土地の境界確定とは?相続前にやっておくべき理由や費用をご紹介!

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終活

土地の「境界確定」って何?相続前にやっておきましょう!

土地の「境界確定」とは何か、それを相続前にやっておくべき理由について解説します。

土地の「境界確定」って何?

土地の「境界確定」とは何かについて見てみましょう。

土地は広大につながっているため、そのままの状態では所有権などの権利の対象とはなりません。権利の対象とするためには、土地を人為的に区画する必要があります。

土地を人為的に区画すれば、その区画された土地の相互に境目が生じます。

この境目が境界ということになります。

つまり土地の境界とは、自分が所有する土地と隣接する土地とを分ける境目を示しています。

以上のことから、土地の「境界確定」とは、自分が所有する土地と隣接する土地との境目を確定することを意味します。

土地の境界の意味

土地の境界には、二つの意味があります。一つは公法上の境界(不動産登記法上は筆界という)、もう一つは私法上の境界です。

公法上の境界とは、一筆(筆とは登記記録上の土地の個数の単位で、地番を付されて区画されたもの)の土地と一筆の土地との境目のことをいいます。〇町1丁目1番の土地と〇町1丁目2番の土地との境目はどこかということです。

公法上の境界は国が決めるべきもののため、境界が問題となっている土地の所有者の合意によって決まるものではありません。

公法上の境界について争いがある場合には、筆界特定登記官による筆界特定(不動産登記法143条)、または裁判所における境界確定の訴えによって解決を図ることになります。

これに対して私法上の境界とは、土地の所有権の範囲の問題であり、自分が所有する土地と隣接する土地の所有権の境目を意味します。隣接する土地の所有者との合意があれば、私法上の境界を決めることができます。

土地の「境界確定」を相続前にやっておくべき理由とは

土地の「境界確定」を相続前にやっておくべき理由について見てみましょう。

相続では不動産(土地・建物)、中でも土地がとりわけ大きな割合を占めています。

相続が発生すると、被相続人の土地に関して考えられるパターンは以下6つです。

①遺言や遺産分割協議により分筆登記をすることになる場合

②土地の全部を売却することになる場合

③土地の一部を売却することになる場合

④相続税を申告するために正確な面積を調査することになる場合

⑤相続税を納税するために土地の一部を売却または物納することになる場合

⑥相続税を納税するために土地の全部を売却または物納することになる場合

いずれの場合も、隣接する土地との境界を確定する必要があります。

上記の①、③および⑤の場合には、分筆登記の前提として境界確定が必要です。

分筆登記とは、登記簿上の一つの土地を複数の土地に分けて登記をする手続きのことです。

また、上記の②、④および⑥の場合にも、土地の全部について、相続税の申告や相続税の納税のために売却・物納することを前提として、隣接する土地との境界を確定させる必要があります。

そして、上記の①~⑥すべてについて、相続前に土地の「境界確定」をやっておくべき理由は以下のとおりです。

❶被相続人が生前に隣接する土地との境界確定を済ませていれば、相続人は境界確定の費用を負担せずに済みます。

❷境界確定の結果、被相続人が所有する土地の面積と登記簿記載の面積に齟齬があれば、地積更正登記をしなければなりません。被相続人が生前に境界確定をして地積更正登記を済ませていれば、相続人は境界確定の費用や地積更正登記の費用を負担せずに済みます。

❸被相続人が生前に隣接する土地との境界確定を済ませていれば、相続人は分筆登記、相続税の申告、土地の売却や物納がしやすくなります。

❹さらに、被相続人が境界確定だけでなく、遺言や遺産分割協議により分筆登記をすることになる場合に備え、遺言(あるいは想定される遺産分割協議)に合わせてあらかじめ分筆登記をしておくと、相続人は相続登記の手間が省けるので非常に助かります。

