【後見登記】住所変更の結論!家裁と法務局の手続きを解説

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成年後見人や被後見人の住所が変わったとき、「どこに何を届ければいいのか」と戸惑う方は少なくありません。この記事では、後見登記の住所変更に必要な手続きを、家庭裁判所と東京法務局それぞれのステップに分けてわかりやすく解説します。必要書類や委任状の書き方、代理申請の方法まで網羅していますので、手続きをスムーズに進めるための完全ガイドとしてご活用ください。

Contents

【記事内容を動画で解説】

後見登記の住所変更手続きとは?全体像とフローを解説

結論:法務局への「変更登記」と家庭裁判所への「報告」の2つが必要

後見登記の住所変更でまず押さえておくべき大原則があります。それは、家庭裁判所と東京法務局は別の機関であり、それぞれへの手続きが必要だという点です。どちらか一方だけ対応しても、手続きは完了しません。

具体的には、次の2つの対応が求められます。

  1. 家庭裁判所への事後報告(連絡票+住民票等の提出)
  2. 東京法務局への「登記事項変更の登記申請」(変更の登記)

住所変更の手続きが必要になるのは、次のいずれかに該当する場合です。

  • 成年後見人の氏名や住所が変更になった
  • 成年被後見人の氏名、本籍、または住所が変更になった

なお、住所変更そのものに家庭裁判所の事前許可は不要です。ただし、住所変更に伴って被後見人の居住用不動産を処分(売買・賃貸・取り壊しなど)する場合は、事前に家庭裁判所へ「居住用不動産処分許可」を申し立て、その許可を得ることが必要です。この許可なしに行った処分行為は法律上無効となるため、不動産処分が絡む場合は必ず事前に確認してください。

住所変更の手続きに期限はある?放置した場合のリスクとペナルティ

後見登記の住所変更申請そのものには、現時点で法定の期限は設けられていません。しかし、放置することには実務上の深刻なリスクが伴います。

■ 家庭裁判所からの指摘・解任リスク

成年後見人には、原則として年に1回、家庭裁判所への定期報告義務があります。住所変更の未報告・未登記が定期報告の際に発覚した場合、管理がずさんと判断され、後見人を解任される可能性があります。

■ 不動産売却・金融手続きの停止リスク

登記事項証明書に記載された住所が古いままでは、不動産売買や金融機関での手続きに支障が生じます(具体的なトラブル事例は後述)。

■ 2026年4月から不動産の住所変更登記が義務化

法務省の広報によると、2026年4月1日より不動産の所有者に住所等の変更があった場合、変更日から2年以内に変更登記を行うことが義務化されました。正当な理由のない違反には過料の罰則が科せられます(出典:法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00693.html)。

後見人が被後見人の不動産を管理している場合、「後見登記の住所変更」だけでなく「不動産登記の住所変更」も併せて行う法的責任が生じています。住所変更が生じたら、速やかに両方の手続きを進めることが重要です。

【ステップ別】後見登記の住所変更を行う手順

家庭裁判所への連絡から東京法務局での登記完了まで、おおむね10日程度を要します。変更登記が完了しても法務局から通知は届きませんので、あらかじめご注意ください。

なお、登記完了後に新住所での登記事項証明書が必要な場合は、変更登記の申請書と一緒に「登記事項証明申請書」を同封することで、完了後に新しい証明書を取得できます。

Step1. 家庭裁判所へ事後報告を行う(連絡票の提出)

新住所の住民票を市区町村窓口で取得した後、成年後見人が家庭裁判所へ報告書類を提出します。手数料は無料です。連絡票は家庭裁判所の窓口で入手できます。

提出書類は以下のとおりです。

  • 連絡票(新住所・新電話番号等を記入)
  • 住民票の写し(または戸籍附票等)
  • 実際の居住地も変わった場合は、建物賃貸借契約書・重要事項説明書の写し等も必要(詳細は「書類ケース別一覧」参照)

Step2. 東京法務局で「登記事項変更の登記申請」を行う

家庭裁判所への報告と並行して、東京法務局への変更登記申請を行います。申請方法は「郵送」「窓口持参」「オンライン」の3つから選択できます。

登記手数料は無料です(住民票等の取得にかかる実費は別途負担)。

東京法務局への郵送申請の宛先・オンライン申請のやり方

■ 郵送・窓口持参の場合

申請書類の送付先または持参先は以下のとおりです。

〒102-8225 東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎 東京法務局民事行政部後見登録課

重要な注意点として、後見登記の変更申請を受け付けているのは東京法務局のみです。お住まいの近くに地方法務局があっても、そちらでは申請できません。

申請書類は東京法務局のホームページからダウンロードできます(https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000467.html)。

■ オンライン申請の場合(遠方の方に特におすすめ)

法務省の「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、遠方に住む後見人も自宅のパソコンから手続きが完結します。マイナンバーカード(署名用電子証明書)とICカードリーダーが必要ですが、郵送時の切手代や書類不備による返送のタイムロスを防ぐことができます(出典:法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00018.html)。

