遺留分が認められる代襲相続人とは?孫や姪・甥はどうなのか徹底解説!

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遺産相続

代襲相続や遺留分とは何?

代襲相続とは、被相続人の財産を引き継ぐはずだった相続人が相続開始時に亡くなっていた等の理由で、相続人の下の世代の人(被相続人からみて孫・ひ孫・甥/姪)が代わりに相続する制度です。

相続人の代わりに遺産を引き継ぐ人を代襲相続人と呼びますが、必ずしも代襲相続人となる義務はなく相続放棄もできます。放棄を希望する場合は、相続が発生しご自分が相続人となった事実を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。

一方、被相続人は相続人である自分の子供が既に亡くなっているものの、孫に代襲相続させたくない場合、遺言書で代襲相続させない旨を明記しても構いません。

しかし、孫から遺留分を行使されてしまう可能性があります。遺留分とは相続が発生した際、一定の相続人に最低限保障されている遺産の取り分です。この遺留分の権利はたとえ遺言書でも排除することができません。

代襲相続人で遺留分が認められるのは孫だけ?

代襲相続人は被相続人の直系卑属か否かで、遺留分を認められるかどうかが違ってきます。

本来の遺留分権者の範囲

そもそも、遺留分の権利は、相続人全てに認められているわけではありません。遺留分が認められている相続人は次の通りです。

・被相続人の配偶者

・被相続人の直系尊属:親・祖父母

・被相続人の直系卑属:子

このように被相続人の夫または妻、存命している親や、子供達が遺留分の権利を行使できるにとどまります。

代襲相続人で遺留分を行使できる人

代襲相続人で遺留分の権利を有する人は更に狭められます。代襲相続人になれる人は次の通りです。

・被相続人の子供が相続開始前に死亡等:孫、孫が死亡している場合はひ孫

・被相続人に直系尊属・卑属がおらず、兄弟が相続するはずだったものの相続開始前に死亡等:兄弟の子供(甥姪)

つまり、代襲相続人で遺留分を行使できる人は孫、孫が相続開始時に死亡していた場合は、再代襲相続人となるひ孫のみとなります。

一方、代襲相続人が甥姪であった場合、甥姪の親である被相続人の兄弟には遺留分が認められていないので、同様に遺留分の権利はありません。

代襲相続した人の遺留分の割合と計算方法

代襲相続人の遺留分は、被相続人の子供(被代襲者)の割合と同一です。相続人に誰がいるのか、人数によっても遺留分割合が変化します。下表をご覧ください。

相続人代襲相続人の遺留分割合
代襲相続人が1人のみ1/2
代襲相続人が2人1人につき1/4
代襲相続人が1人・被相続人の配偶者1/4
代襲相続人が2人・被相続人の配偶者1人につき1/8
代襲相続人が1人・被相続人の子供1人1/4
代襲相続人が2人・被相続人の子供1人1人につき1/8

代襲相続人が2人いた場合でも、他の相続人の遺留分が狭められることはありません。例をあげて遺留分の割合を計算してみましょう。

(例)被相続人の遺産総額が4,000万円ある場合

相続人は以下の通りです。

・被相続人の配偶者:1/4

・子供A:1/4、相続開始前に死亡(代襲相続人B・C)

Aの代襲相続人B・Cは、Aの遺留分の範囲内で権利を主張できます。そのため、

・代襲相続人B:4,000万円×1/8=500万円

・代襲相続人C:4,000万円×1/8=500万円

それぞれ500万円ずつ遺留分の権利を行使できます。

相続が遺留分に満たなかったときの対策法!遺留分侵害額請求とは?

代襲相続人が遺産を全く受け取れなかった、または遺留分に満たない遺産しか相続できなかったとき、遺産を多く取得した人へ「遺留分侵害額請求」ができます。

遺留分侵害額請求は自分に保障された遺留分の金額と、実際に取得した遺産の差額を、金銭で支払ってもらう方法です。

請求方法は次のような手順で行います。

1.遺留分を侵害している相手と話し合う
  →遺留分の支払いに相手方が合意すれば、遺留分侵害額の合意書を作成

2.侵害している相手方との話がまとまらない場合
  →内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送付

