特殊清掃の料金相場は?実例や業者選びの注意点・コツも解説!
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特殊清掃ってどんな仕事?作業内容や流れをご紹介
特殊清掃と聞くと多くの方が、誰にも看取られずに「孤立死」された後、不幸にも発見されるまでに時間がかかってしまった現場を原状回復する為の清掃を想像される事が多いかと思います。
事実そう言ったケースが一番多いのですが、その他にはゴミ屋敷の撤去後の清掃や汚水の逆流現場、ペットの多頭飼育崩壊後の現場と言ったケースなど特殊清掃業者でしか負えない場合が多々あります。
いずれのケースも問題とされるのは「臭い」をどうするかと言う事です。
ここでは多くの方が関心を持たれている「孤立死」現場において必要とされる特殊清掃についてお話しいたします。
特殊清掃は作業の流れで説明すると害虫駆除と除菌作業から行います。
ご遺体の発見までにかかった期間や季節により状況は変わりますが夏場なら1〜2日で腐敗が始まり1週間もあれば害虫が発生しはじめます。気温にもよりますがハエであれば最短6.5日で卵から成虫に羽化します。
現地調査に向かうと窓ガラスの内側に大量のハエが舞って真っ黒に見える事もよくあります。
ちなみに故人の亡くなられた死因は警察から検死報告と言う形でご遺族様に告知されるのですが既往症、例えばB型肝炎やその他の伝染性のある病をお持ちかどうかまでは死因と関係のない場合は明らかにされません。
その様な環境下ではご遺体の残滓や体液から感染する恐れや、発生した害虫がその病気を媒介する可能性もあります。
そういった感染リスクをなくす為に防護服、マスク、ゴーグル等を着用し害虫を屋内に留めたまま薬剤にて害虫駆除をします。
その後2次感染を防ぐために除菌消毒剤を噴霧したりオゾン除菌を行います。
多くの場合は遺品整理と特殊清掃を同時に始めるため、追って入る遺品整理作業や特殊清掃員の安全確保や環境改善をいたします。
ここではじめて「臭い」に対する具体的な作業に入ります。
最も死臭の強いものは残された体液です。
ご遺体が引き取られた後にも残滓として残されたり床や布団に染み込んだりしています。他には害虫が体液を引きずり部屋全体が汚染されている場合もあります。
死臭は独特かつ強烈なもので強弱の差異はあれどあらゆるものに染みつきます。
衣類や紙類、家具や建具などの木製品、壁紙、畳などはもちろんのこと換気扇やダクトなどプラスチック、金属類も表面が油などで汚れていた場合臭いがつきます。
また長年にわたり煙草を吸われていたお部屋などは部屋全体のヤニ汚れにも死臭が染みつく事となります。
まずは部屋に残された最も汚染された物品を業務用ラップやプラスチックバッグ等を利用し汚染、感染、臭いを防ぎ搬出します。
その後は汚染部を養生し、仕分け搬出をいたします。搬出が終わると汚染部の洗浄に入ります。
汚染部の洗浄は状況により薬剤を使い分け汚れと臭いを落としていきます。
畳の場合は継ぎ目から下に体液が漏れ荒床まで汚染されている場合が多く、そういった場合には解体して汚染部分を切り取る場合もあります。
また部屋の隅で亡くなられていた場合やトイレ等の狭い部屋で亡くなられていた場合などは壁と床の隙間から思わぬ所まで体液がまわり、その結果大掛かりな解体が必要となってくる場合もあります。
並行して部屋全てを薬剤を使い分け洗浄します。窓サッシは害虫の死骸と糞で酷く汚れている場合がほとんどです。
また部屋全体の油汚れを落とす事で汚れについた臭いを軽減しこの後の薬剤やオゾンを使った消臭作業の効果をあげる効果を狙います。
消臭薬剤は非常に細かな霧状の噴霧ができる機材やそうでないものを薬剤によって使い分け行います。また場所によってはハケやローラーを使い塗布、拭き取りを行います。
それと交互に高濃度のオゾン発生器を使用して臭いの元となる原因物質の分解を促します。
ちなみにオゾン消臭は雷雨の後の爽やかな無臭と同じメカニズムを人工的に起こして消臭を促すと考えて頂ければ分かりやすいかと思います。
洗い〜薬剤噴霧塗布〜オゾン消臭の一連の作業を臭いが収まるまで繰り返し行う、これが特殊清掃の一般的な流れとなります。
いかに完全消臭に近付けるかを目標として新しい薬剤や機器、工法などの研究も日々行われており研究熱心である事も必要とされています。
