遺産の相続に借金があった場合の対応策や確認方法について紹介!
Contents
遺産相続には借金も含まれる!?
相続が発生した場合、故人の残した財産には土地や建物の不動産資産、預金や現金等の金融資産があることでしょう。これらはプラスの財産と言えます。
一方で、マイナスの財産も存在する可能性があります。例えば債権者に返済しきれていない借金、住宅ローン等が該当します。被相続人の財産を相続する場合、こちらのマイナスの財産を負うリスクがあります。
遺産の借金の確認方法とは?3ヶ月以内に確認が必要です!
相続が開始されプラスの財産ばかりに注目していると、マイナスの財産(債務)を見過ごす可能性があります。借金等の返済を債権者から求められ慌てる前に、故人の財産を債務も含めて確認しておきましょう。相続開始を知った日から3ヶ月以内で確認するべきです。
亡くなってから3ヶ月以内に確認する理由
故人のマイナスの財産がプラス財産より多かった場合、無理に相続をしなくても良い制度があります。それが「相続放棄」「限定承認」という制度です。ただし、いずれも相続の開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所で申し立てを行う必要があります。
なるべく3ヶ月以内に相続をするかしないか判断したいものです。とても3ヵ月だけでは故人の財産状況が把握できないなら、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てることができます。そうすれば期間を延長してもらうことができます。
また、財産の確認方法は次の通りです。
故人の預金通帳や保管してある領収書等を確認
故人名義となっている通帳をチェックし、引き落としの内容をみてみましょう。 通帳を確認すれば毎月の返済履歴がわかるはずです。その他、故人が保管または故人あてに届いた請求書・領収書を収集します。
また、債権者(お金を貸した銀行等)から借金支払いの催促の連絡が来たら、借りた本人が亡くなったことを告げ、借金返済の状況等を確認しましょう。
金融機関等の借金を確認
借金やローン、クレジットカード等の返済状況を詳しくチェックしたい場合「信用情報機関」と呼ばれる団体へ照会を求めることができます。信用情報機関とは、債務者本人の借金等のデータを管理している団体のことです。信用情報機関には次の団体があります。
・銀行・信用金庫等から借りていた場合→全国銀行個人信用情報センター
・クレジットカード会社から借りていた場合→株式会社シー・アイ・シー
・消費者金融等から借りていた場合→株式会社日本信用情報機構
情報を開示してもらう場合は手続きが必要です。基本的に次の書類が必要となります。
・開示申込書
・申請する人の本人確認書類
・申請する人が法定相続人であることを証明する書類(戸籍謄本等)
・借りた本人が死亡したことを証明する書類(除籍謄本等)
・手数料
これらの書類を集め、申請手続きを行います。いずれの団体も郵送で対応しています。シー・アイ・シーや日本信用情報機構に申請する場合は、インターネットや窓口でも開示が可能です。
相続した遺産に借金があった場合の対応策3選
故人が借金等を残していた場合には、次の3つの方法で対応できます。
単純承認
単純承認は故人の財産の他、その債務も全て引き継ぐ方法です。相続開始を知った日から3ヵ月以内に限定承認または相続放棄の手続きを行わないと、この単純承認を選択したことになります。
仮に故人が借金等を残していたとしても、プラスの財産よりも少ない金額で収まるなら、単純承認をした方が良いでしょう。
借金等のマイナスの財産があるからといって、相続人に不利となるケースばかりではありません。相続税を計算する場合は、相続財産からマイナスの財産が差し引けます。そのため、相続税を軽減できたり、納税が不要となったりすることもあるのです。
限定承認
限定承認は相続の際に得た財産を限度に、故人の借金を弁済する方法です。原則として相続の開始を知った日から3ヵ月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
この方法を選べば、相続した財産以上の借金を弁済する必要はありません。なお限定承認を行っても、後から発見されたプラスの財産は問題なく相続することができます。
ただし、この限定承認は全ての相続人が行わなければいけません。相続人が一人や少人数ならば限定承認を行いやすいものの、相続人がたくさんいれば反対する人も出てきて、申し立てができなくなるリスクもあります。
相続放棄
相続放棄は故人のプラスの財産もマイナスの財産も全て相続しない方法です。明らかに借金等の債務がプラスの財産より多い場合、利用した方が良いでしょう。こちらも原則として相続の開始を知った日から3ヵ月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。
相続放棄は限定承認と異なり、各相続人の判断で行うことが可能です。こちらの方法をとれば故人の債務の返済から解放され、相続人間で起こり得る相続争いも回避できます。
ただし、プラスの遺産が相続できなくなる他、ご自分が相続しなかったことで相続順位も変化します。つまり、相続権が移ったことで、親族の誰かが故人の借金を抱えることになるケースも想定されます。相続権が移る場合を考慮し、事前に関係者全員へ相続放棄する旨を説明した方が無難です。
相続放棄の手続き方法は?
