寄与分が認められた相続判例を紹介!成立要件・主張ポイントを解説!

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遺産相続

そもそも寄与分とは?

寄与分とは被相続人の財産維持に貢献した人がいた場合、その貢献度に応じて相続財産を増額するという制度です。貢献した人には被相続人の財産管理や事業のサポートをした人の他、被相続人の療養看護を行った人も含まれます。

この寄与分を主張できるのは相続人のみであり、相続人以外の方々には認められていません。

なお、無償で被相続人に尽くした相続人以外の親族を対象として「特別寄与料」の請求権も創設されました(2018年の民法改正)。

寄与分が認められる条件とは?

被相続人の財産維持に貢献した相続人なら、誰でも寄与分が認められるわけではありません。

寄与分が認められる条件は次の通りです。

  • 寄与行為が相続開始前である
  • 寄与行為が被相続人にとって必要不可欠だった
  • 特別な貢献である(誰でも気軽に貢献できる内容ではない)
  • 被相続人から報酬(対価)を受け取っていない
  • 寄与行為が一定期間以上である(数日の貢献では足りない)
  • 被相続人にとってかなりの負担があった(寄与行為に専念していた)
  • 寄与行為と被相続人の財産の維持・増加に因果関係がある(寄与した人のおかげで大きな収益が得られた等)

寄与分が争われてきた事案を通し、裁判所から認められてきた寄与行為は5種類あります。

寄与行為内容
家事従事型相続人が無償またはわずかな給与で事業を手伝い被相続人の財産形成に貢献した
金銭等出資型被相続人の介護施設の入居費用を負担や、故人の借金を代わりに弁済した
療養看護型相続人が仕事を辞める等して、被相続人の介護に長期間専念した
扶養型通常考えられる範囲を超え、故人の生活費を負担していた
財産管理型無償で被相続人の不動産売却や管理手続きを、立ち退き交渉等を進めた

なお、寄与分の算定には明確な基準がありません。寄与分の争いを家庭裁判所の調停等で解決する際、裁判所では一定の算定方法で寄与分の有無を判断しています。

寄与分の計算方法を解説!計算する際に注意すべき点とは?

裁判所では寄与行為5種類それぞれのケースで、どのように寄与分を計算するのかを明示しています。こちらでは、それぞれの計算式と具体例を取り上げます。

寄与分の計算方法

寄与行為5種類の計算方法は下表の通りです。

寄与行為計算方法
家事従事型相続人が被相続人と同居し、相続人の生活費の負担が軽減された場合その分は控除対象となる
受け取るべき年間給付額×(1-生活費控除割合)×寄与年数
金銭等出資型貨幣価値の変動、裁量的な割合も考慮して計算する
贈与額×貨幣価値変動率×裁量的割合
療養看護型相続人による介護で、付添介護人への支払費用が浮いた場合、その費用が寄与分
付添介護人の日当額×療養看護日数×裁量的割合
扶養型通常考えられる扶養の範囲を超えて負担した、生活費・期間等を計算する
負担した扶養額×期間×(1-寄与相続人の法定相続分割合)
財産管理型相続人が売却手続き・管理を第三者に委任した際にかかった費用が寄与分
第三者に委任した場合の報酬額×裁量的割合

具体的な計算例

療養看護型を例に、寄与分を計算してみましょう。

(例)被相続人のために長男は会社を辞め、その介護に専念した。長男は寄与分を主張している。

療養看護型の場合は「付添介護人の日当額×療養看護日数×裁量的割合」で計算します。

介護報酬相当額は概ね1日5,000円〜8,000円程度、裁量割合は0.5〜0.9を乗じます。基本的に0.7を採用する裁判例が多いです。

具体例をあげて計算してみましょう。

  • 付添介護人の日当額:1日7,000円
  • 療養看護日数:300日
  • 裁量割合:0.7

7,000円×300日×0.7=1,470,000円

寄与分は147万円となります。

寄与分に関する法律や条文を解説!その適用例も!

寄与分に関する規定は民法第904条の2で明記されています。

当該条文の内容は次の通りです。

  • 寄与分を受け取る相続人は、被相続人のために特別の寄与をした者が対象となる
  • 寄与分は特別の寄与をした相続人と他の相続人とで寄与を認めるか、寄与分をどうするかについて話し合いで決めればよい
  • 話し合いがつかなければ、裁判所がいろいろな事情を考慮して寄与分について決める
  • 寄与分は、被相続人が相続開始時において有する財産価額から遺贈価額を控除した残額を超えてはならない

つまり、寄与分は厳格な規定に基づき適用される制度ではありません。

法律で条件や金額が細分化して決められているわけではなく、他の相続人との話し合いで寄与分を決める際、相続人全員が納得するならば自由にとり決めて構いません。

話し合いで決着が付かなかった場合は、裁判所の判断基準をもとに、寄与分を算定していきます。

寄与分が認められた判例を2つ紹介!