土地の境界確定はなぜ必要?理由を解説

土地の境界確定はなぜ必要なのか、その理由について解説します。

土地の境界確定の必要性について、以下の三つの理由を挙げることができます。

一つ目は、土地を売却する際に必要になるからです。

近年は土地の価格高騰などの影響により、土地を売却する際は、買主が登記簿にある公簿面積ではなく、土地の境界を確定した上での実測面積を求められることが多いです。

土地の境界確定ができていないと、境界確認書を法務局に提出できず、地積更正登記ができないため、土地を売却できない事態になりかねません。

二つ目は、自分が所有する土地を分筆し分筆登記をする際に、必要になるためです。

自分が所有する土地を分筆して相続人に負担をかけないようにしたい場合、あるいは自分が所有する土地を分筆して別々に贈与または売却したり、その一部のみを贈与または売却したりする場合には、隣接する土地との境界が確定している必要があります。

なぜなら、土地の分筆登記を申請するには、分筆する前の土地全体を測量し、隣接する土地の所有者と土地境界の確認をした後に、境界確認書を添付したうえで分筆登記を申請する必要があるからです。

三つ目は、土地による物納をするために必要になるからです。

相続税を納付するにあたり、延納によっても金銭での納付が困難な事由がある場合は、納付を困難とする金額を限度として、土地による物納が認められています。

物納の許可を受けるためには、物納適格財産でなければなりません。そのため「境界線が明確でない土地で、隣接地主から境界線に異議のない旨の了解が得られない土地」は、物納不適格な財産とされてしまいます。

ただし「既存の登記関係書類等により境界線が明確であり、かつ、隣接地主との間に争いがない事実が確認できるもの」であれば、物納適格財産になります。

以上のことから、相続税を納付するにあたり、土地による物納をするためには、隣接する土地との境界を確定し、境界確認書を提出する必要があります。

上記の三つの理由の他にも、以下のような場合に境界確定が必要になります。その理由を見てみましょう。

①境界杭(境界標)が見つからない場合に、隣接する土地との境界を確定しておけば、将来隣接する土地の所有者とのトラブルを未然に防止することができます。

②土地の所有者が金融機関から土地を担保に融資を受ける場合、土地の正確な担保価値を把握するために、隣接する土地との境界確定を求める必要があります。

③自分が所有する土地に新しく建物を建てる場合、建築基準法などの基準に沿って設計しなければならないので、土地の正確な面積や間口、奥行きを調べるためには、隣接する土地との境界を確定する必要があります。

④相続税を申告する場合、相続税は土地の面積に税率を掛けて算定するので、隣接する土地との境界を確定して、正確な面積を計算する必要があります。

土地の境界が確定していないと起こる相続トラブルとは

土地の境界が確定していないと起こる相続トラブルにはどのようなものがあるのかについて解説します。

土地の境界が確定していないと、相続時にさまざまなトラブルが起こり得ます。

その相続トラブルにはどのようなものがあるのか見てみましょう。

相続した土地を売却したい場合のトラブル

被相続人が所有する土地を相続したものの、持ち家があるため売却したいというケースがあります。

そのような場合に、隣接する土地との境界確定が必要であることは上述したとおりです。

被相続人が生前に隣接する土地との境界確定をしていない場合、相続人が相続した土地をすぐに売却できないという点で相続トラブルといえます。

そして、隣接する土地との境界に塀やフェンス、境界杭がないなど、隣接する土地との境界が不明確な場合は境界トラブルが起こる可能性があります。

相続した土地を相続人間で分筆する場合のトラブル

土地の分筆登記を申請するには、上述したように、境界確認書を添付したうえで分筆登記を申請する必要があります。

しかし、隣接する土地の所有者との間で境界トラブルがあると境界が確定できないため、分筆ができないことも起こり得るという点で相続トラブルといえます。

最後に、相続税を納付するために、土地による物納をする場合のトラブルです。

土地による物納をするためには、上述したように、隣接する土地との境界確定が必要です。

しかし、隣接する土地の所有者との間で境界トラブルがあると境界が確定できないため、物納ができないという点で相続トラブルといえます。

相続で揉めないために!境界確定にかかる日数と費用をご紹介

相続で揉めないために境界確定をしますが、ここでは境界確定にかかる日数と費用について解説します。

境界確定にかかる日数や費用は、自分が所有する土地の広さよりも、隣接する土地にどれだけ多く接しているかによって異なります。

また、隣接する土地の所有者が死亡または行方不明である場合、隣接する土地の所有者とトラブルになっている場合、隣接する土地が道路や水路などの公有地である場合、隣接する土地の境界点に建物や構造物がある場合などによっても、境界確定にかかる日数や費用が変わってきます。

