今から対策を!相続の準備でやっておくべきことを分かりやすく解説!
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生前にできる相続の準備とは?
被相続人が元気で、判断能力が十分あるうちに行える相続の準備は、主に「財産調査」「エンディングノートの作成」「遺言書の作成」です。
それぞれの相続の準備について詳しく解説しましょう。
財産調査
相続人が相続開始のときに調査する他、被相続人が生前に財産調査を行っても構いません。
被相続人に時間があるとき、自分の所有している財産を把握していきます。次の財産を確認しておきましょう。
- 預金:預金通帳(インターネットバンクはマイページ)
- 株券:取引残高報告書等
- 生命保険:保険証券
- 土地・建物:不動産権利証等
- 宝石・美術品等
なお、所有していた宝石・美術品・骨董品も現金化できる以上は課税対象です。以前に購入・贈与された物品等も把握します。
一通り調査し終えたら財産を一覧表(目録)にまとめておきましょう。書式は特に法定されていませんが、家庭裁判所が用意している目録用紙を使用しても良いでしょう。
エンディングノートの作成
エンディングノートは、財産の種類・所在、連絡をとる友人知人等、葬式・埋葬の希望等を記入するノートです。
事前にエンディングノートを作成したと家族へ伝えていれば、それを参考に相続手続きを進めてくれるはずです。
こちらも書式は法定されておらず、どんな内容を記入するかは作成する本人次第です。一般的には次の内容を記入します。
- 親族へ伝えたい言葉(感謝の言葉等)
- 誰を相続人にするのか
- 希望する葬儀内容・埋葬方法
- 希望する法事・法要の内容
- 所有している財産の種類・所在地
- 相続に関する内容
エンディングノートは財産の洗い出しや、相続人となる方々のリストアップに便利です。
ただし、エンディングノートに遺言内容を記載しても法的効力はありません。本人の希望通りに遺産の引き継ぎを進めたいなら、遺言書を作成しましょう。
なお、エンディングノートの雛形はマイクロソフト等から無料で提供されています。
遺言書の作成
遺言書は、遺言者(被相続人)が、誰(相続人)に、どんな財産を引き継いでもらいたいかについて明記した書類です。
遺言書を作成すれば、相続人間での遺産分割トラブルを未然に防ぐ効果が期待できます。ただし、遺言書は法定された書式に従い作成しなければいけません。
法定された書式に従っていない場合、無効になる場合もありますので、作成には専門家のサポートを受けてみるのも良いでしょう。
基本的に遺言書は3種類が用意されています。
- 自筆証書遺言:基本的に自筆で作成する遺言
- 秘密証書遺言:遺言の内容を秘密にできる遺言
- 公正証書遺言:公証人に作成してもらう遺言
遺言書の中で公正証書遺言は手数料(11,000円程度)がかかります。しかし、遺言者の希望を確認しながら公証人が遺言書を作成してくれます。
また、遺言書の原本は公証役場に保管され、第三者から改ざん・破棄されるおそれがないので、最も安心できる遺言方法です。
スムーズに相続を進めるために準備しておくべきこと!
本人が所有する財産を把握しておかないと、エンディングノートや遺言書を作成する際、財産の種類や所在地、誰にどんな財産を譲渡するべきかが判断し難くなります。
そのため、財産調査を行い一覧表(目録)を作成する準備が最優先です。
ただし、相続財産が明らかに少ない(例:預金と住居のみ等)場合は、エンディングノートまたは遺言書の作成から開始しても構いません。
相続の準備はいつから始めるべき?
相続の準備は被相続人が元気で、判断能力も十分あるうちから進めておきましょう。
早い人では50代くらいから「終活」という形で、エンディングノートの作成や遺言書の作成にとりかかる人もいます。
ただし、仕事で忙しいならば無理に準備を行う必要はありません。自分がリタイアして、余暇を持てるようになったときに開始した方が無難です。
所有している金融資産や不動産資産はもちろん、自分の身の回りの衣類や家財道具を整理し、宝石・美術品等のような貴重品と分ける作業も重要です。
相続財産の調査や生前整理を進めていけば、被相続人が亡くなった後、相続人の相続手続き・作業が楽に進められるでしょう。
相続が始まる前に知っておくべき基本知識!