システムURL:https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/seinen/seinen.html

東京法務局への直接来局が難しい遠方の後見人が、マイナンバーカードとICカードリーダーを使いWeb上から変更登記を申請した事例があります。郵送申請と比べて書類不備による差し戻しのリスクが低く、最短で登記を完了することができました。移動コストや郵送の手間が気になる方は、オンライン申請の活用を検討してください。

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後見登記の住所変更に必要な書類【ケース・状況別】

パターン1:住民票上の住所のみが変更になった場合

被後見人の実際の居住場所(介護施設など)は変わらず、住民票の登録住所だけが変わったケースです。たとえば、親族の実家に住民票を置いていた被後見人が、その親族の引っ越しに伴って住民票のみ移動した場合が該当します。

手続き先必要書類
家庭裁判所連絡票・住民票の写し
東京法務局登記申請書(変更の登記)・住民票の写し・申請者(後見人)の本人確認書類

パターン2:実際の居住地も変わった場合(病院への長期入院・施設入所など)

被後見人が医療機関へ長期入院し、退院後に介護サービス付き住宅や特別養護老人ホームへ新たに入居するケースなどが該当します。

最高裁判所事務総局家庭局が2025年3月に公表した令和6年データによると、成年後見制度を利用する動機として「不動産の処分(施設入所に伴う整理など)」を挙げた人が全体の約36%を占め、「預貯金等の管理・解約」に次いで多い結果となっています。施設入所に伴う住所変更は非常に頻繁に発生している実態が裏付けられており、このパターンへの備えは特に重要です(出典:最高裁判所事務総局家庭局 https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2025/20250313koukengaikyou-r6.pdf)。

手続き先必要書類
家庭裁判所連絡票・住民票・建物賃貸借契約書(写し)・重要事項説明書(写し)・個人情報使用同意書(写し)
東京法務局登記申請書(変更の登記)・住民票の写し・申請者(後見人)の本人確認書類

【時短テク】住基ネットの利用で住民票の添付を省略できる場合がある

東京法務局がオンラインで住所情報を確認できる「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」を通じた照会が可能な場合、住民票の写しの添付を省略できることがあります。ただし、省略できるかどうかは申請方法や個別の事情によって異なるため、事前に東京法務局へ確認することをおすすめします。

代理人が後見登記の住所変更を行う場合の「委任状」の書き方

後見登記の住所変更手続きは、原則として成年後見人本人が行います。ただし、やむを得ない事情がある場合は代理人を立てて申請することも認められています。

委任状のフォーマットと必ず記載すべき項目

委任状は各申請先で用意している書式を使うか、自作(手書きも可)することが可能です。自作する場合は、以下の項目を必ず記載してください。

  • 紙面の上部に「委任状」と明記
  • 受任者(代理人)の氏名・住所
  • 委任の意思を明記:「〇〇〇〇(氏名)を代理人と定め、次の権限を委任する。」など
  • 委任する権限の内容:「成年被後見人〇〇〇〇(氏名)の登記事項変更の登記申請に関する一切の権限」など
  • 委任した年月日
  • 委任者(後見人本人)の氏名・住所・押印(シャチハタ不可。認印または実印)

受任者(代理人)の本人確認書類について

代理人が申請窓口を訪れる際は、委任状に加えて受任者自身の本人確認書類が必要です。以下のいずれかを用意してください。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • その他、顔写真付きの公的身分証明書

成年被後見人の引っ越し・自宅処分に関する重要注意点

自宅(居住用不動産)の売却や賃貸には事前の「処分許可」が必要

被後見人が施設へ転居するにあたり、自宅(居住用不動産)を売却・賃貸・取り壊しなどの方法で処分しようとする場合、事前に家庭裁判所へ「居住用不動産処分許可」を申し立て、その許可を得ることが必須です。

この許可なしに行った処分行為は法律上無効となります。住所変更の手続きと並行して、不動産の処分予定がある場合は必ず事前に家庭裁判所へ相談してください。

また、2026年4月に施行された不動産の住所変更登記義務化(前述)とも関連するため、不動産が絡む住所変更は特に慎重な対応が求められます。

【具体例】施設入所や病院へ住所を移す際の実務的な注意点

▼ 事例1:家裁と法務局それぞれへの届け出が必要なことを知らずに生じた売却遅延被後見人(親)が特別養護老人ホームへ転居した際、後見人(子)が住民票の異動後に家庭裁判所へ連絡票を提出したものの、東京法務局への変更の登記を行っていなかった事例があります。半年後、介護費用の捻出のために実家を売却しようとしたところ、司法書士から「登記事項証明書の住所が旧住所のままでは売却手続きに進めない」と指摘されました。急遽、法務局での手続きが必要となり、不動産売買の契約スケジュールが大幅に遅延する事態となりました。家庭裁判所と東京法務局は別の機関であり、それぞれへの届け出が必要です。後見人に就任した早い段階でこの基本を理解しておくことが不可欠です(参考:埼玉家庭裁判所「後見人等Q&A」https://www.courts.go.jp/saitama/vc-files/saitama/file/0201kouken-q_a.pdf)。

