ふるさと納税は相続税の節税対策になる?要件やデメリットを解説!
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ふるさと納税とは?相続税との関係を解説
ふるさと納税とは、自分の故郷ばかりでなく自由に地域(地方自治体)を選び「寄付」をして、地域の特産品等をはじめとした返礼品が受け取れる制度です。
最近では魅力的な返礼品が話題となり、多くの寄付が集まり、地方財源を支える重要な柱となっている地方自治体も多いです。
地域経済の活性化に一役買っているふるさと納税ですが、本制度の利点は返礼品の取得だけではありません。
この制度を利用すれば、自分が住んでいる納税地を管轄する税務署に申告・納付する所得税や、地方自治体に納める住民税の減税措置も受けられます。
また、ふるさと納税をうまく利用すると、相続税の軽減にもつながります。
ただし、ふるさと納税をすれば自動的に相続税が軽減されるわけではありません。
申告期限や寄付対象となる財産を確認し、税務署へ相続税を軽減するためには正しい申告が必要です。
ふるさと納税は相続税の節税対策になる?その理由を解説
ふるさと納税を利用すれば、寄付金を相続財産から控除できます。一定の要件をクリアすれば、返礼品を受け取れるうえに、相続税の節税も可能となります。
ただし、寄付したお金の全額が控除対象となるわけではありません。
「寄付金×相続税率」で控除額を算定します。
例えば、200万円を寄付した場合、税率20%が適用される相続人ならば、40万円の控除額となります。
ふるさと納税で相続税が節税できる要件を解説!
ふるさと納税で相続税を節税するには次の要件へ合致する必要があります。
- 遺言書で指定された寄付ではない(相続人の自主的な寄付)
- ふるさと納税前に遺産分割協議が完了している
- 相続税の申告期限までに寄付し、相続税申告の際に寄付金受領証明書を添付する
- 相続で取得した現預金等を寄付した場合のみ適用され、不動産や株式等を換金して寄付したものは対象外
- 返礼品の総額が50万円を超えない(50万円を超えれば一時所得になるため)
なお、相続税の申告期限は被相続人の亡くなった事実を知った日の翌日から10カ月以内です。申告期限前に、ふるさと納税を利用しなければいけません。
遺産分割で相続人が揉めてしまうと、ふるさと納税を利用するタイミングも失ってしまう場合があるので注意しましょう。
ふるさと納税で相続税の節税対策をするメリット・デメリットとは?
ふるさと納税を利用すれば、返礼品が受け取れて節税もできる反面、控除対象となる財産は限定される点に注意しましょう。
メリット
ふるさと納税を利用するメリットは、やはり返礼品がもらえて相続税の節税(相続税の寄付金控除)もできるという点でしょう。
また所得税・住民税の寄付金控除との併用が可能です。
デメリット
ふるさと納税は、相続財産で引き継いだ現金や預貯金の寄付が対象です。
被相続人から引き継いだ不動産、株式等を売却して現金化しても、控除は適用されません。
そのため、不動産を多く相続し、相続税対策を行いたい相続人は、別の特例措置(例:小規模宅地等の特例)の利用を検討しましょう。
なお、所得税・住民税の控除を受ける場合には、寄付の上限額があるため注意が必要です。
ふるさと納税で相続税を節税する方法!申告方法を解説!
