連帯保証人の相続は放棄できる?相続を回避する方法や地位を引き継いだ場合の対処法

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遺産相続

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亡くなった方が連帯保証人だったときの確認と影響

被相続人が生前に連帯保証契約を結んでいたかどうかは、相続人にとって重要な確認ポイントです。相続を受けるか放棄するかの判断にも直結するため、早い段階で情報収集を行うことが必要です。

親が連帯保証人だったかを確かめる方法

親が連帯保証人になっていたかは、相続が発生してから初めて知ることも珍しくありません。以下のような方法で確認を進めましょう。

信用情報機関に開示請求して調べる

CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、全国銀行個人信用情報センターなどの信用情報機関では、本人や、法定相続人であることを証明できる相続人による情報開示請求が可能です。手数料は数百円程度で、郵送やインターネットから手続きできます。

自宅の書類や郵便物・スマホなどをチェックする

被相続人の自宅にある契約書類、郵送物、スマートフォンのSMSやメール履歴を確認することで、保証契約の存在が分かる場合があります。特に、金融機関や貸金業者からの書類は重要な手がかりになります。

関係者に話を聞いたり、預金の動きを確認する

被相続人と取引のあった業者や、同居していた親族、友人などから話を聞くのも一つの手段です。また、銀行口座の入出金履歴を追えば、保証債務の返済履歴が残っている可能性もあります。

契約の内容によって相続されるかどうかが変わる

連帯保証人としての地位が相続されるかは、契約内容にも左右されます。必ずしもすべての保証契約が相続されるとは限りません。

金銭の借入・賃貸契約は相続の対象になる

金融機関からの借入や、不動産の賃貸借契約に関する保証人の地位は、原則として相続の対象になります。つまり、被相続人が返済していなかった借金がある場合、その支払い義務が相続人に移ることになります。

身元保証や一部の根保証は相続の対象外になることもある

勤務先での身元保証契約や、保証のうち極度額や期間が明記されていないものなどは、相続によって当然に承継されないとされる場合があります。個別の契約内容を確認し、必要があれば弁護士に相談しましょう。

連帯保証人としての責任は相続の対象になる

連帯保証債務は、被相続人が生前に契約した法的義務の一つです。原則として相続人に引き継がれることになります。

連帯保証人の立場は相続人に引き継がれる

相続が発生すると、故人が締結していた連帯保証契約に基づく保証人の立場は、そのまま法定相続人へと引き継がれます。相続人は、債権者から保証債務の履行を求められる可能性があるため、慎重な対応が必要です。

保証債務は相続人の取り分に応じて分かれる

複数の相続人がいる場合、保証債務はそれぞれの法定相続分に応じて分担されます。たとえば相続人が2人いれば、原則として債務も半分ずつの負担となる仕組みです。

連帯保証債務は相続税の計算上、債務控除できない

相続税の計算においては、連帯保証債務は原則として債務控除の対象になりません。なぜなら、保証人が実際に支払う義務を履行して初めて損失が確定するからです。税務署に確認したうえで、必要があれば税理士に相談すると安心です。

連帯保証債務を相続するかどうかを判断するポイント

相続人が連帯保証債務を引き継ぐかどうかは、財産と負債の全体的なバランスを踏まえて慎重に判断する必要があります。すぐに判断せず、調査と専門家への相談を通じて適切な方針を定めましょう。

負債と財産のバランスを見て判断する

被相続人の遺産に含まれる財産(不動産、預貯金、有価証券など)と債務(借金、保証債務など)を比較し、トータルでプラスになるかマイナスになるかを見極めます。保証債務が多く、相続財産では到底賄いきれない場合は、相続放棄を検討するのが一般的です。

相続財産が不明確な場合には、家庭裁判所に「相続放棄の熟慮期間の伸長申立て」を行うことで、判断の猶予を得ることも可能です。放棄するかどうかは、3か月という短い期間で決めなければならないため、初動の調査がとても重要です。

主に借金をした人に返済能力があるかを確認する

連帯保証債務は、主債務者が返済不能になったときに初めて影響が出てきます。したがって、主たる債務者が現に返済しているか、今後の返済継続が可能かどうかを見極めることも大切です。

たとえば、主債務者が健在で十分な収入や資産があれば、保証債務が現実に相続人へ請求されるリスクは低くなります。しかし、既に債務不履行が発生している場合は、連帯保証人としての責任が直ちに生じる可能性があります。状況次第で、返済を肩代わりしなければならないケースもあるため、保証契約の履行状況は必ずチェックしましょう。

相続放棄で連帯保証人の立場を引き継がないようにする

連帯保証債務を相続人が回避する唯一の方法は、「相続放棄」です。相続放棄が認められれば、保証債務を含む一切の義務を免れることができますが、同時に財産の相続権も失うことになります。

相続放棄をすれば保証債務も引き継がれない

家庭裁判所に相続放棄の申述を行い受理されれば、保証債務も相続されずに済みます。放棄を選ぶことで、相続人は被相続人の借金や連帯保証契約から完全に離れることができるのです。

ただし、放棄の意思表示は明確でなければならず、相続財産に手をつけた場合などは「単純承認」とみなされ、放棄が認められなくなるリスクもあります。注意深く行動しましょう。