隣接する土地が多くなれば、立ち会う人も多くなるため、立会いに要する日数がかかるのはもちろん、境界確定の費用も当然高額になります。

インターネット上で紹介されている境界確定の日数と費用について、いくつか例を挙げて紹介します。

境界確定の日数について

境界確定の日数について見てみましょう。

例①

一般的に「申請→測量→協議→現地立ち合い→境界確定」の流れで最低3か月は必要とするもの

例②

調査依頼(1~2日)→資料収集(1週間程度)→現況測量(2~3週間程度)→境界確認(1か月程度)→境界確認書の作成・登記申請(1か月程度)とするもの

例③

確定測量の実施を依頼→資料を揃える→土地家屋調査士が調査→仮杭、仮測量→境界無立会い→確定測量→境界確認書の作成→登記に1か月~3か月の時間が必要とするもの

境界確定の費用について

境界確定の費用について見てみましょう。

例①

確定測量にかかる費用は、最低でも30万円、一般的には40~50万円、ケースによっては100万円前後かそれ以上とするもの(費用が高くなる例は、❶隣地の所有者が多い、遠い、亡くなっている、不明、❷隣地の所有者とすでにトラブルがある、❸隣地が道路や水路などの、所有者が市区町村などの行政、❹境界点に建物や構造物がある、❺資料がほとんどないなど)

例②

確定測量の費用相場は、約35~70万円とするもの

例③

「境界確定測量」を土地家屋調査士に依頼した場合、一般的に、50~150万円程度とするもの

例④

官民立会いあり(役所の担当者立会い)の場合は60~80万円、官民立会いなし(民間人立会い)の場合は30~50万円あるいは35~45万円とするもの

例⑤

50~100万円とするもの

土地の境界確定測量はどうやってやる?測量には立会いが必要!

土地の境界確定測量はどのように行うのか、測量には立会いが必要であることなどについて解説します。

土地の境界確定測量とは、土地の境界を明確にしたり正確な面積を測ったりする測量のことをいいます。

依頼

土地の境界確定測量は、土地家屋調査士に依頼します。

その際は、土地の権利証(登記済証や登記識別情報)、固定資産税納税通知書を提出するようにしましょう。

土地家屋調査士は、土地や建物を調査し、図面の作成や不動産登記を行う専門家です。

資料の収集

土地家屋調査士は、法務局、市区町村役場、土地区画整理組合などで、公図、登記簿謄本、地積測量図、換地図などの資料を収集します。

現地調査

土地家屋調査士は、収集した資料などをもとに現地調査を行います。

その際は、依頼者とともに隣接する土地の所有者に挨拶し、測量の趣旨や協力のお願いを説明することになります。

現地測量

隣接する土地および道路との境界を確認しながら現地測量を行います。

現況測量とも呼ばれていますが、この段階ではまだ境界確定は実施しません。

現地測量では、既設の杭、ブロック塀やフェンス等を確認し、境界確定に必要な現地の状況を測量します。

確定測量ではないので、隣接する土地の所有者の立会いは必要ありません。

収集した資料などをもとに仮の境界を定め、仮杭を設置して仮測量を行います。

境界立会いが必要

依頼者、隣接する土地の所有者、公共物管理者などの関係者の立会いが必要で、現地で仮杭による境界点を確認するなどして、すべての関係者の同意が得られれば、確認した位置に永久標を設置します。

確定測量

同意を得た永久標を起点(境界点)として、確定測量を行います。そして、境界点を座標とした面積計算を行い、詳細な図面(境界測量図)を作成します。

境界確認書

すべての関係者に、境界点を示した測量図面に署名と捺印をしてもらい、境界確認書を作成します。

登記申請

登記申請は、確定測量図に境界確認書を添付して法務局に提出します。

土地の境界確定測量は、登記申請を行うことで完了します。

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