生前贈与に生命保険を活用!メリットやプランについて解説

公開日:
最終更新日:
遺産相続

生命保険の受け取りには税金がかかる?契約形態によって変わります

死亡保険金(火災保険金、死亡保険金を含む)を受け取った場合の税金は、契約者(保険料負担者)
被保険者、受取人の関係により異なります。相続税か所得税または贈与税課税対象になります。

下記表を参考にしてください。

 契約形態 契約者 被保険者 死亡受取人 税金の種類
契約者と被保険者が同一人の場合   A(例)夫   A(例)夫   B(例)妻 相続税(※1)
契約者と受取人が同一人の場合   A(例)夫   B(例)妻   A(例)夫 所得税(※2)
契約者、被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合   A(例)夫   B(例)妻   C(例)子 贈与税

(※1)相続税の課税対象になりますが、死亡受取人が相続人の場合は「法定相続人数×500万     円」までは非課税となります。
(※2)所得税の場合、住民税の課税対象にもなります。

贈与税って何?かかる場合といくらかかるのかチェック!

贈与税とは個人からの贈与によって財産を取得した場合にその取得した財産に課税される税金です。

【贈与税がかかる場合】

 暦年贈与・・・贈与税は一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。したがって110万円以下なら贈与税はかかりません(この場合贈与税申告は不要です)

また贈与税の対象となる財産は【特例贈与財産】【一般贈与財産】の2種類に分けられます。

特例贈与財産とは以下の要件を満たす贈与者から受贈者への贈与により取得した財産のことです。

受贈者の要件・・・財産の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者。
贈与者の要件・・・上記の受贈者の直系尊属(父母や祖父母など)である者。

それ以外は一般贈与財産になります。

特例贈与財産用(20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合)

基礎控除後の課税価格200万円以下400万円以下600万円以下1000万円以下1500万円以下3000万円以下4500万円以下4500万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額 ―10万円30万円90万円190万円265万円415万円640万円

計算式
(贈与を受けた財産の合計)―(基礎控除110万円)×(税額)ー(控除額)=(贈与税の課税対象)

一般贈与財産用

基礎控除後の課税価格200万円以下300万円以下400万円以下600万円以下1000万円以下1500万円以下3000万円以下3000万円超
税率10%15%20%30%40%45%50%55%
控除額 ―10万円25万円65万円125万円175万円250万円400万円

相続時精算課税・・・これを選択した場合、贈与者ごとにその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与として受け取った財産の価格の合計額から2、500万円の特別控除額を控除した残額に対して贈与税がかかります。

この特別控除額は贈与税の期限内申告を提出する場合のみ控除することができます。

また、前年以前のこの特別控除の金額の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の控除限度額になります。

贈与者の要件・・・60歳以上の父母又は祖父母であること。
受贈者の要件・・・贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫であること。

また、贈与者が死亡して相続が相続が発生した際には、受贈者が相続する課税価格に相続時精算課税により贈与された財産額を合算して相続税の申告をすることになります。

つまり、値上がりが予測される土地などには節税効果がありますが基本的には節税にはならないということです。
注意点として相続時精算課税制度を選択すると暦年課税の選択が出来なくなるので選択される場合は十分検討してください。

生命保険を使って生前贈与!そのしくみを解説

「生前贈与」に関してよく知られているのは、基礎控除の110万円が用意されている点かと思います。贈与する財産が1年のうちに110万円以下であれば非課税で贈与できるというシステムです。

生命保険では保険料を一時払いして、その後選択した保険期間に渡って、毎年生前給付金として受取人に給付額が支給されるものがあります。

【例】一時払い保険料1,000万円、保険期間10年にした場合には、毎年100万円の生存給付金が受取人に支払われるこの契約形態について説明します。

生命保険で父が契約者、被保険者で、息子が受取人の場合

父が万が一のことを考え、自分に保険をかけて保険料を払込み、息子を受取人に指定しているというものが一般的ですが契約形態を変更することにより生前贈与が活用できます。

契約者が息子で被保険者が父、受取人が息子の場合

保険料を負担するのは契約者である息子で、受取人も息子の場合の保険料は生前贈与に用意された基礎控除110万円の枠を使って、父から息子に贈与します。こうすれば贈与した保険料のお金は課税されず、息子が契約者として払込むことができます。 