こちらでは、マイナスの財産を相続しない方法である相続放棄の手続きについて説明します。
相続放棄の流れ
相続放棄は提出書類を収集し、家庭裁判所へ申述することから始めます。
1、必要な書類を収集
2、家庭裁判所へ申述
3、家庭裁判所が照会書を申述人へ送付
4、照会書の質問事項に回答し返送
5、家庭裁判所が相続放棄申述受理通知書を申述人へ送付
原則として、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申述することが必要です。また、申述する家庭裁判所は、被相続人(故人)の死亡時の住所を管轄する家庭裁判所となります。
送付されてきた照会書の質問事項は主に次の内容となります。
・相続の開始があったことを知った日
・申述は申述人本人が行ったか
・相続放棄の理由
・相続放棄は申述人本人の意思か
・被相続人の財産を処分していないか
・相続放棄の意思に変化はないか
既に提出している相続放棄申述書と矛盾のないように質問事項へ回答する必要があります。相続放棄が認められるまで概ね1~2ヵ月程度かかります。
なお、債権者の中には手続きが受理されたことを確認するため、相続放棄申述受理証明書を要求するケースもあります。この証明書は家庭裁判所から交付してもらえます。
相続放棄に必要な書類
相続放棄の申述を行う場合、基本的に必要な書類を収集します。
申述人により必要書類は異なってきますが、例えば配偶者や子供であった場合は下記の書類が必要です。
・相続放棄申述書
・被相続人の戸籍謄本
・被相続人の住民票または戸籍の附票
・申述人本人の戸籍謄本
・収入印紙:800円
相続放棄申述書は家庭裁判所の窓口や裁判所のホームページ等で取得することができます。故人の住民票等は市区町村役場で取得可能ですが、戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得する必要があります。
戸籍謄本を取得したい場合、本籍地の市区町村役場がお住いの地域から遠くても、郵送請求が可能です。請求方法を本籍地の市区町村窓口へ問い合わせてみましょう。
相続した遺産に借金があった場合、相続放棄を行う際の注意点をご紹介!
故人に多額の借金があった場合、相続放棄は相続人の負担を減らす有効な方法です。しかし、相続放棄を望む場合、次の事柄にも注意しましょう。
被相続人の財産を勝手に処分すると単純相続
相続放棄を希望し家庭裁判所へ申述したにもかかわらず、被相続人の財産を処分したり、隠したりすれば単純承認したとみなされ、申述は受理されないので注意が必要です。
債権者や他の相続人の感情にも配慮する
故人の相続人がご自分だけの場合、相続放棄をすれば故人にお金を貸した債権者は回収不能に陥ります。また、相続権が移った場合、事情を知らなかった親族が相続人となり、重い負担を課されるケースも考えられます。
つまり、相続放棄すれば関係者から反感を買うこともあるのです。特に相続放棄で親族とトラブルが発生すれば、信頼関係を大きく損なう事態になるかもしれません。
そのため、債権者には限定承認等で出来得る限りの返済を検討し、相続権が移るケースでは相続人へ事前に報告し、相続放棄ができることを伝える配慮も求められます。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください
この記事を監修したのは…
有限会社シーフィールド 専務取締役
小泉 栄作(こいずみ えいさく)
銀行、保険会社と金融機関に勤め
お客様のご相談を伺ってきました。
相続と聞くと多くの方が相続税など
お金の勘定をイメージされる方が多いですが
遺す方の想いや受け継ぐ方々のお気持ちを
整理することはもっと大切だと考えています。
争続ではなく、皆んなが笑顔になれる
相続のお手伝いをしています。
サイトURL:https://lpsoudanya.com/