へ「どんな戸籍謄本を準備したらよいのか?」と確認をしておいた方が無難です。
窓口職員は「被相続人の死亡日が明記されたもの」「なるべく3ヶ月以内のもの」と回答するかもしれません。これは法定されていないものの、職員側がこのような戸籍謄本ならば確認しやすい、ということを意味しています。
職員側の希望に沿った戸籍謄本を提出すれば、相続手続きが円滑に進むでしょう。
各種証明書の有効期限まとめ
市区町村役場では、発行した戸籍謄本に有効期限を設けておらず、一定期間が経過しても書類として扱えなくなることはありません。ただし、手続きを行う機関によっては、独自の有効期限が設定されていることがあります。
法務局・税務署の有効期限について
戸籍謄本や除籍謄本を相続登記のために法務局へ提出する場合、運輸局で相続による自動車名義変更を行う場合、相続税申告の際に税務署へ提出する場合、いずれも明確な有効期限は設定されていません。
金融機関での有効期限の一般的な区分
金融機関に被相続人の預金の解約手続きを申し込む場合、概ね被相続人の死亡年月日が確認できて、市区町村役場から発行されてから3ヵ月以内の戸籍謄本が要求されます。
ただし、金融機関の中には発行日より6ヵ月以内の戸籍謄本でも良い場合があります。各金融機関では独自のルールを設けているので、カスタマーセンターで電話質問をしたり、窓口の担当者に確認したりして、提出先の条件に合った戸籍謄本を取得し提出するようにしましょう。
相続手続きで必要な戸籍謄本の種類と利用場面
相続手続きで必要な戸籍謄本の種類と利用場面をケースごとに解説します。
相続人の調査
相続人の調査には、以下の2種類の戸籍謄本が必要となります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の現在の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得することにより、法定相続人を把握することができます。
もう一方の相続人全員の現在の戸籍謄本は、法定相続人の生存を確認するために必要なものです。
遺言書の確認
遺言書の検認には、以下の戸籍謄本が必要になります。
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続人が遺言者の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合、上記に加えて以下の戸籍謄本が必要です。
- 遺言者の直系尊属(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母と祖父))で死亡している人がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人が不存在の場合、遺言者の配偶者のみの場合、又は遺言者の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合は、1~3に加えて以下の戸籍謄本が必要になります。
- 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 遺言者の兄弟姉妹で死亡している人がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 代襲者としてのおい・めいのうち死亡している人がいる場合、そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
遺産分割の調停・審判
遺産分割の調停・審判の場合、以下の戸籍謄本が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した除籍謄本、改製原戸籍謄本等戸籍謄本類全て(原本)
- 相続人全員の現在の戸籍謄本(3か月以内の原本)
- 被相続人の住民票除票(廃棄済の場合は戸籍の附票)
- 相続人全員の住民票(3か月以内の原本)
- 相続人が配偶者・子・親の場合
被相続人の出生から(被相続人の親の除籍謄本又は改製原戸籍等)死亡までの連続した全戸籍謄本 - 相続人が(配偶者と)兄弟姉妹の場合
1のほかに、被相続人の父母の出生から(被相続人の父方祖父母及び母方祖父母の除籍謄本又は改製原戸籍等)死亡までの連続した全戸籍謄本 - 相続人のうちに子又は兄弟姉妹の代襲者が含まれる場合
1.2のほかに、本来の相続人(子又は兄弟姉妹)の出生から死亡までの連続した全戸籍謄本
銀行・証券の相続手続き
遺言書がある場合
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本もしくは除籍謄本
遺言書がない場合
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類(除籍謄本・改製原戸籍)
- 相続する人全員の戸籍謄本
不動産相続登記の方法
遺言書がある場合
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本もしくは除籍謄本
- 不動産を取得する相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)
※相続人以外の場合(遺贈の場合)は受遺者の戸籍謄本は不要
遺言書がない場合
- 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本もしくは除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本(被相続人の死亡日以降に発行されたもの)
相続放棄と限定承認の手続き
