遺産相続の平均額はいくら?相続税の計算方法や遺産の使い道もご紹介!
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普通家庭の相続財産の平均額は?
普通家庭の相続財産の平均額について見てみましょう。
①インターネット上で公表されている「三菱UFJ信託銀行株式会社が2018(平成30)年12月に実施した『相続法が約40年ぶりに改訂、遺言と相続に関する実態調査』」の【相続経験者の実情(30歳~69歳の全国の男女)】によれば、男性(341人)の平均相続金額は2,885万円、女性(323人)の平均相続金額は1,301万円、全体(664人)の平均相続金額は2,114万円という結果になっています。
全体(664人)の相続金額を人数分で割った上記の2,114万円が平均値ということになります。
相続した財産の金額分布を見た場合、金額の高い順に並べると、1億円以上の人が4.1%、5,000万円~1億円未満の人が6.5%、3,000万円~5,000万円未満の人が7.8%、2,000万円~3,000万円未満の人が8.9%、1,000万円~2,000万円未満の人が17.0%、500万円~1,000万円未満の人が19.0%、300万円~500万円未満の人が8.6%、200万円~300万円未満の人が8.0%、100万円~200万円未満の人が11.1%、100万円未満の人が9.0%となります。
また、上記の10のデータ(数値の範囲内で、一定の幅の区間を階級という)をパーセントの小さい順に並べたとき、真ん中の値を中央値(メジアン)といいます。データの数が偶数のときは「真ん中の値」が2つ登場するのでそれぞれ階級値(その階級の一定の幅で中央の値をいう)を足して2で割ったものを中央値といいます。
上記では、データの数が偶数なので、5番目の階級値の400万円と6番目の階級値の2,500万円を足して2で割ったもの、すなわち1,450万円が中央値になります。
上記の数値からすると、平均相続金額は2,114万円ですが、一番多いのは500万円~1,000万円未満で、しかも1,000万円未満の人が全体の55.7%を占めているので、平均値は高額な相続額に引っ張られていると考えられ、普通家庭の相続財産の平均額は1,000万円前後と推測されます。
②また、インターネット上で公表されている「MUFG資産形成研究所が2020(令和2)年10月に実施した『退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査』」によれば、親から相続した財産額の平均は3,273万円、中央値は1,600万円になっています。
平均値の3,273万円と中央値の1,600万円には大きな差があるので、平均値は高額な相続額に引っ張られていると考えられ、普通家庭の相続財産の平均額は、平均値よりも極端な数値に影響を受けにくい中央値の1,600万円の方が参考となるでしょう。
相続人の平均年齢をチェック!
相続人の平均年齢をチェックしてみましょう。
厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」によれば、2020(令和2)年の日本人の平均寿命(0歳の人の平均寿命をいう)は男性が81.64歳、女性が87.74歳となっています。
インターネット上で公表されている「第一生命経済研究所が2005(平成17)年に実施した『中高年者の遺産相続に関する調査』」によれば、父親死亡時の調査対象者の平均年齢は39.1歳、母親死亡時の調査対象者の平均年齢は46.4歳でした。
そして、厚生労働省の「完全生命表(平成17年)」によれば、2005(平成17)年の日本人の平均寿命は男性が78.56歳、女性が85.52歳となっています。
これらの数値から、現在(令和2年)の相続人である子どもの年齢は、父親の死亡時の相続人の平均年齢は42歳前後、母親の死亡時の相続人の平均年齢は49歳前後と推測されます。
また、これらの平均年齢は、あくまでも、上記の数値から算出した数字上の平均年齢にすぎないので、相続人全体の平均年齢を示すとは限らない点に注意が必要です。
相続した財産額の内訳は?
相続した財産額の内訳はどうなっているのか確認しましょう。
国税庁の令和3年12月付け「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によれば、相続した財産額の内訳は以下のようになっています。
・土地 34.7%
・家屋 5.3%
・有価証券 14.8%
・現金・預貯金等 33.9%
・その他 11.3%
なお、上記割合は、相続税額のある申告書(修正申告書を除く)データに基づくものです。
相続財産額を子どもに知らせていない割合は何%?
相続財産額を子どもに知らせていない割合は何%程度いるのでしょうか?
インターネット上で公表されている「三菱UFJ信託銀行株式会社が2018(平成30)年12月に実施した『相続法が約40年ぶりに改訂、遺言と相続に関する実態調査』」の【相続検討者の実態(30歳~69歳の全国の男女674人)】によれば、自分の子どもに相続財産を全く明らかにしていない人が52.5%となっています。
その理由としては「子どもが相続財産をあてにするのが好ましくない」が最も多く35.0%、次いで「相続財産の話をする時期ではないと思っていた」が27.0%、「どの程度の財産を子どもに相続させるか決めていない」が24.1%の順です。
ちなみに、自分の子どもにすべての財産を明らかにしている人が13.6%、3割~7割程度の財産を明らかにしている人が21.6%、ごく一部の財産(1割以下)だけ明らかにしている人が12.3%となっています。
相続税を支払っている人の割合は?相続税の計算方法も解説!
