墓じまいは誰がする?祭祀承継者の役割や墓じまいの手順・費用を解説!

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遺産相続

祭祀承継者とは?役割や選び方を解説!

「祭祀承継者」とは、先祖のお墓や仏壇、系譜等の「祭祀財産」を受け継ぎ、祖先の祭祀を主宰する人です。いわゆる家族にとっての中心人物(故人の配偶者・長男等)が、祭祀承継者となるケースが多いです。

祭祀承継者の役割

祭祀承継者が担う役割として、主に次の4つがあります。

  • お墓の維持・管理:お墓の維持管理、霊園・墓地に対して年間管理料を支払う
  • 仏壇の維持・管理:毎日の礼拝供養や仏壇の維持・管理、お盆等の定期的な供養による寺院とのやり取り
  • 檀家の務め:所属している寺院に対し、経済的な援助や奉仕作業等
  • 法事・法要を主催:一回忌・三回忌等の年忌法要の実施、寺社とのやり取り、他の親族への連絡等

祭祀承継者として強制的に従事しなければいけない作業はありません。最近では寺院との関係が希薄となり、法事・法要等を控える家庭が多くなっています。

ただし、霊園・墓地に対して年間管理料を支払わないと、お墓は霊園・墓地管理者に撤去・処分されてしまいます。

祭祀承継者の選び方

祭祀継承者は原則として1人に継承されますが、選び方はいろいろとあります。主に次のような選び方があげられます。

  • 親族間協議で決定:親族同士の話し合いで決める
  • 慣習で決定:その家の慣習に従って決める
  • 故人の遺言で決定:遺言書に祭祀継承者が指定されていれば、遺言内容に従う
  • 家庭裁判所による決定:家庭裁判所からの指定してもらう

親族間との話し合いが不調に終わり、家族の慣習や遺言書も無いという場合は、家庭裁判所に申し立て、祭祀承継者を決めてもらえます(祭祀承継者指定の申立てまたは調停の申立て)。

祭祀承継者を引き受けられない!祭祀承継者を変更する方法

現在の祭祀承継者が、病気や高齢等を理由に祭祀財産の管理が難しくなる場合もあります。

そんな時は親族の同意で代わってもらうか、家庭裁判所への調停・審判の申し立てで生前変更が可能です。新しい祭祀承継者になったら、墓地の名義変更を忘れずに行いましょう。

基本的に次のような手順で進めていきます。

  1. 霊園・墓地の管理者へ連絡し、提出書類を取得、必要事項を記入する
  2. 申請に必要事項を記入し、書類が全て整ったら管理者へ提出する
  3. 新しい祭祀承継者が明記された「墓地使用許可証」が発行される

必要書類は次の通りです。

  • 名義変更申請書(承継使用申請書):霊園・墓地の管理者から取得
  • 墓地使用許可証(永代使用許可証)
  • 戸籍謄本・住民票:戸籍謄本は本籍地の市区町村役場で取得(1通450円)、住民票は自分の住所地を管轄する市区町村役場から取得(1通200円〜300円)
  • 実印・印鑑登録証明書:住所地を管轄する市区町村役場で取得(1通300円)
  • 親族の同意書

墓じまいとは?どのような場合に行うもの?

祭祀承継者はお墓の維持・管理を担うので、逆に「墓じまい」の決定権も有しています。ただし、他の親族に相談しないまま手続きを進めた場合、親族間で大きなトラブルに発展するケースもあるでしょう。

墓じまいの決定権があっても独断で実行せず、まずは他の親族と相談し、全員の納得のもとで手続きを進めた方が無難です。

また、何らかの理由で祭祀継承者がいなければ、お墓は荒れてしまいます。そのため、霊園・墓地側で一定の手続きを行ったのち、墓石が撤去され、お墓は更地となり墓じまいをされてしまう可能性もあります。

墓じまいは誰がするのか?責任者は誰?

基本的に墓じまいを決めるのは祭祀承継者です。しかし、お墓は親族みんなが祖先に手を合わせるものなので、親族全員の納得のもとで墓じまいをするべきでしょう。

墓じまいをする場合は、重い墓石や石材をいきなり自分達で撤去はできません。霊園・墓地管理者の承諾の下で、石材店に依頼し墓石等を撤去します。

なお、墓じまいの手続きを代行してもらいたい場合は、墓じまい代行業者に依頼しても構いません。

もちろん、石材の撤去や墓じまい代行業者に依頼する場合は費用がかかります。墓じまい代行業者に見積もりを行ってもらい、まずは費用がどれくらいかかるのか確認してみましょう。

墓じまいの手順・必要書類を徹底解説!

