財産債務調書はどこまで書く?【2026年最新】提出義務や書き方
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【記事内容を動画で解説】
財産債務調書とは?旧制度との違いや目的を解説
財産債務調書とは、一定の所得金額および財産価額に達した人が、確定申告書とは別に提出する法定調書です。所有する財産(土地・預貯金・有価証券など)と債務(借入金など)を一覧で申告し、納税地を所轄する税務署へ提出します。
財産債務調書の提出義務がある人の条件
提出義務があるのは、次のすべてを満たす人です。
- 確定申告書を提出する必要がある人、または所得税の還付申告書を提出できる人
- その年の退職所得を除く各種所得金額の合計が2,000万円超
- その年12月31日時点で、価額合計3億円以上の財産、または1億円以上の国外転出特例対象財産(有価証券、未決済信用取引・未決済デリバティブ取引等)を有する
2023年分以後は、所得基準にかかわらず「12月31日時点で価額合計10億円以上の財産を有する居住者」も対象に追加されました。
所得が2,000万円超でも、財産3億円未満かつ国外転出特例対象財産1億円未満で、財産10億円基準にも該当しなければ提出は不要です。
なぜ提出が必要?富裕層の資産把握と適正な課税が目的
税務当局が富裕層の資産を把握し、所得税・相続税の申告漏れを防ぐための制度です。令和5事務年度の相続税の実地調査件数は8,556件、うち申告漏れ等の非違件数は7,200件でした(出典:国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」2024年)。
旧「財産及び債務の明細書」との違いは?
財産債務調書は旧「財産及び債務の明細書」を見直して創設されました。旧制度は所得2,000万円超の人に提出義務があるものの財産価額の要件がなく、記載も簡素でした。現行制度では財産価額(3億円以上など)の要件が加わり対象が富裕層に絞られ、財産の種類・数量・価額・所在まで具体的な記載が求められます。後述の加算税の軽減・加重措置とも連動します。
【結論】財産債務調書はどこまで書く?記載範囲を解説
結論として、財産を具体的に特定できるレベルまで詳細に記載する必要があります。
財産の種類・銘柄・数量まで具体的に記載するのが原則
財産の種類・用途・所在に加え、有価証券などは銘柄ごとに数量と価額を記載するのが原則です。「上場株式 ○○円」と合計額だけでなく、「どの会社の株式を何株、いくら保有しているか」まで記します。
記載不備と判断された裁決事例と学ぶべき教訓
記載が不十分だと、加算税の軽減を受けられないうえ加重措置の対象になります。
事例1:銘柄・数量の記載がなかったケース
有価証券(上場株式と外国債券)を証券会社ごとの合計額のみ記載し、個別の銘柄・数量・価額を記載していませんでした。譲渡所得の申告漏れが発覚し修正申告となり、国税不服審判所は「重要なものの記載が不十分」に該当すると判断し、過少申告加算税5%加重を是認しました(出典:国税不服審判所 裁決事例)(出典:kfs.go.jp)。
事例2:保有形態が特定できなかったケース
株式が組合出資持分として会社名のみ記載され、個人が直接保有する株式として特定できませんでした。国税不服審判所は「重要なものの記載が不十分」と判断し、加重措置を適法としました(出典:国税不服審判所 裁決事例)(出典:kfs.go.jp)。
教訓:有価証券は「種類・銘柄・数量・価額」まで特定できるよう記載します。組合を通じた出資など保有形態が複雑な場合も、実態が正確にわかるよう記載しないと記載不備とみなされます。
記載すべき財産・債務の全項目リスト
財産債務調書合計表と財産債務調書(次葉)に、以下を記載します。
財産
- 土地、建物、山林、現金
- 預貯金(当座・普通・定期等)
- 有価証券(株式、公社債、投資信託等)
- 匿名組合契約の出資の持分
- 未決済信用取引等に係る権利
- 未決済デリバティブ取引に係る権利
- 貸付金、未収入金(受取手形含む)
- 書画・骨董及び美術工芸品、貴金属類
- その他の動産(家具、什器備品、自動車等の家庭用動産)
- その他の財産(保険契約に関する権利、預託金等)
債務
- 借入金、未払金(支払手形含む)、その他の債務
記載を省略・簡略化できる財産の範囲と条件
2023年分以後、簡略化できる範囲が拡大されました。1個(または1組)の取得価額300万円未満の家庭用動産、および事業用の未収入金等は、種類ごとに区分し総額で記載するなど簡略化できます。ただし有価証券など申告漏れと結びつきやすい財産は詳細な記載が必須です。
財産の種類ごとの「所在」はどこまで書けばいい?
所在は財産を特定できる程度に記載します。土地・建物は所在地(住所)、預貯金は金融機関名と支店名、有価証券は取扱う金融機関の営業所名を記します。所在があいまいだと記載不備と判断されるおそれがあります。
提出義務の判定方法|「総資産3億円以上」の注意点
所得要件と財産要件の両方を確認します。
所得要件:合計所得金額が2,000万円を超えているか
退職所得を除く各種所得金額の合計が2,000万円超かを確認します。2023年分以後に追加された「財産10億円以上」の基準は所得要件を問いません。
財産要件:負債を引く前の「総資産額」で判断する
3億円は借入金などの負債を差し引く前の「総資産額」で判断します。不動産3億円を所有し住宅ローンが2億円残っていても、純資産1億円ではなく総資産3億円で判定するため提出義務が生じます。
国外財産調書を提出する場合でも財産債務調書は必要?
