【相続×闇金】司法書士では手遅れに?「140万円の壁」と3ヶ月ルールの落とし穴

公開日: 債務整理

親や配偶者が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく遺品の中から出てきた「借用書」や、突然鳴り響く「督促の電話」。もしその相手が、法外な金利を要求する「闇金(ヤミ金)」だったとしたら、あなたの生活は一瞬にして崩壊の危機に晒されます。

「弁護士に頼むと高そうだから、まずは費用の安い司法書士に相談しよう」

そう考えるのは自然なことです。しかし、相続が発生している状況での闇金トラブルにおいて、その選択は「命取り」になる可能性があります。

なぜなら、司法書士には法律で定められた「140万円の壁」という権限の限界があり、闇金業者がそれを悪用してくるからです。さらに、相続には「3ヶ月」という絶対的なタイムリミットが存在します。

この記事では、平成28年の最高裁判決に基づく正しい法的知識と、あなたと家族を守るために「なぜ弁護士一択なのか」という理由を、実務の裏側を交えて徹底解説します。


そもそも「相続×闇金」が危険な理由:3ヶ月のタイムリミット

闇金問題はそれだけでも厄介ですが、「相続」が絡むと難易度は跳ね上がります。最大の敵は「闇金業者」ではなく、法律で定められた「時間」です。

親の借金は子が払う?「相続放棄」の絶対的ルールと期限

民法の原則として、相続人は亡くなった方(被相続人)のプラスの財産(預貯金や不動産)だけでなく、マイナスの財産(借金)もすべて引き継ぎます 。つまり、何もしなければ親が作った闇金の借金を、子が返済する義務が生じるのです。   

この義務を回避する唯一の方法が「相続放棄」です。 しかし、相続放棄には厳格な期限があります。

  • 熟慮期間(じゅくりょきかん): 「自己のために相続の開始があったことを知った時(通常は死亡を知った日)から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申し立てなければなりません 。   

この3ヶ月の間に、財産調査を行い、闇金を含む全ての借金を把握し、裁判所に書類を提出する必要があります。もし1日でも過ぎれば、借金を認めた(単純承認)とみなされ、法的に支払い義務が確定してしまいます。

放置は厳禁!闇金業者は「相続人の焦り」を狙って取り立てる

闇金業者は、この「3ヶ月ルール」や「相続人の混乱」を熟知しています。彼らは遺族に対し、以下のような揺さぶりをかけてきます。

  • 「親父さんの借金、息子さんが払うのが筋でしょう?」
  • 「香典が入ったんだろう? そこから少しでも返せ」
  • 「職場や親戚にも連絡するぞ」

業者の狙いは、恐怖に駆られた遺族に「1円でも払わせること」です。後述しますが、もし少しでも返済してしまうと「相続放棄」ができなくなる罠が待ち受けています。 この切迫した状況下で、権限に制限のある専門家を選んでしまい、対応が後手に回ることは致命的なリスクとなります。


司法書士の限界「140万円の壁」が招く最悪のシナリオ

「司法書士も弁護士も、借金解決の専門家でしょう?」と思っている方は少なくありません。しかし、法律上の権限(できること)には天と地ほどの差があります。その境界線となるのが「140万円の壁」です。

平成28年最高裁判決で確定した「厳格な制限」とは

認定司法書士は、簡易裁判所において訴額(争いの金額)が140万円以下の民事事件に限り、弁護士と同様に代理人となって交渉することができます(司法書士法第3条)。

かつては「借金を減額できたメリット(利益)が140万円以下ならOK」という解釈もありましたが、平成28年(2016年)6月27日の最高裁判決により、この解釈は否定されました 。   

最高裁が示した基準:

  • 「個々の債権額(元本)」が140万円を超えている場合、司法書士は代理できない。
  • たとえ和解で減額できたとしても、元の請求額が140万円を超えていれば違法(弁護士法違反)。
  • 「和解立会人」という名目であっても、実質的に交渉に関与していれば違法。

つまり、相手が主張する金額が140万円を超えた瞬間、司法書士は手出し無用(非弁行為)となるのです 。   

【注意】闇金の請求額は「遅延損害金」で一瞬にして140万を超える

「借りたのは10万円だから、司法書士でも大丈夫だろう」 この考えは、闇金相手には通用しません。

正規の貸金業者であれば元本や利息は計算できますが、闇金は独自の理屈で請求額を膨らませてきます。

  • 「返済が遅れたから、遅延損害金で倍になった」
  • 「迷惑料やキャンセル料を含めて150万円払え」

彼らは司法書士の「140万円の壁」を知っているため、あえて140万円を超える不当な請求額を主張し、司法書士から代理権を奪おうとします 。 元本が少額でも、争いの対象となる金額(訴額)が140万円を超えてしまえば、司法書士は法的に交渉のテーブルにつくことすらできなくなります。   

「対応不可」で辞任されるリスク:その時、時計の針は止まらない

もし司法書士に依頼した後で、業者の請求額が140万円を超えていることが判明したらどうなるでしょうか?

