法定相続情報証明制度のメリット・デメリットについて解説!有効期限はある?

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遺産相続

法定相続情報証明制度とは?相続手続きを簡略化する制度!

法定相続情報証明制度は、2017年から利用が開始された比較的新しい制度です。本制度を利用すれば相続手続きの手間を大幅に簡略化でき、スムーズな申請が期待できます。

相続に関する諸手続き(例:相続登記、車の名義変更等)は、ご本人が亡くなった後に進められるので、引き継ぐ相続人が申請を行わなければいけません。

その時に行政機関等から求められる書類が「戸籍謄本」です。この書類で戸籍に記載されている全員の身分事項を証明でき、申請者と被相続人との関係がわかります。

しかし相続手続きを行う際、被相続人・相続人の戸籍謄本等の書類を何度も収集、提出する必要があります。この作業は相続人にかなり負担を伴う作業で、相続手続きがなかなか進まない原因となっていました。

そこで、円滑に手続きを進めることを目的に本制度が創設され、法務局の発行する「法定相続情報一覧図」を用いることで戸籍謄本を何度も収集する必要はなくなり、最低1セットで済むこともあります。

法定相続情報証明制度のメリットは?相続人の金銭的負担や時間的負担を軽減できる!

本制度を利用すると、主に相続人の大幅な金銭的・時間的負担の軽減が期待できます。

金銭的負担を軽減できる

本制度を利用する際は法務局から「法定相続情報一覧図」が交付されます。交付手数料は無料で、更に5年間は何度でも再発行が可能で、無料で再発行が可能です。

被相続人から遺産を引き継いだ相続人には不動産や車の名義変更、銀行口座の解約等、いろいろ手続きを行います。

その際、交付された法定相続情報一覧図で提出書類を代用できるケースもあります。そのようなケースでは、金銭的負担が軽減できます。

時間的負担を軽減できる

本制度では、登記に関する業務へ携わってきた登記官が戸籍の内容を確認し、大量の戸籍関係書類がA4用紙1枚で証明されるため、手続きの時間短縮につながります。

また、弁護士・司法書士・行政書士等の専門家に代理申請が可能なので、仕事で忙しく平日に窓口へ制度の利用を申請する時間がない方々も助かります。

その他、郵送申請ができるので、足腰のご不自由な人やご高齢の申請者がわざわざ窓口に向かう必要もありません。

法定相続情報証明制度のデメリットは?一部の金融機関は法定相続情報証明制度に対応していない!?

相続手続きの際は非常に便利な制度といえますが、利用の際は注意しなければいけない面もあります。

一部の金融機関では未対応

本制度は相続登記や各種年金手続き等に問題なく活用できますが、一部の銀行をはじめとした金融機関等では未対応となっている場合があります。

金融機関で被相続人の口座の解約を行う際は、まず金融機関のホームページや電話等でどのような提出書類が必要かを確認しましょう。

法務局から交付された法定相続情報一覧図では対応できない、という旨の断り書きや返答があった場合、従来通り被相続人や相続人の戸籍謄本等を収集する必要があります。

制度利用のための手続きには戸籍謄本等が必要

本制度を利用するためには、まず法務局に法定相続情報証明制度の申出を行います。その際は、被相続人の出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本や除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本等が必要です。

相続人が多いと、全員分の戸籍謄本等が揃うまで結構時間をかけてしまう場合もあります。本制度の利用をスムーズに開始するため、相続人間で協力し合うことが大切です。

ただし、この申出を終えれば、法定相続情報一覧図は何回でも再発行が可能となります。以後、戸籍謄本等の収集は不要となり、相続手続きが楽になるはずです。

法定相続情報証明制度で必要な手続きを解説!戸籍等の収集や法定相続情報一覧図の作成が必要!

本制度を利用したい場合は、必要書類の収集や法定相続情報一覧図の作成も行わなければいけません。ここでは必要書類の収集から法務局へ申し出るまでの流れを解説します。

ステップ1:法定相続情報証明制度の利用が必要かを確認

本制度は相続の際に必ずしなければならない手続きではありません。相続人が1人または2人くらい、名義変更を1つか2つだけすれば十分な場合なら、本制度の申出を行う必要性は薄いです。

ただし、被相続人に名義変更を要する遺産(不動産や預貯金・株券、車や船舶等)がたくさんある場合や、相続人が多い場合、相続税の申告が発生している場合も効率的です。

まず遺言書の内容や財産調査・相続人調査で、相続財産・相続人数を確認したうえで、本制度を申し出るべきかどうかについて判断しましょう。

ステップ2:戸籍謄本等を収集する

本制度の申出を行うと決めたら、被相続人・相続人全員の必要書類を揃えます。

(1)被相続人に関する書類

  • 出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本・除籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得
  • 住民票の除票:最後の住所地の市区町村役場で取得
  • 戸籍の附票:住民票の除票が取得できない場合に用意、本籍地の市区町村役場で取得

