代襲相続人を無視して相続手続きは可能?トラブル事例や対処法を解説!
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代襲相続人を無視して相続の手続きは出来る?
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が相続開始前に死亡する等して、相続人となれなかった場合、その人の子供が代わって相続人となる制度です。
本来相続人となるはずだった人に代わり相続人となった人は「代襲相続人」と呼ばれています。
この代襲相続人も法定相続人にカウントされるので、他の法定相続人が代襲相続人を無視し、遺産分割を進めることはできません。
例えば代襲相続人を除いて遺産分割協議を行っても、内容をとりまとめた遺産分割協議書に代襲相続人の署名・押印が無ければ無効となります。
遺産分割協議書を必要とする様々な相続手続き(例:相続登記、被相続人の預貯金口座の相続手続き等)も、代襲相続人を抜きにしては進められないので注意しましょう。
代襲相続のよくあるトラブル事例をご紹介!
こちらでは代襲相続人に係るトラブルの事例を3つ紹介します。
代襲相続人の存在を知らずに遺産分割
法定相続人の1人が亡くなり、その人に代襲相続人となる子供がいたにもかかわらず、その存在を知らずに遺産分割が行われた、というケースが該当します。
どこまで代襲相続できるかは被相続人との関係により、次のように異なります。
- 被相続人の直系卑属が相続人となる場合:被相続人の子供が死んだときは孫が代襲相続人、孫も死んでいたときはひ孫が再代襲相続人
- 被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合:被相続人の兄弟姉妹が死んだとき、甥姪が代襲相続人
代襲相続人の存在が判明した場合、代襲相続人抜きで決めた遺産分割、それに従って進めた相続手続きは無効です。
法定相続人が亡くなったときは必ず、その子供(被相続人から見て孫)や孫(被相続人から見てひ孫)がいないか、よく確認しておきましょう。
代襲相続人の存在を知っていながら遺産分割
代襲相続人の存在に気付いていながら、相続人達とは疎遠になっている、相続分を更に分けるのは嫌だ等を理由に、代襲相続人を無視しトラブルが発生したケースもあります。
他の相続人達は代襲相続人の存在を疎ましく思い、次のような行動を取る可能性があります。
- 相続人が代襲相続人に相続財産を開示せず、相続放棄を求める
- 相続人が遺産分割協議を勝手に進め、一方的に遺産分割協議書への署名だけを迫る
- 被相続人の遺言書があるのに、相続人が代襲相続人へ内容を開示しない
代襲相続人が何らかの対応をとらなければ、相続人が勝手に代襲相続人の遺産まで取得する可能性もあります。
代襲相続人が遺産分割に協力しない
他の相続人が代襲相続人を交え、遺産分割協議を進めたいにもかかわらず、代襲相続人が協力しないケースも考えられます。次のような理由で非協力的な態度になっている可能性があります。
- 遠方に住んでいて対応が面倒なので協力したくない
- 被相続人や他の相続人達とすっかり疎遠になっていて、遺産相続と言われてもピンとこない
しかし、代襲相続人にも相続権がある以上、相続手続きを他の相続人と共に進めていく必要があります。代襲相続人は責任感のある対応が求められます。
代襲相続でトラブルが起きてしまった場合の対処法
代襲相続のトラブルが発生した場合、それに対処するための方法はいろいろとあります。
もう一度、遺産分割をやり直す
相続人達が代襲相続人を疎ましく思っていたわけではなく、単にその存在を知らなかったというような場合は、遺産分割をやり直すのが最も良い方法です。
既に遺産分割協議を行っていた場合は、もう一度協議をやり直し、遺産分割協議書を作成しましょう。
また、自分一人しか法定相続人はいないと勘違いし、そのまま遺産全部を相続してしまった場合は、代襲相続人と遺産分割協議を行います。
相続人・代襲相続人との間で穏便に解決できるなら、円滑に相続手続きが進められるはずです。
調停・審判による解決する方法もある
相続人が代襲相続人の存在を疎ましく思って、遺産分割を勝手に進めていた場合、相続人と代襲相続人との話し合いによる解決は難しいかもしれません。
そんな時は、まず「遺産分割調停」を申立て、家庭裁判所の仲裁による解決を図りましょう。この場合に遺産分割調停を申し立てるのは、代襲相続人本人となるはずです。
その際、代襲相続人が他の相続人全員を相手方として申し立て、和解を図る手続きが開始されます。
調停手続では、当事者双方から事情を聴取し、必要に応じて資料等の提出を求められるはずです。そのうえで、解決案を提示・必要な助言を行い、双方の合意を目指します。
ただし、調停が不成立となった場合、自動的に審判手続が開始されます。審判手続では裁判官が一切の事情を考慮して、決定を下します。
調停・審判を検討する場合は弁護士へ相談しよう
遺産分割調停・審判を行う場合は、弁護士を立てる必要はありません。
しかし、申立てのための書類収集・作成をはじめ、調停・審判が開始された際の効果的な事実の主張・立証には、法律の専門家である弁護士のサポートが有効です。
代襲相続人と弁護士は遺産分割調停・審判を有利に進めるため、どのような対応をとっていくか事前によく相談しておいた方が良いでしょう。
代襲相続でトラブルが起きる前に注意すべき点!