ふるさと納税をしても、税務署が自動的に控除対象としてくれるわけではありません。
相続人が相続税申告の際、手続きを行う必要があります。
手続きの手順は次の通りです。
- 寄付をした地方自治体から「寄付金受領証明書」を受け取る
- 相続税の申告の準備に入る
- 管轄税務署に申告する
寄付金受領証明書の発送目安は、各地方自治体で差が大きいです。申込完了日から2週間〜2ヵ月程度となっています。
寄付金受領証明書が届いたら相続税申告書第14表に必要事項を記載し、申告書に証明書を添付したうえで、被相続人の最後の住所地を管轄する税務署に提出します。なお、提出の際に費用はかかりません。
ふるさと納税を節税に活用した場合の減税額の計算方法
例をあげて、ふるさと納税(基礎控除)を活用した場合、しなかった場合を比較してみましょう。
なお、相続税額は下表のように税率と控除額を考慮し算定します。
法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~1,000万円以下 | 10% | 0円 |
~3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
~5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
~1億円以下 | 30% | 700万円 |
~2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
~3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
~6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超~ | 55% | 7,200万円 |
(例)被相続人の遺産7,000万円(預貯金・現金)を相続人1名が相続した
- 遺産:預貯金・現金7,000万円
- 葬儀費用:370万円
- 債務:なし
遺産7,000万円-葬儀費用370万円=純資産価額6,630万円
相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を利用する場合
3,000万円+600万円×1人=3,600万円
課税価格6,630万円-基礎控除額3,600万円=3,030万円
課税遺産総額3,030万円が課税対象となります。
(1)ふるさと納税を活用しなかった場合
上の表をみると、税率20%・控除額は200万円なので
課税遺産総額3,030万円×税率20%-200万円=相続税額406万円
相続税額は406万円です。
(2)ふるさと納税を活用した場合
200万円をふるさと納税で寄付した場合の計算式は下記のとおりです。
7,000万円-200万円(ふるさと納税分)-370万円(葬式費用)=6,430万円
6,430万円-3,600万円(基礎控除)=2,830万円
課税遺産総額2,830万円×15%-50万円=相続税額374.5万円
ふるさと納税を活用した方が、31万5千円の減税となります。
ふるさと納税で相続税の節税対策をする場合の注意点を解説!
ふるさと納税で相続税の軽減を図る際の注意点、そして、本制度の相続税対策でわからない点があった場合の相談先について説明しましょう。
大きな減税措置が適用される特例を確認する
ふるさと納税による控除額よりも、はるかに大きな減税効果が期待できる特例措置も用意されています。
例えば「配偶者の税額の軽減」制度は、被相続人の配偶者のみ対象となりますが、本制度の利用で次のような減税効果を得られます。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
相続した財産がどちらか多い金額までは、配偶者に相続税がかかりません。このような制度が適用されるならば、無理にふるさと納税で相続税の控除を行う必要はないです。
特例制度の中には厳格な条件を設定しているものもありますが、相続人本人にとって最も効果的な節税方法を確認しておきましょう。
その他にも減税措置となる特例はあります。詳しくは相続のプロに相談することをおすすめします。
被相続人の遺産から差し引ける費用等を確認する
被相続人の遺産から、まず葬儀費用や生前の被相続人の債務(例:借金)を差し引けます。
この差し引いた金額(純資産価額)から、更に相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)も利用すると、課税される遺産総額は0円になる場合があります。
その場合には相続税が課税されないので、控除可能な費用・債務等はしっかりと確認しておきましょう。
不明な点はプロに相談しよう
ふるさと納税により、相続税の軽減を図る方法でよくわからない点があれば、税理士に相談してみましょう。税金に関する専門知識を有する税理士ならば、的確な節税方法のアドバイスが期待できます。
また、相続に関係する税金や節税等で不明点・疑問点があれば、相続全般の専門知識を有する「相続診断士」にまず相談してみましょう。
相続診断士は有資格者なので、相談者の悩みや不明点へ的確なアドバイスを行います。相続診断士の助言を受けつつ、円滑に相続手続きを進められるはずです。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
大野紗代子税理事務所 代表税理士/障害児家庭のお金と将来相談室 代表
大野 紗代子(おおの さよこ)
相続税申告はもちろん、相続が発生する前からの相続対策コンサルティング、遺言書の作成、民事信託、成年後見など、個人の資産に関する相談に幅広く対応しています。さらに、私自身が障害児の母親であることから、障害児家庭における資産に関する相談にも注力しております。
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