凍結した銀行口座を解除する相続手続き、日数や必要書類を徹底解説!

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遺産相続

口座が凍結されるタイミングとは?なぜ凍結される?

口座名義人(被相続人)が亡くなったら、口座を開設している金融機関に連絡が必要です。

連絡を受けた金融機関は、口座名義人の預金口座を凍結します。

預金口座を凍結する理由は、遺言書の確認が行われず、遺産分割が話し合われていない状態で、相続人が勝手に預金を引き出すと、相続人間で大きなトラブルに発展する可能性があるからです。

また、相続人が預金を引き出してしまえば、引き出した本人は単純承認とみなされ、相続放棄が不可能となります。

このような様々なトラブルを避けるため、しばらくの間、預金口座は凍結されてしまうのです。

預金口座が凍結されるとどうなる?凍結されているか確認する方法!

預金口座を凍結されたら、基本的に被相続人の口座から出金も入金もできなくなります。

もちろん、公共料金、クレジットカードの支払い等についての口座引落は不可能です。

凍結されているかは金融機関の窓口に確認しても構いませんが、ATMの残高照会で確認する方法が有効です。

口座が凍結されていた場合、残高照会は行えず他のアナウンスが表示されます。一刻も早く口座凍結が解除できるよう、相続人が協力して相続手続きを進めていきましょう。

相続における口座凍結を解除したい!解除方法・名義変更の方法を解説!

預金口座の凍結解除は、最寄りの金融機関の窓口で手続きを行う必要があります。オンラインでは対応できません。

また、窓口を訪問する際は事前に予約しないと、受け付けてもらえないケースもあるので注意しましょう。

こちらでは、いろいろな解除方法・名義変更の方法について解説します。

遺言書・遺産分割協議書が無い場合

被相続人の遺言書がなく、相続人で遺産分割協議もしなかった場合は、預金口座を凍結した金融機関の「相続関係届書」に、法定相続人全員の署名と実印の押印を行い、窓口に提出が必要です。

なお、金融機関によっては「相続届」「相続手続依頼書」等と名称が異なります。

遺言書がある場合

被相続人の遺言書が見つかったら、次のような対応をとり窓口に提示します。

  • 自筆証書遺言・秘密証書遺言→家庭裁判所で検認を経る
  • 公正証書遺言・自筆証書遺言書保管制度利用→検認不要

自筆証書遺言書保管制度とは法務局での保管の他、民法で規定されている自筆証書遺言の形式にあっているか、遺言書保管官の外形的なチェックが受けられる制度です。

本制度を利用し、法務局に遺言書を保管すれば、相続人等の利害関係者による破棄・隠匿や、改ざんを防止できます。

遺産分割協議書を作成した場合

相続人が遺産分割を話し合った、その内容を書面化して提出します。

被相続人の遺産を誰が受け取るのか、明確に記載された書類である「遺産分割協議書」の提示が必要です。

遺産分割協議書には、忘れずに相続人全員が署名と実印の押印を行います。

証券口座などの他の財産が凍結されるケースはある?対処法を解説!

銀行の預金口座と同様、証券会社の「証券口座」も口座名義人が死亡した報告を受ければ、口座を凍結します。

凍結を解除し、被相続人の遺産を相続人の口座へ振り替える必要があります。

証券会社の窓口に提出する書類は次の通りです。

  • 口座照会依頼書
  • 被相続人の死亡が確認できる書類:戸籍謄本、住民票除票の写し、法定相続情報一覧図等
  • 相続人と確認できる書類:戸籍謄本、法定相続情報一覧図
  • 本人確認書類:運転免許証、パスポート等

相続における口座凍結を解除するのに必要な書類・費用は?

口座凍結を解除する場合、主に次のような書類が共通して必要となります。

  • 被相続人の出生~死亡までの連続した戸籍謄本または法定相続情報一覧図
  • 法定相続人を確認できるすべての戸籍謄本または法定相続情報一覧図
  • 銀行に預けている資産を受け取る人:印鑑登録証明書
  • 通帳等:証書、キャッシュカード、貸金庫の鍵等

ケースによっては次のような書類を準備します。

  • 遺言書・遺産分割協議書が無い→相続関係届書(相続届)
  • 遺言書がある→検認済みの遺言書・検認済みを証明する書類、公正証書遺言、自筆証書遺言書保管制度利用した遺言書
  • 遺産分割協議をした→遺産分割協議書の原本

手数料は基本的にかかりませんが、書類収集の際に費用がかかります。

  • 戸籍謄本:1通450円(本籍地の市区町村役場で取得)
  • 法定相続情報一覧図:無料
  • 印鑑登録証明書:1通200円~300円(お住い地域の市区町村役場で取得)
  • 検認済みの遺言書:1通につき収入印紙800円分(家庭裁判所での検認の際に必要)
  • 自筆証書遺言書保管制度:遺言書保管申請1通3,900円、遺言書情報証明書交付請求1通1,400円

遺産分割協議書とは?口座凍結や解除における役割を解説!