3.内容証明郵便で送付しても相手方が応じない場合
  →家庭裁判所に遺留分調停を申し立て

4.遺留分調停がまとまらない場合
  →地方裁判所に遺留分侵害額請求訴訟を起こす

遺留分侵害額請求訴訟で相手方の遺留分侵害を立証できたら、裁判所は侵害した相手に遺留分侵害額の支払いを命じます。

代襲相続に時効はある?早めの手続きがオススメです

代襲相続を放棄したい場合には、相続が発生し、ご自分が相続人となった事実を知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。

代襲相続しても良いならば、特別な手続きは不要で有効期限もありません。しかし、遺留分の侵害に気付いたときは遺留分侵害額請求ができる期限をよく確認しましょう。

原則として遺留分侵害額請求ができる期限は相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使をしない場合、侵害された事実を知らず10年が経過すると時効になってしまいます。

そのため、遺留分の侵害の事実はもちろん、自分が代襲相続人となった事実すら知らずに10年経過すると、請求権行使はできなくなります。

実際にあった代襲相続と遺留分に関するトラブル

ここでは代襲相続人の遺留分に関するトラブルの事例を紹介します。

代襲相続人に遺言書をみせずトラブルに

相続人Aが相続開始前の相続人Bの死亡を利用し、被相続人の遺産の多くを独占しようしたケースです。

相続人は以下の通りです。

・相続人A:被相続人の長男

・相続人B:被相続人の次男(相続開始前に死亡)

・代襲相続人C・D:相続人Bの子供

[経緯・結果]

相続人Bを代襲相続できると知ったC・Dは、相続人Aに被相続人の遺言書を見せるよう請求しました。

遺言書の中でC・Dが受け取れる分は、それぞれの遺留分である4分の1を下回る額の財産しか記載されていません。遺留分侵害額が発覚する事態をおそれたAは、その請求を拒みました。

C・Dは内容証明郵便で遺留分侵害額請求をしましたが、相続人Aは無視しました。C・Dはやむなく遺留分調停を家庭裁判所に申し立てました。

家庭裁判所での話し合いとなり相続人Aは隠しきれないと判断、調停の中で遺留分の侵害が発覚し話し合いの結果、C・Dの侵害額請求に応じ和解しました。

[対処法]

親族間だけで解決を図ろうとすると、話し合いに応じない遺留分侵害者がいるかもしれません。しかし、家庭裁判所という司法の場で話し合いをする方法は、遺留分の侵害を認めない相手方に大きなプレッシャーを与えることにつながります。その分、相手方の合意を引き出しやすくする効果が期待できます。

代襲相続人が親族間の事情を考えず権利行使

代襲相続人Aは被相続人と疎遠だったが、遺言書の内容を不服として他の相続人とトラブルとなったケースです。

相続人は以下の通りです。

・代襲相続人A:被相続人の孫

・相続人B:被相続人の長男、被相続人の介護を行っていた

[経緯・結果]

代襲相続人Aは被相続人が寝たきりの状態になってから数年間疎遠となり、Bが長年介護していた事実はよくわかりませんでした。

被相続人は遺言書で代襲相続人Aの財産を指定していましたが、相続人Bよりも受け取れる財産は少なく不満を感じ、遺留分侵害額請求をBに行います。

遺留分調停となりましたが、家庭裁判所から提示された調停案に双方が合意し和解しました。

[対処法]

遺留分調停では、紛争当事者の意見や提出した資料を調停委員等がチェックした上で話し合いが持たれます。双方の言い分を踏まえた調停案が家庭裁判所から提示される場合もあり、柔軟な解決を図る効果が期待できます。

代襲相続・遺留分に関する相談先はこちら

代襲相続および遺留分の悩みや疑問点がある場合には、「相続診断士」へ相談してみましょう。相続診断士は相続に関する専門資格者です。相談者の事情に応じた良い助言が期待できます。

その他に、相談者の問題に合わせ相続診断士はいろいろな士業専門家への橋渡しも行います。例えば代襲相続で揉め事が起こりそうなら弁護士を、財産調査に関しては行政書士を紹介してくれます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

この記事を監修したのは…

浜田 政子

合同会社RunSmile 代表社員    笑顔相続サロン®愛媛 代表    愛媛相続診断士協会会長

浜田 政子(はまだ まさこ)

長年保険業に携わっている経験を生かしい、生命保険、相続、終活などコンサル及びライフプラン作成を通じお客様へ常に寄り添い、悩みや相談、希望をお聞きし士業とともに解決へ導く道先案内人として愛媛より全国へ笑顔をお届けする活動しております。

よろしくお願いします。

サイトURL:https://run-smile.com

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