成年後見人の報酬相場は?報酬の決め方や支払い手続き、払えない場合の対策を解説

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成年後見人の報酬に関する全体像
後見制度を利用する際、報酬がどのように決まり、誰が負担するのかは大切なポイントです。この報酬は、後見人が提供する重要な役割への対価として位置づけられています。制度利用をスムーズに進めるためには、報酬に関する仕組みや負担者について理解しておくことが欠かせません。
成年後見人とは?役割と報酬の基本
成年後見人は、本人の財産や生活を守るために選ばれる重要な存在です。その活動には多岐にわたる管理や手続きが含まれるため、家庭裁判所の判断に基づいて報酬が支払われます。
成年後見人と成年後見監督人の役割
成年後見人とは、家庭裁判所によって選任された後、認知症、知的障害、精神障害、発達障害などによって物事を判断する能力が十分でない人(以下「本人」という)の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人に代わって、財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって、本人を保護・支援する人のことです。
家庭裁判所は、本人、配偶者、4親等内の親族などから後見開始の審判の申立てがあると、申立人、成年後見人候補者、本人から事情を聞くなどして、後見開始の審判をすると同時に、最も適任と思われる人を成年後見人に選任します。
成年後見監督人とは、家庭裁判所によって選ばれ、後見人の仕事を監督する人のことです。成年後見制度は、本人の財産や権利を守るために設けられた制度で、後見監督人はその中で後見人が正しく働いているかを確認する役割を担っています。
後見人は、本人に代わって財産を管理したり、重要な手続きを行ったりします。たとえば、銀行口座の管理や不動産の売却など、本人の生活を支えるための実務を担当します。一方で、後見監督人は、後見人がこれらの仕事を適切に行っているかをチェックします。具体的には、後見人が財産を正しく管理しているか、不正やミスがないかを確認し、問題があれば家庭裁判所に報告します。
また、後見監督人は後見人の提出する報告書を確認し、必要に応じてアドバイスを行ったり、改善を求めたりします。不正が発覚した場合には、速やかに家庭裁判所に知らせ、適切な措置が取られるようにします。
成年後見監督人の存在により、後見人による不正やミスを防ぎ、本人の財産や権利が守られる仕組みが整っています。この制度があることで、成年後見制度を安心して利用できる環境が確保されています。
任意後見人と任意後見監督人の役割
任意後見人の仕事は、本人が事前に結んだ契約に基づいて行われます。主に「財産の管理」と「生活や健康の支援」に分かれています。財産管理では、本人の預貯金、不動産、年金などを適切に管理し、必要な支払いを行います。たとえば、自宅の維持や、公共料金や税金の支払いを任意後見人が代わりに行います。また、遺産分割協議や契約手続きなど、本人が関わる法律行為の代理も担当します。
一方、生活や健康の支援では、本人の生活に密接に関わる手続きを代行します。具体的には、医療や介護サービスの契約、入院手続き、介護施設の入所手続きなどがあります。これにより、本人が必要な医療や介護を受けられるようにします。
ただし、任意後見人が直接介護や食事の世話をすることはありません。任意後見人の役割は事務的な管理が中心で、介護そのものは専門の介護サービスが担当します。家族が任意後見人となる場合、家族として日常的な介護をすることは可能です。
任意後見監督人は、任意後見人の仕事が契約に沿って正しく行われているかを確認する役割を持ちます。具体的には、任意後見人から財産の目録や収支報告を提出させ、その内容をチェックします。もし問題があれば、任意後見監督人は家庭裁判所に報告し、適切な対応を促します。また、本人と任意後見人の利益が対立する場合には、本人を代理することもあります。
任意後見監督人は、家庭裁判所の指導を受けながら仕事を進めます。このような仕組みによって、本人の権利や財産が守られ、安心して生活できる環境が整えられます。
成年後見人の報酬は誰が支払うのか?
