手放した方がお得?農地を相続するデメリットについて解説!

公開日:
最終更新日:
遺産相続

農地相続とは?相続対象者やかかる税金はいくら?

農業を営んでいた被相続人から相続人が農地を引き継ぐケースもあるでしょう。この場合には自分で農業を営んだり、農地を他人へ貸したりして、農地経営を継続できます。

農地を相続した場合にかかる税金

相続時に課される税金は、原則として固定資産税評価額を参考に算定します。農地の固定資産税は非常に安く、一般的な農地では1,000㎡あたり1,000円程度しかかかりません。

一方、宅地では同じ面積でも数十万円に達するので、税額は概ね1/100以下となります。 ただし、農地がどこにあるかで相続税の算定方法は異なってきます。下表をご覧ください。

農地の区分農地の特徴・相続税の算定方法
純農地・中間農地・純農地:生産性がかなり高い農地で、宅地転用がほぼ不可能。
・中間農地:生産性は高い農地だが、宅地転用が可能。
いずれも「固定資産税評価額×評価倍率」で算定
市街地周辺農地
・市街化傾向が強い場所にある農地で、宅地転用は原則可能。
「市街地農地であるとした場合の価額×80%」で算定
市街地農地・市街地にあり、宅地転用が非常に容易な農地。
「(農地が宅地であるとした場合の1㎡当たりの価額−1㎡当たりの造成費の金額)×地積」で算定

一般的に多くの方々がイメージする農地は、純農地・中間農地であると考えられます。

純農地・中間農地では固定資産税評価額に評価倍率をかけ、相続税を算定します。評価倍率は国税庁のホームページ「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認が可能です。

例えば10,000㎡の純農地で固定資産税が10,000円、評価倍率が3.1の場合

固定資産税10,000円×評価倍率3.1=31,000円

相続税評価額は31,000円です。

農地の維持費

農地を含めた相続税も納め、所有している農地の固定資産税を払い続ければ農地が適切に維持管理できるわけではありません。

農地経営を行う場合、日常的な草刈や除草、農道・用水路の整備が必要となります。耕作機械・農機具は被相続人から引き継いだとしても、耕作機械の燃料代や農薬の費用等、いろいろと出費がかかってしまいます。下表をご覧ください。

農地の維持費用内訳農地の特徴・相続税の算定方法
農地の維持にかかる費用・農地にかかる固定資産税・不動産取得税
・水利費 等
農機具・農業用設備取得費用・ハサミ・バケツ・コンテナ・育苗箱・刈払機の費用
・新たな農業用機械の購入費 等
農機具・農業用設備維持費用・農業用機械の燃料費
・農業用車両の車両の車検費用 等
農作物の栽培費用・種子・苗・種いもなどの購入費
・肥料の購入費
・農薬の購入費
・共同防除費用
・ビニールハウスのビニール代、防虫ネット費用 等
その他作業用衣類の購入費
農作物の出荷にかかった包装費用・運賃
広告宣伝費用 等

農地相続をするデメリットとは?農業をしない人の農地相続

農地の固定資産税は安くなる傾向があるものの、相続した際には次のようなデメリットが想定されます。

維持管理の労力・費用が重い負担となる

農地経営を行う場合には農業用機械の購入や修繕費、種子・苗・種いも・肥料等の購入費はもちろん、農作物に深刻な影響を与える害獣・害虫被害の防除費用が必要です。

また、実際に農作物を栽培しなくても、他の方々が所有している農地に配慮し、農地の草刈・除草等を行うなど適切な管理が求められます。

他人に農地の管理を任せても報酬が発生するので、農地相続を検討する際は農地に費やす労力・金銭的負担が、農地を利用した収入に見合うものなのか、冷静に判断する必要があります。

農地は簡単に転用できないケースもある

農地を相続したものの「やはり自分には農地経営が難しいので宅地へ変えたい。」という理由で、安易に転用ができない場合もあります。

所有している農地が市街地にある市街地農地の場合は、農業委員会に届出だけで転用が可能です。

しかし、それ以外の農地は農業委員会に転用許可を申請する必要があります。その中でも、市街地周辺農地であれば許可申請をすると原則として転用が認められます。

中間農地の宅地転用も可能ですが、純農地に限っては農作物の生産性が高い分、転用許可を求めても、まず農業委員会の許可は下りないと言われています。

農地を相続する際、農地区分もよく考えて引き継ぐか否かを検討しましょう。

デメリットだけではない!農地相続するメリットとは?

