相続税をふるさと納税で節税する方法とは?要件や節税効果、注意点を解説

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ふるさと納税と相続税の基本知識
ふるさと納税は地域への貢献を目的とした税制上の優遇措置であり、相続税は相続財産に課される税金です。まず、ふるさと納税と相続税の基本的な仕組みや特徴について詳しく解説します。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、自分の故郷だけでなく自由に地域(地方自治体)を選び「寄付」をして、地域の特産品等をはじめとした返礼品が受け取れる制度です。
最近では魅力的な返礼品が話題となり、多くの寄付が集まり、地方財源を支える重要な柱となっている地方自治体も多いです。
地域経済の活性化に一役買っているふるさと納税ですが、本制度の利点は返礼品の取得だけではありません。
この制度を利用すれば、自分が住んでいる納税地を管轄する税務署に申告・納付する所得税や、地方自治体に納める住民税の減税措置も受けられます。
ふるさと納税の仕組み
相続税は、遺産の総額から基礎控除額を引いた「課税遺産総額」に基づいて計算されます。課税対象が多いほど、相続税の負担も増える仕組みです。
しかし、「ふるさと納税」を利用して相続財産を寄付すると、「寄付金控除」が適用されます。この控除によって、寄付した金額分が課税対象から外れます。その結果、課税遺産総額が減少し、相続税を軽くすることが可能です。
さらに、相続税は累進課税制度を採用しており、課税対象額が多いほど高い税率が適用されます。ふるさと納税で課税対象額を減らすと、適用される税率が下がることもあります。これにより、相続税全体をさらに軽減できる可能性があります。
簡単に言えば、ふるさと納税は相続財産を減らしつつ、税負担を軽くするための一つの方法です。ただし、利用にはルールがあるため、正しく手続きを行うことが大切です。
ふるさと納税の控除額と上限額の調べ方
ふるさと納税の控除額は、所得税と住民税の両方で受けることができます。それぞれの控除額は計算式によって決まります。
1.所得税からの控除
所得税の控除額は、次の計算式で求められます。
(ふるさと納税額−2,000円)×所得税の税率
控除の対象となる寄付金額は、年間の総所得の40%までが上限です。
また、令和19年中の寄付までは、復興特別所得税を含む税率が適用されます。所得税の税率は課税所得に応じて段階的に高くなる仕組みです。自分に適用される税率は、国税庁の資料やウェブサイトで確認できます。
2.住民税からの控除
住民税の控除は、「基本分」と「特例分」の2つに分けられます。
(1)基本分
(ふるさと納税額-2,000円)×10%
基本分は、総所得金額の30%が上限です。
(2)特例分
(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)
特例分は、住民税所得割額の20%が上限となります。
ただし、特例分が上限を超える場合には、以下の式で計算します。
(住民税所得割額)×20%
この場合、控除額の合計が「ふるさと納税額 – 2,000円」に満たず、実質負担額が2,000円を超えることがあります。
相続税の基礎知識
相続税は、亡くなった人(被相続人)から財産を受け取った人に課される税金です。この税金は、現金や不動産、株式などの財産が対象になります。相続税について知っておくと、事前に準備をして負担を軽減することができます。
相続税における非課税財産とは
相続税は、財産を受け取ったときに課される税金ですが、一部の財産は非課税として扱われます。これを知っておくと、相続税の負担を軽減できる可能性があります。以下に、非課税となる主な財産についてわかりやすく説明します。
1.墓地や仏具などの祭祀財産
お墓や仏壇、仏具といった祭祀に関する財産は、非課税です。これらは、金銭的な価値を超えた宗教的・文化的な意義があると考えられています。ただし、骨董品として価値が高いものは課税対象になることがあります。
また、葬儀費用も相続財産から控除できますが、香典返礼品の費用は控除対象外ですので注意してください。
2.弔慰金
故人が勤務していた会社から支給される弔慰金も一定額までは非課税です。具体的には以下の金額までが非課税になります。