成年後見にかかる費用は誰が支払うのでしょうか。申立費用と報酬では支払う人が違うため、それぞれについて解説します。
成年後見制度の申立費用は申立人が負担
成年後見制度の申立費用は、基本的に申立を行った人が負担します。利用者本人が支払うわけではありません。ただし、成年後見制度の手続きが完了して制度が開始された後、申立にかかった費用を利用者本人に請求できる場合があります。これは、この制度が利用者本人の利益を守るためのものだからです。
ただし、申立をスムーズに進めるために司法書士や弁護士に依頼した場合の報酬については注意が必要です。これらの報酬は申立者自身の手間を軽減するために支払ったとみなされるため、利用者本人にその分を請求することはできません。
成年後見人の報酬は本人の財産から支払われる
成年後見人が受け取る報酬は、被後見人(制度を利用する本人)の財産から支払われます。後見人は被後見人の財産を管理する役割があるため、その財産の中から報酬を得る仕組みです。
成年後見人の報酬相場と決定方法
成年後見人の報酬はどのように決まるか見てみましょう。
報酬額の決め手となる要素
成年後見人の報酬は、後見人が行う業務や本人の財産状況によって異なります。報酬額は家庭裁判所の裁判官が事案ごとに判断し、適切な金額を設定します。その際、後見人の業務の重要性や複雑さ、本人の生活や財産の状況が考慮されます。
職務内容と本人の財産状況
成年後見人が受け取る報酬は、本人の状況や後見人の仕事の内容によって異なります。報酬の金額は法律で一律に決まっているわけではありません。家庭裁判所の裁判官が、後見人の行った業務内容や、被後見人の財産状況を考慮して適切な金額を決定します。
特に、後見人が通常の業務以上の対応を行った場合、その内容を裁判所に報告する必要があります。その際、「付加報酬を求める資料」という書類を提出します。この資料に、行った特別な業務や工夫、財産保全のための取り組みなどを詳しく記載します。
家庭裁判所による報酬額の決定
民法862条は「家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる」としています。
そして、成年後見人に対する報酬は、報酬付与の審判立てがあったときに審判で決定されます(家事事件手続法39条、117条2項・別表第1の13項)。
報酬額の基準は、法律で決まっているわけではありません。
成年後見人の報酬は、後払い方式とされています。
家庭裁判所の裁判官は、後見事務が始まってから1年強を経過した時点で、成年後見人からの報酬付与の審判申立てを受け、対象期間中の後見等の事務内容(財産管理及び身上監護)、成年後見人が管理する本人の財産の内容等を総合考慮して、裁量により、各事案における適正妥当な金額を算定し、審判を行います。
その後も、家庭裁判所の裁判官は、1年が経過するごとに、後払い方式で金額を算定し、審判を行います。
成年後見人は、家庭裁判所の審判で認められた金額について、本人の財産から支払いを受けます。
成年後見人の報酬相場
成年後見人に支払う報酬額は、誰が後見人になるかや具体的な業務内容によって異なります。一般的に、家族が後見人となる場合は低額または無報酬であることが多い一方、弁護士や司法書士など専門家が務める場合には、一定の金額が発生します。具体的な相場を知ることで、後見人を選ぶ際の参考にしてください。
法定後見人の報酬相場(0円~6万円程度)
法定後見人は、家庭裁判所が選ぶ後見人です。被後見人が認知症などで判断が難しくなった場合に、この制度が利用されます。法定後見人には、家族がなることもあれば、弁護士や司法書士といった専門家が選ばれることもあります。
報酬を受け取る場合は、家庭裁判所に「報酬付与申立て」を行う必要があります。この手続きが終わり、裁判所の判断を経て初めて報酬が支払われます。
報酬の目安は、家族が法定後見人となる場合は月0~6万円ほどが一般的です。一方で、弁護士や司法書士など専門家が後見人となった場合は、月6万円に加えて、必要に応じた追加報酬が認められることがあります。
法定後見人が必要な場合は、財産や権利が複雑に絡むケースが多いです。そのため、任意後見人よりも業務が増えることがあり、報酬がやや高くなる傾向があります。報酬額は個々の事情によって異なるため、具体的な金額は家庭裁判所の判断によります。
任意後見人の報酬相場(0円~5万円程度)