特殊清掃員の給料事情とは
様々な業者がありますので一概には言えませんが日給計算で1〜2万円、手当なども加算されて月にすると25〜50万位ではないでしょうか。
前項でお話させて頂いたように特殊清掃の現場では独特の強烈な臭いを始めとして二次感染や強い薬剤、高濃度オゾンと言った身体的リスクに加え、薬剤や機器の事や家屋構造に関する事など様々な知識や経験、技術などが作業に要求されます。
そう言ったことから考えるとむしろ安めかと思います。それでもやろうと言う責任感のある人がやっていると考えて頂ければ嬉しいですね。
特殊清掃の料金相場は?部屋の広さや作業内容によって変わります
料金相場についてよく聞かれますが正直なところ現場の状況や状態によってかなり変わります。
例えば1ルームや1Kと言った間取りでしたら総額10〜20万円位を提示される場合が多いと思います。本当に軽微な場合でしたら5万円程度の場合もありますし、また場合によっては30万円を超える場合もあるでしょう。
この場合の料金の幅は臭いの強度と床への体液の汚染レベルに比例すると考えて頂ければ分かりやすいかと考えます。
お部屋の中心でクッションフロアの上で亡くなられて死後1週間で発見された場合とお部屋の隅で畳の上で亡くなられていて死後1ヶ月で発見された場合とでは臭いも汚染度も全く違います。
前者は清掃も消臭も比較的軽微な作業となりますので料金も低めとなります。後者は害虫駆除も必要となり壁紙にも臭いがついているのでそれらの撤去が必要となる可能性も高くなります。
床下まで汚染が及ぶと一部解体工事も必要となる可能性もあり消臭も数日掛けて行う必要があり結果として料金は高額となります。
また部屋が広ければ臭いや害虫の被害も広がり作業工程や範囲が広がるため料金は比例して高くなると言えます。
・亡くなられてから発見されるまでの期間
・亡くなられていた場所(その床材、構 造)
・お部屋の内装材(クロス仕上げ、砂壁等)
・お部屋、建物の広さ
・建物自体の構造
こう言った条件により必要な作業工程と延べ作業員の人数が決まり金額に反映されると考えて頂ければと思います。
高い技術と資材や機材に裏打ちされた高い品質のサービスを提供する代わりに、それ相当の金額を提示される業者もあります。
高い安いと言った金額のみで判断するのではなく、その内容をしっかりと見定めて判断する事が何よりも大切かと思います。
特殊清掃をお願いしたい!いい業者を選ぶコツとは
まずは電話する事から始まるケースがほとんどかと思われます。電話の応対が丁寧でしっかりとしているかを確認して下さい。
初期対応以上のサービスが後から行われるケースは少ないと考えても間違いではないでしょう。
見積の現場ではこちらから聞かなくても状況を説明し、それに対してどういう作業が必要となってくるかを説明してくれる業者は誠実かと思います。
逆にこちらから質問しても要領を得ない答えしか出来ない業者や「大丈夫です」しか言わない業者は安くてもやめた方が良いでしょう。
同じく見積書においても作業内容(内訳)をしっかりと確認し、不明瞭な点についてはしっかりと説明してくれる業者を選びましょう。
医療に例えるなら診断能力がなく治療方針を説明できない医師には治療は任せられませんよね。それと同じ様にお考え頂ければと思います。
また賃貸物件の場合などでしたら家主様や管理会社様と現状回復についての折衝を積極的に提案してくれる業者もあります。
こう言った業者も責任感を持って作業に当たってくれると考えて良いと思います。
特殊清掃はゴールが各々のケースにより異なる場合があります。完全な原状回復を求められる場合もあれば物件解体やUR、市営住宅の場合などは汚染部の清掃のみで消臭が必要とならない場合もあります。
業者自らが作業の最終地点をしっかりと説明すること、そしてそれを完遂してくれると信頼できる業者を選んでください。
失敗しない!特殊清掃の業者選びの注意点
特殊清掃業者に頼らなければならない状況では殆どの方が気が動転されています。
その様な状況で「一刻も早く作業を」と考えてしまう事は理解できますが得策とは言えません。
まずは2〜3社は相見積を取って下さい。
来る業者によって応対も作業内容も金額も全く違うと言った可能性も大いにあります。
