生前整理の費用相場はどのくらい?生前整理の進め方や業者の選び方も解説!
生前整理とは?遺品整理や老前整理との違い
生前整理とは、自分が生きている間に不用品の処分をしたり、所有している財産を誰に譲渡するのかを決定する作業です。
具体的な作業は主に次の通りです。
- 自分の不用品の処分
- 遺言書の作成
- 自分の所有する財産の把握 等
生前整理と似たような作業に「老前整理」「遺品整理」があります。それぞれを比較すると下表の通りです。
比較 | 実際に作業する人 | 作業時期 | 作業内容 |
生前整理 | 主に本人 | いつでもOK | ・不用品の処分・遺言書の作成・財産の把握 等 |
老前整理 | 主に本人 | 高齢になる前(概ね50代くらい) | ・不用品の処分・遺言書の作成・財産の把握 等 |
遺品整理 | 遺族 | 本人が死亡後 | ・遺品の処分・相続手続き 等 |
表の通り生前整理と老前整理は主に本人が実行し、作業内容自体は全く同じとなります。
ただし、老前整理は自分が高齢となる前に行う作業なので、概ね50代くらいから開始するのが一般的です。
不用品の処分等は本人と家族が協力して進めても構いません。
一方、遺言書の作成は遺産を誰に引き継がせるのか、本人の意思を反映させる文書であり、基本的に自分の力で作成する必要があります(ただし、公正証書遺言は公証人が作成)。
なお、遺品整理は本人が既に亡くなった後の作業なので、遺族が協力して行います。
生前整理を行うメリットとは?いつから始めるべき?
生前整理を行えば遺族の負担が軽減される他、整理を行う自分自身も精神的に安定します。
こちらでは生前整理のメリット、そしていつから作業を開始すべきかについて説明しましょう。
生前整理のメリット
生前整理を行えば本人と残された家族双方にメリットがあります。
本人にとっては、遺言書により大切な財産を誰に引き継がせるのか前もって指定が可能です。
また、不要な物を生きているうちに処分しておけば、介護が必要となり施設へ入所しても、自宅のことを心配せずにすみます。
一方、残された家族にとっては、本人が事前に財産を調査し一覧でまとめてくれているので、相続開始後に遺族の手間が省略できます。
それに加え遺言書もあれば、遺産分割で揉める事態を避けられ、トラブルなく相続手続きが進められるはずです。
いつから生前整理を開始すべきか
生前整理はいつから始める必要があるか特に法律で決められてはいません。本人に時間の余裕があるのなら、生前整理を開始した方が良いでしょう。
例えば会社を65歳で退職する給与所得者の場合、退職後に作業を開始した方が良いです。
退職後の余暇を利用し、自分の財産の調査、不用品の処分、遺言書の内容の決定・作成等に集中できます。
ただし、かなり高齢(例:80歳以降等)になってからようやく生前整理を開始すると、認知症や寝たきりの状態となるリスクも増加します。
そのため、なるべく判断能力が十分あり、元気なうちに生前整理を開始しましょう。
生前整理では何をすればいい?やることリスト!
生前整理の内容は厳密に決まっていないものの、次のような作業を行うのが一般的です。
財産を調査し、財産目録を作成
まず、自分の預貯金・株券や、所有している土地・建物のような財産がどれ位あるかを調査しましょう。
自分の財産を把握して一覧表にまとめた方が「エンディングノート」「遺言書」の作成を行う際に役立ちます。
財産の種類や所在の一覧表は「財産目録」と呼ばれています。
この財産目録さえあれば、たとえエンディングノート・遺言書を作成していなくとも、遺族がどんな財産があるかを確認でき、遺産分割協議がスムーズに進むはずです。
財産目録の書式は自由に作成して構いませんが、書式テンプレート・フォーマットはいろいろなサイトからダウンロードできます(例:bizocean書式テンプレ 等)。
エンディングノート・遺言書の作成
エンディングノートも遺言書も必ず作成しなければならないわけではありません。
しかし、それぞれ次のようなメリットがあります。
- エンディングノート:終活を進める際に作成する記録帳。財産の種類、お葬式の希望、友人・知人の連絡先を遺族へ伝えるのに便利。
- 遺言書:相続に関する自分の意思を示すための書類。どんな財産を承継させるか指定でき、原則として相続人は記載されている遺言内容に従う必要がある。
なお、エンディングノートは遺言書のように法律上の効力は得られず、遺言内容をこちらに記載しても、相続人が従う必要はありません。
一方、遺言書は本人が自筆して作成する「自筆証書遺言」、記載内容を秘密にできる「秘密証書遺言」、公証人から作成してもらう「公正証書遺言」に分かれます。
どんな方式で作成するかは本人の自由ですが、自筆・秘密証書遺言は原則として本人の死後に家庭裁判所の検認(遺言書の証拠保全)が必要です(公正証書遺言は検認不要)。
不用品を整理する
元気なうちに、自分にとって不要な家財道具、電化製品は整理・処分していきましょう。
まだ使えそうな物品は譲渡したり、フリマサービス・リサイクル店等で売却したりして、どんどん整理していくのが良い方法です。
その他、自分が使用しているパソコンやスマートフォンへ保管されたデジタルデータも、不要なものがあれば削除しましょう。
生前整理でやることリスト
主に生前整理では次のような作業を行っておいた方が、本人は安心でき、かつ遺族の負担も軽減できます。
生前整理 | 作業内容 |
財産調査・財産目録作成 | 本人の所有する財産の種類・所在を調査し一覧表にまとめる |
エンディングノート | 財産の種類、お葬式の希望、友人・知人の連絡先等を記載する |
遺言書 | 遺言方式を決め、相続人の誰に・どんな財産を引き継がせるのか指定 |
不用品の整理 | 不要な家財道具、電化製品は整理・処分 |
デジタル製品・データの整理 | 古いパソコン・スマートフォンの処分、不要なデータの削除 |
生前整理を代行してくれる業者とは?サービス内容についても解説!