▼ 事例2:後見人自身の引っ越し後に後見登記を更新しなかったことで銀行取引が停止後見人である親族が自ら引っ越しをした際、運転免許証等の住所は更新したものの、後見登記の住所変更を行っていなかったために生じたトラブルです。被後見人の定期預金を解約するために銀行窓口へ行ったところ、後見人が提示した身分証明書の住所(新住所)と、成年後見登記事項証明書に記載された住所(旧住所)が一致しないとして、本人確認不可を理由に手続きを拒否されました。被後見人の住所変更だけでなく、後見人自身が引っ越した場合も速やかに後見登記を更新する義務があります(参考:東京司法書士会「成年後見制度パンフレット」https://www.tokyokai.jp/news/db99edc3112ef5c4788ae2e362b9c9cade49b812.pdf)。

成年被後見人の精神的負担・環境変化への配慮

成年被後見人が認知症や精神障害を抱えている場合、引っ越しや施設移転などの居住環境の変化は精神的に大きな影響を与えることがあります。現在は落ち着いた状態であっても、環境の変化をきっかけに不安定になるリスクがあることを十分に念頭に置く必要があります。

住所変更の手続きを進める前に、利用している介護施設の担当者や家族と十分に話し合い、引っ越しが本当に必要かどうかを慎重に判断することが大切です。

保佐人・補助人・任意後見人の場合の住所変更手続き

保佐人・補助人(被保佐人・被補助人)の住所変更

成年後見の場合と同様に、保佐人・補助人およびその対象者(被保佐人・被補助人)の住所が変更になった場合も、家庭裁判所への報告と東京法務局への変更登記申請が必要です。手続きの基本的な流れは成年後見の場合と共通していますが、添付書類の詳細が異なる場合があるため、事前に家庭裁判所または東京法務局へ確認することをおすすめします。

任意後見契約における住所変更(任意後見受任者の住所変更など)

任意後見契約を締結している場合、任意後見受任者(将来の後見人となる予定の人)の住所が変わった際にも、後見登記の変更申請が必要です。任意後見契約は効力発生前の段階でも登記されているため、変更が生じたら速やかに対応しましょう。

委任者(本人)側の住所変更が生じた場合も同様に登記の更新が必要です。任意後見に関する手続きについては、契約を締結した公証役場や、専門家である司法書士への相談も有効です。

まとめ:複雑な後見手続きでお悩みの場合は専門家へ無料相談を

後見登記の住所変更は、家庭裁判所と東京法務局の両方に届け出が必要な手続きです。この記事のポイントを以下に整理します。

  • 家庭裁判所への連絡票提出と、東京法務局への変更登記申請はセットで行う
  • 法定の申請期限は設けられていないが、放置すると不動産売却や金融手続きでトラブルが生じる
  • 2026年4月より、不動産の住所変更登記が法的に義務化(正当な理由なき違反には過料)
  • 東京法務局への申請は郵送・窓口持参・オンラインの3つの方法から選択できる
  • 代理申請には委任状と受任者の本人確認書類が必要
  • 居住用不動産を処分する場合は、事前に家庭裁判所の処分許可を取得することが必須

成年後見の手続きは関係機関が複数にわたるため、初めて対応する方には複雑に感じられることも多いものです。手続きに不安がある場合や、不動産処分などが絡む複雑なケースでは、専門家への相談を検討してください。

▼あわせてこちらの記事も参考にされてください。

参考資料・関連リンク

資料名出典・URL
東京法務局「登記の申請」https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000467.html
法務省「成年後見登記のオンライン申請」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00018.html
法務省「不動産の住所変更登記の義務化」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00693.html
登記・供託オンライン申請システムhttps://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/toukinet/seinen/seinen.html
最高裁判所「成年後見関係事件の概況(令和6年)」https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2025/20250313koukengaikyou-r6.pdf
埼玉家庭裁判所「後見人等Q&A」https://www.courts.go.jp/saitama/vc-files/saitama/file/0201kouken-q_a.pdf
東京司法書士会「成年後見制度パンフレット」https://www.tokyokai.jp/news/db99edc3112ef5c4788ae2e362b9c9cade49b812.pdf

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この記事を監修したのは…

中道 基樹

ナカミチ行政書士事務所 代表行政書士 一般社団法人ハーモニー後見センター代表

中道 基樹(なかみち もとき)

東京都新宿区のファインテックビルで行政書士をしています中道基樹(なかみちもとき)と申します。
2009年7月に29歳で何の経験もないところから事務所を開業し、11年となります。
「遺言」「相続」「成年後見」の分野を通じて、老後のことから、亡くなられた後のことまで、一貫したサポートが可能なのも当事務所の特徴です。
皆様おひとりおひとりに寄り添い親身になってサポートさせていただくことを理念としていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

サイトURL:https://nakamichi-souzoku.jp/

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