- 被相続人の配偶者が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
配偶者の戸籍謄本
- 被相続人の子が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
子の戸籍謄本 - 被相続人の代襲相続人である孫が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の子の死亡の記載がある戸籍謄本
孫の戸籍謄本 - 被相続人の父母が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子(及びその代襲相続人)で死亡している人がいる場合、その出生から死亡までのすべての戸籍謄本
父母の戸籍謄本 - 被相続人の祖父母が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子(及びその代襲相続人)で死亡している人がいる場合、その出生から死亡までのすべての戸籍謄本
死亡している父母について、その死亡の記載のある戸籍謄本
祖父母の戸籍謄本 - 被相続人の兄弟姉妹が手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子(及びその代襲相続人)で死亡している人がいる場合、その出生から死亡までのすべての戸籍謄本
死亡している父母・祖父母について、その死亡の記載のある戸籍謄本
兄弟姉妹の戸籍謄本 - 被相続人のおい・めいが手続きする場合
被相続人の住民票の除票(又は戸籍附票)
被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
被相続人の子(およびその代襲相続人)で死亡している人がいる場合、その出生から死亡までのすべての戸籍謄本
死亡している父母・祖父母について、その死亡の記載のある戸籍謄本
死亡している兄弟姉妹について、その死亡の記載がある戸籍謄本
おい・めいの戸籍謄本
相続税申告に必要な書類
- 被相続人の生まれた時から死亡までの除籍謄本
- 被相続人の生まれた時から死亡までの改製原戸籍謄本
- 各相続人の戸籍謄本
必要な戸籍謄本や除籍謄本の種類
戸籍謄本には3種類あり、それぞれ異なる役割があります。相続手続きで必要となる場合も多いので、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
- 戸籍謄本(全部事項証明書)
戸籍謄本は、現在有効で最も新しい戸籍のことを指します。これはコンピュータで管理されており、現在では「全部事項証明書」とも呼ばれています。相続手続きでは、通常この最新の戸籍謄本が必要です。 - 除籍謄本
除籍謄本は、記載されていた全員が別の戸籍に移ったり、亡くなったりして、誰も残っていない戸籍のことです。例えば、子が結婚して新しい戸籍を作り、親が亡くなった場合、その元の戸籍は除籍謄本になります。また、家族で本籍地を変更した場合、元の本籍地の戸籍も除籍謄本となります。 - 改製原戸籍謄本
法律の改正により、戸籍の様式が変更された際、改正前の戸籍を「改製原戸籍」といいます。この改製原戸籍は、「はらこせき」とも呼ばれ、過去の戸籍情報を確認するために使用されます。
注意点: 相続手続きでの戸籍抄本の利用
相続手続きでは、戸籍抄本(個人事項証明書)ではなく、戸籍謄本が必要です。戸籍抄本には一部の情報しか記載されていないため、不動産や預貯金の名義変更などでは使用できないことが多いです。相続手続きの際には、必ず戸籍謄本を取得しましょう。
特殊なケースにおける戸籍謄本の有効期限
戸籍謄本や除籍謄本は法務局や税務署のような行政の窓口へ提出する場合だけでなく、金融機関等への提出も必要となります。なぜなら、被相続人(亡くなった方)が亡くなったという事実を確認するとともに、法定相続人を確認するためです。主な提出先は次の通りです。
(1)行政機関窓口への提出
- 被相続人から相続人へ不動産(土地・建物)の名義変更(相続登記)を行う場合:法務局
- 被相続人から相続人へ自動車の名義変更を行う場合:運輸局
- 相続税の申告を行う場合:税務署
(2)民間団体への提出
- 被相続人の預金の解約手続きを申し込む場合:預金のある金融機関
- 死亡保険金を請求する場合:被相続人が契約していた生命保険会社
- 被相続人の保有株の名義変更を請求する場合:証券会社
銀行口座を有する場合の取り扱い
被相続人が預金口座を有する場合、銀行の窓口で相続手続きを行うことが一般的です。遺言書があるケースとそうでないケースによって、預金口座の相続手続きに必要な資料が異なります。
遺言書がある場合の相続の手続きには、一般的には次の書類が必要となります。
- 遺言書
- 検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外の場合)
- 被相続人の戸籍謄本または全部事項証明(死亡が確認できるもの)
- その預金を相続する人(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書
- 遺言執行者の選任審判書謄本(裁判所で遺言執行者が選任されている場合)
遺言書がない場合は、一般的に以下の資料が必要です。
遺産分割協議書がある場合
- 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・捺印があるもの)
- 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書がない場合
- 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