相続税を支払っている人の割合、そして相続税の計算方法について解説します。
相続税を支払っている人の割合は?
国税庁の令和3年12月付け「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によれば、相続税を支払っている人の割合は以下のようになっています。
令和2年分における被相続人数(死亡者数)は1,372,755人でした。
課税割合は、相続税の課税対象者数÷その年の被相続人総数という式で計算されます。
この式に当てはめると、相続税の申告書の提出に係る被相続人数は120,372人だったので、120,372人÷1,372,755人の算式により、相続税を支払っている人の割合(課税割合)は8.8%になります。
相続税の計算方法も解説!
相続税の計算方法について見てみましょう。
相続税とは、被相続人が亡くなり、相続や遺贈(死因贈与を含む)に伴い被相続人の財産を取得したときに支払う税金のことです。
各相続人の納付税額の計算方法は、以下のようになります。
①相続人が複数の場合、各相続人が相続や遺贈に伴い取得した財産(これを「課税価格」という)を合計して、課税価格の合計額を計算します。
以下では、相続人が妻と子2人(子A、子Bという)で、課税価格(妻:1億円、子A:5,000万円、子B:5,000万円)の合計額が2億円の場合について説明します。
②課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します(これを「課税遺産総額」という)。
「課税価格の合計額」から「基礎控除額」を引いた値が、「課税遺産総額」となるので、下記のように計算できます。
2億円(課税価格の合計額)-4,800万円(基礎控除額=3,000万円+600万円×3)=1億5,200万円(課税遺産総額)
③各相続人が課税遺産総額を法定相続分に従って取得したものとして、各相続人の取得金額を計算します。
各相続人の取得金額は、以下のようになります。
妻:1億5,200万円(課税遺産総額)×1/2=7,600万円(取得金額)
子A:1億5,200万円(課税遺産総額)×1/2×1/2=3,800万円(取得金額)
子B:1億5,200万円(課税遺産総額)×1/2×1/2=3,800万円(取得金額)
④各相続人ごとの取得金額に相続税の速算表を用いて税率を乗じてから控除額を差し引いて相続税の総額の基となる税額を算出します。
妻:7,600万円(取得金額)×税率(30%)-700万円(控除額)=1,580万円(算出税額)
子A:3,800万円(取得金額)×税率(20%)-200万円(控除額)=560万円(算出税額)
子B:3,800万円(取得金額)×税率(20%)-200万円(控除額)=560万円(算出税額)
⑤各相続人ごとの算出税額を合計して相続税の総額を計算します。
1,580万円(妻の算出税額)+560万円(子Aの算出税額)+560万円(子Bの算出税額)=2,700万円(相続税の総額)
⑥⑤で計算した相続税の総額を、財産を取得した人の課税価格に応じて割り振り、財産を取得した人ごとに税額を計算します。
妻の税額:2,700万円(相続税の総額)×1億円(課税価格)÷2億円(課税価格の合計額)=1,350万円
子Aの税額:2,700万円(相続税の総額)×5,000万円(課税価格)÷2億円(課税価格の合計額)=675万円
子Bの税額:2,700万円(相続税の総額)×5,000万円(課税価格)÷2億円(課税価格の合計額)=675万円
⑦⑥で計算した各相続人の税額から各種の税額控除額を差し引いた残りの額が各相続人の納付税額になります。
妻:2,700×1/2=1,350万円⇒妻には「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」があり、課税価格が1億6,00万円又は法定相続分相当額までは相続税がかからないので、妻の納付税額は0円となります。
子A:675万円(納付税額)
子B:675万円(納付税額)
以下、課税価格の合計額、法定相続人の数、基礎控除額について説明します。
課税価格の合計額
課税価格の合計額は、以下のようにして計算します。
課税価格の合計額=
「相続や遺贈(死因贈与を含む)により取得した不動産・預貯金・有価証券・自動車・貴金属・貸付金などのプラスの相続財産」
+
「生命保険金(500万円×法定相続人の数を超える部分)と死亡退職金(500万円×法定相続人の数を超える部分)などのみなし相続財産」
+
「生前贈与された相続時精算課税にかかる財産全部」
+
「相続開始前3年以内に生前贈与された財産(暦年課税にかかる贈与)」
-
「借金・買掛金・未払金・保証債務・税金・損害賠償債務などのマイナスの相続財産」-
「非課税財産」
-
「葬式費用」
上記の財産で評価の必要なものは、価格のばらつきをなくすため「財産評価基本通達」をもとに価格を決めます。たとえば、土地は路線価または固定資産税評価額×倍率、建物は固定資産税評価額、現金・預貯金はそれぞれ死亡した日の残高、自動車は下取り査定価格などです。
なお、非課税財産は「墓地、墓石、位牌、仏壇、仏具、祭具などの日常礼拝をしている物」も含まれ、相続人が受け取った生命保険金や死亡退職金のうち、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の額までになります。
また、葬式費用とは、通夜、告別式、火葬などの過程で要する費用のことです。
法定相続人の数
基礎控除額、生命保険金や死亡退職金を計算するためには、法定相続人の人数が必要です。基本的には、被相続人の配偶者や被相続人と血縁関係にある人が法定相続人になることができます。
しかし、被相続人と血縁関係にある人であれば誰でも相続できるわけではなく、相続人の順位に従い法定相続人が決まります。