相続放棄の期限と延長ができるケース

相続放棄には期限が定められており、これを過ぎると放棄が認められなくなることがあります。早めの判断と申述が重要です。

原則は相続が始まってから3か月以内

民法915条により、相続放棄は相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません。この期間を「熟慮期間」と呼びます。財産と債務の調査や専門家への相談を含め、この期間内に手続きすることが求められます。

調査に時間がかかったり相続人が不明な場合は延長可能

相続財産の全容がすぐに把握できないケースや、相続人間での連絡が困難な状況では、家庭裁判所に申し立てることで熟慮期間の延長が認められることがあります。保証契約の有無や債務額の確認に時間がかかる場合は、延長申請を検討しましょう。

相続放棄の注意点

相続放棄にはいくつかの落とし穴があります。特に手続きのタイミングと内容に注意しないと、放棄の効力が認められないこともあるため注意が必要です。

財産も含めてすべて放棄しなければならない

相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの債務もすべて放棄することになります。たとえ不動産や預貯金などの魅力的な資産があっても、それを引き継ぐことはできなくなります。部分的な相続はできないため、判断は慎重に行いましょう。

いったん放棄すると取り消せない

相続放棄は原則として一度受理されると撤回ができません。後になって「やはり財産が欲しい」と思っても取り消すことはできないため、申述前には相続財産の調査と法的確認を徹底する必要があります。

相続放棄すると他の家族に保証人の責任が移ることもある

相続人が放棄をすると、次の順位にある法定相続人に保証債務の責任が移ることがあります。たとえば子が放棄すれば、孫や兄弟姉妹などに相続権が移り、その結果として保証人の地位も承継される可能性があります。

このため、相続放棄をする場合は、自分だけでなく他の親族にも影響が及ぶことを念頭に置き、家族間でよく話し合って方針を決めることが大切です。

自分が連帯保証人の場合は放棄では解決できない

自分自身が連帯保証契約を締結している場合には、相続放棄をしてもその保証債務からは逃れられません。なぜなら、これは「自分が当事者」となっている契約であり、相続とは別次元の問題だからです。

このようなケースでは、返済の見直しや任意整理、自己破産など別の法的対応が必要になります。専門家に相談し、最適な解決策を探ることが重要です。

連帯保証人の立場を引き継いだときの対応方法

相続を受け入れて連帯保証債務を引き継いだ場合でも、すぐにすべてを支払わなければならないとは限りません。状況に応じた対応策を取ることで、負担を軽減できる可能性があります。

すべて返済して、後から請求するという方法も

保証人が債務を全額返済した場合、その後に主債務者(本来の借主)に対して「求償請求」を行うことができます。これは法律で認められた権利であり、返済分を後から取り戻す手段です。

ただし、主債務者に返済能力がない場合は回収が難しいこともあるため、返済前に主債務者の資力調査をしておくとよいでしょう。

債権者と話し合って返済額の減額を目指す

相続人が債務の全額を負担することが困難な場合、債権者と協議して返済条件の変更を求めることが可能です。誠意ある対応が大切です。

誠意をもって事情を説明することが大切

収入状況や資産の内容を正直に伝えた上で、分割払いや減額交渉を申し出ると、債権者が応じてくれることもあります。弁護士を通じて交渉することで、スムーズに話が進むケースも多いです。

債務整理で負担を軽くする方法もある

返済が難しい場合には、法律に基づく債務整理手続きを検討するのも一つの方法です。個人の状況に応じて、いくつかの選択肢があります。

任意整理で無理のない返済計画にする

任意整理では、裁判所を通さずに債権者と直接交渉し、返済額や利息を見直すことができます。月々の返済額を減らしたり、将来利息のカットをしてもらうことで、生活への負担を軽くすることができます。

個人再生で借金の一部を免除してもらう

個人再生は、裁判所の認可を受けて借金の元本を大幅に圧縮し、3年程度で完済する再建手続きです。一定の収入がある人に向いており、住宅などの財産を守りながら債務整理を進めることが可能です。

自己破産で支払い義務を免除してもらう

自己破産は、すべての返済義務を免除してもらう手続きです。申立人に収入や資産がほとんどない場合、裁判所に申し立てることで、法的に返済義務をゼロにできます。ただし、一部の財産の処分や職業制限などのデメリットもあります。

相続トラブルを防ぐために今できること

相続時のトラブルを避けるためには、事前の準備と家族間の情報共有が重要です。とくに保証債務のように相続人に負担を残す問題は、事前の対策がカギを握ります。

遺産分割協議で誰が債務を負うか話し合っておく

遺産分割協議の際に、相続人同士で「誰がどの債務を負担するか」を明確にしておくことが重要です。たとえば、不動産を相続する代わりに債務も引き受けるなど、財産と責任のバランスを考慮した分割が望まれます。

また、遺産分割協議書には債務の取り扱いについても明記し、全員が納得できる形にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

弁護士や税理士など専門家のサポートを受ける

相続や債務の取り扱いは、法律や税務の知識が求められる分野です。少しでも不安がある場合は、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

法テラスを活用すれば、無料で法律相談を受けられるケースもあります。一人で悩まず、信頼できる専門家と連携して対処しましょう。

また、本サイト「円満相続ラボ」では、相続に関する基本知識やトラブル回避の方法をわかりやすくお伝えし、専門家によるサポートを提供しています。円満な相続を実現するための最適なご提案をいたします。

相続に関する疑問がある方には、相続診断士による無料相談窓口もご利用いただけます。どうぞお気軽にご相談ください。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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