贈与を年内に返すのは待って!【2026年版】非課税の条件解説
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【記事内容を動画で解説】
贈与されたお金を「年内に返せば贈与税はかからない」と考えて、慌てて返金しようとしていませんか。実は、安易な返還はかえって税負担を増やすリスクがあります。この記事では、贈与を返す際の正しいルールと非課税の条件を、最新の制度に基づいて解説します。
贈与されたお金、年内に返せば贈与税はかからない?【結論】
結論:翌年3月15日の申告期限までの返還なら非課税の可能性あり
まず押さえておきたいのは、非課税となる期限は「年内(12月31日)」ではないという点です。
国税庁は、贈与契約を合意解除して財産を返還した場合、贈与があった年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)までに返還すれば、その贈与はなかったものとして扱い、贈与税を課さないとしています(国税庁「贈与税の課税対象とならない場合」)。
つまり「年内」に限らず、申告期限までに正しく返還すれば非課税になる可能性があります。ただし、後述する条件をすべて満たす必要があります。
なぜ「年内に返す」方が安全なのか?
期限は3月15日ですが、年内に返す方が確実です。年をまたぐと、返還の手続きや証拠が複雑になりやすいためです。
また、贈与税は1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額で判断されます(暦年課税)。年内に返還すれば、その年の受贈額そのものを110万円以下に抑えやすく、結果として申告自体が不要になるケースもあります。
【重要】安易な返還は「新たな贈与」と見なされ二重課税になるリスクも
最も注意すべき点がこれです。一度成立した贈与を、条件を満たさないまま返還すると、その返還行為そのものが「受贈者から贈与者への新たな贈与」と扱われる可能性があります。
この場合、最初の贈与と返還の贈与で二重に贈与税がかかる事態になりかねません。「とりあえず返せば大丈夫」という自己判断は危険です。後述する条件を確認した上で、慎重に手続きを進めてください。
贈与の取り消し(返還)が認められるケース・認められないケース

既に成立した贈与は、原則として取り消せません。ただし例外的に認められるケースがあります。法的根拠とともに整理します。
【認められる】口頭での約束で、まだ受け取っていない場合
書面によらない贈与契約は、履行が終わった部分を除き、各当事者がいつでも解除できます(民法第550条)(出典:e-Gov法令検索)。
つまり、口頭で「あげる」と約束しただけで、まだ現金や物を引き渡していない段階なら、贈与者は自由に取り消せます。なお、ここでいう「履行」とは次のような状態を指します。
- お金・動産を受贈者に引き渡した
- 不動産の贈与で受贈者に登記名義を移転した
【認められる】錯誤・詐欺・強迫があった場合
書面・口頭いずれの贈与でも、次の事情があれば意思表示を取り消せます。
- 錯誤:契約の重要な内容について真実に反する勘違いをしていた
- 詐欺:契約の相手方に騙された
- 強迫:契約の相手方から暴力や脅迫を受けた
これらの場合は、すでに目的物を引き渡していても返還請求が可能です。
ただし、錯誤については贈与者に重過失がある場合、原則として取り消しを主張できません。また錯誤・詐欺・強迫のいずれも、取り消し前に現れた善意無過失の第三者には取り消しを主張できません。例えば、脅されて贈与した物が、事情を知らない他人に転売された場合、その他人からは取り戻せません。
【認められる】負担付贈与の条件が守られなかった場合
受贈者に一定の義務を課す贈与を「負担付贈与」と呼びます。例えば「親の介護をすることを条件に毎月15万円を贈与する」といったケースです。
双方が合意して契約したにもかかわらず、受贈者が負担を履行しない場合、贈与者は相当の期間を定めて履行を催告したうえで契約を解除できます。
【認められる】贈与者と受贈者の間で「合意解約」した場合(※条件あり)
贈与者と受贈者が双方納得のうえで返還する「合意解約」は、理由を問わず可能です。当事者の意思が尊重されます。
ただし、この合意解約は税務上、原則として贈与税の課税対象になります。非課税にするには条件をすべて満たす必要があります(次章で詳述)。
【認められない】書面による贈与(履行前でも撤回不可)
贈与契約書を作成した贈与は、民法第550条の解除の対象外です。書面化された約束は、原則として一方的に撤回できません。
【認められない】すでに履行(受け取り)が完了している口頭の贈与
口頭の贈与でも、すでにお金や物を引き渡して履行が完了している部分については解除できず、返還を請求できません。
