遺産を相続しようと思ったら、借金が…!対処方法や相続放棄の手順を解説!
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遺産には借金も含まれる?相続財産の対象となるものをチェック!
相続する遺産には、預金や不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、被相続人の借金やローン、滞納していた社会保険料や税金などのマイナスの財産も含まれます。
代表的な相続財産を列挙すると、以下のようになります。
資産:プラスの財産
[金融資産]
- 現金、預貯金
- 株式などの有価証券
- 貸付金、売掛金や小切手など
[不動産]
- 土地
- 建物
- 借地権や借家権など
[動産]
- 自動車、貴金属、骨とう品、家具など
負債:マイナスの財産
- 借金、ローン
- 買掛金、敷金や支払手形など
- 社会保険料(健康保険、国民年金、厚生年金など)
- 税金(固定資産税、住民税、所得税など)
- 水道光熱費、通信費、医療費など
遺産には借金がある?調査する方法とは
相続するマイナスの財産のうち、銀行や消費者金融、カード会社に対する借金があるかどうかは、信用情報機関に問い合わせて調べることができます。
信用情報機関には以下の3つがあります。
- JICC(㈱日本信用情報機構)
- CIC(㈱シー・アイー・シー)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
社会保険料の滞納は管轄の年金事務所、税金の滞納は税務署や都道府県税事務所、市区町村の役所などで確認することができます。
水道光熱費や通信費、医療費などは、民間企業や病院などの各々の機関に確認するしかありません。
被相続人の自宅に残された郵便物や契約書、預金通帳の取引履歴などを確認するのが良いでしょう。
遺産に借金があった!対処法や注意点をご紹介!
遺産に借金などの債務があったとき、マイナスの財産がプラスの財産を明らかに上回る場合は、相続放棄の手続きをするのが賢明でしょう。
相続放棄とは「相続人としての地位を放棄すること」であり、家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。
ただし、相続放棄をする場合は、大事な注意点が2つあります。
1つ目は、家庭裁判所に申述する「期限」です。
相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」に申述書を提出しなければなりません。
ただ3か月を過ぎた場合でも、家庭裁判所が相当な理由があるとして期間伸長を認めたときは、相続放棄をすることができます。
2つ目は、被相続人の財産に手を付けないことです。
相続人が財産の全部または一部を「処分」した場合は、「単純承認」をしたとみなされます。たとえば、被相続人の預貯金を引き出して使ったり、不動産を売却してしまう行為が代表的です。
相続放棄をした後、形見分けとして遺品の多くを持ち帰ってしまう行為も、「背信性」があると判断された場合は相続放棄が無効になるため、ご注意ください。
借金を相続するのは嫌!相続放棄の手続きや流れ
相続の方法としては、「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」の3つがあります。
借金などの債務(マイナスの財産)がプラスの財産より大きそうな場合は、「限定承認」または「相続放棄」を選択しましょう。
「単純承認」は、相続人が被相続人の権利や義務をすべて受け継ぐことです。
プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も全て相続することになります。
「限定承認」は、相続財産から債務を弁済し、財産が余ったときだけ引き継ぐことです。
プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を相続します。
被相続人の債務がどれくらいあるかわからない場合に有効ですが、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述しなければなりません。つまり、相続人が1人でも反対したときは、この方法は選択できません。
「相続放棄」とは、被相続人の財産(債務含む)を相続する全ての権利を放棄することです。
プラスの財産もマイナスの財産も、一切相続しません。
相続放棄をするためには、まず「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」に申述書を提出しなければなりません。
必要な申述費用は、収入印紙800円分(申述人1人につき)と連絡用の郵便切手(申述先の家庭裁判所に要確認)となります。
また必要な提出書類は、下記のとおりです。(裁判所ホームページより:https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html)
家庭裁判所の受付窓口に直接持参するか、または郵送することになります。
相続放棄をした方が良いかどうかなどの相談は、家庭裁判所は基本的に受け付けていません。ただ申請方法などの案内は対応してくれるかもしれません。
<必要書類>
- 相続放棄の申述書
<添付書類>
(共通)
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
(申述人ごとの添付書類一覧)
(※1)相続人の順位について(国税庁のホームページより:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm)
死亡した人の配偶者(内縁関係を除く)は、常に相続人になります。
配偶者以外の人は、次の順位で配偶者と一緒に相続人になります。
なお、相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったと見なされます。
「第1順位」:死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。
子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
「第2順位」:死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
「第3順位」:死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
相続放棄の流れ
家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出したら、通常は1週間から1か月後に、「照会書」が自宅に届きます。必要事項を記入し、署名押印したうえで返送します。
無事に受理されたときは、「相続放棄申述受理通知書」が郵送されます。これで正式に、相続放棄の手続きは完了となります。
遺産に借金があったら、専門家にご相談を!
相続財産に借金などの債務があり、明らかにマイナスの財産がプラスの財産より大きい場合は、相続放棄をした方が良いでしょう。
そうした損失の回避だけでなく、相続トラブルに巻き込まれたくないような場合にも、相続放棄は有効な手段となります。
確実に期限内に相続放棄をしたいときは、専門家への相談をおすすめします。
上記のとおり、被相続人との関係性によって、相続放棄の申述に必要な書類は変わります。戸籍謄本等を収集しているうちに、法定期限の3か月を過ぎてしまったり、申述後に書類の不備があるときは家庭裁判所から呼び出される場合もあります。
相続放棄の依頼を受けることができる専門家は、弁護士と司法書士だけです。
司法書士は相続放棄の申述書類の作成だけを行うため、依頼費用は弁護士よりも抑えることができます。弁護士と違って代理人になることはできませんが、家庭裁判所への申述書の提出まで全てサポートすることができます。
弁護士は司法書士に比べて費用は高くなることが多いですが、相続放棄の後も、法的な相続トラブルが起きそうなので相談したい場合は、初めから弁護士に依頼するのが良いでしょう。
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この記事を監修したのは…
司法書士平野克典事務所 代表司法書士
平野 克典(ひらの かつのり)
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