親の借金が闇金だった…相続放棄は損?実家を守り借金を0円にする「第4の選択肢」【弁護士監修】
親が亡くなり、悲しみに暮れている最中に突然鳴り響く督促の電話。「親父が借金してたなんて…しかも相手は闇金?」。 恐怖のあまり「とにかく相続放棄をして逃げたい」「警察に行けばなんとかなるはず」と考えていませんか?
その判断、少し待ってください。 もし実家や預貯金など、残したい遺産があるなら、安易な相続放棄はあなたにとって数百万円〜数千万円規模の「大損」になる可能性があります。
闇金の借金は、通常の銀行ローンとは法的な扱いが全く異なります。 実は、「遺産(実家)は相続する」が「闇金の借金は1円も払わない」という、いいとこ取りの解決策(第4の選択肢)が存在するのです。
この記事では、多くのまとめサイトが書かない「闇金相続の法的真実」と、警察に頼らず最短即日で取り立てを止め、大切な実家を守り抜くための完全ガイドをお伝えします。

Contents
【結論】「とりあえず相続放棄」は大損?闇金被害における資産防衛の鉄則
闇金からの激しい取り立てを受けると、パニックになり「相続放棄さえすれば助かる」と思い込みがちです。しかし、そこには大きな落とし穴があります。
相続放棄=「実家・預貯金の全没収」という残酷な現実
相続放棄とは、「プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない」という手続きです。 つまり、借金から解放される代償として、以下のものもすべて手放さなければなりません。
- 生まれ育った実家(不動産)
- 親が残してくれた預貯金や株式
- 車や形見の貴金属
もし、親の遺産が「借金(闇金のみ)」よりも「資産(実家など)」の方が大きい場合、相続放棄を選択することは経済的に見て明らかな「大損」となります。
一般の借金と何が違う?闇金特有の「法的弱点」
「でも、放棄しないと借金を払わないといけないのでは?」 ここが一般の借金と闇金の決定的な違いです。
- 一般の借金(銀行・消費者金融): 正当な契約であり、相続人が返済義務を負う。
- 闇金の借金: 出資法違反の高金利や無登録営業など、契約自体が「公序良俗違反」として無効になる可能性が極めて高い。
目指すべきゴールは「遺産はもらう、借金は払わない」
つまり、闇金事案においてあなたが目指すべきゴールは、以下の状態です。
- 相続は「承認(単純承認)」する(実家や預金は受け取る)
- 闇金の借金は「無効」を主張する(1円も払わない)
これを実現するのが、次に解説する法的根拠に基づく「第4の選択肢」です。

そもそも「闇金の借金」は相続されない。最高裁判決が示す「返済義務0円」の根拠
「借りたものは返すのが常識」と思われるかもしれませんが、法律の世界では、闇金は保護に値しない存在とされています。
民法708条「不法原因給付」があなたを守る最強の盾
民法には「不法原因給付(ふほうげんいんきゅうふ)」という規定があります(民法708条)。 これは、「違法な目的(超高金利など)で渡されたお金は、返してもらおうと訴えることができない」というルールです。
闇金業者は法律を無視して貸し付けを行っているため、この規定が適用され、彼らは法的に「金を返せ」と言う権利を失います。
元本すら返さなくていい?判例が証明する「債務の不存在」
「利息は払わなくていいとしても、借りた元本は返す必要があるのでは?」 そう考える方も多いですが、平成20年6月10日の最高裁判決がこの常識を覆しました。
最高裁判決の要旨: 著しく高金利な貸付(ヤミ金融)は、反倫理的な行為であり、元本を含めた全額の返済義務がない。さらに、すでに支払ったお金についても返還請求ができる。
つまり、法的には「借金は最初から存在しなかった(債務不存在)」とみなすことが可能です。存在しない借金は、当然ながら相続の対象にもなりません。
【要注意】親族が「連帯保証人」になっている場合の例外
ただし、一つだけ重大な例外があります。 もし、あなた自身が親の借金の「連帯保証人」として署名・捺印してしまっている場合です。
この場合、親が亡くなっても「あなた自身の保証債務」は残ります。相続放棄をしても、保証人としての責任からは逃れられません。このケースでは、相続問題とは別に、あなた自身の「債務整理(任意整理や自己破産など)」が必要になる可能性があります。