合意解約で贈与税が非課税になるための条件とは
合意解約による返還を「贈与がなかったもの」として非課税扱いにするには、次の条件をすべて満たす必要があります。
条件1:贈与税の申告期限(翌年3月15日)までに行われること
取り消しが贈与税の申告期限までに行われ、かつ財産の名義変更等で取り消しの事実が確認できることが必要です。年内に終えておけば、より確実です。
条件2:財産が処分・差押えの対象になっていないこと
贈与された財産が受贈者によって処分されていないこと、また将来の不利益を補うための担保や、受贈者の債務に関する差押え等の対象になっていないことが求められます。
条件3:贈与財産に関する税務申告をしていないこと
贈与者または受贈者が、その財産について譲渡所得や非課税貯蓄に関する所得税など、他の租税の申告や届出をしていないことが条件です。
条件4:贈与財産から生じた利益(法定果実)も返還していること
受贈者が贈与財産から生じた果実(預金利息、不動産の賃料など)を受け取っていないこと、または受け取っていた場合は贈与者に引き渡していることが必要です。元本だけ返しても不十分という点に注意してください。
なお、合意解約以外の「法律で定められた取り消し・解除」(錯誤・詐欺・強迫、未成年者・成年被後見人の単独贈与、負担付贈与の不履行)は、財産の名義を戻すなどで取り消しの事実が確認できれば、もともと課税対象外です。すでに贈与税を支払っている場合は、その取り消し・解除があったことを知った日の翌日から原則として4か月以内に更正の請求を行うことで還付を受けられます(国税通則法および相続税法の規定による後発的事由)。
最終的には税務署の判断が必要【自己判断は危険】
これらの条件を満たしているかどうかは、最終的に税務署が判断します。2026年現在、より新しい令和5事務年度等の統計が公表されています。贈与税は税務調査で申告漏れ等が指摘されやすい税目であり、追徴税額も多額に上っています(国税庁「相続税の調査等の状況」)。
贈与税は税務調査で問題が指摘されやすい税目です。自己判断で進めず、専門家への相談をおすすめします。
贈与を取り消して返還する際の3つの重要ポイント
ポイント1:受け取ったお金から生じた利息(法定果実)も一緒に返す
契約が解除された場合、当事者は互いに原状回復義務を負います。金銭を返還する際は、受け取った時からの利息を付けて返還しなければなりません(民法第545条)(出典:e-Gov法令検索)。
元本だけを返して預金利息を返し忘れると、税務調査でその点を指摘され、利息部分が新たな贈与とみなされるリスクがあります。返還は元本だけでなく、必ず果実も含めて行ってください。
ポイント2:返還の意思表示は「内容証明郵便」などで証拠を残す
「いつ、誰が、何を返したか」を客観的に証明できる証拠を残すことが重要です。返還の意思表示は内容証明郵便で記録し、お金の返還は銀行振込を利用しましょう。
振込の摘要欄には「令和○年○月○日付贈与契約解除による金員返還(利息含む)」などと記載すると、客観的な証拠になります。
ポイント3:返還を受けた側(元の贈与者)に贈与税はかからない
条件を満たした正当な取り消し・解除であれば、財産は「最初から贈与者のものだった」と扱われます。そのため、返還を受けた元の贈与者に新たな贈与税が課されることはありません。
逆に言えば、条件を満たさない返還は「受贈者から贈与者への贈与」とみなされ、課税対象になり得ます。
もし返還が間に合わなかったら?贈与税の申告漏れのペナルティ

申告期限までに返還できず、110万円を超える贈与があったまま申告を怠ると、ペナルティが課されます。
贈与税の時効は何年?(原則6年、悪質な場合は7年)
贈与税の時効(除斥期間)は、申告期限の翌日から原則6年です。ただし、偽りその他不正の行為があった悪質なケースでは7年に延長されます。
なお、そもそも贈与が成立していないと判断されると、時効以前の問題になります。例えば、父親が子名義の口座に入金していても、通帳と印鑑を父親が管理し、子が自由に引き出せない状態であれば「名義預金」とされ、父親の財産として相続税の対象になることがあります。贈与の成立には、双方の意思の合致と、受贈者が自由に管理・処分できる状態が必要です。
申告漏れで課される加算税の種類
申告漏れには次の加算税が課されます。
- 無申告加算税:申告期限までに申告しなかった場合に課される
- 過少申告加算税:申告額が本来より少なかった場合に課される
- 重加算税:財産を隠すなど悪質な場合に課される最も重いペナルティ
延滞税も発生する
加算税に加えて、納付が遅れた期間に応じた延滞税も発生します。納付が遅れるほど負担は重くなるため、誤りに気づいたら早めに対応してください。
「贈与を返す」に関するよくある質問(Q&A)
