贈与、譲渡、相続の違いは?それぞれの注意点についても解説!

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遺産相続

贈与・譲渡・相続とは?違いを徹底解説!

贈与・譲渡・相続はいずれも財産を他者に与える、他者からそれをもらうという点では同じです。こちらではそれぞれの違いについて解説します。

贈与とは?財産を「無償であげる」のが贈与!

贈与とは、自分の財産を無償または負担付で相手にあげる契約です。贈与する側が財産を贈りたいという意思表示をして、贈りたい相手方が承諾すれば成立します。

1回きりの贈与はもちろん、贈りたい人へ定期的に贈与することを約束する定期贈与、目的物の対価とまではいえないものの、一定の負担をさせる(例:住宅を贈与するが、贈った人へ残った住宅ローンを肩代わりしてもらう等)負担付贈与も可能です。

また、贈与する側が亡くなってから効力の発生する贈与は死因贈与と呼ばれています。死因贈与の場合も贈りたい相手方が承諾していることが必要です。

死因贈与でもその契約を書面化する必要はありません。ただし、贈与者の遺族等とトラブルになる可能性があるので、書面化しておいた方が無難です。

譲渡とは?贈与との違いについて解説!

譲渡とは、所有資産を移転させる行為を言います。そのため、譲渡には不動産や動産の売買の他に贈与等も含まれます。譲渡には対価を受け取る有償譲渡、対価を受け取らない無償譲渡があります。そのうち、無償であげる場合を贈与と区別しています。

贈与との違いは下表の通りです。

比較贈与譲渡
対価無償無償・有償
契約贈与契約贈与契約・売買契約
税金贈与税譲渡所得税・住民税

譲渡では贈与契約の他、売買も含まれるので売買契約を締結する場合があります。また、譲渡する側は有償譲渡する場合、お金を得るため譲渡所得税や住民税が課されます。

なお、個人間の贈与の場合は贈与を受けた側のみ、贈与税が課されることになります。

相続とは?贈与との違いについて解説!

相続とは、相続開始の日から亡くなった人の所有財産や、一切の権利義務を相続人が受け継ぐことです。相続の場合は贈与や譲渡と異なり、被相続人が生前に自分の財産を引き継ぐ方々と契約を締結する必要はありません。

ただし、生前の希望通りに自分の財産を渡したい場合は遺言状の作成が必要です。この遺言状で引き継ぐ人を指定した場合には、指定された側の同意は不要です。

贈与の場合、贈与された人は贈与税を課されることもありますが、相続では基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた場合、その超過分に相続税が課されます。

不動産を他者に渡す方法は「贈与」「譲渡」「相続」の3パターン!それぞれの特徴は?

不動産を他者に渡す方法は贈与、譲渡、相続のいずれかとなります。

贈与の場合

不動産を贈与する場合、受贈する双方から同意を得れば契約が成立します。書面の作成は必須ではありませんが、贈与契約書を作成していれば土地・建物、後に贈与の約束をした・しないというトラブルも避けられるので、書面化した方が良いでしょう。

贈与後は、なるべく早く贈与に基づく名義変更登記を行うことが大切です。名義変更登記を行わないと、贈与で不動産を得たことについて、事情を知らない第三者へ主張できなくなります。

つまり、贈与を受けた側がその不動産を安心して所有するためには、法務局で自分のものとなったことを示す登記(一定の手続に従い公の帳簿へ記入すること)が必要です。

譲渡の場合

不動産を譲渡する場合、譲り受ける側との意思の合致により契約が成立します。対価を受け取る有償譲渡の場合は売買契約、無償の場合は贈与契約を締結します。こちらも書面化は必須ではありませんが、書面化しておいた方がトラブル防止に役立ちます。

譲渡後は、速やかに名義変更登記を行うことが大切です。譲り受けた側がその不動産を安心して所有するためには、譲渡の場合も同様に登記が必要です。

相続の場合

不動産の相続時に、不動産の権利を特定の人に引き継いでもらいたい時は遺言で指定することが必要です。基本的に、引き継ぐ側の意思に関係なくその権利が付与され、こちらも登記によって自分の不動産となったことを誰にでも主張できます。

ただし、遺言でその不動産の引き継ぎを指定された人が、その不動産を相続したくないケースや、他の相続人がその遺言の内容に納得しないケースもあり得ます。

その場合は、相続人の全員の合意があれば遺産分割協議を行い、改めて遺産の分割を決め直すこともできます。

贈与・譲渡・相続をする際の注意点を解説!

