遺贈の所有権移転登記とは?相続登記との違いやその申請方法を解説!

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遺産相続

遺贈の所有権移転登記とは?いつ・どこで・誰が行えばよいの?

遺贈登記とは遺言状により不動産を贈られた人が、その所有を第三者に主張するため、不動産登記を行うことです。

登記申請は遺贈された不動産の所在地の法務局で手続きを行います。現在、登記申請は不動産を贈られた人(受贈者)と、相続人全員または遺言執行者(遺言内容を実行する人)とが共同して申請します。

しかし、不動産登記法改正により2023年4月1日からは、不動産を相続人へ遺贈するならば、その遺贈を受けた人(受贈者)が単独で申請可能となります。

一方、申請期限に関しては期限が法定されていないものの、相続税の申告は相続開始を知った日の翌日から10か月以内と法定されています。納税の有無を判断するためにも、この申告期限内に登記を完了させておいた方が良いでしょう。

なお、民法・不動産登記法の改正により2024年4月1日からは、相続登記が義務化され、相続人である受贈者の遺贈登記も、不動産の遺贈を知った日から3年以内に登記申請しなければいけません。

遺贈登記と相続登記との違いとは?税率の違いについて解説!

遺贈と相続はやや財産を引き継ぐ仕組みが異なっています。遺贈とは「法定相続人」に関わらず遺言によって財産を無償で譲る方法、相続とは「法定相続人」に財産を移転させる方法です。

遺贈登記と相続登記の申請方法にもやや違いがあるので注意しましょう。次のように記入内容やかかる税率等が異なってきます。

登記原因の違い

法務局へ提出する登記申請書には遺贈の場合なら「令和〇年〇月〇日遺贈」、相続の場合なら「令和〇年〇月〇日相続」という形で、登記の原因を明記します。

このように明記すれば法務局側が遺言書で指定された贈与なのか、遺産分割・法定相続による取得なのかが一目でわかります。

申請方法の違い

不動産登記法改正が施行される2023年4月1日より前であれば、遺贈登記も相続登記も申請方法は受贈者と相続人全員または遺言執行者と共同して申請しなければいけません。

つまり、基本的に受贈者はもちろん、相続人全員または遺言執行者が共に法務局へ出頭することとなります。

相続人全員で手続きが煩雑となりそうな場合、遺言者の方で遺言により遺言執行者を指定できます。指定に際しては遺言者が最も信頼でき、他の相続人からも信頼が厚い人を選びましょう。

そのようにしないと遺言執行者と仲の悪い相続人がいた場合、遺言執行の際に揉め、遺贈等の手続きが円滑に進まなくなるおそれがあります。

なお、遺言で指定していなかったときまたは遺言執行者が亡くなった等の場合、利害関係人(相続人や遺贈を受けた人等)は家庭裁判所に申立て、遺言執行者の選任が可能です。

一方、2023年4月1日以後に遺言者が不動産を相続人へ遺贈するならば、その遺贈を受けた人は単独で申請できるようになります。ただし、相続登記に関しては以前のように共同申請が必要です。

登録免許税の違い

登録免許税とは不動産の名義変更の際に課せられる税金です。所有する不動産の固定資産評価額によって納税金額が異なり、受遺者が法定相続人(民法に定められた相続人)かどうかで税率も変化します。下表をご覧ください。

受遺者対象者税率
法定相続人ではない・相続人以外
例:遺言者に相続人である子がいたとき孫に遺贈する場合、事実婚の配偶者に遺贈する場合等
固定資産税評価額の2%
法定相続人である・配偶者(事実婚以外、常に相続人)
・第1順位(直系卑属):子、子が既に死亡している場合は孫やひ孫
・第2順位(直系尊属):親や祖父母
・第3順位:兄弟姉妹
先順位となる相続人がいない場合、次順位の人が繰り上がる
固定資産税評価額の0.4%

遺贈登記の手続き方法を解説!必要書類についても!

