親子間での贈与を現金手渡しで行った場合は贈与税がかかるのか解説!

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遺産相続

親子間での生前贈与を現金手渡しで行ったら贈与税はかかる?

親子間での現金を手渡すやり取りも生前贈与の一つです。生前贈与を現金手渡しで行うのは法的に認められており、何ら違法な行為ではありません。

贈与者・受贈者(贈与を受け取った人)が気になるのは、贈与の際に課される「贈与税」の存在でしょう。

贈与税は贈与を受け取った場合、無条件で課税されるわけではないので安心してください。主に次のような贈与は課税されません。

  • 親や祖父母が子供や孫へ生活費・教育費に充てるためのお金を贈与した
  • 孫や子供へのお年玉、お見舞い金、結婚費用、お葬式に渡した香典等
  • 贈与税の非課税制度(年間110万円以下の贈与額に抑える)を利用した

当然、現金を手渡しで贈与しても上記のいずれかに該当すれば、申告・納税の必要はありません。

贈与税の申告が遅れた場合はペナルティが課される!

現金の手渡しで贈与を行う場合でも、1年間110万円を超える贈与を受けた受贈者は、原則として贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までに、贈与税を申告・納付しなければいけません。

受贈者の納税地を管轄する税務署へ、贈与税の申告書等を窓口・郵送・e-Taxのいずれかを利用して提出しましょう。

贈与税を申告・納付していない事実が発覚すれば、税務署から指摘を受ける場合もあります。

申告の遅れや無申告だったとき、次のペナルティを課せられる可能性があります。

過少申告加算税

期限内に申告したが、もう一度申告し直す(例:計算が誤っていた等の理由)場合、課されるペナルティです。ケースごとに上乗せされる税率が異なります。

ケース上乗せされる税率
税務調査の通知が届く前に自主的に修正申告上乗せ無し
税務調査の通知を受けてから税務調査を受けるまでの間に自主的に修正申告・贈与税額~50万円まで税率5%上乗せ
・期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は税率10%上乗せ
税務調査を受け修正申告・贈与税額~50万円まで税率10%上乗せ
・期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は税率15%上乗せ

無申告加算税

申告が遅れた場合に課せられるペナルティで、こちらもケースごとに上乗せされる税率が異なります。

ケース上乗せされる税率
税務調査の通知が届く前に自主的に申告税率5%上乗せ
税務調査の通知を受けてから税務調査を受けるまでの間に自主的に申告・贈与税額~50万円まで税率10%上乗せ
・50万円を超える部分は税率15%上乗せ
税務調査を受け申告・贈与税額~50万円まで税率15%上乗せ
・50万円超300万円以下の部分は税率20%上乗せ
・300万円超の部分は30%上乗せ

なお、過去5年内に、無申告加算税(通知が届く前の申告を除く)または重加算税を課されたことがあるときは、更に10%加算されます。

重加算税

隠蔽や偽装して贈与税を納税しなかった場合、課せられる重いペナルティです。

過少申告・無申告上乗せされる税率
過少申告の場合・過少申告加算税に代えて税率35%上乗せ
・過去5年以内にも無申告等があったとき税率45%上乗せ
無申告の場合・無申告加算税に代えて税率40%上乗せ
・過去5年以内にも無申告等があったとき税率50%上乗せ

延滞税

延滞税とは、納付期限に遅れた場合に課される税金で、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じ、下表のような税率で上乗せされます(2023年1月1日~12月31日までの期間)。

過少申告・無申告上乗せされる税率
法定納期限の翌日から2カ月経過する日まで年2.4%
法定納期限の翌日から2カ月経過した日以後年8.7%

親子間での正しい生前贈与の方法を解説!

税務署から脱税等を疑われないためには、贈与額を110万円に抑え、かつ贈与者・受贈者が毎年贈与契約書を取り交わしましょう。

双方が契約書に署名・押印して贈与が行われていれば、毎年、税務署へ110万円以下で贈与されている事実を示す証拠になります。

贈与契約書に記載する内容は、主に次の通りです。

  • 贈与者・受贈者の氏名・住所
  • 贈与金額
  • 贈与する期限
  • 贈与方法(指定口座への入金等)

なお、署名は自筆で記入しますが、贈与契約書に記載する内容はパソコンで作成しても構いません。

贈与税をかけずに現金を贈与する方法3つをご紹介!