任意後見人は、支援を必要とする人(被後見人)が自分で選び、契約を結んで依頼する後見人です。この契約は、被後見人がまだ意思判断ができる状態のときに行われます。
家族や親族が任意後見人となる場合、報酬はほとんど発生しないことが多く、月3万円以下で設定されるのが一般的です。また、家族がボランティアとして後見人を務めるケースでは、報酬を全く受け取らないことも珍しくありません。
一方で、弁護士や司法書士などの専門家が任意後見人になる場合、報酬は月3万~5万円程度が一般的です。専門家に依頼する場合は、被後見人の財産を適切に管理するため、一定の報酬が発生します。
報酬の支払いは、いずれのケースでも被後見人の財産から行われます。そのため、任意後見契約を結ぶ際には、支払う報酬額をあらかじめ確認し、納得してから契約を結ぶことが大切です。
成年後見監督人の報酬相場
成年後見監督人が受け取る報酬は、管理する財産の額によって異なります。裁判所が示している基準をもとに、一般的な相場をご紹介します。
管理財産が5,000万円以下の場合、成年後見監督人の月額報酬は1〜2万円程度が一般的です。これを年間に換算すると、12〜24万円が目安になります。裁判所が定めた基準に従って決められるため、この範囲を大きく超えることはほとんどありません。
一方、管理財産が5,000万円を超える場合、月額報酬は2.5〜3万円程度に引き上げられる傾向があります。この場合、年間の報酬は30〜36万円となります。財産額が大きくなると管理の難易度も上がるため、それに応じた報酬が設定される仕組みです。
いずれの場合も、報酬額は家庭裁判所が最終的に決定します。そのため、裁判所が示す基準を大きく超える金額が請求されることは考えにくいです。
付加報酬が支払われる場合
成年後見制度においては、法定後見の場合も、任意後見の場合も、基本報酬に加えて「付加報酬」が支払われることがあります。
成年後見人の特別な行為に応じた付加報酬
成年後見人の後見等事務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。
また、成年後見人が、例えば次の具体例に示すような特別の行為をした場合には(具体例に限定されない)、相当額の報酬を付加することがあります。これらを「付加報酬」と呼びます。
(具体例)
①訴訟
本人が不法行為による被害を受けたことを原因として、加害者に対する1,000万円の損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て管理財産額を1,000万円増額させた場合
⇒約80万円~約150万円
②遺産分割調停
本人の配偶者が死亡したことによる遺産分割の調停を申し立て、相手方の子らとの間で調停が成立したことにより、総額約4,000万円の遺産のうち約2,000万円相当の遺産を取得させた場合
⇒約55万円~約100万円
③居住用不動産の任意売却
本人の療養看護費用を捻出する目的で、その居住用不動産を、家庭裁判所の許可を得て3,000万円で任意売却した場合
⇒約40万円~約70万円
任意後見人の契約による付加報酬
任意後見人の場合、付加報酬が発生する条件は、事前に結んだ契約内容によります。たとえば、将来的に起こり得る特別な手続きや業務について、契約の中で具体的な報酬額を取り決めておきます。この取り決めが、特別な仕事をした際の付加報酬の基準となります。
親族が後見人になる場合の報酬
親族が後見人を務める場合、報酬は月額3万円から5万円が一般的です。ただし、特別な業務を担当した場合には、別途報酬が加算されることがあります。不動産の売却や訴訟対応など、通常の業務を超える内容の場合、1回の手続きで数万円から数十万円の報酬が支払われることが多いです。
一方で、報酬を受け取らないケースも珍しくありません。家族としての支援を優先し、無償で後見業務を行う選択をする人も多いです。この場合、後からトラブルにならないように、任意後見契約書に「無償」と明記しておくと安心です。
複数成年後見人

成年後見人が複数の場合には、基本報酬及び付加報酬の報酬額を、分掌事務(割り振りしている事務権限)の内容に応じて、適宜の割合で按分します。
成年後見人の報酬が無償となるケース
専門職の成年後見人であれ親族の成年後見人であれ、法律上、家庭裁判所に報酬付与の審判申立てをしなければ報酬の支払いを受けられないので、無償ということになります。
なお、親族の成年後見人は、親族であることから報酬付与の審判申立てをしないことが多いとされています。