遺贈登記は遺言執行者がいるかどうかで、申請手順や必要書類が若干異なります。

遺贈登記の申請手順

遺言執行者がいる場合、いない場合の登記申請の流れは次の通りです。なお、2023年4月1日の改正以降ならば不動産を相続人へ遺贈するとき、遺贈された人は単独で申請が可能です。

(1)遺言執行者がいる場合

1.遺言書で遺言執行者の指定を確認

2.受贈者・遺言執行者がそれぞれ必要な書類を協力して収集

3.登記申請者は受贈者と遺言執行者が同一人物の場合は1人、受贈者と遺言執行者が別人なら共に申請者となる

4.必要書類を遺贈された不動産の所在地の法務局に提出

(2)遺言執行者がいない場合

1.遺言書で遺言執行者が指定されていないことを確認

2.他の相続人達と共にそれぞれ必要な書類を協力して収集、相続人達が申請に協力してくれない場合、受贈者等が家庭裁判所に申立て遺言執行者の選任してもらう

3.登記申請者は受贈者と相続人全員、または受贈者と選任された遺言執行者が申請者となる

4.必要書類を遺贈された不動産の所在地の法務局に提出

いずれの場合も所有する受贈者の住所地ではなく、遺贈された不動産の所在地を管轄する法務局へ提出することに注意しましょう。

遺贈登記の必要書類

法務局へ申請する際は、非常に多くの書類を収集しなければいけません。受贈者だけではなく、遺言者や他の相続人に関する書類等も必要です。主な必要書類は下表の通りです。

書類取得場所や用意しなければいけない人等
遺言書公正証書遺言以外は、家庭裁判所で検認済みであること
戸籍謄本それぞれの本籍地の市区町村役場で取得、戸籍謄本1通450円・除籍謄本1通750円
・遺言者:死亡記載されたものが必要
・相続人全員:遺言執行者がいない場合に必要
住民票それぞれの住所地の市区町村役場で取得、1通300円
・遺言者:住民票(除票)ではなく戸籍の附票も可、戸籍の附票は本籍地の住所地の市区町村役場で取得、1通300円
・受遺者
印鑑登録証明書それぞれの住所地の市区町村役場で取得、1通300円
(3ヶ月以内に発行したものが必要)
・遺言執行者
・相続人全員:遺言執行者がいない場合に必要
登記済証または登記識別情報遺言者が不動産を所有したとき、法務局から発行された書類
固定資産税評価証明書遺贈不動産の所在地を管轄する市区町村役場で取得、
最新年度のものが必要。土地1筆・家屋1それぞれ200円~300円程度
※固定資産税の納税通知書の提出でも良い
遺言執行者選任審判書遺言執行者を家庭裁判所から選任してもらった場合に必要
登記申請書法務局の窓口またはホームページで取得
本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証、パスポート等
委任状申請の際、代理人をたてる場合に必要

遺贈登記は誰に依頼すべき?司法書士に依頼するメリットは?

遺贈登記は法律の素人が頻繁に行う手続きといえません。一生のうちで複数回行うか否かといった頻度と言えるでしょう。そのため、書類の不備で手続きが進まなかったり、遺言執行者や相続人全員との協力や調整が取れず申請ができなかったりする事態も想定されます。

登記手続きを司法書士のような専門家に依頼する場合は、報酬として10万円程度かかってしまいます。しかし、司法書士は登記に関する法律へ深い知識を有し、手続きの経験が豊富なので、円滑に申請が進められます。

また、現在のところ遺贈登記の申請を遺言執行者または相続人全員とで進める必要があります。申請者間のやり取りや調整は司法書士が行ってくれるので、当事者の負担は軽減されることでしょう。

遺贈登記についてよくある質問!

ここでは遺贈登記に関するよくある質問に回答いたします。

遺贈登記では住所(氏名)変更登記が必要ですか?

相続登記ならば住所や氏名が異なっていた場合、住所等の変更を証する書類(住民票、戸籍の附票)で足りるので住所(氏名)変更登記は不要です。

しかし、遺贈登記では遺言者の最後の住所(氏名)と登記名義人の住所(氏名)が異なるならば、所有権移転登記の前提としてこちらの変更登記が必要です。

遺贈に関しての相談はどこにすれば良い?

遺言者の遺贈や遺贈登記に関して、不明な点や心配なことがあれば、まず「相続診断士」に相談してみましょう。相続診断士は相続全般に関する深い知識を有し、遺贈に関しても精通しています。

相談者の事情に合わせた有益なアドバイスを無料で行ってくれるでしょう。また、相続診断士は各士業専門家への橋渡しをする役割を担い、相談者が登記手続きの調整や依頼を希望するなら司法書士、遺贈で相続人と揉めそうな場合は弁護士を紹介してくれます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

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