(2)相続人に関する書類

  • 相続人全員の戸籍謄本・抄本:被相続人が亡くなった日以後に用意、本籍地の市区町村役場で取得
  • 各相続人の住民票の写し:法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合のみ必要、住所地の市区町村役場で取得
  • 本人確認書類:申出人のみ必要、運転免許証やマイナンバーカード等のコピーを用意
  • 委任状:代理人をたてる場合に必要
  • ※郵送の場合は返信用封筒を忘れないようにしましょう。

ステップ3:法定相続情報一覧図の作成

被相続人と戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図の作成が必要です。被相続人の氏名・住所・本籍地・出生日・死亡日、各相続人の氏名・住所(任意)・出生日・続柄を明記します。

各相続人の住所を記入する際は、申出の際に住民票の写しの提出も必要です。

法定相続情報一覧図の様式・記載例は法務局のホームページにて公開されています。

法務局ホームページ「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

ステップ4:法務局(登記所)へ申出

書類を揃えたら、申出人が法務局(登記所)で申請手続きを行います。なお、申請を行う法務局(登記所)は次のいずれかです。

  • 被相続人の本籍地
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産所在地

申出人は上記の中から都合の良い法務局(登記所)で手続きを進めることができます。

法定相続情報証明制度の交付までに必要な期間は?

本制度の申出を行い窓口で受理されても、当日に法定相続情報一覧図が交付されるわけではありません。各法務局(登記所)にもよりますが約1週間はかかります。

すぐに交付はされないので、相続手続きの際に活用できるよう、前もって他の相続人達と協力し必要書類を集めておきましょう。

郵送で交付してもらうこともできますが、返送されるまで更に数日を要するので注意が必要です。

法定相続証明情報一覧図の有効期限は?提出先によっては有効期限を設けているケースあり!

法定相続情報一覧図が交付されていても、何年も前に交付された写しの場合、窓口によっては受け付けてくれない場合があります。

有効期限について

交付された法定相続情報一覧図自体に有効期限はありません。しかし、提出先の方で有効期限を設けているケースがあります。

  • 法務局:相続不動産の名義変更の際に使用、交付された一覧図(写し)に有効期限なし
  • 税務署:相続税申告の際に使用(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内)、交付された一覧図(写し)に有効期限なし
  • 金融機関・証券会社:銀行等で被相続人の口座解約の際に使用、交付された一覧図(写し)の有効期限を交付から3か月もしくは6か月と設定している場合あり

各金融機関・証券会社で有効期限の設定に差があります。有効期限に不安がある場合、窓口等に問い合わせ確認してみましょう。

なお、法定相続情報一覧図は5年間(申出日の翌年から起算)にわたり法務局へ保管されます。その間に無料で再交付は可能ですが、5年経過後は一覧図(写し)の再交付を受けられなくなります。

法定相続情報証明制度で不明な点があれば専門家に相談を

法定相続情報証明制度を利用したいけれど不明な点がある、申出をしたいのに戸籍謄本等がなかなか揃わないという場合、相続全般に深い知識を有する「相続診断士」へ相談しましょう。

相続診断士は相続に精通した専門資格者であり、無料で相談者の悩みに応じた的確なアドバイスを行ってくれます。

法律の専門家への橋渡しも担い、相談者の事情に応じた最適な士業専門家を選んでくれるでしょう。例えば、戸籍謄本の収集や財産調査等を依頼するなら行政書士、相続登記等の依頼なら司法書士、相続人間で揉めていたら弁護士を紹介してくれるので「相続診断士」への相談をおすすめします。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

この記事を監修したのは…

笠井 慎一

笠井行政書士事務所代表

笠井 慎一(かさい しんいち)

特定行政書士
東京都中野区で、日本一フットワークの軽い行政書士として、年間 250 件以上の相続手 続きを受任しています。手続きの範囲は金融機関のみならず、刀剣類の登録やマイレー ジの相続、ゴルフ会員権の名義変更など日常生活の手続きの多岐にわたっています。 ボウリング場や自動車学校、お寺と、実にさまざまな場所に伺って、煩雑な相続手続き を分かりやすく伝える講演会活動も行っています。

サイトURL:http://www.kasai-office.jp/ https://enman-souzoku.co.jp/media/nakano-kasaigyoseishoshi/

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