成年後見人の報酬以外にかかる費用について
成年後見人を利用する場合、報酬以外にも費用がかかることがあります。具体的には、以下のような費用が考えられます。
成年後見人の交通費や通信費などの経費
成年後見人は、被後見人の自宅や医療機関などに出向いたり、被後見人や家族と連絡を取ったりすることがあります。そのため、交通費や通信費が発生する場合があります。
被後見人の生活費や医療費などの支払い
成年後見人は、被後見人の生活費や医療費などを管理することがあります。そのため、これらの支払いにかかる費用が発生する場合があります。
裁判所への申請費用
成年後見人になるためには、裁判所に申請する必要があります。その際には、申請費用が発生する場合があります。また、後見人に任命された後にも、裁判所に対して報告書を提出する必要があり、その際にも申請費用が発生する場合があります。
弁護士費用
成年後見人になるためには、弁護士の助言を仰ぐことが必要な場合があります。その際には、弁護士費用が発生する場合があります。
これらの費用は、全て被後見人の財産から支払われます。被後見人が十分な財産を持っていない場合には、支払いが困難になる場合があります。この場合には、成年後見制度を利用することで財産を守ることができます。
成年後見人の報酬付与の手続き
成年後見人が報酬を受け取るには、家庭裁判所で定められた手続きが必要です。このプロセスを通じて、後見人が行った業務内容や管理した財産状況に応じた報酬額が決定されます。以下では、申立てから報酬を受け取るまでの具体的な流れを解説します
報酬付与申立ての流れ
成年後見人が報酬を受け取るためには、家庭裁判所への手続きが必要です。どのように進めるのか、手順をわかりやすく解説します。
必要書類の準備
報酬を申請するには、いくつかの書類を用意します。準備する主なものは以下の通りです。
- 報酬付与申立書
- 後見事務報告書
- 事情説明書
- 財産目録とその根拠資料
- 収入印紙(800円)
- 返信用切手(84円)
これらの書類を整えて、家庭裁判所に提出します。無報酬でよい場合は、この手続き自体を省略できます。特に親族が後見人の場合、申し立てを行わないケースが多いです。
家庭裁判所への申立て
書類が整ったら、家庭裁判所に申し立てをします。報酬の申立ては、通常1年に1回程度行われます。提出書類に不備がなければ、約2週間ほどで審判が下ります。
家庭裁判所は提出内容をもとに、後見人の活動内容や管理する財産状況を確認し、報酬額を決定します。審判後、後見人には報酬金額が記載された審判書が送られてきます。
審判書受領後の報酬受け取り手続き
審判書を受け取った後、後見人は被後見人の口座から報酬額を引き出します。この手続きは後見人自身が行います。報酬は自動で振り込まれるわけではないため、忘れずに引き出し手続きを行いましょう。
審判がないまま報酬を受け取ることは認められていません。審判を経て正当な報酬を得ることが、後見制度のルールです。
報酬が支払われる時期
成年後見人や任意後見人が報酬を受け取る時期や方法は、それぞれの役割や契約内容によって異なります。以下でわかりやすく説明します。
成年後見人と監督人への支払時期
成年後見人への報酬は、通常、後見業務開始から1年後に最初の支払いが行われます。その後も1年ごとに家庭裁判所への報告のタイミングで、報酬申立てを行い、決定された金額が支払われます。
支払いの流れとしては、後見人が家庭裁判所に報酬付与を申請し、裁判所が内容を審査します。その後、審判で金額が決定されると通知が届き、被後見人の預金口座からその金額を引き出して報酬として受け取ります。この仕組みは、後見人が適切に業務を行ったかを確認するために設けられています。
任意後見人への支払時期
任意後見人の場合、報酬の支払いは契約内容に基づいて行われます。多くの場合、任意後見契約書に「毎月末日に〇万円を支払う」といった具体的な条件が記載されています。そのため、報酬は月ごとに被後見人の預金から支払われるのが一般的です。
このように、任意後見人の報酬はあらかじめ取り決めておくため、家庭裁判所への申請や審判を必要としません。ただし、契約書でしっかり条件を明記しておくことが重要です。
成年後見人の報酬が払えない場合の対策
成年後見人の報酬支払いが難しい場合、原因に応じた適切な対策を講じることが重要です。家族や専門機関と相談しながら、最適な解決方法を見つけましょう。
報酬が支払えない場合の理由やよくある事例