遺産分割協議書とは、相続人が話し合い、被相続人の遺産を誰が受け取るのかについて取り決めた書類です。

この協議書に遺産分割の内容を漏れなく明記すれば、誰が被相続人の凍結口座の預金を引き継ぐのかがわかります。

協議書には相続人全員の署名・押印(実印)後、金融機関の窓口に提示すれば「相続手続きは完了した。」と金融機関側が判断して口座の凍結を解除します。

相続における口座凍結の解除を依頼できる人とは?

金融機関に凍結解除を依頼できる人は遺産の相続人はもちろん、次の方々も依頼可能です。

  • 遺言書執行者:遺言に従い相続手続きを執行する人
  • 相続財産管理人:相続人に代わり被相続人の財産を管理する人
  • 相続人から依頼を受けた人

相続人から依頼を受けた人とは主に弁護士や司法書士、行政書士等の士業専門家があげられます。

こちらの士業専門家に依頼する場合は「委任状」の作成が必要です。

相続における口座凍結の解除が完了するまでにはどのくらいかかる?

金融機関へ預金口座の凍結解除に必要な書類をすべて提出すれば、2〜3週間程度で手続きが完了します。

被相続人の預金口座を引き継ぐ場合、名義が変更された通帳を受け取ります。

一方、解約して預金の払戻しをしたいならば、相続人の指定口座に払戻し金が振り込まれ、被相続人名義の解約済みとなった通帳が郵送されてきます。

なお、預金口座の凍結解除に期限はありませんが、10年以上そのまま放置していると「休眠預金」とみなされます。

休眠預金になると民間の公益活動へ活用されてしまうので、速やかに預金口座の凍結解除を行いましょう。

口座が凍結される前にすべきことを2つ紹介!

こちらでは、被相続人の預金口座が凍結する前に行うべき作業を2つ紹介しましょう。

生前に預金口座をまとめておく

被相続人に複数の銀行口座があると、相続人が手続きに手間取る可能性や、相続手続きの際に一部の口座を見逃してしまう可能性もあります。

そんな場合を想定し、被相続人はあらかじめ預金口座を1つにまとめましょう。

また「エンディングノート」等を作成し、どこの金融機関に預金口座を開設しているのか、口座番号や預金残高を明記していれば、相続人が確認しやすくなります。

遺言書を作成する

被相続人が遺言書を作成していれば、誰に金融資産(自分の預金等)を引き継いでもらいたいのか、相続人にも一目でわかります。

相続人は遺産分割協議の手間も省けるので、預金口座の凍結がスムーズに進むはずです。

また、遺言書を公正証書遺言(公証人が作成する遺言)で作成すれば手数料は5,000円〜、自筆証書遺言書保管制度を利用すると3,900円はかかります。

しかし、相続人が家庭裁判所へ検認を申し立てる必要はないので、預金口座の凍結解除も行い易くなります。

相続における口座凍結を解除しない方が良いケースとは?

被相続人の遺産がプラスの財産より、マイナスの財産(借金等)が大きい場合は、口座凍結を解除しない方が良いです。

なぜなら、安易に預貯金の引出し・消費をすれば、借金等も含めてすべての遺産を相続する「単純承認」を選択した、とみなされる可能性があるからです。

単純承認とみなされると、遺産を引き継がない「相続放棄」や、プラスの財産の範囲で借金等を引き継ぐ「限定承認」もできなくなります。

口座凍結後も預金を引き出せる仮払い制度について解説!

口座凍結後に何とか預金を引き出したい場合には「相続預金の払戻し制度」を利用しましょう。

本制度を利用すれば、遺産分割前でも被相続人の銀行口座から、ある程度の金額の引き出しが可能です。

こちらでは、家庭裁判所の仮処分が不要なケースとそうでないケースに分けて説明します。

家庭裁判所の仮処分が不要なケース

引き出す金額の上限が1金融機関で150万円以下なら、金融機関窓口での手続きのみで引き出しが可能です。

基本的に次の書類を提出します。

  • 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 払い戻しを希望する人の印鑑登録証明書

相続人が単独で払い戻しできる金額は「相続開始時の預金額×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分」で、かつ上限150万円までです。

家庭裁判所の仮処分が必要なケース

150万円を上回る引き出しの場合は、家庭裁判所に仮処分が必要です。

遺産分割の審判または調停の申立てを行い、家庭裁判所からお金の引き出しを認めてもらいます。

家庭裁判所の仮処分後、金融機関で手続きを開始します。基本的に次の書類を提出します。

  • 審判書謄本、確定証明書も必要)
  • 払い戻しを希望する人の印鑑登録証明書

不明な点は相続診断士に相談を

預金口座の凍結解除の手続きでわからない部分がある場合は、相続全般の専門知識を有する「相続診断士」へまず相談してみましょう。

相続診断士は有資格者なので、相談者の悩みや不明点へ的確なアドバイスを行います。相続診断士の助言を受けつつ、円滑に相続手続きを進められるはずです。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

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