実家は守れる!相続放棄せずに借金だけを消滅させる「第4の選択肢」
では、具体的にどのような手続きをとれば「資産防衛」ができるのでしょうか。 ここでは、借金の種類(闇金のみか、正規業者も含むか)によって取るべき戦略を解説します。
【戦略フローチャート】あなたの状況はどっち?
ケースA:借金の相手が「闇金」だけの場合
- 推奨戦略: 「単純承認」 + 「弁護士介入」
- 手順:
- あえて相続放棄をせず、実家や預金を相続する(単純承認)。
- 弁護士を通じて闇金業者に「受任通知」を送り、債務の無効(不法原因給付)を主張して支払いを拒絶する。
- 結果: 実家を守り、借金も0円にできる可能性が極めて高い。
ケースB:借金の相手が「闇金」+「正規業者(銀行・消費者金融)」の場合
この場合は、少し計算が必要です。
- 「遺産総額 > 正規の借金」なら…
- 推奨戦略: 「単純承認」
- 遺産で正規の借金を完済し、残った資産(実家など)を手元に残す。闇金に対してはケースAと同様に戦って0円にする。
- 「遺産総額 < 正規の借金」なら…
- 推奨戦略: 「相続放棄」 または 「限定承認」
- 正規の借金を払うと赤字になるため、この場合は相続放棄が得策です。ただし、どうしても実家を残したい場合は「限定承認」等の複雑な手続きが必要になります。
絶対にやってはいけない「3つの自滅行為」
上記の戦略を成功させるためには、弁護士が入る前に以下の行動を絶対に避けてください。これらを行うと、法的に不利な立場(単純承認の強制成立)に追い込まれます。
- 1円でも返済する(一部弁済): 少しでも払うと「借金の存在を認めた(追認)」とみなされ、後で無効主張が難しくなる恐れがあります。また、カモリストに載り、ターゲットにされ続けます。
- 遺品を勝手に売る・処分する: 価値のある遺品を売却したり、親の預金を引き出して使ったりすると、法律上「単純承認」をしたとみなされます。方針が決まるまでは遺産に手を付けてはいけません。
- 言われるがままに個人情報を渡す: 勤務先や家族の連絡先を教えると、嫌がらせの範囲が拡大します。

恐怖の取り立てを「最短即日」で止めるための具体的ロードマップ
「理屈はわかったけれど、今鳴り止まない電話が怖い」 ご安心ください。法的な手続きと並行して、物理的な嫌がらせを止める手段があります。
警察は「暴力」担当、弁護士は「交渉」担当。役割の違いを知る
「警察に行けばなんとかしてくれる」と思っていませんか? 実は、警察には「民事不介入」という原則があり、単なる借金の督促(たとえ口調が荒くても)だけでは動いてくれないことが多々あります。
| 相談先 | できること(得意分野) | できないこと(限界) | 推奨ケース |
| 警察 | ・暴力、脅迫、器物損壊の捜査 ・犯人の逮捕(事件性がある場合) | ・借金をゼロにする交渉 ・明日からの電話を止める交渉 ・民事トラブルへの介入 | ・自宅に押しかけられた ・暴力を振るわれた ・物が壊された |
| 弁護士 | ・受任通知による即時の取立停止 ・借金の法的無効主張(ゼロ和解) ・過払い金請求 | ・犯人の逮捕(捜査権はない) ・物理的な警護 | ・電話やLINEでの嫌がらせ ・職場への連絡 ・借金自体をなくしたい |
身の危険を感じる場合(家に押しかけられた等)は迷わず110番すべきですが、「明日からの電話を止めたい」「借金をチャラにしたい」なら弁護士が正解です。
受任通知(弁護士介入)が送られた瞬間に起きること
弁護士に依頼すると、即座に業者へ「受任通知」が送られます。これには法的に強力な効力があります。
貸金業法 第21条: 弁護士から受任通知を受け取った後、債権者が債務者(あなた)に直接連絡したり取り立てたりすることは法律で禁止されており、違反すれば刑事罰(2年以下の懲役など)の対象となる。
闇金も逮捕リスクは避けたいと考えています。「弁護士が出てきたら、この案件は潮時だ」と判断し、最短即日で連絡がピタリと止まるケースが大半です。
家族や会社にバレずに解決することは可能か?
可能です。 弁護士が窓口になることで、自宅や職場への連絡はすべて弁護士事務所へ転送される形になります。「すべての連絡は弁護士を通してください」と突っぱねることができるため、周囲に事情を知られずに解決できる可能性が高まります。