生前贈与に生命保険を使うメリットとデメリットとは

生前贈与に生命保険を使う場合のメリットから解説します。

相続税を減らせる

保険を活用することでさらに相続税を減らすことができます。たとえば保険料が年間10万円の保険を30年間払い続けると総額300万円になります。もし生命保険を利用していなければこの300万円は手元に残っているため相続税の課税対象となりますが、生命保険料の支払に充てておけば手元に残らず、相続税の課税対象とはなりません。

納税資金が準備しやすい

相続税は一括現金納付が原則ですが、相続税が多額になった場合、その現金が用意できなければ不動産を売却して現金を作る手段も考えられますので、その点生命保険を利用しておけば死亡保険金として現金が受け取れ、納税資金を準備しやすくなります。

相続トラブルの防止につながる

相続の際に起こりがちなのが遺族間のトラブルです。しかし生命保険を利用しておけば死亡保険金の受取人が指定できますので相続トラブル防止に繋がります。
相続トラブルは主に「遺産をどのように分割するか」が争点となり発生します。そのため、所有者が明確にされている死亡保険金は遺産分割の対象から外れるのです。

続いてデメリットを解説していきます。

被保険者が保険料を負担しなくなる

生命保険による生前贈与はかなりの長い期間で行われることを前提としたものですので、不測の事態が当然起こり得ます。途中でやむなく事情の変更が起こり被保険者が保険料を負担しなくなると、受取人、及び契約者自身が保険料を負担していかなければなりません。

ここで考えられるのが親子喧嘩で絶縁状態となり、父が生前贈与する意識を失った、父が認知症になり生前贈与を行えなくなったというケースです。

解約のタイミングで元本割れするリスク

生命保険は一定期間より短い期間で解約すると、元本割れする可能性が高いです。事情の変更によって生命保険が続けられなくなった場合などはやむなく解約せざるをえないかもしれません。

リスクを考え元本割れしにくそうな生命保険を探してみるのもいいかと思います。

生前贈与と認められない場合がある

贈与する人が人が一人で「贈与する」と決めて財産を渡しても、贈与受ける人が「贈与を受けない」といえば生前贈与にはなりません。

また贈与する人が「生前贈与をした」と考えていても、贈与を受ける人は「生前に贈与を受けていない」との認識の違いが出てきます。

生前贈与は双方の合意があって認められますのできちんとした話し合いが必要です。

生命保険の生前贈与プランをご紹介!

生きているうちに渡すのが生前贈与といい贈与者(あげる人)受贈者(もらう人)が居て財産の移転が行われます。贈与者は自分の意思で「いつ、誰に、いくら渡す」と決められます。

また贈与者の方が現金で生前贈与する場合「評価しやすい、分けやすい、自由に金額が決められる」

のメリットがあることからその活用として生命保険があります。

また生前贈与を行う場合の留意点として

・受贈者(もらう人)が贈与を受けることを認識している。

・受贈者(もらう人)が未成年者の場合は、法定相続人(通常は親権者)が同意をしている。

・毎年贈与契約書を作成する。(原本2部作成し、贈与者と受贈者が1部ずつ保管する)

・受贈者は自分名義の預貯金口座を開設している。

・金銭の受贈、贈与税の納付についてはその自分名義の預貯金の口座を利用している。

以上の留意点が挙げられます。また、生命保険で活用する場合は各々の考えや想いでプランは変わります。

贈与者(あげる人)の考えは、相続人である者に対して相続税の納税資金に困らないように、贈与した現金を相続税の納税資金として活用して欲しい。教育資金や結婚資金、住宅資金の補填など。

