遺言執行者の報酬相場とは?決め方や誰がいつ支払うのか、トラブル回避のポイントを解説

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遺産相続

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遺言執行者の報酬と役割について知っておくべきこと

ここでは、遺言執行者の報酬と役割について知っておくべきことを紹介します。

遺言執行者の役割とその重要性

遺言執行者は遺言者(故人)が作成した遺言書の内容を正確に実現するために手続きを行う人物です。遺言書を作成する際、遺言執行者を選任するかどうかは遺言者の判断に任されています。

遺言書で誰に遺言執行者を任せるのか指定すれば、誰が中心となって遺言手続きを進めるべきか相続人へ明示できます。

遺言執行者の具体的な業務内容

遺言執行者が可能な作業・手続きは主に次の通りです。

  • 相続人等へ遺言執行者に就任した事実を通知
  • 相続人の調査
  • 遺言者の遺産や、負債(借金等)の有無を調査
  • 財産目録を作成し、相続人全員へ交付
  • 預貯金口座の解約や名義変更
  • 有価証券の名義変更
  • 土地・建物の相続登記や遺贈による登記
  • 相続財産の現金化
  • 遺言執行完了後、相続人全員に職務完了報告書を送付

重要な役割が与えられるものの、遺言執行者の就任に特別な資格は必要ありません。そのため、家族の中で信頼のおける人を指定しても良いですし、弁護士をはじめとした士業専門家への依頼も可能です。

遺産調査と相続人の確認

遺言執行者は、まず相続財産の調査を行います。これには、不動産の権利証や預貯金通帳など、遺言者が所有していた財産に関する書類を確認し、所在を明らかにする作業が含まれます。不動産の場合は、全部事項証明書を取得し、現状を把握します。また、金融機関から預貯金の残高証明書を集めることで、遺産の金銭的な状況を確認します。

さらに、相続人を確認するために、戸籍謄本などの関連書類を収集します。これにより、正当な相続人を確定し、遺産分割に必要な情報を整備します。

財産目録の作成と遺言内容の実行

遺言執行者には、民法第1011条第1項に基づき、遺言者が残した財産を詳細に調査し、財産目録を作成する義務があります。この目録には、不動産、預貯金、現金、保険契約、株式といった資産に加え、借金や負債なども含めなければなりません。財産目録を作成する際には、登記簿や権利証、預貯金の残高証明書などを収集して正確な情報をまとめ、これを相続人に交付します。この目録は、遺言執行者にとって財産の管理範囲を明確にするためのものであり、相続人にとっては遺留分や財産の全体像を把握するための重要な資料となります。

次に、遺言執行者は、遺言書に記載された相続人ごとの財産分配方法を実行します。遺言の指示に従い、相続人の持分や分割方法を定め、実際に財産を分配します。この過程では、不動産の所有権移転登記、預貯金の払い戻し、現金の配分などを進めます。時には、不動産の売却などを行い、現金化して分割する必要が生じる場合もあります。

遺言執行者の権限は、遺言の内容を実現するために与えられたもので、相続人の利益のために包括的な管理を行うものではありません。この点は、平成30年の相続法改正により明確化されました。また、遺言執行者が権限内で行った行為の効果は、相続人に直接影響を及ぼします。

さらに、遺贈の実行は、遺言執行者だけが行えると法律で定められており、特定の財産を特定の相続人に渡す場合も、遺言執行者が必要な登記手続きや預金の払い戻し手続きを代行します。ただし、遺言者が遺言書で特に異なる指示を出している場合は、それに従います。

遺言執行完了後の報告義務

遺言執行者の重要な役割の一つとして、すべての遺言執行が完了した後に相続人へその内容を報告する義務があります。

遺言の内容に沿って財産分配や手続きが終わった段階で、遺言執行者は完了した業務についての詳細を文書でまとめ、相続人に正式に報告します。この報告書には、どのような財産がどの相続人に分配されたか、また各手続きがどのように実行されたかなど、すべての処理内容が含まれます。

報告書は、遺言が正確に実行されたことを示す証拠となり、相続人がその内容を確認し、執行の透明性を確保するための重要な役割を果たします。

遺言執行者になれる人の条件

遺言執行者は、遺言者の意思を尊重し、遺産分割や遺産管理を円滑に進めるための役割を担います。遺言執行者には、特定の資格や許可は必要ありませんが、一定の要件を満たす必要があります。

まず、遺言執行者には成年後見人や保佐人、破産管財人になるための要件と同様の要件があります。つまり、20歳以上の成年で、民事上の能力(財産上の行為ができる能力)があることが求められます。