生前整理は本人や家族が行う他に代行業者への依頼も可能です。主に次の業者があげられます。
- 生前整理業者:不用品整理を専門とする業者。貴重品・処分品の仕分け作業、貴重品の捜索、不用品の回収・処分等をサポートする。
- 不用品買取業者:不要な家財道具、電化製品等を買い取る。ただし、劣化や汚れが激しい物は買い取りを拒否されることもある。不用品回収という形で費用を払えば処分に応じる可能性がある。
- 終活サポート業者:終活サポートを行う株式会社・NPO法人等が該当。エンディングノートや遺言書のアドバイス、お葬式・埋葬の手配等を任せられる。不用品整理はオプションとして利用できる場合が多い。
生前整理を業者に依頼した際の相場費用はどのくらい?
生前整理を代行業者に頼んだ場合、どのくらいの費用がかかるか不安な方々は多いかもしれません。
こちらでは有料で生前整理を任せられる「生前整理業者」と「終活サポート業者」の費用相場を紹介します。
生前整理業者の費用目安
不用品整理の費用は部屋の広さ、作業人数、作業時間でも3万〜60万円程度と、かなり差が出てきてしまいます。下表をご覧ください。
間取り | 作業人数 | 作業時間 | 費用目安 |
1R・1K | 1~2名 | 1~2時間 | 約30,000円~80,000円 |
1DK | 2~3名 | 2~4時間 | 約50,000円~120,000円 |
1LDK | 2~4名 | 2~6時間 | 約70,000円~200,000円 |
2DK | 2~5名 | 2~6時間 | 約90,000円~250,000円 |
2LDK | 3~6名 | 3~8時間 | 約120,000円~300,000円 |
3DK | 3~7名 | 4~10時間 | 約150,000円~400,000円 |
3LDK | 4~8名 | 5~12時間 | 約170,000円~500,000円 |
4LDK~ | 4~10名 | 6~15時間 | 約220,000円~600,000円 |
もちろん、生前整理業者ごとに詳細な料金設定が行われているので、担当者に正確な見積もりを行ってもらい、納得のうえで依頼をしましょう。
終活サポート業者の費用目安
終活サポート業者では、不用品整理をオプションとしてサービスも提供していますが、実際の費用は非公開としているケースがほとんどです。
ただし、基本的に提携している生前整理業者が作業をするので、部屋の広さ、作業人数、作業時間に応じて料金が設定されていることでしょう。
なお、終活プランを契約した際にオプションとして不用品整理も含めれば、全体で数十万円以上が費用相場となります。
生前整理の業者費用を少しでも抑える方法
生前整理を業者に依頼した場合、不用品整理の場合は作業を行う部屋の広さにより費用は大きく変化するので注意が必要です。
そのため、本人と家族が協力し合い、自分たちのできる範囲で整理した方が費用も軽減できます。
また、業者に財産の調査やエンディングノート・遺言書の作成のアドバイスを任せると、数万円〜数十万円程度の費用がかかります。
そこで、自分でインターネット等を参考にしつつ作成ができるなら、無理に業者へサポートを依頼する必要はありません。
その他、複数の業者から見積もりをしてもらい、理想に近い金額を提示した業者へ依頼するのも良い方法です。
生前整理を行う際に知っておくべきこと!
生前整理で不用品整理を業者に依頼する場合、部屋の広さ、作業人数、作業時間の他、運搬費用等もかかる場合があります。
当然、中心市街地から離れた自宅、山間部にある自宅等は移動距離がかかるので、運搬費用は高くなるでしょう。見積もりの際、それらの費用も含めどれ位かかるのかよく確認する必要があります。
また、不用品整理を行う業者は「一般廃棄物運搬許可」という資格が必要です。この資格を有する業者と提携していないと、適正な処理を行わない可能性が高いので注意しましょう。
資格がある場合は、業者のホームページにて「一般廃棄物処理業許可証○○許可第〇〇号」と明記されています。
失敗しない生前整理業者の選び方!
安心できる業者を選ぶ際は次のような点に注目しましょう。
- サービス内容が豊富:ニーズに合わせたオプションが選べる
- 一般廃棄物運搬許可がある:生前整理で不用品整理を行う業者は必須
- 古物商許可がある:生前整理で不用品買い取りサービスを行う業者は必須
- 正確でわかりやすい見積もりの提示:見積書の発行を行い、内訳が詳細である
- スタッフの対応が良い:質問にしっかり回答し、言葉遣いが丁寧
- 口コミの評価:サービスが費用に見合ったものか、追加請求の有無等を確認
なお、複数の業者に見積もりを依頼し、飛びぬけて安い金額を提示した業者には注意が必要です。なぜなら、サービスで手抜きを行ったり、高額な追加請求を行ったりする可能性もあるからです。
提示された金額が気になるなら、詳しい内訳を担当者に質問した方が良いでしょう。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
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