受贈者(もらう人)相続の時に納税資金が困らないようにしたい。緊急の場合にはまとまったお金の準備が必要。

それでは国内生命保険会社の生前贈与として活用する保険の種類を見てみましょう。

A生命の場合

目的保険種類契約形態及び税金
贈与者の死亡保障相続時に納税資金や緊急時にまとまった資金が確保できるようにしておく終身保険:終身にわたって死亡に備える保険です。(保険金額について)保険期間が長い方がより大きな保障を確保することができます。(保険料払い込み期間における同一経過時点の解約返戻金額について)保険料払い込み期間が短い方が解約返戻金は大きくなります。契約者(保険料負担者)子被保険者 父or母受取人 子
注)受贈者(子)が受け取った死亡保険金は相続税ではなく1時所得として所得税と住民税が課税されます。終身保険のみの場合は被保険者=贈与者の死亡により保険契約は消滅し、以後の保険料負担はありません。
受贈者の死亡保障万が一の備えを確保しながら資産形成できるようにしておく。受贈者の資産形成資金が必要な時に保険料の払込みが満了し年金として受け取れる。一時払い終身保険:1回のお払込みで終身にわたって死亡に備えることができます。払込保険料より大きな保障が終身にわたって続きます。一定期間経過後は払込保険料を上回る解約返戻金があります。又、払い込み期間を決めることにより年金や1時金での受取も可能です。終身保険の場合のみ贈与者の有無に関わらず払い込み満了まで継続します。

B生命の場合

目的保険種類契約形及び税金
資産形成として終身保険:終身にわたって死亡に備える保険です。(保険金額について)保険期間が長い方がより大きな保障を確保することができます。(保険料払い込み期間における同一経過時点の解約返戻金額について)保険料払い込み期間が短い方が解約返戻金は大きくなります契約者(保険料負担者)子被保険者 父or母受取人 子

終身保険は被保険者=贈与者の死亡により保険契約は消滅し、以後の保険料負担はありません。
個人年金保険:将来の生活資金を計画的に準備するために加入するものです。【確定年金】一定期間受け取れます年金受取人が亡くなった場合は相続人が年金又は一時金で受け取れます。【有期年金】確定年金と形態は同じですが年金受取人が亡くなった時点で残があった場合でも相続人は受け取れない。【終身年金】被保険者が生存している限り受け取れる年金ですが、受取人が亡くなった時点で支払いもなくなります。相続人への引継ぎはできません。受贈者(子)が受け取った死亡保険金は相続税ではなく1時所得として所得税と住民税が課税されます。
養老保険:子供が独立するまでの保障を確保しつつ進学に備えて教育資金を計画的に準備出来ます。満期金と同額の死亡保険金が支払われる。保険期間を自由に設定出来る商品もある。同上
こども保険:こどもの入学に合わせてまとまった資金が確保できる。保険継続時に契約者に万が一の時,以後の払込保険料3が免除され、その後は育英資金として支払われ保険は満了まで継続します契約者 父or母被保険者 子死亡受取人 契約者育英資金受取人 子
保険料支払い者と受取人が同じの場合年金ように毎年受け取る場合所得税(雑所得)満期として一括で受け取る所得税(1時所得)
保険料支払い者と受取人が違う場合は贈与税
相続税納税資金の準備として終身保険:終身にわたって死亡に備える保険です。(保険金額について)保険期間が長い方がより大きな保障を確保することができます。(保険料払い込み期間における同一経過時点の解約返戻金額について)保険料払い込み期間が短い方が解約返戻金は大きくなります。契約者(保険料負担者)子被保険者 父or母受取人 子注)受贈者(子)が受け取った死亡保険金は相続税ではなく1時所得として所得税と住民税が課税されます。

C生命の場合

目的保険種類、内容契約形態及び税金
資産形成として個人年金保険(円建)
年一括払保険料として110万円を限度に支払いする。積立金額は期間決めて確定年金で受取可
契約者、被保険者、受取人 子
無診査、無告知で加入可手続きも簡単です。
外貨建て生命保険
年一括払保険料として110万円を限度に支払いする。積立金額は期間決めて確定年金で受取可
支払い保険料及び受け取る通貨は円でも外貨でも可
契約者、被保険者、受取人 子
生存給付金付の外貨は契約後すぐに受け取り、贈与が開始するイメ-ジです。生存給付金は贈与とみなされ、贈与税の課税対象になります。年間110万円を超えるx贈与があった場合には贈与税の申告が必要です。
相続税の納税資金として終身保険
終身にわたって死亡に備える保険です。(保険金額について)保険期間が長い方がより大きな保障を確保することができます。(保険料払い込み期間における同一経過時点の解約返戻金額について)保険料払い込み期間が短い方が解約返戻金は大きくなります。
契約者 子被保険者 父or母受取人 子 

