【2023年改正対応】相続放棄しても「家の片付け」はできる?処分行為と保存行為の全基準

公開日: 終活

「親の借金があるから相続放棄したい。でも、実家を片付けないと大家さんや近所に迷惑がかかる……」

このような板挟みの状況で、良かれと思って始めた「家の片付け」が、あなたの人生を狂わせるかもしれません。日本の法律(民法)には、相続財産を処分すると「相続を承認した」とみなされる法定単純承認というルールがあるからです。

しかし、安心してください。2023年4月の民法改正により、相続放棄者が負うべき義務の範囲は劇的に合理化されました。本記事では、相続の専門家が監修し、最新の法制度に基づいた「放棄を失敗させないための家の片付け基準」を、どこよりも詳しく解説します。


1. なぜ片付けが「相続放棄の失敗」に繋がるのか?

相続放棄とは、最初から相続人でなかったことになる手続きです。そのため、「故人の財産に手をつける」という行為は、放棄の意思と矛盾するとみなされます(民法第921条1号)。

これを「処分行為」と呼び、一度でも該当すると、たとえ後から数千万円の借金が発覚しても、もう放棄することはできません。 読者の皆様が最も避けるべきは、この「うっかり単純承認」です。


2. 【2023年最新】改正民法で変わった「保存義務」の新基準

これまで相続放棄者を苦しめてきた「管理義務」は、2023年4月の改正で「保存義務」へとアップデートされました。ここが競合記事との最大の分かれ目です。

「現に占有している」という限定条件

新ルールでは、保存義務を負うのは「相続放棄の時に、その財産を現に占有している者」に限定されました。

  • 占有している場合(同居していた等): 次の相続人や「相続財産清算人」に引き渡すまで、自分の物と同じ程度の注意で保存する義務があります。
  • 占有していない場合(遠方の実家等): 原則として、片付けや管理の義務は一切ありません。

この改正により、「疎遠な親のゴミ屋敷を遠方から片付けに行く義務」は法的に消滅しました。


3. 「防衛的遺品整理」のOK・NGリスト

相続放棄を無事に完遂させるために、何が「処分」で何が「保存」かを明確に分けます。

【NG】一発で放棄が取り消されるリスクが高い行為

以下の行為は、財産権の行使とみなされ、単純承認に該当する可能性が極めて高いです。

カテゴリ具体的なNG行為理由
不動産家の売却、解体、大規模リフォーム、勝手な賃貸借契約の解約所有者でなければできない重大な処分権の行使。
高価な遺品車、貴金属、ブランド品、骨董品の売却や形見分け経済価値のある財産を私物化または処分したとみなされる。
現金・預金故人の預金での債務支払い、葬儀費用の「過度な」支出相続財産の消費に該当。
デジタルスマホの下取り・売却、有料サービスの解約精算(故人の金で)端末代金の未払い分を相続財産から払うのもリスク。

【OK】「保存行為」として認められる範囲

以下の行為は、衛生維持や財産保護のために必要最小限であれば認められます。

  • 明らかなゴミの廃棄: 生鮮食品、腐敗物、空き缶、古新聞など(放置すると近隣に迷惑がかかるもの)。
  • 資産価値のない形見分け: 写真、手紙、使い古した衣類、仏具。
  • 応急処置: 雨漏りの修繕、割れた窓ガラスの交換、倒壊しそうなブロック塀の補強。
  • ライフラインの停止: 電気・ガス・水道の解約。ただし、未払い料金は「自分の財布」から立て替えるのが鉄則です。

4. 大家さん・管理会社への「お断り」交渉スクリプト

賃貸アパートの場合、大家からの「早く荷物を出して」という圧力が最大の難関です。ここでは法的に身を守るための回答例を紹介します。

「賃貸借契約の解約」はしない

契約を解約すると単純承認とみなされるリスクがあるため、自分から解約書類を提出してはいけません。

【交渉の回答例】

「私は相続放棄を予定しており、本物件に関する権利義務を承継しません。そのため、契約の解約手続きや残置物の処分を行う権限がございません。法的には『相続財産清算人』の選任を待つか、次順位の相続人と協議いただくことになります。私個人として勝手に片付けることは法律違反(単純承認)となるため、できかねますことをご理解ください」

鍵の返却はどうすべき?

安易に鍵を返却すると「部屋の明け渡し(=権利の消滅)」とみなされるリスクがあります。次順位の相続人がいる場合はその人に、いない場合は相続財産清算人に引き継ぐのが正解ですが、大家に強く求められた場合は「受領証」を取り、「管理権の放棄ではなく、現状維持のための鍵の保管委託」であることを明文化する必要があります。


5. 証拠を残す!「防衛的清掃」のマニュアル

後日、債権者から「勝手に価値のあるものを捨てた」と訴えられないために、以下の証拠保全を徹底してください。

  1. 作業前の全室写真・動画撮影: 何がどこにあったか、ゴミの堆積状況を客観的に記録します。
  2. 廃棄リストの作成: 捨てたものの品名、状態をメモします。
  3. 専門業者の証明書: 遺品整理業者等に依頼する場合、「これらは市場価値のない不用品である」という査定書や作業完了報告書を発行してもらいます。
  4. 領収書の保管: 立て替えた公共料金や清掃費用は、自分の財布から出したことを証明するために領収書を保管します。

6. 葬儀費用とスマホ解約の「落とし穴」

葬儀費用は「身の丈に合った」範囲で

判例では、経済価値のない雑品と少額の現金を引き取ったケースで、放棄を認めています。身の丈に合った「一般的な葬儀費用」を故人の預金から出すことは許容されますが、豪華な祭壇や墓石の建立は「処分行為」となるため注意が必要です。

スマートフォンは「解約」だけにする

解約自体は問題ありませんが、残債を故人の口座から一括返済したり、端末を売却したりするのはNGです。解約後に端末を「思い出の品」として保管しておく分には、価値がゼロであれば問題ありません。


7. 最終手段:管理義務を切り離す「相続財産清算人」

自分ではどうしても片付けられない、あるいは不動産が負債になっている場合、裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てます。

  • メリット: 清算人が選任され、財産を引き渡した時点で、あなたの保存義務は完全に消滅します。
  • デメリット: 選任には予納金(数十万〜100万円程度)が必要です。財産の中に現金があればそこから充当できますが、ない場合は申立人の負担となります。

8. まとめ:自己判断の「一片のゴミ」が借金を招く

「相続放棄 家の片付け」における鉄則は、「触らぬ神に祟りなし、触るなら証拠を残せ」です。

2023年の改正により「現に占有していない」人の負担は減りましたが、同居していたり、大家との板挟みになっている場合は、今もなお高い法的リスクを伴います。

少しでも「これは捨てていいのかな?」と迷ったら、その手を止めてください。円満相続ラボでは、相続に強い弁護士や司法書士による無料相談を受け付けています。あなたの「善意の片付け」が一生の後悔にならないよう、まずは専門家への確認をお勧めします。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

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