親子間で贈与をする場合、贈与税がかからない方法を3つ紹介しましょう。

暦年贈与

贈与者が受贈者1人につき、年間110万円以下の贈与額に抑えて毎年贈与する方法です。贈与契約書を毎年作成していれば、税務署に課税されないことを示す証拠ともなります。

受贈者1人につき110万円の基礎控除なので、例えば子供が3人いたら均等に110万円(合計330万円)ずつ受贈者に課税されず、毎年贈与できます。複数人(祖父と祖母の2人からなど)から贈与した場合でも、基礎控除額は受贈者1人につき110万円ですので、超過した分には贈与税が課されますので注意が必要です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子(孫)へ贈与が行われる際、子(孫)の選択により利用できる制度です。

2,500万円の特別控除が用意され、特別控除の限度額に達するまで贈与税は課されません。ただし、限度額を超えれば超過分に一律20%の贈与税が課されます。

また、本制度は2,500万円分の課税を、相続が発生するまで猶予される仕組みをとります。つまり、相続時にこの制度で贈与された分も課税対象となるのです。

その他、相続時精算課税と暦年課税の併用はできないので注意が必要です。

本制度の利用には手続きが必要で、受贈者が最初の贈与年の翌年2月1日~3月15日までに納税地の税務署へ、相続時精算課税選択届出書や戸籍謄本等と共に贈与税申告書を添付し、提出しなければいけません。

なお、2024年1月からは相続時精算課税制度が改正され、特別控除2500万円分とは別に年間110万円まで基礎控除が認められます。

年間110万円までの贈与ならば、最初の贈与年に手続きをした後は贈与税の申告・納税が不要、相続税もかかりません。

住宅取得等資金の贈与税の特例

父母や祖父母から18歳以上の子や孫に対し、一定の要件のもとで住宅取得等資金が贈与された場合、最高1,000万円の贈与税が非課税となる制度です。

主な適用要件は次の通りです。

  • 住宅取得等資金を2023年12月31日までに贈与
  • 贈与年の受贈者の合計所得金額が原則2,000万円以下

さらに、質の高い住宅(1,000万円の非課税限度額)と認められるためには

  • 断熱性能等級4以上もしくは一次エネルギー消費量等級4以上
  • 耐震等級2以上もしくは免震建築物
  • 高齢者等配慮対策等級3以上

いずれかに該当する必要があります。

なお、利用期限は4ヶ月後にまで迫っていますが、期間は延長される可能性もあります。国土交通省のホームページをこまめに確認しておきましょう。

現金手渡しでの生前贈与は避けた方がよい?理由は?

生前贈与で現金を手渡す方法はなるべく避けた方が無難です。

確かに現金を手渡す方法は、とても簡単で面倒な手続きは不要な点はメリットです。

しかし、手渡しの場合は贈与契約書を作成しても、「110万円以内で現金を手渡した。」という履歴が残らない点はデメリットといえます。

履歴がないと税務署に贈与税の発生を疑われた場合、受贈者側は契約書通りの内容で贈与した、という有効な証拠が提示できなくなります。

そのため現金を贈与する場合は、銀行振り込みを利用した方が良いでしょう。銀行振り込みにすれば履歴が残り、契約書通りの内容で贈与された事実が一目でわかります。

なお、贈与税に関して不明な点や疑問があるなら、税の専門家である「税理士」に相談してみましょう。税の知識に精通している税理士なら、相談者の質問にわかりやすく回答してくれるはずです。

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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

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この記事を監修したのは…

久保 順子

久保順子税理士事務所/代表  税理士・CFP認定者・宅地建物取引士・相続コンサル

久保 順子(くぼ じゅんこ)

女性ならではの目線や対応で親切丁寧がモットーです。
 相続が発生する前や発生した時の「不安」が「安心」に変わるよう、FPの知識を生かし税金の計算だけに限らない幅広いサポートを行っていますので、お気軽にご相談ください。

コラム執筆:神奈川新聞社 カナスムKANAGAWA PREMIUM8「家と税金」担当。

サイトURL:https://jkubo-jtax.com/

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