相続登記にかかる期間は?期限や登記完了までの時間を短縮する方法も解説!

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遺産相続

相続登記にはどのような手続きが必要?

相続登記にはどのような手続きが必要なのか見てみましょう。

相続登記とは何か

相続登記とは、不動産(土地・建物)の所有者が亡くなった場合に、その不動産の名義を、亡くなった方(被相続人)から遺産を引き継いだ方(相続人)へ変更する手続きのことです

相続登記ではどのような手続きを踏む必要があるのか

相続登記が完了するまでの流れは、以下のようになります。

①不動産(土地・建物)の登記名義人が被相続人であることを登記事項証明書などで確認します。

②被相続人の戸除籍謄本から法定相続人を特定します。

③不動産の相続が、遺言書による相続なのか、遺産分割協議書による相続なのか、法定相続分による相続なのかを確認し、不動産を取得した相続人(以下単に「相続人」という)を確定します。

④住民票記載事項証明書(住民票の写し)を取得します。

⑤登記に必要な書類を取得します。

⑥登録免許税分の収入印紙を購入します。

⑦不動産の登記申請書を作成します。

⑧登記申請書に添付書類を添付して、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記を申請します。

⑨登記識別情報通知書及び登記完了証を受け取ります。

相続登記にかかる期間は?必要な書類とともにステップごとに解説!

相続登記にかかる期間について、必要な書類などとともに見てみましょう。

相続内容を確定する期間

相続登記をするためには、相続内容を確定する必要があります。

最初に、相続登記の対象である不動産(土地・建物)について、登記名義人が被相続人であることを登記事項証明書や固定資産税の納税通知書(課税明細書)などで確認します。

遺言書が残されている場合には、遺言書の内容に従って相続内容を確定します。

ただし、自筆証書遺言及び秘密証書遺言については家庭裁判所の検認検認手続きが必要です。

公正証書遺言及び法務局に保管されている自筆証書遺言については検認の必要はありません。

検認手続きが必要な場合、戸籍謄本等の必要書類の準備に約1か月、検認の申立てから検認期日までに最大約2か月かかりますので、遺言書の発見から検認手続きが終了するまでに約2~3か月の期間を要します。

また、遺言書が残されていない場合には、相続人の調査をし、相続人全員を確定した上、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議で合意が成立すれば、遺産分割協議書を作成して相続内容を確定します。

相続人の中に相続放棄をする者がいれば、相続内容の確定は、相続放棄の熟慮期間(一般的に、被相続人の死亡から3か月)経過後になります。

遺産分割協議で相続人間の話し合いがまとまらず、相続税の法定申告期限内(通常の場合は、被相続人の死亡日の翌日から10か月以内)に不動産を含む相続財産を分割ができない場合、分割が決まらない財産(未分割の不動産)については、各相続人が民法の規定による法定相続分に従って財産を取得したものとみなして相続税額を計算し、申告及び納税をします。

その後、遺産分割がまとまったときに、遺産分割に従った申告書を改めて提出し、納税額に差額がある場合には修正申告や更正の請求を行います。

しかし、このような相続税の修正申告や更正の請求を行うことは煩わしいため、相続人は相続税の法定申告期限内に相続内容を確定したいと願うことでしょう。

登記事項証明書の取り寄せ、相続放棄の熟慮期間、家庭裁判所の検認手続きや相続税の法定申告期限などを考慮しても、相続内容を確定するには、一般的に、数か月が必要だといえます。

例外的な場合として、相続人の中に行方不明者がいたりして手続きに手間取ったり、遺産分割協議が話し合いではまとまらず、遺産分割調停や遺産分割審判に発展したりすれば、優に1年以上かかることもあります。

書類集めの準備期間

相続登記をするためには、必要書類を収集しなければなりません。

必要書類集めの準備期間は、何に基づく相続登記か(遺言書によるのか、遺産分割協議書によるのか、法定相続分によるのか)、被相続人の本籍地、相続人の数や不動産の状況(数や所在場所)などによっても異なってきます。

相続登記のための必要書類は、次のとおりです。

該当するものについては、〇を表記しています。

必要書類遺言書による相続登記遺産分割協議書による相続登 法定相続分による相続登記
公正証書遺言、法務局に保管されている自筆証書遺言の遺言書情報証明書
    〇
          
     ー
     
    ー
検認済みの自筆証書遺言、検認済みの秘密証書遺言
    〇
 
     ー
  
    ー
遺産分割協議書    ー     〇    ー
被相続人の戸除籍謄本    〇     ー    ー
被相続人の出生から亡くなるまでの戸除籍謄本、改製原戸籍等  
    ー
     〇    〇
被相続人の住民票の除票(戸籍の附票)    〇     〇    〇
相続人全員の戸籍謄抄本    ー     〇    〇
相続人全員の印鑑証明書    ー     〇    〇
不動産を取得する相続人の戸籍謄抄本    〇     ー    ー
不動産を取得する相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
    〇
     〇    〇
相続関係説明図    〇     〇    〇
固定資産評価証明書    〇     〇    〇