- 業務中に死亡した場合:月額給与(賞与を除く)の36か月分
- 業務外で死亡した場合:月額給与の6か月分
3.公益目的で使われる財産
相続した財産を宗教、教育、慈善活動などの公益事業に使用する場合は非課税になります。たとえば、寺社の維持や学校運営に財産を使う場合などが該当します。
4.心身障害者扶養共済制度による年金
障害のある方を扶養していた保護者が亡くなった場合、「心身障害者扶養共済制度」による年金が支給されます。この年金は、非課税として扱われます。
5.生命保険金と退職手当金の非課税枠
生命保険金や退職手当金も一部が非課税です。非課税となるのは次の計算式で求めた金額までです。
500万円 × 法定相続人の数
たとえば、法定相続人が3人の場合は1,500万円が非課税となります。ただし、生命保険金の契約者や受取人によって非課税枠が適用されない場合もあります。契約内容については、事前に確認しておきましょう。
6.個人経営の幼稚園の財産
個人経営の幼稚園に使われていた財産も、一定の条件を満たせば非課税とされます。これには、相続人が引き続き幼稚園を経営することが必要です。
7.公益団体や公共事業への寄付
国や地方公共団体、公益目的の事業を行う法人への寄付に使った財産は非課税になります。また、公益信託の信託財産として使われた財産も非課税です。寄付は相続税の申告期限内に行う必要があるので注意が必要です。
寄付金控除の概要
寄付金控除とは、個人が国や地方自治体、特定の公益団体などに寄付をした場合、その寄付額の一部を所得から差し引ける制度です。この控除を受けることで、所得税や住民税の負担を軽減できます。寄付金控除の対象となるのは、「特定寄付金」と呼ばれる種類の寄付です。これには、公共の利益のために使用される寄付が含まれます。
また、政治活動に関する寄付や、認定NPO法人などに対する寄付の一部については、所得控除だけでなく「税額控除」を選ぶことも可能です。税額控除では、寄付額の一定割合が直接税金から引かれる仕組みとなり、場合によっては所得控除よりも大きな節税効果を得られることがあります。
ふるさと納税を利用した相続税対策の方法
ふるさと納税を利用すれば、寄付金を相続財産から控除できます。一定の要件をクリアすれば、返礼品を受け取れるうえに、相続税の節税も可能となります。
ただし、寄付したお金の全額が控除対象となるわけではありません。
「寄付金×相続税率」で控除額を算定します。
ふるさと納税で相続税が軽減される仕組み
ふるさと納税は、基本的に自分の収入から寄付金を支払う仕組みであり、相続税とは直接的な関係はありません。しかし、相続税には「寄付金控除」という制度があり、これを活用することで相続税の節税効果を得ることができます。寄付金控除は、亡くなった人が遺した財産を使って特定の寄付を行った場合、その寄付額を相続財産の価額から差し引くことができる制度です。この控除を活用することで、課税対象となる相続財産の総額を減らし、結果的に相続税の負担を軽くすることができます。
相続税は、遺産の価額に税率をかけて計算される仕組みです。そのため、相続財産の価額が高ければ税額も増えますが、寄付金控除を利用することで課税対象額を減らすことが可能になります。
ふるさと納税を通じた寄付金控除の利用は、寄付を通じて地域に貢献しながら相続税の負担を減らす方法として有効です。ただし、控除を受けるためには適切な手続きが必要であり、寄付が控除の対象となるかどうかも確認しなければなりません。必要に応じて専門家に相談することで、手続きの不備を防ぎ、より効果的な節税対策ができるでしょう。
相続財産を活用したふるさと納税の具体例
相続財産を利用してふるさと納税を行った場合、どのように節税につながるのか具体例を見てみましょう。
たとえば、相続財産が1億円あるケースを考えます。このうち500万円をふるさと納税として寄付すると、その金額が課税対象から控除されます。結果として、課税対象額は9,500万円に減少します。このように、寄付による控除が相続財産の評価額を引き下げることで、相続税の負担を軽減することが可能です。
ふるさと納税を節税に活用した場合の減税額の計算方法

ふるさと納税を節税に活用した場合の減税額の計算方法を、具体例をあげながら紹介します。
大きな減税措置が適用される特例を確認する