贈与・譲渡・相続を行う際に心配なのは税金です。一定の場合には非課税とされるケースもありますが、次のようにそれぞれ課される税金が異なります

不動産を「贈与」するときの注意点は?贈与税や登録免許税が課せられる可能性あり!

贈与税の課税方法に「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。それぞれ課税条件や税率が異なります。不動産を贈与され登記する際は、登録免許税も支払います。登記する場合、土地・建物いずれであっても、登録免許税(税率:不動産の価額の2%)を納める必要があります。

暦年課税の場合

贈与の際は基本的に基礎控除額の110万円を超えた場合、贈与税が課されます。こちらは暦年課税と呼ばれ、1月1日~12月31日までの1年間にもらった財産の合計額が110万円以内なら、申告も納税も不要です。

110万円を超えた時のみ、贈与税の申告は財産をもらった年の翌年2月1日~3月15日の間に、申告書を提出する必要があります。

不動産の財産価値は110万円を越えるケースがほとんどで、不動産を贈与された場合は贈与された側に贈与税が課されるとみて良いでしょう。

贈与税は、贈与を受けた年の1月1日に20歳以上の受贈者が、直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けた場合の「特例贈与財産」、それ以外の「一般贈与財産」であるかどうかで下表のように違いが出てきます。

税率特例贈与財産(1)基礎控除後の課税価格(2)控除額一般贈与財産(1)基礎控除後の課税価格(2)控除額
10%(1)~200万円(2)0円(1)~200万円(2)0円
15%(1)~400万円(2)10万円(1)~300万円(2)10万円
20%(1)~600万円(2)30万円(1)~400万円(2)25万円
30%(1)~1,000万円(2)90万円(1)~600万円(2)65万円
40%(1)~1,500万円(2)190万円(1)~1,000万円(2)125万円
45%(1)~3,000万円(2)265万円(1)~1,500万円(2)175万円
50%(1)~4,500万円(2)415万円(1)~3,000万円(2)250万円
55%(1)4,500万円超~(2)640万円(1)3,000万円超~(2)400万円

(国税庁ホームページ「贈与税の計算と税率(暦年課税)」を参考に作成)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

相続時精算課税の場合

暦年課税の他、1年間にもらった財産の合計額が2,500万円まで控除される制度もあります。それが相続時精算課税です。

この制度を利用すれば相続開始時に、控除対象となった財産も遺産総額にカウントされますが、贈与税は2,500万円を越えた分のみが対象となります。相続時精算課税の場合、贈与税は一律20%です。

贈与税の申告は財産をもらった年の翌年2月1日~3月15日の間に、2,500万円を超えていなくとも、申告書を提出する必要があります。

不動産を「譲渡」するときの注意点は?所得税や住民税が課せられる可能性あり!

不動産を売却した場合、その売却で発生した利益に譲渡所得税や住民税が課されます。課税される譲渡所得税の税率は、売却不動産の所有期間が短期か長期かで変わってきます。

この所有期間は不動産を売却した年の1月1日時点で、5年を超えているか否かで判断します。

(1)短期譲渡所得:所有期間が5年以内
所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=合計39.63%

(2)長期譲渡所得:所有期間が5年超
所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%

なお、不動産を譲り受け登記する場合、原則として土地・建物も登録免許税(税率:不動産の価額の2%)を納める必要があります。

ただし、2022年3月31日までに不動産を取得すると軽減税率が適用されます。土地の場合は登録免許税の税率が1.5%、住宅用家屋の場合は登録免許税の税率が0.3%(特定増改築等がされた買取再販住宅:0.1%)に減税されます。

不動産を「相続」するときの注意点は?相続税や登録免許税が課せられる可能性あり!

不動産を含めた課税価格の合計額が、基礎控除額を超えた場合に相続税が発生します。基礎控除額は相続人の数で変化します。もしも相続人が4人ならば

3,000万円+600万円×4=5,400万円

5,400万円以内に遺産総額が収まれば相続税の納税・申告は不要となります。

相続税が課せられる場合、税率は次の通りとなります。

取得金額税率控除額
~1,000万円10%
~3,000万円15%50万円
~5,000万円20%200万円
~1億円30%700万円
~2億円40%1,700万円
~3億円45%2,700万円
~6億円50%4,200万円
6億円超~55%7,200万円

国税庁ホームページ「相続税の税率」を参考に作成)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

引き継いだ不動産を登記する場合には、土地・建物いずれであっても、登録免許税(税率:不動産の価額の0.4%)を納める必要があります。

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