夫婦間の贈与税はいくらからかかる?非課税となるケースや特例も解説!
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夫婦間でも贈与税がかかる?いくらからかかるのか解説!
贈与税とは、財産を他人へ無償で譲渡した場合において、その財産を無償で取得した人が納める税金になります。
この贈与税は譲渡した相手が夫婦などの家族間であっても納める必要があります。
そもそも夫婦とは、法律上、婚姻届を国へ提出した男女をいい、原則として同居し、離婚もしくはいずれかの死亡までの間、お互いが助け合って社会生活をしていく親密な関係の男女を言います。
このように親密な関係であっても、財産を無償で譲渡した場合には贈与税が発生します。
しかし、贈与税の場合には110万円の基礎控除額というものがあります。
この基礎控除額によって、110万円以下の財産を無償で譲渡した場合には贈与税はかかりませんが、110万円を超えた場合には贈与税がかかってきます。
この場合には贈与を受けた側が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの期間において、贈与税の納付及び贈与税申告書の提出が必要になってきます。
夫婦間で贈与税が非課税となるパターンをチェック!
夫婦間であっても、配偶者へ無償で財産を譲渡した場合には原則として贈与税が課税されます。
しかし、必ずしも贈与税がかかるとは限りません。
以下では贈与税が非課税となるパターンについて解説していきます。
110万円以下の財産を無償で譲渡した場合
上述したように、贈与税の基礎控除額は110万円です。
したがって基礎控除額の範囲内である110万円以下の財産を無償で譲渡した場合には贈与税は非課税となります。
生活費や教育費を無償で譲渡した場合
通常、必要なものについては贈与税が非課税とされており、生活費や教育費について贈与税はかかりません。
生活費とは、通常生活において必要なものをいい、食費のほかに治療費や養育費なども非課税とされています。
通常生活に必要な範囲内の生活費とは、下記内容のものが挙げられます。
・一人暮らしをしている子供への食費や家賃などの仕送り
・配偶者への仕送り
・結婚に必要な挙式代や新婚後に必要な家具などの結婚資金
・出産費用
以上のようなものは生活費に該当するため、これらの贈与税は非課税とされています。
教育費についても通常必要な範囲内の金額であれば贈与税は非課税となります。具体的には下記内容のものが挙げられます。
・子供の学費や習い事などにかかる資金
・修学旅行にかかる費用
・通学にかかる交通費
おしどり贈与の特例を適用した場合
おしどり贈与の特例についても贈与税は非課税となります。
具体的な内容は後述しますが、おしどり贈与の特例の正式名称は贈与税の配偶者控除の特例といいます。
一定の要件を満たした夫婦間において、居住用不動産や居住用不動産を購入するための資金を贈与した場合には、通常の基礎控除額である110万円とは別に、2,000万円までは贈与税が非課税となります。
おしどり贈与とは?特例を受ける条件やメリット・デメリットを解説!
贈与税には非課税とされるものがあります。
夫婦間において、一定の要件を満たした場合には非課税となる、おしどり贈与の特例について解説していきます。
おしどり贈与とは?
おしどり贈与の特例とは、婚姻期間が20年以上ある夫婦間において、居住用不動産などを購入するための資金を贈与した場合において、2,000万円までは贈与税が非課税とされる特例になります。
この特例の適用を受けるためには下記に挙げられる一定の条件を満たす必要があります。
おしどり贈与の特例を受けるための条件
おしどり贈与の特例を受けるためには、婚姻期間が20年以上経過している婚姻関係のある夫婦であることに加え、下記要件を満たしている必要があります。
・婚姻期間20年以上経過した後に行われた贈与であること
・贈与した財産が、居住用不動産を購入するための資金であること
・上記財産の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その居住用不動産へ住み、さらに今後も当該不動産に住み続ける予定であること
おしどり贈与の特例のメリット・デメリット
おしどり贈与の特例については、メリットとデメリットがあります。
メリットとしては、下記に挙げられる通りです。
・財産を分散させることにより相続税の軽減に繋がる。
これは、単純に相続発生前に財産を他人へ譲渡し減らしておく事により相続発生時に課税される相続税が減少し、節税に繋がります。
・おしどり贈与により贈与した財産については相続財産に足し戻す必要はありません。
通常、相続発生の3年前に行われた贈与については相続財産へ足し戻す事になります。
しかし、おしどり贈与の対象となった財産については相続財産に足し戻す必要はありません。
・夫婦それぞれに3,000万円の控除が適用される
マイホームを譲渡した場合、居住用財産の譲渡の特別控除として3,000万円の控除が適用されます。
おしどり贈与の特例により、夫から妻へ不動産を贈与した場合にはそれぞれに不動産の持分を分けることができ、これによりマイホームを売却した場合には夫婦でそれぞれ3,000万円の控除を受けることできます。
以上がおしどり贈与を利用した場合のメリットになります。
ただし、デメリットとして下記項目が挙げられます。
・不動産取得税や登録免許税が課税される
おしどり贈与の適用を受けた場合、贈与税は2,000万円までが非課税となります。ただし、不動産取得税や登録免許税は納める必要があります。贈与により不動産を取得した場合、不動産取得税は固定資産税評価額の4%になります。また、登録免許税も相続により取得した場合には0.4%となりますが、贈与により取得した場合には2%になります。
したがって、おしどり贈与を利用することで不動産取得税や登録免許税は増加するため、注意が必要です。
・贈与された側が先に亡くなった場合には相続税の税負担が増加する
おしどり贈与により、贈与された側が先に亡くなった場合には、相続財産が増加してしまうため相続税の税負担が増えてしまいます。どちらが先に亡くなるかは分からないので、この点については対策をすることが出来ませんが、知っておく必要があります。
贈与税の配偶者控除を受けるための手続き方法や必要書類を解説!