成年後見人に支払う報酬は、成年後見人の仕事内容や時間、経費、責任などに応じて決められます。しかし、依頼人や成年後見人自身の経済的な事情などにより、成年後見人の報酬が支払えない場合があります。
成年後見人の報酬が支払えない理由や事例としては次のようなものがあります。
- 依頼人の財産が不足しており、成年後見人の報酬を支払う余裕がない場合
- 依頼人の生活費や介護費が高額になったため、成年後見人の報酬を払う余裕がなくなった場合
- 依頼人とのトラブルが生じたため、成年後見人の報酬を支払わないという選択をした場合
成年後見人の報酬が支払えない場合には、依頼人や家族と話し合いをすることがまず必要です。話し合いによって、成年後見人と依頼人との問題点を解決し、報酬の支払いについても再度協議することができます。また、依頼人の財産状況に応じて、社会福祉協議会や国民生活センターなどに相談することもできます。これらの機関に相談することで、成年後見人の報酬に関する問題についてアドバイスを受けることができます。
成年後見制度利用支援事業の活用
成年後見人の報酬が支払えない場合の対処法や制度について見てみましょう。
成年後見に要する費用としては、申立費用と後見事務を遂行する際の後見事務費用、成年後見人の報酬があります。
成年後見人への報酬は、上述したように、成年後見人からの報酬付与の審判申立てにより、審判が行われた上、本人の財産から支払われます。
しかし、成年後見人の報酬が、本人にこれを負担する資力がない場合もあります。
そこで、成年後見人の報酬を支払えない場合に、成年後見人の報酬を補助する制度として、各自治体で行われている「成年後見制度利用支援事業」があります。
「成年後見制度利用支援事業」は、経済的な理由から成年後見制度を利用できない人を支援するための助成制度で、成年後見人への報酬の全部又は一部の助成を自治体から受けることができます。
各自治体によって助成対象者は異なるとはいえ、生活保護を受けている方、本人の資産から成年後見人への報酬の支払いが困難と認められる方は共通に助成対象者になっています。
成年後見制度利用支援事業については、平成13年度の創設当初は市町村長の後見開始の申立てに限られていました。
しかし、この支援事業の趣旨についての理解が十分でなかったため、厚生労働省老健局計画課長が平成20年10月24日付けで「成年後見制度利用支援事業に関する照会について」という通知を発出し、市町村長の申立てに限らず、本人申立て、親族申立て等についても当該支援事業の対象となりうるとしています。
助成対象者や助成金額は、各自治体によって異なるため、本人の住む地域を管轄する市区町村役場の福祉担当窓口に相談する必要があります。
さらに、総合法律支援法に基づく日本司法支援センター(通称:法テラス)による民事法律扶助の制度もあります。
この制度は、申立費用と申立代理人の弁護士や司法書士に支払う報酬を扶助するだけで、成年後見人の報酬については扶助の対象となっていません。
専門家に成年後見を依頼するメリット
専門家に成年後見人を依頼することによって、以下のメリットが得られます。
- 家族の負担が軽減される
成年後見人の役割は財産管理や契約の代行だけでなく、報告書の作成など多岐にわたります。これを親族が担う場合、大きな負担がかかります。専門家に依頼すれば、家族がこれらの手間を負わずに済みます。 - 専門知識が活用できる
専門家は法律、財務、福祉などの分野に詳しく、適切な対応が期待できます。不慣れな家族が担うより、安心して任せることができます。 - トラブルのリスクが減る
親族が後見人になると、財産管理をめぐる不信感や使い込みの疑いが生じる場合があります。専門家であればこうしたトラブルのリスクを低く抑えられます。
専門家に成年後見を依頼することで多くのメリットが得られますが、費用や契約内容については慎重に検討する必要があります。家族の状況や後見の内容を考慮しながら、適切な選択をしてください。
また、「円満相続ラボ」では、相続や成年後見に関する基本情報やトラブル回避のアドバイスをわかりやすく提供しています。専門家による無料相談窓口も用意されていますので、気軽にお問い合わせください。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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