一般的にどの保険会社も同じ商品で対策はできますが外貨建て(為替の影響で変動有)は将来的な受取金額が受取まで金額が確定せず外貨(米ドル、豪ドルなど)で準備される場合、贈与契約書は必要ありません。

保険料払込期間設定の際にご留意いただきたいこと

老後資金、教育資金、結婚資金、住宅購入資金の準備等の目的に応じて、いつ資金が必要かを考慮して「保険料払込期間」の設定をしてください。

ただし、生前贈与された現金を活用して生命保険をご契約いただく場合には、贈与者の死亡等で贈与が終了し、保険料の払込が困難になる場合もありますので、贈与者の年齢等も含め保険料払込期間の設定については十分にご検討ください。

相続財産もしくは贈与財産に対する相続税額・贈与税額の割合を実効税率といいます。
生前贈与の目安を検討するにあたっては実効税率という考え方がポイントになります。

下記表にてご確認ください。

相続税の実効税率(相続財産と家族状況)

 相続財産 (万円)  実効税率(配偶者がいる場合) 実効税率(配偶者がいない場合)
子1人子2人子3人子1人子2人子3人
5.0000.8%0.2%0.0%3.2%1.6%0.4%
8.0002.9%2.2%1.7%8.5%5.9%4.1%
10.0003.9%3.2%2.6%12.2%7.7%6.3%
20.0008.4%6.8%6.1%24.3%16.7%12.3%
30.00011.5%9.5%8.5%30.6%23.1%18.2%
40.00013.7%11.5%10.4%35.0%27.3%22.5%
50.00015.2%13.1%11.9%38.0%30.4%26.0%
60.00016.4%14.5%13.1%40.0%32.9%28.3%
70.00017.5%15.5%14.1%41.9%35.0%30.3%
80.00018.4%16.4%15.2%43.5%36.9%32.3%
90.00019.2%17.2%16.0%44.8%38.3%33.6%
100.00019.8%17.8%16.6%45.8%39.5%35.0%

相続財産は相続税評価額であり、時価評価額とは異なります。

贈与税実効税率(20歳以上の人が直系尊属から受けた贈与の場合)

①基礎控除前の贈与金額(万円)②贈与税額(万円)実効税率(②÷①)
5000.0%
10000.0%
11000.0%
15042.7%
20094.5%
300196.3%
40033.58.4%
50048.59.7%
6006811.3%
7008812.6%
80011714.6%
90014716.3%
1.00017717.7%

生命保険でも各年の受贈者が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。

ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束した年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかるので申告が必要です。

生命保険を活用しての生前贈与を行う場合は受取形態及び贈与税の有無を把握して契約をすることをお勧めします。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

この記事を書いたのは…

浜田 政子

合同会社RunSmile 代表社員    笑顔相続サロン®愛媛 代表    愛媛相続診断士協会会長

浜田 政子(はまだ まさこ)

長年保険業に携わっている経験を生かしい、生命保険、相続、終活などコンサル及びライフプラン作成を通じお客様へ常に寄り添い、悩みや相談、希望をお聞きし士業とともに解決へ導く道先案内人として愛媛より全国へ笑顔をお届けする活動しております。

よろしくお願いします。

サイトURL:https://run-smile.com

CONSULTATION

無料相談

SEARCH

キーワード検索

事例集検索

RANKING

アクセスランキング

SEARCH

目的別に記事を探す

相続相談画像

CONTACT

相続に関するお悩みは
私たちにお任せください

円満相続ラボでは、相続に関するお悩みを解決できる「相続診断士」を無料でご紹介しております。
相続診断士が必要かどうかの相談もできますので、お気軽に御連絡ください。

TOP
touch( get_stylesheet_directory() . '/achievement.php' );