上述した必要書類を全て準備するためには、約1~2か月を要するでしょう。

法務局で登記申請する期間

登記申請書に必要書類を添えて法務局に相続登記の申請をして受理されれば、登記完了までの期間は約1~2週間です。

相続登記の手続きが完了すると、法務局から登記識別情報通知書及び登記完了証が発行されます。

【番外編①】不動産を相続する場合に必要なこと

不動産を相続する場合に必要なことは、以下のとおりです。

①まず遺言書があるのかどうかを確認します。

②遺言書がある場合には、その遺言書が家庭裁判所の検認手続きが不要な公正証書遺言又は法務局に保管されている自筆証書遺言なのか、それとも、その検認手続きが必要な自筆証書遺言又は秘密証書遺言なのかを確認します。

③自筆証書遺言又は秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所の検認手続きを済ませます。

④それぞれの遺言書による相続登記をします。

⑤遺言書がない場合には、相続人全員で話し合いをして遺産分割協議書を作成し、遺産分割協議書による相続登記をします。

⑥遺言書も遺産分割協議書もない場合には、法定相続分による相続登記をします。

⑦その他に必要なことは、相続登記に必要な書類を取得することです。

【番外編②】相続登記にかかる費用

相続登記を申請する際には、法務局に登録免許税を納めるほか、登記申請に必要な書類(戸籍謄本等の各種証明書)の取得にも費用がかかります。

登録免許税は、相続する不動産(土地・建物)の固定資産税評価額に法律で定められた税率0.4%を乗じて算出します。

戸籍謄本は1通450円、除籍謄本及び改製原戸籍は1通750円がその取得にかかります(全国一律)。

住民票の除票、戸籍の附票、印鑑証明書、住民票記載事項証明書、住民票の写し、固定資産評価証明書は、請求先の自治体によって発行手数料に違いがありますが、1通150円~400円が取得の目安となります。

相続登記を早く済ませる方法とは?長引いてしまうケースとともに紹介!

相続登記を早く済ませる方法について、長引いてしまうケースとともに見てみましょう。

相続登記を早く済ませる方法

相続登記を早く済ませる方法としては、以下のようなことが考えられます。

①誰が不動産を相続するのかを早めに決める

不動産を取得した相続人は、相続登記を遺言書、遺産分割協議書又は法定相続分のいずれで行うかを確認します。

遺言書による場合には、相続人は、家庭裁判所の検認手続きが必要であれば、速やかにその手続きを進めます。

遺産分割協議書による場合には、話し合いが長引けば相続登記も遅れてしまいますので、速やかに話し合いを開始します。

以上のような手続きや話し合いを速やかに行い、誰が不動産を相続するのかを早めに決めるようにしましょう。

②相続登記に必要な書類の収集を早めに始める

相続登記には、書類が必要です。

誰が被相続人所有の不動産を相続するのかが決まったとしても、被相続人が登記されている不動産の所有権の登記名義人となっている場合もあれば、登記名義人となっていない場合もあります。

被相続人が登記名義人となっている場合には、相続登記に必要な書類が揃っていれば、遺言書、遺産分割協議書又は法定相続分を問わず、相続登記をスムーズに行うことができます。

しかし、被相続人が登記名義人となっていない場合、登記は登記名義人の方について行わなければいけないので、例えば、被相続人の両親が登記名義人となっている場合は、まずその両親から相続登記を行う必要があります。

このように何世代も相続登記をしていない場合(数次相続の場合)は、相続人が増え、相続登記に必要な書類を集めるのに手間がかかります。

被相続人が亡くなったらできるだけ早く相続登記に必要な書類を集め、手続きを開始するようにしましょう。

③専門家に相談する

相続登記には、多くの書類が必要です。

相続人が1人で相続対象の不動産が1か所であれば、相続登記の手続きには手間がかからないでしょう。

しかし、相続人が複数いたり、相続対象の不動産が複数に及ぶ場合は、必要書類の収集はもちろん、相続登記の手続きも複雑になります。

相続人が自分で相続登記の手続きを進めることは可能とはいえ、時間が取れない忙しい方、相続や登記の手続きの知識に不安のある方は、相続の身近な専門家である「相続相談士」に相談してみましょう。

また「相続診断士」は、弁護士、司法書士、行政書士などの専門家への橋渡しも担います。

専門家に必要書類を集めてもらったり、登記申請書を作成してもらうなどすれば、スムーズに手続きを進めることができ、相続登記を早く終わらせることが可能です。

相続登記に手間がかかりそうなときは、早めに専門家に相談しましょう。

相続登記が長引いてしまうケース

相続登記が長引いてしまうケースとしては、以下のような場合が考えられます。

①遺言書の有効性に争いがある場合や遺産分割協議書の有効性に争いがある場合

遺言書の偽造が疑われる場合や、遺言書を作成した時点での遺言能力に争いがある場合、相続人の一部を除外された遺産分割協議書の有効性に争いがある場合には、遺言書については遺言無効確認訴訟で、遺産分割協議書については遺産分割協議無効確認訴訟で、それぞれ有効性の判断について確定する必要があります。