故人のスマホ・通帳から「隠れ闇金」をあぶり出す調査マニュアル
親が亡くなった後、借金の全貌がわからないこともリスクの一つです。闇金は信用情報機関(CICやJICC)には登録されていないため、自分で痕跡を探す必要があります。
信用情報(CIC)には載らない!プロが見る「怪しい履歴」チェックリスト
以下の痕跡がないか、遺品をチェックしてください。
- 通帳の入出金履歴:
- [ ] 「カ)〇〇」などの法人名ではなく、「ヤマダ」「スズキ」などの個人名での振込がある。
- [ ] 数万円単位の少額の入金と、その数日後の倍額近い出金が繰り返されている(短期高利の兆候)。
- スマホの履歴:
- [ ] LINEで「社長」「担当」「〇〇金融」といった登録名とのやり取りがある(最近はLINE完結型が増えています)。
- [ ] 「ジャンプ」「給料日合わせ」といった隠語がメッセージにある。
- [ ] 非通知設定の着信履歴が多数ある。
- 財布・手帳・郵便物:
- [ ] 手書きの借用書や、謎の数字(携帯番号や金額)が書かれたメモ。
- [ ] パウチされた簡易的な名刺。
- [ ] レターパックの控え(現金を送らせる手口に使われます)。
もし借金総額が不明なら「限定承認」も視野に入れる
「闇金以外にも借金があるかもしれない…」と不安な場合は、「限定承認」という手続きも検討候補です。 これは、「相続したプラスの財産の範囲内でのみ、借金を返済する」という条件付きの相続です。
- メリット: 万が一、莫大な借金が出てきても、自分の財産(固有財産)を持ち出す必要がない。
- デメリット: 手続きが複雑で、相続人全員の合意が必要。期間もかかる(3ヶ月以内の申述が必要)。
限定承認は難易度が高いため、必ず専門家のサポートが必要です。

弁護士費用は高い?実家を守るための「必要経費」と考えるべき理由
最後に気になるのが費用の問題です。「弁護士に頼むお金なんてない」と思うかもしれませんが、トータルで損得を考えてみましょう。
闇金対応・相続手続きの費用相場【一覧表】
一般的な相場は以下の通りです。
| 項目 | 相場(目安) | 備考 |
| 闇金対応 | 1社あたり 4〜5万円 | 着手金のみで解決する場合が多い。分割払い対応の事務所も多数あり。 |
| 相続放棄 | 1人あたり 3〜5万円 | 書類作成から申述代理まで。 |
| 遺産相続手続 | 遺産額の数% または 20万円〜 | 遺産分割協議書の作成などを含む場合。 |
違法金利を払い続けるコスト vs 弁護士費用の比較
もし、弁護士費用を惜しんで、言われるがままに闇金に「利息」を払い続けた場合、あっという間に数十万円、数百万円を搾取されます。しかも、元金は一向に減りません。 一方、弁護士費用は「一時的な出費」です。 「数万円〜十数万円の弁護士費用」で「数千万円の実家」を守れると考えれば、これほどコストパフォーマンスの良い投資はありません。
まとめ
親の残した借金が闇金だったとしても、絶望する必要はありません。 むしろ、闇金だからこそ「実家を守りながら、借金はチャラにする」という強気の選択(第4の選択肢)が可能です。
- 相続放棄は急がない: 慌てて放棄すると、守れるはずの実家を失います。
- 返済はしない: 1円も払わず、まずは無視してください。
- すぐに専門家へ: 弁護士の受任通知こそが、あなたの平穏な生活を取り戻す唯一の切符です。
円満相続ラボでは、相続と闇金問題に強い専門家との連携をサポートしています。 恐怖で夜も眠れない日が続いているなら、まずは無料相談で「自分の場合は実家を守れるのか?」を確認することから始めてみてください。あなたの行動一つで、家族の思い出の場所を守り抜くことができます。
【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ
相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。
本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。
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