遺言もデジタルの時代!使い方とともにおすすめ遺言アプリを紹介!
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遺言アプリとは?スマホで遺言書が作成できるアプリです
遺言アプリとは、スマートフォン等で遺言のひな形を作成するアプリです。このアプリで作成した文面を参考に、紙へ内容を書き写せば「自筆証書遺言」が完成します。
遺言を作成するとき遺言者が無料で作成可能なのは、自分で全文を直筆、署名・捺印して作成する自筆証書遺言しかありません。この自筆証書遺言は直筆する必要があり、とても手間がかかります。
他の方法として、ワープロ等による作成は可能ですが、公証人役場へ持参して証人(2人以上)の立ち会いを必要とする「秘密証書遺言」、公証人が遺言を作成して原本を公証役場で保管する「公正証書遺言」もあります。
しかし、これらの方法では費用が発生し、手続きも煩雑です。
このように我が国の遺言作成はとても手間がかかります。その影響もあってか、約9割の被相続人は遺言を作成しないまま亡くなるという問題が起こっています。
そこで、遺言作成のプロセスを簡便にして、被相続人(故人)の希望が反映された遺言書を作成しやすいように開発されたアプリこそ、遺言アプリなのです。
遺言アプリのメリット・デメリットとは?法的効力はあるの?
ここでは遺言アプリを利用するメリット・デメリットを解説します。
遺言アプリのメリット
主にメリットは次の2つが挙げられます。
(1)無料で作成できること
遺言アプリは概ねフォームの質問内容に答えていくだけで遺言が作成できます。これらのアプリは基本的に無料で提供されています。
専門家に遺言作成を依頼すれば数万円以上かかりますが、アプリを使えば無料で遺言の内容が完成します。
(2)気軽に作成できること
お手元にスマートフォンさえあれば、いつでも作成・修正ができます。通勤時間・休憩時間等に自由に編集可能です。アプリはダウンロードするだけで始められ、不要と感じたら削除も簡単です。
遺言アプリのデメリット
主にデメリットは次の2つが挙げられます。
(1)法的効力が無いこと
遺言アプリで作成・保存した遺言内容が、そのまま遺言書として有効になるわけではありません。自筆証書遺言の遺言書本文は、あくまで手書きが必要となります。
そのため遺言アプリで作成した内容は、紙に書き写す作業を行うことで有効な遺言書となります。
(2)アプリのサービス終了も考えられること
遺言アプリは複数の運営会社からリリースされています。しかし、運営会社側の事情で今後サービスが終了するリスクもあります。
その場合、保存していた遺言内容の全データが消去される事態も想定されます。アプリ保存の他、念のため紙で遺言内容を保存しておくと無難です。
遺言書を書くべき人の特徴と、適切なタイミング
ここでは遺言書を書くべき人はどんな人か、遺言作成のタイミングを説明します。
遺言書を書くべき人
次の2点を挙げることができます。
財産が多くある場合・引き継ぐ相続人が多い場合
土地・建物のような不動資産や預金・株券等の金融資産を多く保有する人や遺産を引き継ぐ相続人が多い場合に、遺言書の作成を行うべきです。
遺言を残さないと相続人間で遺産分割協議が行われます。この協議を行うと、誰が遺産を引き継ぐかで揉めだすトラブルに発展することもあります。
遺産が多くあったり、相続人が数多くいたりすればそのリスクは高くなります。相続人間のトラブルを防ぎ、公平な財産分与を行うため、遺言者側で事前に分割内容を決めておいた方が無難です。
自由に引き継ぐ人を選びたい場合
遺言を残さないと、民法で定められた相続人(法定相続人)のみが遺産を引き継ぐことになります。
例えば、自分の家族に配偶者・子・孫がいた場合、法定相続人となるのは配偶者と子だけです。孫へ自分の遺産の全部または一部を引き継がせたくても、法定相続人に該当しない以上、遺言書で孫を受遺者(遺言書で財産の分与を受ける人)に指定しない限り不可能です。
自分の意思で受遺者を指定したい場合は、やはり遺言書を作成する必要があります。
遺言作成のタイミング
遺言はいつ作成しても構いません。退職等の自分の人生の節目の時期、長寿のお祝い、深刻な病気を患ったときなどに作成するケースが多いようです。
タイミングとしては、認知症を発症し、認知機能が低下する前までには作成を進めた方が良いでしょう。
認知機能が低下した状態で遺言書を作成すると、本人に意思能力が無かったと判断され、遺言書が無効となることもあります。具体的な例を挙げると、相続人や受遺者同士が遺言無効確認訴訟で争っている場合などで、裁判所から遺言無効判決を受ける可能性があります。
必見!遺言アプリを使う前に用意するべきもの
遺言アプリを利用する際、まずスマートフォンを用意しましょう。なお、パソコンでも利用できる場合があります。
その他、紙に遺言を作成する場合と同様、自分の財産はどれくらいあるのかを把握します。
もしも財産が預金と住居のみであれば、詳しい調査はあまり必要ないはずです。
しかし、自宅以外に別荘やマンションを所有している場合や、預金の他に株券等も保有している場合は「財産目録」を作成しておいた方が良いでしょう。財産目録は所有する財産の一覧表です。
財産目録の作成は必ずしも義務といえないものの、財産を調査・作成していれば遺言内容の詳細な検討ができ、各相続人に公平な遺産分与を行えます。
無料で使える?おすすめの遺言アプリをご紹介!