こちらでは、被相続人・相続人が知っておくべき基本知識を解説しましょう。
被相続人の知っておくべき基礎知識
被相続人は相続の準備を進めていく中で、相続税の発生する可能性が高い、とわかる場合もあるはずです。
不動産や宝石・美術品・骨董品の価額は、相続開始時点における評価額で算定されます。しかし、多額の預金が貯蓄されていると、相続税が課される可能性は高くなります。
相続税が発生するかどうかを確かめる計算方法、生前にとれる節税対策を解説しましょう。
相続税の基礎控除で確認
相続税の基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となります。この基礎控除内に遺産総額が収まれば、基本的に申告も納税も不要です。
例をあげて相続税が発生するかどうか確認してみましょう。
(例)配偶者と子供2人、計3人が法定相続人となる場合
- 預金:5,000万円
- 土地評価額:1,000万円
- 建物評価額:1,000万円
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
不動産の評価額は相続開始時に下がっているかもしれません。しかし、預金が5,000万円もあるので、このまま保有していると相続時に相続税が発生する可能性は高いです。
相続財産を減らす方法
節税対策としては「生前贈与」が有効な方法です。ただし、いきなり全財産を家族に相続すれば、贈与税等が発生してしまいます。
そのため受贈者(贈与を受け取る人)1人につき、毎年110万円以内に贈与価額を抑えて贈与していきましょう(暦年贈与)。
暦年贈与を行えばコツコツ財産が減らせて、毎年110万円以内ならば原則として受贈者に贈与税もかかりません。金融資産の贈与だけではなく、不動産資産を売却し、そのお金を贈与するのも良い方法です。
財産を生前に贈与していけば、相続開始時の相続税負担を可能な限り軽減できます。
相続人の知っておくべき基礎知識
被相続人が亡くなると相続開始です。亡くなった直後は、遺族は葬儀や火葬・埋葬の準備に追われているかもしれません。
生前に、被相続人からエンディングノートを作成したと告げられていれば、エンディングノートを参考に亡くなった後のお葬式や手続きが進められるはずです。
なお、遺言書が見つかった場合の対応、見つからなかった場合の対応は次の通りです。
遺言書が見つかった場合の対応
なお、葬儀等が終わり遺品整理をはじめていたら、遺言書が見つかるケースもあります。
その遺言書が自筆証書遺言または秘密証書遺言の場合、発見したら遅滞なく家庭裁判所に「検認」の申立てをしなければいけません。検認の手続きを行うのは、遺言書の偽造・変造を防止するためです。
一方、公正証書遺言をみつけた場合、原本は公証役場が保管しているため検認不要です。各相続人は原則として遺言内容に従い、それぞれ遺産を引き継ぎます。
遺言書が見つからなかった場合の対応
遺言書がなく、相続人が複数いる場合は「遺産分割協議」を行いましょう。相続人が分割内容に合意したら遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印(実印が望ましい)します。
なお、法定相続人が1人または2人だけという場合、民法で定めた法定相続分で分割しても構いません(民法第887条・第889条・第890条・第900条・第907条)
相続に関する困りごと・不安なことは「円満相続ラボ」に相談しよう!
財産調査やエンディングノート・遺言書の作成を行いたいなら、弁護士・司法書士・行政書士に相談しましょう。
財産調査を行う際はサポートが依頼できる他、エンディングノート・遺言書の作成の仕方を指南してくれます。
また、相続税に関して不安があるなら、税の専門家である税理士に相談するのも良い方法です。
その他、相続に関しての疑問点・不明点があるなら「円満相続ラボ」を利用しましょう。円満相続ラボでは「相続診断士」の紹介を無料で行ってくれます。
相続診断士は相続全般に深い知識を有する専門資格者なので、相談者の悩みへ適切なアドバイスを行ってくれるはずです。
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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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