裁判所の判断では「特別の寄与」にあたるかどうかが注目されます。特別の寄与と認められた2つの判例を紹介しましょう。

神戸家裁豊岡支部平成4年12月28日審判(療養看護型)

被相続人は持病の悪化、老衰のため寝たきりの状態となりました。そこで相続人である子とその妻が、被相続人の自宅看護を行います。

しかし、被相続人の病状が進行し、相続人の妻はわずかな外出すら難しくなり、昼夜を問わず看護する事態となります。結果、相続人の妻は寝不足・疲労から自律神経失調症を患ってしまいました。

家庭裁判所は相続人の妻の多大な献身・負担(療養看護型)が認められ、看護の2年4ヶ月分となる120万円の寄与分を認めました。

なお、裁判当時「特別寄与料制度」がなかったため、妻は相続人の代行者として看護したとみなされ、相続人である子の寄与分という形で認められています。

東京高等裁判所平成22年9月13日決定(扶養型)

相続人は約15年間、被相続人の家計に給料を全額入れ、家計の管理を担っていました。

裁判所はその行為が特別の寄与であると判断し、扶養型の寄与分と認め、家計に入れていた金額分から相続人の生活費・小遣いを差し引いた分を寄与額として判示しています。

給料全額を家計に回し、被相続人の苦しい経済状態を助けた事実は、身内が行うべきサポートの範囲を十分に超えていると認められた判例です。

寄与分が認められなかった判例を2つ紹介!

特別の寄与と認められなかった2つの判例を紹介しましょう。

静岡家庭裁判所沼津支部平成21年3月27日審判(療養看護型)

相続人の妻は通院に同伴したり、入浴のサポートをしたり等、被相続人の世話を10年以上担ってきました。

相続人は被相続人とずっと同居してきましたが、被相続人は退院後、一日中付き添いが必要な状態ではありませんでした。

被相続人が自分でトイレで用を足す、箸を持って食事できた点を考慮すると、同居家族としての通常期待される扶養義務の範囲を超える療養看護をしたとは評価できない、と寄与分を否定しています。

大阪高等裁判所平成27年3月6日決定(扶養型)

相続人は被相続人の近くに住み、18年に渡り食事の世話をしてきました。相続人は被相続人の食費を1日1,000円で換算し、657万円相当も負担してきたと寄与分を主張します。

それに対し、裁判所は証拠が不十分であるかつ、扶養の範囲を超えるとまではいえないと判断し、寄与分を認めませんでした。

18年間食事の用意をするのは簡単といえないかもしれせんが、その行為は特別の寄与とまでいえないと判示しています。

寄与分が認められるのが難しい理由とは?

寄与分を主張する権利に消滅時効はありません。しかし、かなり過去にさかのぼり、被相続人に貢献したと寄与分を主張するのは大変困難です。

なぜなら、寄与に関する領収書や契約書は、既に紛失している可能性が高いからです。

寄与分で揉めたら裁判所が寄与の内容等を証拠とし、諸般の事情を総合的に考慮します。しかし、証拠となる当時の資料があまり残っていないと、寄与分はなかなか認められないケースが多いです。

日本と他国では寄与分の取り扱いは違う?

日本では寄与分に関して、相続人の公平性を確保する目的で利用できます。しかし、例えば中国の相続法では、法定相続人でも被相続人の扶養義務を十分履行しないとき、相続分が全く認められなかったり、減額されたりします。

逆に、被相続人への扶養義務を多く果たしてきた相続人には、均等の相続分よりも多くの相続分が認められるケースがあるのです。

つまり、中国の相続法では「相続分を多くもらいたければ、親孝行をしなさい。」という、政府の姿勢が反映されています。

要チェック!寄与分が認められるためのポイント!

寄与分が認められるポイントとしては、やはり被相続人のために何らかの出費をしたならば領収書、被相続人のために契約を締結したなら契約書等、証明書類となる物は全て保管しておくことが大切です。

また、他の相続人と寄与分でトラブルとなり、裁判所で解決を図る場合は、法律の専門家である弁護士に相談・依頼した方が良いでしょう。

弁護士のサポートを得れば、次の点で有利となります。

  • 寄与分の金額を正確に導き出してもらえる
  • 他の相続人との交渉・法的手続きを任せられる
  • 寄与に関する証拠の収集を手伝ってもらえる

家庭裁判所での調停・審判の際は、もちろん依頼者の立場にたって、寄与分を主張・立証してくれます。

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