相続税の負担を減らすためには、いくつかの特例や控除を活用できます。それぞれの仕組みを簡単に説明します。
1.障害者控除
障害のある相続人が85歳未満の場合、相続税から一定額が控除されます。控除額は「10万円×(85歳-相続時の年齢)」で計算します。特別障害者の場合は、この額が倍になります。仮に控除額が相続税を超えた場合、扶養義務者の相続税から差し引くことが可能です。
2.未成年者控除
相続人が20歳未満の場合も控除があります。計算式は「10万円×(20歳-相続時の年齢)」です。たとえば、16歳で相続する場合、40万円が控除されます。控除額が足りない場合は、扶養義務者の相続税から控除できます。
3.生前贈与の加算と控除
被相続人が亡くなる3年前までに贈与を受けた財産は、相続税の計算に加算されます。贈与税をすでに支払っている場合、その分は控除されるので、二重課税にはなりません。生前贈与を活用する場合は、早めに計画することが重要です。
4.相次相続控除
短期間で続けて相続が発生した場合、前回の相続税額を考慮して控除が受けられます。たとえば、10年以内に相続が起きた場合、前回納めた税額の一部を控除できます。具体的な計算は複雑なので、専門家に相談すると安心です。
5.配偶者控除
配偶者が相続する場合、特例として大幅な税額軽減が受けられます。控除される範囲は「1億6千万円」または「法定相続分」のどちらか多いほうです。この特例を使えば、配偶者が取得する財産には相続税がかからないケースが多いです。ただし、将来の子どもへの相続を考慮して計画を立てる必要があります。
6.小規模宅地等の特例
被相続人が使用していた土地を相続する場合、特例を利用して土地の評価額を最大80%減額できます。たとえば、自宅の敷地や事業用地であれば、それぞれ決められた面積まで適用されます。この特例は節税効果が非常に高いため、条件に該当するかどうかを確認することが重要です。
被相続人の遺産から差し引ける費用等を確認する
相続税を計算するとき、被相続人の遺産から引ける費用には「債務」と「葬式費用」があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.債務について
被相続人が亡くなった時点で存在していた借金や未払いの支払いがある場合、それらは遺産から差し引くことができます。たとえば、住宅ローンやクレジットカードの未払い分などが該当します。また、被相続人が生前に課税された税金(例:所得税)で、死亡後に相続人が支払うものも差し引けます。ただし、延滞税や罰金など、相続人が負担することになったものは控除できません。
2.葬式費用について
葬式のためにかかった費用も遺産から差し引けます。具体的には、お通夜や告別式の費用、寺院へのお布施などが該当します。ただし、香典返しや法事の費用など、葬儀後に発生した支出は控除の対象になりません。
これらの費用を正確に把握して申告すれば、相続税の負担を軽減できます。申告の際は領収書や証拠書類を用意しておくと安心です。
また、この差し引いた金額(純資産価額)から、更に相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も利用すると、課税される遺産総額は0円になる場合があります。
ふるさと納税を利用した相続税計算例
例をあげて、ふるさと納税(基礎控除)を活用した場合、しなかった場合を比較してみましょう。
なお、相続税額は下表のように税率と控除額を考慮し算定します。
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~1,000万円以下 | 10% | 0円 |
~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
~1億円以下 | 30% | 700万円 |
~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超~ | 55% | 7,200万円 |
【事例1】遺産総額1億円の場合
被相続人が1億円の遺産(預貯金・現金)を相続人1名に残したケースを考えます。
葬儀費用が370万円で債務がない場合、純資産価額は以下のように計算されます。
遺産総額:1億円
葬儀費用:370万円
純資産価額:1億円-370万円=9,630万円
次に、相続税の基礎控除を適用します。