墓じまいは祭祀承継者の一存で決めずに、親族の同意や霊園・墓地管理者の承諾、墓じまい代行業者へ依頼し、トラブルなく進めていきましょう。

墓じまいの手順

基本的に次のような手順で進めていきます。

  1. 親族から墓じまいの合意を得る、新たな供養方法(例:納骨先の決定等)を話し合う
  2. 霊園・墓地管理者の承諾を得る
  3. (お墓を移転する場合)移転先の管理者から受入証明書を発行してもらう
  4. 「改葬許可申請」を霊園・墓地のある地域の市区町村役場に行う
  5. 遺骨が埋葬されているお墓の管理者から埋葬証明証を発行してもらう
  6. 手続きが完了後、実際に墓じまいと改葬を行うため、石材店に依頼する
  7. 僧侶が読経し一時的にお墓から魂を抜く、閉眼供養(魂抜き)を実施
  8. 閉眼供養が済み次第、お墓を解体して改葬先へ遺骨を運ぶ

なお、親族や霊園・墓地管理者の承諾を得た後は、一連の墓じまいの手続きを墓じまい代行業者に任せられます。
費用は大体16〜30万円です。

墓じまいの必要書類

墓じまいの行政手続きに必要な書類は、主に次の通りです。

  • 改葬許可申請書:現在の霊園・墓地がある市区町村役場で取得可能
  • 埋葬証明証:現在の墓地の管理者から発行してもらう、ただし市区町村役場によっては本証明書の代わりに改葬許可申請書への署名・捺印のみで良いところもある
  • 受入証明書:改葬先の管理者から契約時に発行してもらう、ただし市区町村役場によっては本証明書の代わりに改葬許可申請書への署名・捺印のみで良いところもある
  • 承諾書:墓地の使用者(祭祀承継者)と、改葬許可申請をする人が違う場合に必要
  • 現在の霊園・墓地がある市区町村役場で取得可能
  • その他:申請者の印鑑、本人確認書類等

地域や宗教により異なる墓じまいの違いや特色とは?

墓じまいの方法は、地域・宗派どれも同じではありません。

例えばお墓を撤去する際の閉眼供養は、浄土真宗の場合だと不要となります。なぜなら、浄土真宗での教えによると、人が亡くなれば誰でも「即身成仏(すぐに成仏する)」と言い伝えられているからです。成仏している以上閉眼供養は行いません。

ただし、仏様(御本尊様)へ一時的に移動してもらうことを許してもらうため、墓じまいの際は遷仏法要(永代経供養の読経)を行います。

宗派によって「人が亡くなったらどうなるのか。」という解釈が異なるため、作法も違ってくるので注意しましょう。

墓じまいをする際にかかる費用はどのくらい?誰が負担する?

墓じまいの費用は霊園・墓地、石材店、墓じまい代行業者によって様々です。下表を参考にしてください。

墓じまい項目費用
石材店:墓石撤去費用約10万円/1㎡
僧侶:閉眼供養の御布施代3万円~5万円
墓地等:離檀料3万円~20万円
墓じまい代行業者:全て代行してもらう場合約16万円〜30万円

離檀料とは檀家をやめる際、お寺へ感謝を表すために手渡すお金です。

墓じまい代行業者を利用しない場合でも、墓石撤去費用・閉眼供養の御布施代・離檀料で最低16万円以上はかかる可能性があります。

墓じまいをする際に注意すべき点を解説!

墓じまいの際には、現在のお墓のある霊園・墓地で、「指定石材店」制度を採っていないかどうかについて確認が必要です。

この制度は、霊園・墓地の霊園が指定した石材店さん以外には工事を許さないという仕組みです。

指定された石材店がある場合、工事ができないので、他の墓じまい代行業者等は、石材撤去の工事・作業をすることができません。

指定石材店制度が採られている場合、自由に撤去を依頼できる業者が選べない点に注意しましょう。

墓じまい後の心のケア方法をご紹介!

家族の高齢化でお墓参りがきつくなった、祭祀承継者となる者も見つからない、という場合は家族全員でよく話し合い、墓じまいを検討しましょう。

残された親族の負担とならない方法でこれから先祖を供養できるならば、供養する側にとって大きな心のケアともなるでしょう。

親族が心の平安を得られる供養方法として、主に次の方法があります。

  • 散骨する:海に遺骨を流したり、山中に遺骨を撒いたりする供養方法
  • 自宅墓:自宅に粉末化した遺骨を祀り供養する方法
  • 合葬墓:複数の遺骨を同じ場所に埋葬する形式のお墓、それぞれの遺骨は骨壺から出し、他人の遺骨と混ざる状態で埋葬する

このように、いろいろと故人の遺骨を供養する方法は存在します。残された親族が最も納得できる方法を選択しましょう。

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