- 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
- 相続人全員の印鑑証明書
証券口座を有する場合の対応
被相続人が証券口座を持っていた場合、その後の相続手続きで、名義変更が必要になります。その際、一般的には以下の資料が必要です。
- 被相続人の出生から死亡までを連続して確認できる戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺言書または遺産分割協議書(あれば)
不動産相続における登記手続き
不動産の登記とは、法務局が管理する登記簿に、その土地や建物の場所、所有者、担保としての借り入れ金額などの情報を記録する制度です。これにより、その不動産の権利関係を第三者に明確に示すことができます。
相続で不動産を取得した場合、亡くなった方の名義になっている土地や建物を自分の名義に変更する「所有権の移転登記」を行います。これによって、正式にその不動産の所有者であることを証明できます。相続後にその不動産を売却したり、賃貸に出したりする際には、まずこの相続登記を済ませておく必要があります。
登記の申請先と必要書類
不動産の相続登記(相続による所有権の移転)は、不動産がある地域の法務局で行います。手続きには、登記申請書といくつかの必要書類を提出することが求められます。必要な書類には以下のようなものがあります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票や戸籍の附票
- 不動産を受け継ぐ相続人の住民票や戸籍の附票
- 遺産分割協議書、もしくは相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 相続関係説明図
申請方法は、法務局に書類を直接持参するか、オンラインで行うことができます。書類の量が多く、手続きも複雑なため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
2024年以降の新しい相続登記義務
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
相続(遺言も含みます。)不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。
正当な理由なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。正当な理由の例としては、相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなどが考えられます。
なお、2024年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、早めに登記の申請をしましょう。
手続きに関するサポートと相談
証明書の原本還付方法や、被相続人が外国製の場合の戸籍謄本の回収方法、戸籍謄本についてわからないことがある場合の相談先について解説します。
証明書の原本還付方法
印鑑証明書や戸籍謄本は、申請先に原本を取られてしまうと別の手続きの際に使えなくなってしまいます。
その場合は、各申請先に従った方法を行い、提出した原本を還付してもらいます。原本を還付する方法は各申請先により異なります。こちらでは法務局での還付申請方法を解説します。
返却してもらいたい書類を原寸大でコピーします。コピーした用紙の末尾の余白部分に「これは原本の写しである。」と記載し、次の行に会社・法人名、証明者の氏名を記載します。
この書類を法務局へ提出します。
被相続人や相続人が外国籍の場合の戸籍謄本回収方法
被相続人や相続人が外国籍であったり、外国に移住している場合は戸籍謄本が取得できません。戸籍謄本がない場合は、他の方法で被相続人との関係を証明する必要があります。
日本と同様の戸籍制度がある国の場合は、その国の戸籍を証明する書類を取得することができます。戸籍制度がない場合は、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書などが戸籍謄本の代わりとなります。
分からないことは相続診断士に相談
戸籍謄本や住民票等、相続手続きの際の書類に関してわからない部分があれば「相続診断士」に相談をしてみましょう。
相続診断士は相続全般に関する専門知識を持つ有資格者なので、相談者にわかりやすくアドバイスしてくれます。
また、士業専門家の紹介も行ってくれるので、相続で不安な点や手続き等を依頼したい場合、相続診断士は頼りになる存在となるでしょう。
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戸籍謄本や住民票等、相続手続きの際の書類に関して解説させていただきましたが、いかがだったでしょうか。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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この記事を監修したのは…
なかしま美春行政書士事務所 / 特定行政書士 / 相続診断士
中島 美春(なかしま みはる)
2011年2月の開業から現在まで「書類作りで笑顔をサポート」。とあるお客様の相続手続きをきっかけに相続業務に力をいれていくことを決意。笑顔相続道第7期修了後は、九州・福岡に「笑顔相続」を広めるために活動中。生前の相続対策(遺言書作成サポート等)だけではなく、相続後の死後事務サポート等も行っている。
サイトURL:https://egao-support.com/ https://fukuoka-souzoku-yuigon.com/