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、移住用不動産または移住用不動産を所得するための金銭の贈与が行われた場合に、基礎控除110万円に加えて最高2,000万円まで控除できる特例のことです。
贈与税の配偶者控除を受けるためには、所轄税務署に贈与税の申告をする必要があります。申告の際には、贈与税の申告書に必要な添付書類があります。
- 戸籍謄本又は抄本(財産贈与を受けた日から10日を経過した後に作成されたもの)
- 戸籍の附票の写し(財産の贈与を受けた日から10日を経過した後に作成されたもの)
- 贈与を受けた人が居住用不動産を取得したことを示すもの
これって贈与税がかかる?日常でありがちな事例とは
ここでは日常生活において例を挙げながら夫婦間で贈与税がかかるかどうかについて解説していきます。
誕生日やクリスマスなどに妻へ送る高級ブランドのバッグや宝石などをプレゼントした場合には贈与に該当します。
プレゼントしたものが贈与税の基礎控除額110万円を超えている場合には贈与税がかかります。
ただし、社会通念上、祝いの品や見舞い品、香典等は110万円を超えていた場合であっても贈与税はかかりません。
夫婦間で贈与税がかかる条件とは
夫婦間で贈与税がかかる基本的な条件を解説します。
基礎控除を超える場合
生活費や教育費とは別に、年間110万円を超えるお金をあげた場合は、夫婦間でも贈与税が課税されます。
基礎控除額である年間110万円以下であれば、贈与税は課税されません。
生活費や教育費以外の高額な物品を贈った場合
プレゼントなど生活費や教育費以外に高額な物や不動産、車などを贈与した場合にも贈与税が課税されます。
日常的なお金や物のやり取りでも贈与税がかかる場合も多いため、注意が必要です。
夫婦間で贈与税が発生しないために気を付けること
夫婦間で贈与税が発生しないために気を付けるべきことは、贈与税がかかるものとそうでないものをきちんと把握することが重要です。
上述したように贈与税がかからないものも規定されます。
そのため、贈与税を発生させないためには贈与税がかからないものを贈与することが重要になります。
また、上述したおしどり贈与の特例などの制度もあるのでそういった特例についても理解しておく必要があります。
へそくりには贈与税が発生する?
無職の専業主婦がへそくりを貯めていた場合、へそくりには贈与税が発生するのか解説をします。もし、貯めたへそくりで生活費や教育費以外の高額な物品を購入した場合、贈与税の課税対象となります。
また、貯めたへそくりは、生活費を渡していた配偶者の相続が発生した際、相続税の課税対象となります。
夫婦間の贈与を申告しないとどうなるの?資金の移動は?
贈与税を申告しなかった場合にはペナルティが発生します。ペナルティとしては、下記内容が挙げられます。
延滞税とは、納付期限に遅れた場合に課される税金です。法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、以下の割合で延滞税が課されます。
令和4年1月1日から12月31日までの期間においては、法定納期限の翌日から2カ月経過する日までは、年2.4%となっています。なお、法定納期限の翌日から2カ月経過した日以後は、年8.7%となっています。
過少申告加算税とは、本税の確定申告を法定納期限内に申告したものの、本来納めるべき納税額より少なかったために、修正申告や更正によって追加の納税額が発生した場合に課される税金です。
過少申告加算税の税率は、追加の納税額に対して10%が課されます。
また、期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分に対しては15%が課されます。
無申告加算税とは、法定納期限までに確定申告をせず、さらに本来であれば納付すべき税額があった場合に課される税金です。
ただし、法定納期限から1カ月以内に自主的に確定申告を行い、納付すべき税額を納め、過去5年に無申告加算税や重加算税を課税されたことがなく、当初期限内申告をする意思があったと認められる場合には、無申告加算税は課税されません。
無申告加算税の税率は、追加の納税額の50万円までに対しては15%が課され、50万円を超える税額に対しては20%が課されます。
なお、税務署から指摘される前に納付した場合には5%の税率となります。
重加算税とは上記3つの税金が課される前提として、事実の全部または一部を仮装・隠蔽により確定申告を行ったと認識された場合に課される税金です。
重加算税の税率は、過少申告加算税や不納付加算税の代わりに追加納税額の35%が課されます。
また、無申告加算税が課される場合には、無申告加算税の代わりに追加納税額の40%が課されます。
また、資金の移動をした場合にも、贈与と判断されるので基礎控除額の110万円以下の金額で贈与するようにしておきましょう。
夫婦間で贈与したことを申告しないと上記のようなペナルティを支払う必要がありますので、必ず申告期限内に申告するようにしましょう。
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