農地を相続した場合、引き継いだ農地から収入を得られる可能性もあります。

被相続人の遺志を引き継ぎ農地経営

被相続人の生前の農業経営に興味を持ち、その経営を引き継ぎたい場合は、農機具・農業用設備を新たに購入する必要もなく農業へ従事できます。

特に被相続人の農業を手伝っていた相続人ならば、未経験から始めるわけではないので、自分が得た農作業のノウハウを活かし、安定した農業経営が期待できるはずです。

農地の貸し出しも可能

引き継いだ農地を自分で使用する予定がない場合、近隣の農家の方々へ貸し出すのも良い方法です。農地を貸せばまとまった賃料が得られるかもしれません。

農地を貸し出すときは原則として農業委員会に許可申請が必要です。ただし、こちらの許可申請ならば宅地に転用するわけではないので、許可が下りやすいはずです。

もし農地の借り手がなかなか見つからないときは、市区町村役場の窓口やJAに相談してみましょう。借り手を仲介してくれる制度(例:農地バンク等)も利用できるので、一人で探す手間が省けます。

農地を農業以外での活用方法をご紹介!

農地を自分で農業する以外に活用する方法は、農地の貸し出しの他、次のような方法もあります。

活用方法活用効果注意点
農地売却同じ地域で農業を営む人に売却すると、まとまったお金が得られる・農業委員会の許可が必要
・農地の購入希望者がなかなか現れず、売却が進まない場合もある
駐車場・商業施設に変更農地の用途を変更、駐車場やコンビニ、飲食店等を経営すれば大きな収益になる場合もある・用途変更の難しい農地の場合はまず不可能
・店舗等を開設してどのくらいの収益が得られるかは未知数

駐車場・商業施設に変更する場合、駅近はもちろん、駅・市内の中心部から離れていても、自動車の往来が多い国道沿い等へ建築すれば、大きな利益が期待できます。

ただし、自家用車やバス等の公共交通機関、歩行者もあまり利用しない場所では、収益の確保は非常に難しいはずです。

農地売却も駐車場・商業施設への活用も、大きな収益を得られる可能性はあります。しかし、生じ得るリスクを十分考慮する必要はあるでしょう。

相続した方がデメリット?手放した方が良い農地の特徴

被相続人の所有していた農地が次のような場所・状態となっていた場合、手放した方が良いでしょう。

  • 被相続人が生前に農地経営を行い、管理は行き届いているが、相続人の生活圏から遠い距離にあり不便
  • 被相続人の代で既に農地が放置され荒廃している

相続人の居住地域から遠い距離に農地があり、今後の維持管理が難しく、農地の近くへ引っ越す予定もないなら、売却するか貸し出す方法を検討しましょう。

また、被相続人の代で農地が荒地化している場合は、再び農地として活用するのは非常に困難です。

相続開始時、被相続人の財産が農地を含めた不動産資産しかなく、相続しても重い負担となる場合は、相続放棄を検討するのも一つの方法です。

農地の相続をする方法と相続を放棄する方法をそれぞれ解説!

ここでは農地を相続する場合、放棄する場合に分けて、その方法を解説します。

農地を相続する方法

相続が発生した場合、農地は不動産資産なので、まず農地を管轄する法務局にて相続登記を行いましょう。

  1. 被相続人の連続した戸籍謄本・相続人の戸籍謄本、相続人の住民票等を準備する
  2. 法務局にて登記申請書と必要書類を提出
  3. 相続登記完了後、農地の登記事項証明書を取得
  4. 相続開始を知ってから10か月以内に農業委員会へ届出書・農地の登記事項証明書を提出

なお、農地を売買するわけではなく相続するので、農業委員会には届出だけで済みます。

相続を放棄する方法

農地の相続放棄は、相続開始があった事実を知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ申述します。なお、相続放棄をすれば、最初から放棄した本人(申述人)は相続人でなかったことになります。

次の流れで手続きを行いましょう。

  1. 申述人が相続放棄の申述書や被相続人および自分の戸籍謄本等を収集
  2. 期限以内に家庭裁判所へ書類を提出
  3. 家庭裁判所が照会書・回答書を送付
  4. 所定の書類に回答し返送
  5. 家庭裁判所から受理通知書が届く、相続放棄完了

家庭裁判所に書類を提出後、相続放棄の完了まで1ヶ月程度かかります。

農地相続のデメリットに関して聞きたいときはこちら

農地相続に不安を感じたら、農地を管轄する市区町村役場・JAへ問い合わせてみましょう。また、農地相続のデメリットやリスクを知りたいなら「円満相続ラボ」で相談するのも良い方法です。

円満相続ラボでは、相続に関する不安を解決できる「相続診断士」を無料で紹介しています。農地相続に関して、相続診断士は的確なアドバイスを行ってくれるはずです。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

CONSULTATION

無料相談

SEARCH

キーワード検索

事例集検索

RANKING

アクセスランキング

SEARCH

目的別に記事を探す

相続相談画像

CONTACT

相続に関するお悩みは
私たちにお任せください

円満相続ラボでは、相続に関するお悩みを解決できる「相続診断士」を無料でご紹介しております。
相続診断士が必要かどうかの相談もできますので、お気軽に御連絡ください。

TOP
touch( get_stylesheet_directory() . '/achievement.php' );