両方の提出義務がある人は両方を提出します。ただし国外財産調書に記載した国外財産は、財産債務調書で「国外財産調書に記載のとおり」と記すなどして記載を省略できます。提出自体は免除されません。
財産債務調書の具体的な書き方と作成のコツ

用紙は税務署の窓口のほか、国税庁ホームページからダウンロードできます。
財産の種類ごとの価額の算定方法(時価または見積価額)
財産の価額は、その年12月31日における時価または見積価額で算定します。
- 土地:時価が原則。見積価額として固定資産税評価額や相続税路線価による評価額、鑑定評価額等も可
- 建物:時価が原則。見積価額として固定資産税評価額や鑑定評価額等も可
- 定期預金:12月31日の預入残高(元本に既経過利子を加味した額)
- 上場株式等:12月31日の最終価格(取引残高報告書等を参考にできる)
- 非上場株式:見積価額として直近の法人税申告書の純資産価額等による方法も可
- 生命保険:12月31日に解約した場合の解約返戻金の額
外貨建ての財産・債務は日本円に換算します。取引金融機関のレートを用い、財産は12月31日(休業日なら直近営業日)の最終のTTB、債務はTTSで換算します。
相続または遺贈により取得した財産・債務は、2020年分以後、その取得年分の財産債務調書への記載が不要です。
作成を効率化する実践的なポイント
記載は手元の書類の金額を転記する作業が中心です。事前に財産・債務をリストアップしましょう。主な確認書類は次のとおりです。
- 土地・建物:課税明細書(固定資産税の納税通知書に添付)
- 上場株式:取引残高報告書(証券会社から送付)
- 生命保険:契約状況のお知らせ等(生命保険会社から送付)
登記・課税情報は正確に転記し、家庭用動産など評価が難しい財産は見積価額(概算)で記載します。送付書類は誤って破棄しないよう保管しましょう。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使った作成手順
確定申告書等の作成を終えた時点で各種所得金額の合計が2,000万円を超えると、財産債務調書の案内と「財産債務調書を作成する」ボタンが表示されます。クリックすると財産債務調書(同合計表)を作成できます。
作成時の注意点:前年提出分や相続税申告書との整合性を確認
前年提出分との整合性を確認し、財産が大きく変動している場合は理由を説明できるようにします。相続税申告書を提出する場合は、申告内容と矛盾がないか確認しましょう。記載のずれは調査の端緒になります。
提出しないとどうなる?期限遅れ・記載不備のペナルティ
提出状況に応じた加算税の軽減・加重措置があります。
提出のメリット:申告漏れがあっても過少申告加算税が5%軽減
期限内に適正に提出していれば、記載した財産・債務に係る所得税等の申告漏れが生じても、その部分の過少申告加算税等が5%軽減されます(出典:国税庁「No.7457 財産債務調書の提出義務及び過少申告加算税等の特例」2025年)。
過少申告加算税は通常、追加納税額の10%相当(期限内申告税額相当額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%)ですが、特例適用で対象部分が5%軽減されます。
ペナルティ:期限遅れや不提出で加算税が5%加重される
期限内に提出しなかった場合や、記載すべき財産・債務の記載がない(重要なものの記載が不十分な場合を含む)場合、その財産等に係る所得税等の申告漏れが生じた際の過少申告加算税等が5%加重されます(出典:国税庁「No.7457」2025年)。
どんな記載が「不十分」と判断される?加重措置の対象となるケース
次の記載は「重要なものの記載が不十分」と判断され、加重措置の対象です。
- 有価証券を証券会社ごとの合計額だけで記載し、個別の銘柄・数量・価額がない
- 株式の保有形態が組合出資持分としてしか記載されず、個人が直接保有する株式として特定できない
財産は「特定できるレベル」まで記載することがペナルティを避ける最大のポイントです。
財産債務調書の提出期限と提出後の修正方法
提出期限はいつまで?(翌年3月15日から6月30日へ延長)
原則としてその年の翌年6月30日までに、納税地を所轄する税務署へ提出します。従来は翌年3月15日でしたが、2023年分以後は翌年6月30日に延長されました。
提出後に誤りが見つかった場合の訂正手続き
誤りや記載漏れがあった場合、期限内・期限後を問わず、再度提出すれば訂正できます。ただし誤りや漏れの箇所だけでなく、当初提出した財産債務調書と合計表の内容も含め、すべての財産・債務を記載し直す必要があります。
相続が発生した年における特例的な扱い
相続または遺贈により取得した財産・債務は、2020年分以後、その取得年分の財産債務調書への記載が不要です。また相続開始年分の提出義務の判定では、相続・遺贈により取得した財産・債務を除外して判定できます。
財産債務調書の作成で困ったら税理士へ相談
財産債務調書は記載範囲の判断が難しく、不備があると加算税の加重措置を受けるリスクがあります。判断に迷う場合は税理士に相談しましょう。
税理士に依頼するメリットと費用
確定申告書とともに作成を依頼でき、記帳代行の場合はオプションで対応する事務所もあります。有価証券の銘柄記載や財産の所在の特定など、ペナルティを避ける記載を適切に行ってもらえます。
無料相談を活用する際のポイント
まずは無料相談で、提出義務の有無やどこまで書くべきかを確認するのも有効です。所得や財産の概算、財産の種類がわかる資料を準備しておくと的確なアドバイスを受けやすくなります。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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