住宅を生前贈与する際に知っておきたい!税金の負担を軽減する方法とは?

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遺産相続

生前贈与とは?住宅や金銭を生前贈与する方法や必要な書類を解説!

生前贈与は自分が生きている間に、財産を配偶者や子、孫などに贈与する方法です。生前贈与は金銭の他に住宅のような不動産資産も対象となります。

住宅を生前贈与するには贈与契約書の作成、贈与登記のための書類が必要となります。

贈与契約書の作成

自分(贈与者)と贈与を受け取る人(受贈者)が、贈与契約を締結した内容を書面化します。贈与契約書の作成は任意ですが、契約内容を忘れないためにも作成しておいた方が良いでしょう。登記申請書が複数枚になる場合、契約当事者全員が割印します。

贈与契約書の記載内容は自由ですが、主に次の事項を明記しておきます。

・誰が誰に住宅を無償で渡すか

・登記手続きをする際の協力義務

・登記費用・固定資産税は誰が負担に関するか

なお、贈与契約書には「物件目録」も添付しておきましょう。記載内容は次の通りです。住宅や敷地の内容は法務局から取得できる登記事項証明書(土地・建物)で確認できます。

物件目録内容
住宅の敷地・所在:(例)〇〇市〇〇丁目・地番:(例)〇〇番〇〇・地目:宅地・地積:(例)〇〇㎡(所有者〇〇〇〇)
住宅・所在:(例)〇〇市〇〇丁目・家屋番号:(例)〇〇番〇〇・種類:宅地・構造:(例)〇〇造2階建て・地積:(例)1階〇〇㎡       2階〇〇㎡(所有者〇〇〇〇)   

贈与登記のための書類

契約書を作成したら、上から次の順番通りに重ねホチキスで留め法務局へ提出します。

1.登記申請書:法務局等で取得

2.印紙台紙:登録免許税を印紙で納める書類、法務局等で取得

3.印鑑証明書:お住まいの市区町村役場で取得

4.住民票:お住まいの市区町村役場で取得

5.固定資産評価証明書:贈与対象の不動産所在地の市区町村役場で取得

6.贈与契約書(原本を返却してもらいたいときはコピー)

知っておくべき!住宅を生前贈与する際に税金の負担を減らす方法とは?

住宅を贈与する場合、受贈者に贈与税が課せられてしまいます。非課税制度の条件に当てはまる場合、制度を利用した方が負担は軽減されます。

家族等への贈与

自分の配偶者や子などに財産を贈与したい場合「暦年贈与」という方法があります。暦年贈与は受贈者1人につき、1月1日から12月31日までの1年間にもらう財産が110万円以下ならば、贈与税は基本的に非課税となる制度です。本制度を利用する場合、税務署へ申告する必要はありません。

金融資産ならば各受贈者に110万円以下で配分して贈与すれば、贈与税の負担は抑えられます。しかし、住宅の場合に評価額は分けられないので、不動産の評価額が高いと有効な贈与税の軽減方法とはならないおそれがあります。

夫婦での贈与

夫婦間で住宅または住宅資金を贈与したい場合「おしどり贈与」という方法があります。贈与税が2,000万円まで非課税になる特例です。配偶者に居住用の不動産を贈与するならば、固定資産評価証明書に記載されている評価額から2,000万円まで非課税となります。

つまり非課税額の2,000万円以内に評価額が収まれば、贈与税はかかりません。また、暦年贈与と同時に利用でき、最大2,110万円まで非課税枠が広がります。

ただし、婚姻期間20年以上でかつ贈与対象は配偶者の居住するための建物、この建物へ贈与の翌年3月15日までに住み、引き続き住む見込みでなければ利用できない制度です。加えて税務署への申告も必要です。

子や孫への贈与

子または孫へ親または祖父母が生前贈与したい場合「相続時精算課税制度」という方法があります。子または孫の受贈時に最大2,500万円まで非課税となります。

ただし、この制度を利用すると暦年贈与が適用できなくなる他、途中で撤回もできない等のデメリットがあります。

本制度の非課税枠を超えた分は一律20%の贈与税が課されます。

非課税になった贈与額は、相続開始時に相続財産へ含めて合算され相続税として計算されます。なお、孫に利用すると相続税の2割加算の対象となるので注意が必要です。

相続時精算課税制度を利用するには贈与者である親・祖父母の年齢が60歳以上、かつ受贈者である子・孫の年齢が贈与を受けた年の1月1日に18歳以上(2022年3月31日以前の贈与では20歳)でなければいけません。

贈与を受けた翌年2月1日〜3月15日までに税務署へ贈与税の申告を行い、相続時精算課税選択届出書を添付して提出します。

住宅取得等資金の贈与税の特例の適用条件とは?