訴訟を提起した場合、それぞれ調停前置のため、原則調停に付されますが、調停に付さないまま審理を進めることも可能なので、調停、訴訟上の和解、判決において遺言書や遺産分割協議書の有効性が判断されることになります。

そのため、遺言書や遺産分割協議書の有効性に争いがある場合には、相続登記が完了するまでの時間は長引いてしまいます。

②遺言による廃除が争われる場合

遺言による特定の相続人の廃除が争われる場合は、家庭裁判所の審判の確定を待たなければいけないので、相続登記が完了するまでの時間は長引いてしまいます。

③遺産分割協議がまとまらない場合

遺言書が残されていない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行います。

しかし、遺産分割協議で相続人間の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所における遺産分割調停で成立を目指します。調停にかかる期間は、おおむね半年から1年以内が多いようです。

遺産分割調停が不成立の場合は、審判手続きに移行し、審判によって結論が示されます。

このように、遺産分割協議が相続人間の話し合いでまとまらない場合には、調停や審判で解決せざるを得ませんので、相続登記完了までの時間は長引いてしまうでしょう。

相続登記の手続きの期限とは?

相続登記の手続きの期限について見てみましょう。

不動産の所有者が亡くなった場合でも、現時点では、相続登記の申請期限はありません。

しかし、不動産登記法が改正され、令和6(2024)年4月1日(施行日)から、相続登記の申請の義務化がなされることになりました。

相続登記の申請については、制度の開始から3年間の猶予期間があります。

改正不動産登記法は、次のように規定されています。

①相続(遺言を含む)により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない(76条の2第1項)。

②遺産分割により不動産を取得した相続人は、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない(76条の2第2項、76条の3第4項等)。

登記申請義務の履行期間内(3年以内)に、❶法定相続分での相続登記の申請をした場合、また、❷登記名義人(被相続人)について相続が開始した旨及び自らがその相続人である旨を登記官に申し出た場合(改正不動産登記法76条の3第1項・第2項)には、いずれも相続登記の申請義務を履行したものとみなされます。

この❷は「相続人申告登記」制度といわれます。

また、施行日前に相続が発生していたケースについても、相続登記の申請義務が課されますが、そのケースの場合は、施行日と①又は②のそれぞれの要件を充足した日のいずれか遅い日から3年以内に、相続登記の申請が必要です(改正不動産登記法附則5条6項)。

新しい制度では、正当な理由がないのに、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

相続登記を放っておくとどんなデメリットがある?

相続登記を放置していた場合、どのようなデメリットがあるのかについて見てみましょう。

まず、相続登記をしなかった場合、不動産の固定資産税を支払う必要があるのかについてです。

相続登記をしていなければ、不動産は相続人全員の共有財産になります。

固定資産税は、相続人全員の連帯債務として、全員で支払いをする必要があり、それぞれの相続分に応じて負担します。

後日、不動産を取得する相続人が決まれば、各相続人は負担した固定資産税を当該相続人に求償することができます。

次に、相続登記をしないで不動産の名義が被相続人のままであった場合、そのデメリットとしては以下のようなことが考えられます。

①すぐに不動産を売却したり、不動産を担保にお金を借りたりすることができないこと。

②相続人がほかにもいる場合、不動産の固定資産税を支払った相続人がいても、不動産が固定資産税を支払った相続人の所有になるわけではないこと。

③相続人の1人が判断能力を欠いた状態になった場合には、家庭裁判所で成年後見人を選任する手続きをしない限り、遺産分割協議を進めることができないこと。

④被相続人の死亡後、数次相続(すでに開始した相続手続きを行う前に、その相続人が亡くなり次の相続が開始した状態)が発生した場合には、相続人が多数に上り、相続関係が複雑になるため、遺産分割協議が難航することが予想されること。

⑤遺産分割前の場合には、不動産は相続人全員の共有なので、相続人の中に債務を負っている人がいれば、その債権者が相続人各自の法定相続分による相続を原因とする共有登記(不動産登記法59条7号にいう代位による登記)をした上で、債務を負う相続人の持分を差し押さえることができること。

まとめ

相続登記にかかる期間としては、相続内容を確定する期間、書類集めの準備期間、法務局で登記申請する期間が必要になります。

相続登記が長引いてしまうケースを理解して、少しでも相続登記を早く済ませる方法を見いだすことができれば、相続人にとっては助かることでしょう。

相続問題は誰にでも起こることです。相続が発生した場合、不動産(土地・建物)の相続登記が義務化される制度が令和6(2024)年4月1日から始まります。相続登記の申請を怠った場合には、制度の開始から3年間の猶予期間があるとはいえ、過料が科される可能性があります。

現に相続登記で悩まれている方、また相続登記制度が新しくなる前にあらかじめ検討しておきたいとお考えの方は、司法書士などの専門家に頼るのはもちろん、相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にぜひ一度相談することをおすすめします。

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相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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