基礎控除の計算式は以下の通りです:
3,000万円+600万円×相続人の数
相続人が1名の場合、基礎控除額は3,600万円となります。
課税価格:9,630万円-3,600万円=6,030万円
この6,030万円が課税対象となる遺産総額です。
【事例1】遺産総額1億円の場合
被相続人が1億円の遺産(預貯金・現金)を相続人1名に残したケースを考えます。
葬儀費用が370万円で債務がない場合、純資産価額は以下のように計算されます。
遺産総額:1億円
葬儀費用:370万円
純資産価額:1億円-370万円=9,630万円
次に、相続税の基礎控除を適用します。
基礎控除の計算式は以下の通りです:
3,000万円+600万円×相続人の数
相続人が1名の場合、基礎控除額は3,600万円となります。
課税価格:9,630万円-3,600万円=6,030万円
この6,030万円が課税対象となる遺産総額です。
200万円をふるさと納税で寄付した場合、課税対象額が変わります。
純資産価額:1億円-200万円(ふるさと納税)-370万円(葬儀費用)=9,430万円
基礎控除を差し引くと:
課税価格:9,430万円-3,600万円=5,830万円
税率30%、控除額700万円で計算すると
相続税額:5,830万円×30%-700万円=1,049万円
【事例2】ふるさと納税をしない場合との比較
ふるさと納税を活用しなかった場合、課税対象額6,030万円に基づき、税率と控除額を用いて相続税を計算します。
税率は30%、控除額は700万円です。
相続税額:6,030万円×30%-700万円=1,109万円
- ふるさと納税を活用しなかった場合の相続税額:1,109万円
- ふるさと納税を活用した場合の相続税額:1,049万円
結果:ふるさと納税を活用することで、相続税を60万円軽減できます。
この事例から、ふるさと納税を活用することで、相続税負担を減らせることが分かります。ただし、寄付金額や遺産内容により効果は異なるため、具体的な計算は専門家に相談するのがおすすめです。
ふるさと納税以外の相続税対策
相続税対策にはさまざまな方法がありますが、ふるさと納税以外にも有効な手段がいくつかあります。その中で代表的なのが「生前贈与」です。
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前に財産を家族などに贈与することをいいます。贈与の際には「暦年贈与課税」と「相続時精算課税」の2つの制度が選べます。
暦年贈与課税は、1年間に110万円までの贈与であれば贈与税がかからず、税務署への申告も不要です。この仕組みを使えば、毎年少しずつ財産を移転させることで、相続時に課税対象となる財産を減らすことができます。
たとえば、年間250万円を孫に贈与した場合、110万円を超えた140万円が課税対象になります。税率が10%の場合、贈与税は14万円です。これを続けることで相続財産を計画的に減らせます。
一方、相続時精算課税は、生前贈与の総額が2,500万円までは非課税となる制度です。ただし、贈与された財産は相続時に再度課税対象となります。
この制度の特徴は、贈与時の価格がそのまま相続税の計算に使われる点です。将来的に価値が上がる可能性が高い不動産や株式をこの制度で贈与すれば、評価額を低く抑えることができ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。
ただし、この制度は60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子や孫に贈与する場合に限定されており、適用するには税務署への届出が必要です。
ふるさと納税を相続税の非課税財産とするための要件
ここでは、ふるさと納税を相続時の非課税財産とするための要件を解説します。この要件を満たさないと、ふるさと納税をしても無駄になってしまうので、注意しましょう。
寄付金控除を受けるための条件
寄付金控除を受けるための条件は、①申告期限までに寄付を完了させる、②相続財産をそのまま寄付に充てる、③相続税の申告書第14表の提出、④寄付金受領証明書の添付の4つです。それぞれ詳しく解説します。
申告期限までに寄付を完了させる