司法書士は「辞任」せざるを得ません。 法律違反になるため、それ以上の交渉はできないからです。

  • 司法書士が辞任した瞬間、業者への「受任通知(取り立てストップ)」の効力は消えます。
  • 再び遺族への直接の取り立てが始まります。
  • 慌てて弁護士を探し直している間にも、相続放棄の期限(3ヶ月)は刻一刻と迫ります。

この「空白期間」に生じる精神的ストレスとリスクは計り知れません。


「手遅れ」になる具体的プロセス:弁護士への乗り換えコスト

「安く済ませたい」という理由で司法書士を選んだ結果、逆に高くつき、最悪の場合は取り返しのつかない事態に陥るケースがあります。

二重の着手金と、失われた「熟慮期間」の代償

司法書士が途中で辞任した場合、一般的に支払った着手金は返還されません。 その後、改めて弁護士に依頼すれば、弁護士費用もかかります。つまり、費用の二重払いが発生するのです。

さらに痛手なのが「時間のロス」です。 相続放棄の手続きには、戸籍謄本の収集や財産調査など、多くの時間がかかります。司法書士での対応に1ヶ月、2ヶ月と時間を費やし、期限ギリギリで「対応不可」となれば、弁護士に引き継いでも時間切れ(熟慮期間の徒過)となり、借金を背負うことになりかねません。

司法書士は「交渉代理」ができない?書類作成代行の落とし穴

140万円を超える案件でも、「書類作成代行」としてサポートを謳う司法書士事務所があります。しかし、これはあくまで「書類を作るだけ」です。

  • 弁護士:あなたの「代理人」として、業者の電話を自分の事務所に向けさせ、交渉を全て行います。あなたは業者の声を聞く必要がありません。
  • 司法書士(140万超):あくまで「本人支援」に留まります。交渉の窓口はあなた自身のままです。アドバイスはくれますが、電話に出て業者と戦うのは、あなた自身です。

凶悪な闇金業者を相手に、素人である遺族が直接電話で交渉するのは、あまりに危険で無謀と言わざるを得ません。

交渉中に「1円でも払う」と借金確定(単純承認)の罠

司法書士が代理人になれず、ご自身で対応している最中に、業者の激しい恫喝に耐えきれず「とりあえず1万円だけ」と支払ってしまったらどうなるでしょうか。

民法921条により、相続財産を処分(支払いなど)したとみなされ、「法定単純承認」が成立します 。 一度でも単純承認が成立すると、その後どんなに優秀な弁護士に頼んでも、相続放棄は認められなくなります。 つまり、亡くなった人の借金を全額、あなたが支払う義務が確定してしまうのです。   

「適切な防波堤(弁護士)」がいれば防げたはずのこのミスは、人生を大きく狂わせます。


闇金トラブルを「完全解決」するために弁護士を選ぶべき理由

相続と闇金が絡む複雑な事案において、唯一の「完全な解決策」は、最初から権限に制限のない弁護士に依頼することです。

金額無制限の交渉権と「受任通知」の強力な効力

弁護士には「140万円」のような金額制限は一切ありません。数千万円の請求であっても、問題なく代理人として介入できます 。   

弁護士が介入し、業者に「受任通知」を送付すると、貸金業法21条に基づき、業者は正当な理由なく本人への電話や訪問ができなくなります。 弁護士の名前で通知が届けば、多くの業者は「これ以上脅しても回収できない」「口座凍結や刑事告訴のリスクがある」と判断し、手を引きます。この「即効性のある防壁」こそが、遺族の平穏な生活を取り戻す鍵です。

警察との連携・刑事告訴まで見据えた徹底抗戦が可能

闇金は犯罪組織です。嫌がらせがエスカレートした場合、警察の介入が必要になります。 しかし、警察は「民事不介入」の原則があり、単なる借金トラブルでは動いてくれないことが多いのが現実です 。   

ここで弁護士の力が発揮されます。弁護士は、業者の行為が貸金業法違反や恐喝罪、業務妨害罪に該当することを法的に構成し、「告訴状」を作成して警察に提出することができます。 司法書士も告訴状の作成は可能ですが、警察署への同行や、捜査機関との折衝(プレッシャーをかける交渉)においては、代理権を持つ弁護士の方が圧倒的にスムーズかつ強力です。

費用対効果の真実:トータルで見れば弁護士が「安全で安い」理由

「弁護士は高い」というイメージがありますが、闇金対応に関しては、その差は縮まっています。 最近の相場では、闇金対応の着手金は弁護士・司法書士ともに1社あたり4万円〜5万円程度が一般的です 。   

数千円〜1万円程度の差額で、以下の安心が買えると考えれば、コストパフォーマンスは弁護士の方が圧倒的に高いと言えます。

  1. 金額制限なし:途中で辞任されるリスクがない。
  2. 完全代理:業者の電話対応を全て任せられる。
  3. ワンストップ:相続放棄の手続きも代理人として完遂できる。

「安物買いの銭失い」になり、後から二重の費用がかかるリスクを考えれば、最初から弁護士を選ぶことが最も経済的で安全な選択です。


まとめ:家族の未来を守るために、最初の選択を間違えないで

闇金と相続が絡むトラブルは、一歩間違えれば、遺された家族の生活を破壊する時限爆弾となります。

  • 3ヶ月という短い期限
  • 140万円の壁による手続きの断絶
  • 単純承認による借金の確定

これらの地雷原を無事に通り抜け、平穏な日常を取り戻すためには、「権限に制限のない弁護士」という強力なパートナーが不可欠です。

円満相続ラボでは、相続問題と借金問題の両方に精通した弁護士への無料相談を推奨しています。 「まだ140万円以下かもしれない」と迷っている間にも、時間は過ぎていきます。手遅れになる前に、まずは専門家の無料相談を活用し、ご自身の状況を正確に把握することから始めてください。

あなたとご家族を守れるのは、正しい知識と、迅速な行動だけです。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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