その場での契約を求めてくる業者もあるでしょうが、こちらから積極的に選びたいと思わない場合は保留にして他業者も見て下さい。
ホームページなどがある場合は作業風景が自社撮影写真であるか一般的なイメージ写真であるかの違いや、作業従事者がちゃんと名前入りで掲載されているかなども参考になるかと思います。
また遺品整理士認定協会や事件現場特殊清掃センターなどの団体に加盟している、有資格者がいるなども一つの目安になるかと思います。
ついつい金額で選んでしまう可能性もありますが、業界内では「やり直し工事」と言った話もよく聞きます。
やり直しが必要となった場合、もちろん元の金額以上の金額がかかってきます。くれぐれも金額だけではなく最後までやり遂げる誠実な業者を選んで下さい。
特殊清掃の業者選びの参考に!実例をご紹介
以前遺品整理でお見積に伺ったお宅で「冬に浴槽で亡くなられて2〜3日で発見された」後に特殊清掃をして貰ったと聞きました。
お風呂は自動追い焚きもされてなかったにも関わらず不当に高いと思える金額で驚きました。
このようなケースは「孤独死」現場ではあったとしても「特殊清掃」が必要な現場ではありません。
依頼者の無知につけ込んだ業者の悪意を感じます。
それでは実際のケースをご紹介したいと思います。
亡くなられた方は70代男性、死後1ヶ月で8月に発見されました。
アパート軽量鉄骨造1階1Kの和室の畳の上で亡くなられていたとの事。
ご親族様からご依頼頂きお見積に伺いました。
亡くなられた位置が畳の継目だったので確認すると畳の下の板(荒床)まで体液で汚染されていました。
現状と原状回復に必要となる作業工程の説明をさせて頂きご依頼を頂きました。
今回はご親族様が高齢かつ遠方にお住まいでしたので当方にて管理会社様と原状回復の擦り合わせを致しました。
管理会社様にお取引のある工事業者様があるとの事で汚染部の荒床の貼り替えとビニールクロスを剥ぎ消臭までを当方で請け負い、そこからはリフォーム業者さまに受け渡すとのお話しで作業内容がまとまりました。
作業は前述の通りで行いました。
ベニヤ仕上げの押入れとジプトーン仕上げの天井がなかなか臭いが落ちなかった為に何度もオゾン消臭と洗いと薬剤噴霧を繰り返して消臭完了。
今件では管理会社様がご親族様の負担を少しでも減らしたいとの事で火災保険を申請するとお伺いしました。
その為に作業工程の写真を随時記録し保険会社様に提出いたしました。
結果保険が一部適用されました。
孤立死現場では亡くなられた方の生前のお話を伺う機会が中々ないのですが今回は打ち合わせの時に管理会社の社長様が故人との思い出をユーモアを交えてお話し下さいました。
面倒見の良い社長とマイペースな故人との掛け合いが目に浮かぶようで、笑い過ぎたのかちょっぴり涙が出ました。
故人を思い出して差し上げる事が「偲ぶ」事であり何よりの供養となります。
私にできる事は亡くなられてから初めて出会った方の事を一連の作業を通して知る事。
そして想いを馳せ「偲ぶ」と言うことを日々の作業の根底に置いております。
特殊清掃と聞いて「気持ち悪い」とか「怖くないのか?」と言われる事も多々あります。
そんな時は「どんな人でもこの様な亡くなり方はしたくなかったと思う。その後片付けをするんだから故人に感謝して貰える仕事だよね?だから怖くないんだよ!」と答えています。
特殊清掃について色々とお話しさせて頂きました。少しでも私達の業務へのご理解が深まり業者選びの参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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この記事を書いたのは…
株式会社 林商会 笑顔相続部部長 兼営業リーダー
広部 幸志(ひろべ こうじ)
滋賀県を拠点に遺品整理、生前整理、空家整理、特殊清掃から相続問題まで終活業務全般に携わっております。
数多くの現場から得た知見を基に御依頼者様の気持ちに寄り添い故人への想いを大切にした問題解決を提案、実施いたしております。
龍谷大学経済学部経済学科卒
遺品整理士地区統括会員
相続診断士
サイトURL:https://hayashi-grp.com/