上記で説明した他制度に加え、贈与税の非課税制度の一つとして「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」が利用できます。子や孫が親または祖父母から住宅の新築等の資金を贈与された場合、最大1,000万円(2022年度税制改正後)まで非課税となる制度です。

主な適用条件は次の通りです。

項目条件
適用期限2022年1月1日~2023年12月31日までに贈与
特例適用対象者2009年~2021年分までの贈与税申告時、住宅取得等資金の非課税の適用を受けていない
贈与者の要件受贈者の直系尊属(親または祖父母等)
受贈者の要件贈与を受けた年の1月1日で18歳以上の直系卑属(子や孫)
※2022年3月31日以前の贈与では20歳
受贈者の所得要件贈与を受けた年の合計所得金額2,000万円以下
※合計所得金額1,000万円以下:40㎡~50㎡未満の住宅
床面積の要件登記簿上の床面積が40㎡~240㎡で、かつ、その床面積の1/2上に相当する部分が居住の用に供される
既存住宅の築年数要件1982年1月1日以降に建築された住宅

住宅取得等資金の贈与税の特例の非課税限度額はいくら?わかりやすく解説!

2022年(令和4年度)税制改正により特例の非課税限度額は、質の高い住宅が1,000万円、一般住宅が500万円となっています。

1,000万円の非課税が受けられる質の高い住宅と認められるためには、次の要件のいずれかに該当する必要があります。

・断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上

・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物

・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

これらの性能を証明するため、申告時には住宅性能証明書等を添付しなければいけません。要件に該当しない住宅は、一般住宅として500万円の非課税に限定されます。

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税非課税の特例を利用するしないで効果は大きく変わります。また、毎年の贈与税の非課税枠110万円(暦年課税)とは別に、ある程度まとまった金額を非課税で支援してもらうことができます。

下記表を参考にしてください。

贈与税の速算表

一般贈与財産(一般税率)特例贈与財産(特例税率)
基礎控除後の課税価格税率控除額基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%  ー200万円以下10%  ー
300万円以下15%10万円400万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円600万円以下20%30万円
600万円以下30%65万円1,000万円以下30%90万円
1,000万円以下40%125万円1,500万円以下40%190万円
1,500万円以下45%175万円3,000万円以下45%265万円
3,000万円以下50%250万円4,500万円以下50%415万円
3,000万円超55%400万円4,000万円超55%640万円

【一般贈与財産とは】

兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年の場合

【特例贈与財産とは】

直系尊属(祖父母や父母など)から、1月1日におい18歳以上(令和4年4月1日以降の贈与)の者(子、孫など)へ贈与を行った場合

住宅取得等資金の贈与税の特例のメリット・デメリットとは?

本特例を利用するメリット、そしてデメリットは主に次の通りです。

特例を利用するメリット

本特例を利用すれば、自分が亡くなったとき推定相続人にならない家族へ、生前のうちにまとまった贈与が可能です。

住宅の新築や改築等の資金に限定されるものの、例えば可愛がっていた孫が相続人になれないような場合(被相続人の子が相続人となる等)、贈与という形で財産を譲ることが可能です。

生前に財産を譲渡したい人がいて、その人が住宅の新築や改築等を検討しているとき、利用した方が良い制度です。

また、贈与額が特例の非課税限度額をオーバーしても、その分は暦年贈与または相続時精算課税制度を併用して非課税にできます。

特例を利用するデメリット

本特例は2009年〜2021年分までの贈与税申告時、住宅取得等資金の非課税の適用を受けなかった場合に利用できます。そのため、原則として何度も利用できる制度ではない点がデメリットです。以前、本特例を利用した贈与者は別の非課税措置を検討しましょう。

その他、特例を利用するにはたとえ贈与税が0円であっても、贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までの間に申告手続きが必要です。期限内に申告ができないと特例は利用できません。

住宅取得等資金の贈与税の特例を利用する際の注意点とは?

本特例を利用する場合に提出する必要書類や、注意点については次の通りです。

提出する必要書類

必要書類を贈与の翌年の2月1日から3月15日までの間に、納税地を管轄する税務署へ提出します。主に贈与者との関係、対象建物等を証明する書類が必要となります。

納付期限は3月15日です(延納制度あり)

・贈与税申告書:税務署の窓口等で取得

・戸籍全部事項証明書:贈与者と受贈者の続柄が記載されているもの、本籍地の市区町村役場で取得

・受贈者の源泉徴収票:合計所得金額が要件に該当するか証明するため

・登記事項証明書:取得・新築・増築した建物、敷地の証明に必要で、法務局から取得(贈与税申告書に不動産番号を記載する場合は添付不要)

・売買契約書・建築請負契約書(写し):取得・新築した事実を証明するため

・性能評価書:住宅性能証明書、建設住宅性能評価書(写し)、増改築等工事証明書

利用する際の注意点

本特例を利用する場合は登記簿上、住宅の床面積40㎡以上240㎡以下で、かつその家屋のある床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の住居の用に供されるものである必要があります。新築の際は床面積が要件の範囲内かをよく確認しましょう。

また、新築へ先行して取得する土地にも本特例が適用されます。しかし、贈与を受けた年の翌年3月15日には、住宅取得等資金の全額を充て新築等が必要となるので、速やかに建築する必要があります。

もしも、土地・建物に関する法律や登記手続きに不明な点があれば、司法書士のような登記手続きの専門家へ相談し助言を受け、登記申請等を依頼した方が手続きはスムーズに進むでしょう。

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