ふるさと納税を相続税対策として活用するには、申告期限までに寄付を完了することが重要です。この申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内と決められています。この期間内にふるさと納税を行わなければ、寄付金控除を適用することはできません。
相続税の寄付金控除は、租税特別措置法で「申告書の提出期限までに寄付が完了していること」と定められています。これには、遺産分割協議を期限内に終わらせ、相続で取得した財産を寄付することが含まれます。たとえば、遺産分割の話し合いが長引いて申告期限を過ぎた場合、その後に行った寄付は控除の対象にはなりません。
相続税の申告期限は厳格に守る必要があります。そのため、ふるさと納税を検討している場合は、遺産分割のスケジュールを早めに計画し、寄付の手続きを期限内に終えられるよう準備することが大切です。
相続財産をそのまま寄付に充てる
ふるさと納税を利用して相続税の控除を受けるには、寄付する財産が相続や遺贈で受け取ったものそのままである必要があります。つまり、現金や預貯金など、相続時に取得した形のまま寄付を行うことが条件です。
たとえば、不動産や株式を相続した場合、それらを売却して現金化し、そのお金を寄付に使っても控除は認められません。寄付金控除が適用されるのは、あくまでも「相続時点の財産を直接寄付に充てた場合」に限られます。
相続税の申告書第14表の提出
相続税の寄付金控除を受けるためには、申告時に「申告書第14表」を提出する必要があります。この書類の重要なポイントは、ふるさと納税で寄付した内容を明確に記載することです。
申告書第14表の下部には、特定の公益法人や公益信託に寄付した相続財産について記載する欄があります。ここに、寄付を行った日付や具体的な財産内容を正確に記入します。たとえば、寄付金の額や寄付した財産の詳細を漏れなく記載することが求められます。
寄付金受領証明書の添付
相続税の控除を受けるためには、「寄附金受領証明書」を申告書に添付して提出することが必要です。この証明書は、ふるさと納税を行った地方自治体から発行されます。
証明書の発行期間は自治体によって異なり、申込完了から受け取るまでに2週間程度で届く場合もあれば、2か月近くかかる場合もあります。そのため、申告期限に間に合うよう、早めにふるさと納税の手続きを行うことが重要です。
また、寄附金受領証明書が申告書に添付されていない場合、控除が認められない可能性があります。相続税申告に必要な他の書類とともに証明書を準備し、余裕を持って申請できるよう計画的に進めましょう。
ふるさと納税を活用した相続税控除の注意点
以下では、ふるさと納税を活用した相続税控除の注意点をいくつか紹介します。控除金額の上限や、確定申告の必要性などについて解説します。
ふるさと納税における控除の限界とリスク
ふるさと納税には控除の上限額があり、これを超えた分は自己負担となります。また、返礼品が一時所得として課税される場合もあるため、注意が必要です。相続税対策として利用する際は、上限やリスクをよく確認し、計画的に進めましょう。不安な場合は専門家に相談するのがおすすめです。
控除上限額を超えないよう注意
ふるさと納税には、年収や家族構成によって決まる控除の上限額があります。この上限を超える金額を寄付しても、その分は控除の対象になりません。
結果として、自己負担が増える可能性があるため、寄付する前に上限額をしっかり確認しておくことが大切です。
計算が難しい場合は、税務相談を活用すると安心です。
遺言書による寄付では控除が適用されない
遺言書に「遺産を寄付する」という指示があった場合、その寄付は被相続人の意思に基づくものとみなされます。この場合、寄付金控除の特例は適用されません。
控除が適用されるのは、相続発生後に相続人自身の判断で寄付を行った場合に限られます。
つまり、控除を受けるには、相続人が遺産を自由に処分できる状況で、自らの意思で寄付を決める必要があります。遺言書に寄付の指示を記載する場合は、まず総務省のウェブサイトを参考にして詳細を確認しましょう。その上で、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
換価した財産は対象外
相続した財産を売って、そのお金をふるさと納税で寄付しても、相続税の寄付金控除は受けられません。
なぜなら、この控除が適用されるのは、相続で得た財産そのもの(現金や生命保険金など)を寄付した場合に限られるからです。