Q. 年明けに110万円を超えていたことに気づきました。今から返せますか?
返せる可能性があります。翌年3月15日の申告期限までであれば、合意解約による返還で「贈与がなかったもの」として扱える余地があります。ただし、本記事で解説した4条件をすべて満たす必要があります。期限が迫っているため、速やかに専門家へ相談してください。
Q. 親から生活費としてもらったお金は返すべきですか?
扶養義務者から受け取る「通常必要と認められる」生活費や教育費は、もともと贈与税の課税対象外です。そのため返す必要はありません。問題になるのは、生活費の名目でまとまった額を渡し、預金や投資に回したような場合です。
Q. 返したことを証明するにはどうすればいいですか?
銀行振込を利用し、記録を残すのが最も確実です。摘要欄に「令和○年○月○日付贈与契約解除による返還」と記載し、振込明細を保管しましょう。複数の人に返す場合は、誰にいくら返したかが一目で分かるよう、それぞれ個別に振り込むと安全です。
なお、贈与税の基礎控除は「もらった人」を基準に1年間で合計110万円までです。複数の人から贈与を受けると合計額で判断される点に注意してください(国税庁タックスアンサーNo.4408)(出典:国税庁)。例えば祖父から100万円、叔父から50万円を同じ年に受けると、合計150万円から基礎控除110万円を差し引いた40万円が課税対象になります。
「贈与」ではなく「借金」とする場合の注意点

「返す前提のお金」なら、そもそも贈与ではなく「借金(貸し借り)」として処理する方法もあります。金銭の貸し借り自体には贈与税はかかりません。これは親子間でも同じです。
贈与とみなされないための対策(金銭消費貸借契約書)
親子間の借金は管理が甘くなりがちで、税務署から「実質は贈与」とみなされるリスクがあります。これを避けるため、金銭の貸し借りであることを客観的に示す証拠を残しましょう。基本は金銭消費貸借契約書の作成です。
契約書に記載すべき項目と返済実績の重要性
借金として認められるために、次の対策を講じてください。
- 金銭消費貸借契約書の作成:貸付金額・返済期日・返済方法・金利を明記する
- 返済の証拠を残す:返済は貸主の金融機関口座へ振り込み、記録を残す
- 金利を付ける:無利息だと利息相当分が贈与とみなされることがある
- 返済可能な金額にする:現実的に返済できる範囲の額にする
契約書を作っただけで返済実績がないと、贈与と判断されかねません。実際に返済を続けている記録こそが、最も重要な証拠です。
そもそも贈与トラブルを避けるための契約書の作り方
贈与者と受贈者の認識のズレや、後々のトラブルを防ぐには、贈与内容を書面に残すことが大切です。「贈与契約書」の作成をおすすめします。
贈与契約書を作成するメリット
贈与契約書には次のメリットがあります。
- 「あげた/もらった」の認識違いによるトラブルを防げる
- 贈与の事実と日付を証明でき、税務署への説明資料になる
- 名義預金とみなされるリスクを下げられる
贈与契約書の書き方と記載例
書き方に法定の様式はありませんが、次の項目を明記しましょう。
- 贈与を行った日付
- 誰から誰へ贈与したか
- 贈与した物(金額・対象)
- 贈与者・受贈者の住所と氏名
- (受贈者が未成年の場合)親権者名
署名は自筆が望ましく、押印には実印を使うとより確実です。不動産を贈与する場合など、契約書の記載内容によっては収入印紙が必要になることがあります(現金贈与の契約書は原則として印紙税は不要です)。
作成手順は次のとおりです。
1. 贈与者・受贈者で贈与内容を確認する
2. 贈与契約書を2部作成する
3. 双方が内容を確認する
4. 互いに署名・実印で押印する
5. (必要に応じて)公証役場で確定日付を取得する
6. 双方が1部ずつ保管する
公証役場で確定日付を取得する方法
公証役場で「確定日付」を取得すると、その契約書がその日に存在していたことを公的に証明できます。後から日付を遡って作成したのではないかという疑いを防げます。
確定日付の付与は公証役場に申し出れば取得でき、1件700円で請求できます。
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贈与を返すかどうかの判断は、期限・条件・証拠のすべてが絡み合い、自己判断ではリスクが高い分野です。少しでも不安があれば、早めに専門家へ相談してください。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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