ここでは無料の遺言アプリ4点を紹介します。
LINE「タイムカプセル」
トーク感覚で遺言内容を記録でき、簡単な質問に答えるだけで、残すべきことを提案してくれる無料の遺言アプリです。
必要事項を入力すれば法的な形式に則った遺言書の見本が作成できます。見本を真似して手書きすれば有効な遺言書が完成します。
機能は次の通りです。
・情報通信をSSL暗号化:第三者によるデータの盗聴、なりすまし、改ざん等を防止する。
・情報開示前の確認徹底:公開のタイミングを逝去後に開示情報を設定すれば、逝去を証明する書類画像を確認後、事実確認が行われる。
・パスワード設定:任意でパスワードを設定できる。
Husime.com「デジタル遺言書」
ブロックチェーンという、一度記録したら第三者が勝手に書き換えることのできない次世代の情報保存テクノロジーを利用した無料の遺言アプリです。
質問事項を入力するだけで、AIが遺言内容をリライトしてくれます。たとえスマートフォンが壊れても、アプリで作成した遺言内容は消失しません。
機能は次の通りです。
・ライフストーリー機能:遺言の他に自分史も作成可能。
・音声入力機能:アプリの音声に従い入力可能。
・ブロックチェーンで保管:第三者によるデータの改ざん等を防止。
N-first「らくつぐ」
司法書士事務所N-firstが提供する無料の遺言アプリです。チャットボットの質問に画面タップで回答すれば、法律的に有効な遺言書の作成をナビゲートしてくれます。
アプリ上での作り直しであれば何回でも完全無料です。自分のライフステージの変化に合わせて、作り直しが可能です。なお、有料のオーダーメイド遺言の依頼はその都度費用がかかります。
機能は次の通りです。
・オーダーメイド遺言(有料):依頼フォームからワンタップで送信し、個々の状況や要望に合わせたオーダーメイド遺言の作成をN-firstが行ってくれる。
・遺言書必要度診断:チェック項目を直感でタップするだけで、遺言書必要度は何%かを診断してくれる。
・お役立ちコラム:相続や遺言に関連したコラムを掲載。
岡高志行政書士事務所「遺言書AI」
行政書士事務所が運営する無料の遺言書自動作成サイトです。パソコンで自動作成ができるので、スマートフォンのアプリの字が小さく操作しにくい人にも扱いやすいです。
入力画面は非常に字が大きく、高齢者でも利用しやすいよう配慮されています。
機能は次の通りです。
・チャット相談窓口:相続手続きの無料相談が可能(24時間受付)
自分にあった遺言アプリの利用をしましょう
遺言アプリには、LINEのようにトーク感覚で気軽に作成できるものやブロックチェーン技術で厳重に保存できるもの、オーダーメイド遺言が可能なもの、パソコンで自動作成ができるものなど個性豊かに存在しています。
自分が扱いやすく、安心して遺言内容を保存できるアプリを選びましょう。
いずれのアプリも基本料は無料なので複数のアプリを試しに利用し、比較してみるのも良い方法です。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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