①配偶者は必ず相続人になります。その他は順位の高い人から順に相続していきます。
・第1順位 直系卑属(子および代襲相続人)
・第2順位 直系尊属(父母や祖父母)
・第3順位 兄弟姉妹および代襲相続人
※代襲相続人とは、本来相続するはずだった相続人に代わり、新たに相続人になった「本来の相続人の子」などのことを指します。
②法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
③被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、次のように制限されます。
❶被相続人に実子がいる場合は、養子の数は1人まで
❷被相続人に実子がいない場合は、養子の数は2人まで
基礎控除額
相続税では、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引くことができるため、課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば相続税がかかりません。
課税価格の合計額が基礎控除額を超えなければ、課税されることもなく申告も不要ですが、小規模宅地の特例などの適用を受ける場合には申告が必要です。
基礎控除額を計算する際にそのもととなる「法定相続人」が1人の場合、その基準となる基礎控除額は3,600万円になります。したがって、3,600万円以下は申告も納税も必要ありません。
基礎控除額の計算方法を見てみましょう。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
上記のとおり、基礎控除額は「法定相続人」の人数によって変わってきます。
例①法定相続人が2人の場合
基礎控除額:3,000万円+(600万円×2人=1,200万円)=4,200万円
例②法定相続人が3人の場合
基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人=1,800万円)=4,800万円
例③法定相続人が5人の場合
基礎控除額:3,000万円+(600万円×5人=3,000万円)=6,000万円
みんなは何に使っている?親の相続財産の使い道
みんなは親の財産を何に使っているのか、親の相続財産の使い道を確認しましょう。
インターネット上で紹介されている「親の相続財産の使い道」について、いくつか例を挙げて紹介します。
❶貯蓄する
❷ローン返済に充てる
❸住宅や不動産、車などの高額な物を購入する
❹資産運用して増やす(定期預金、株式運用、不動産投資など)
❺土地を賃貸などで活用する
➏必要のない不動産は売却する
❼寄付する
❽子供の大学進学の資金に充てる
❾保険商品の購入
❿旅行・趣味など
❿旅行・趣味など
相続でトラブルを経験したことがある割合
厚生労働省の「令和元年の人口動態統計の概況」によると、令和元年の志望者数は、1,381,093人でした。
最高裁判所の「令和元年司法統計年報 家事編」によると、令和元年の家庭裁判所への遺産分割協議調停申立件数は、15,842件でした。15,842÷1,381,093の算式により、家庭裁判所での調停となった割合は、1.1%でした。
遺産分割でのトラブルのうち、約3/4が遺産価額が5,000万円以下でした。
遺産分割でトラブルを防ぐ対策の1つとして、遺言書を作成すると良いでしょう。遺産を誰に、どれくらいの割合で残したいのか、ご自身の想いを残しておくことで、相続を円満に行うことができます。
遺言書を作成したことがある人はどのくらい?
遺言書を作成したことがある人はどのくらいいるのかを確認しましょう。
日本公証人連合会によれば、平成29年の公正証書遺言の作成件数は、110,191件でした。自筆証書遺言の正確なデータは分かりませんが、平成28年度の司法統計によると家庭裁判所での遺言書検認件数は、17,205件でした。
遺言書を作成したことがある人の中でも、公正証書遺言を作成している方が多いことが分かります。遺言書を作成した人は、どのような理由で作成したのでしょうか。
平成29年度法務省調査の「我が国における自筆証書による遺言に係る遺言書の 作成・保管等に関するニーズ調査・分析業務」によると、遺言書を作成した理由は、以下の通りです。
公正証書遺言を作成した理由
- 法律の専門家である公証人が確実に有効な遺言書を作成してくれるから
- 保管が確実であるから
- 家庭裁判所による検認の手続きが必要ないから
自筆証書遺言を作成した理由
- 自分で手軽に作成することが出来るから
- 作成の費用があまりかからないから
- 誰にも知られずに作成することができるから
まとめ
この記事では、相続財産の平均額、相続人の平均年齢、相続した財産額の内訳、相続財産額を子どもに知らせていない割合、相続税を支払っている人の割合、相続税の計算方法、親の相続財産の使い道などについて解説しました。
相続はそれぞれの家族にとって、避けては通れない問題です。相続に関する悩みは残された相続人ごとに異なることでしょう。
相続問題の円満な解決を望まれている方は、相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にぜひ一度相談することをおすすめします。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
ミライエ税務会計事務所 所長税理士
森田 和宏(もりた かずひろ)
未来へタスキを繋ぐ税理士です。
誰もがワクワクし未来に希望が持てる社会の実現を目指し、何より「想い」を大切に活動しております。
100人いたら100通りの相続のカタチがあり、想いを次の世代に繋げるための笑顔相続のお手伝いをしています。
サイトURL:https://www.miraie-taf.net/