例えば、相続で手に入れた土地を売り、そのお金をふるさと納税で使ったとしても、その寄付は控除の対象外です。ふるさと納税はできますが、相続税の優遇措置は受けられない点に注意しましょう。
返礼品の一時所得に注意
ふるさと納税でもらえる返礼品には、所得税がかかることがあります。これを「一時所得」といいます。
例えば、もらった返礼品の合計額が1年間で50万円を超えると、一時所得が発生します。その結果、所得税や住民税が増える可能性があります。
ふるさと納税をする際は、返礼品の金額に気をつけましょう。他の一時所得と合わせて50万円以下に収まるように計画することが大切です。
生活費や納税資金への影響を考慮
相続財産をふるさと納税に使うときは、生活費や納税に支障が出ない範囲で行いましょう。
相続税は、基本的に現金で一括払いする必要があります。そのため、ふるさと納税で使える財産は現金や預金が中心です。生活費や税金を支払うお金が不足すると困るため、計画的に寄附することが大切です。
ふるさと納税で相続税が0円になった場合も申告が必要
ふるさと納税を使って相続財産を寄附し、相続税が0円になった場合でも、相続税の申告が必要です。
これは、寄附金控除を受けるために「ふるさと納税をした証明書」を申告期限内に提出しなければならないからです。申告期限を過ぎると控除が受けられなくなってしまいます。
「相続税がかからないから大丈夫」と思わず、必ず期限内に申告を行いましょう。忘れないように、計画的に準備することが大切です。
まとめ:ふるさと納税を活用した相続税対策のポイント
ふるさと納税は、地域貢献と節税の両方を実現できる有効な方法です。ただし、控除の条件や手続きには注意が必要です。相続税対策として利用する際は、正しい知識と計画が欠かせません。不明点があれば専門家に相談し、確実に進めるようにしましょう。
ふるさと納税は相続税対策に有効な手段
ふるさと納税を活用すれば、寄付金控除を利用して相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できます。この仕組みは、寄付金が課税対象額から控除されることで、結果的に税額が抑えられるためです。また、累進課税制度を採用している相続税では、課税対象額を減らすことで適用税率が低くなる場合もあります。
非課税財産として認められるための要件を確認
寄付金控除を受けるためには、
- 申告期限までに寄付を完了させる
- 相続財産をそのまま寄付に充てる
- 相続税の申告書第14表の提出、
- 寄付金受領証明書の添付
という4つの条件を満たす必要があります。
控除上限額や注意点を把握して適切に活用する
ふるさと納税には控除の上限額があり、これは寄付者の所得や家族構成によって異なります。上限を超えた分の寄付は控除されないため、事前に計算して寄付額を決めることが重要です。
また、返礼品の一時所得や生活費・納税資金への影響にも注意が必要です。一時所得の合計が50万円を超えると課税対象になるため、他の所得と合わせて計画的に調整しましょう。
難しい手続きや不明な点は、専門家に相談する
ふるさと納税を活用した相続税対策では、寄付金控除や証明書の提出手続きが必要です。しかし、控除の適用条件や相続税の計算は複雑で、間違いがあると控除を受けられないこともあります。そのため、専門的な知識を持つ税理士や相続に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、安心して手続きを進められるでしょう。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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この記事を監修したのは…

大野紗代子税理事務所 代表税理士/障害児家庭のお金と将来相談室 代表
大野 紗代子(おおの さよこ)
相続税申告はもちろん、相続が発生する前からの相続対策コンサルティング、遺言書の作成、民事信託、成年後見など、個人の資産に関する相談に幅広く対応しています。さらに、私自身が障害児の母親であることから、障害児家庭における資産に関する相談にも注力しております。
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