代襲相続トラブルが起き、家庭裁判所での遺産分割調停・審判を行うまでに話し合いがこじれてしまうと、解決までに1年以上かかる可能性もあります。
なるべくトラブルが起きないよう次の点に注意しましょう。
相続が開始されたら必ず法定相続人の調査を行う
法定相続人となる人が、一見、被相続人の配偶者と子供(長男)の2人のみであった場合でも油断はできません。
被相続人が亡くなる前に実は子供(次男)が亡くなっていて、次男に子供がいた場合、その子供(被相続人からみて孫)が代襲相続人となります。ただし、子供が2人以上いても遺産分割の範囲は次男の相続分に限定されます。
代襲相続人が他の相続人達とどんなに疎遠となっていても、相続権があるという事実に変わりはありません。
法定相続人の存在は、被相続人の出生から死亡まで戸籍謄本(本籍地の市区町村で取得)で判明します。忘れずに戸籍謄本をチェックし、全ての法定相続人と遺産分割協議を行いましょう。
公正証書遺言を作成しトラブルに備える
被相続人が自分より早く子供を亡くしたという場合、被相続人は代襲相続に関するトラブルへ備えておいた方が良いでしょう。その場合には「遺言書」の作成が有効な方法です。
代襲相続人となる人にどんな遺産を相続させるかを、遺言書へ明記しておきます。ただし、自分一人で気軽に作成できる「自筆証書遺言」では、他の相続人等に破棄されたり、内容の改ざんや隠匿されたりするおそれもあります。
そのため、遺言内容を遺言者から聞き取り公証人が作成する「公正証書遺言」で、遺言内容を残した方が良いでしょう。
公正証書遺言を作成すれば、遺言書の原本が必ず公証役場に保管されます。また、平成元年以降に作成された公正証書遺言から、 公正証書遺言の検索システムが利用できます。
最寄り公証役場に遺言検索を申し出れば、無料で利用可能です。代襲相続人でも容易に遺言内容を確認できるので安心です。
代襲相続人も自分に相続権があることを自覚しよう
代襲相続人自身が、被相続人の遺産の相続権を有していると自覚することが大切です。
相続権に気付かないままでは、相続が開始されたとき他の相続人から遺産分割協議へ呼ばれず、勝手に遺産分割を進められてしまう可能性があります。
被相続人が亡くなった場合、誰と誰が法定相続人となるのか、自分には相続権があるのか無いのかも、事前に把握しておきましょう。
トラブルが起きる前に!不安なことは専門家に相談しよう!
代襲相続に関するトラブルが起き、遺産分割調停・審判を行う際は弁護士のサポートが有効です。しかし、トラブルが起きる前に弁護士へ相談しておけば、トラブルを回避する方法をいろいろとアドバイスしてくれるはずです。
また、代襲相続に関するトラブルの悩みの他、相続全般の疑問点・不明点がある場合は「円満相続ラボ」を利用しましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料でサポートしてくれます。
相続診断士は相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、相談者の悩みへ適切なアドバイスを行ってくれるはずです。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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