また、遺言執行者になるためには、遺言者との間に血縁関係がある場合や、遺言者の信頼があることが望ましいとされています。

遺言執行者を選任するための手続きは、特別な手続きはありませんが、遺言書に明記されることが一般的です。遺言書には、遺言執行者の任命や報酬、業務内容、解任条件、複数の遺言執行者の場合の決定方法などが記載されます。

遺言執行者には、遺言者の遺産を管理し、遺言書に記載された遺言の履行をする責任があります。そのため、信頼できる人物を選び、十分な説明を行った上で選任することが重要です。また、遺言執行者として任命された場合は、その業務に対して誠実に対応することが求められます。

遺言執行者になることは、重責を伴う役割ですが、遺言者の意思を尊重し、遺族のトラブルを未然に防ぐことができます。遺言執行者に興味がある方は、遺言書作成時に任命されることを希望する旨を遺言者に伝え、十分な説明を受けた上で判断することをお勧めします。

相続人がなる場合

遺言執行者として相続人の一人を指定することはよくあります。この場合、指定された相続人が中心となり、相続に関する手続きをまとめて進めていくことが可能です。相続人が遺言執行者になることで、必要な手続きをスムーズに進められるという利点があります。

また、相続人が遺言執行者になる場合、報酬が無償であるか、低額に抑えられることが多いです。そのため、専門家に依頼するよりも費用を節約できる点も大きなメリットです。コストを抑えたい場合に有効な選択肢と言えるでしょう。

専門家がなる場合(弁護士、司法書士、税理士、行政書士など)

遺言書の作成を弁護士や司法書士、税理士、行政書士などの専門家に依頼した場合、その専門家を遺言執行者に指定することがよくあります。専門家が遺言執行者になると、豊富な知識と経験を活かして、遺言に基づく手続きをスムーズに進めることができ、法的なトラブルや複雑な問題にも的確に対応してもらえます。

特に、相続財産が多かったり、相続手続きが複雑な場合には、専門家に任せることで安心感が得られ、遺言内容を確実に実行してもらえます。

金融機関がなる場合(信託銀行など)

信託銀行などの金融機関では、遺言書の作成や保管、そして執行までを一括してサポートする「遺言信託」というサービスを提供しています。このサービスを利用する場合、多くの場合で金融機関が遺言執行者として指定されます。

金融機関を遺言執行者にすることで、手続きがスムーズかつ確実に進むのが大きなメリットです。専門的な知識を持つ担当者が相続の手続きを代行してくれるため、複雑な相続問題にも安心して任せることができ、相続人にとっても負担を軽減できる手段となります。

遺言執行者を指名するメリットと選び方

ここでは、遺言執行者を指名するメリットと選び方を詳しく説明します。

遺言執行者を指名するメリット

遺言執行者の指名には報酬を支払う必要があります。報酬を支払ってまで指名するメリットについて解説します。

  • 遺志の確実な実行

遺言執行者の指名により、遺言人の遺志がより確実に実行されることが期待できます。遺言執行者は遺言書に明示された指示に基づいて行動し、遺言人の意図を尊重します。

  • 専門知識の活用

弁護士や公証人などの専門家を遺言執行者として指名することで、法的な知識や経験を活かして遺産の処理や相続手続きをスムーズに進めることができます。

  • 利益調整の公平性

遺言執行者の存在により、相続人間の利益調整や紛争解決が円滑に行われる可能性があります。遺言執行者は公平な立場から遺産分割や財産の処理を行い、相続人間のトラブルを防ぐ役割を果たします。

遺言執行者の選び方

次に、遺言執行者の選び方について解説します。

遺言執行者の選び方はいくつかありますが、最も一般的なのは、遺言書を作成する際に被相続人があらかじめ執行者を指定する方法です。この場合、遺言書には執行者の氏名や住所、生年月日を明記します。しかし、指定された人物が遺言執行者に選ばれたことを知らなかった場合、驚いたり、就任を辞退するケースも考えられます。そのため、遺言書に記載する前に、事前に了承を得ておくことが大切です。

もし被相続人が誰を執行者にするか決めかねた場合、遺言書で別の人物に執行者の選任を委ねることもできます。この場合、選任を委託された人が相続人や専門家を執行者として選ぶことになります。これは、相続の状況に応じて最も適任な人物に執行を任せる柔軟な方法です。

また、遺言書に執行者の指定がなく、必要とされる場合や、指定された執行者が辞退した場合には、家庭裁判所に申し立てて執行者を選任してもらう方法もあります。この手続きには必要書類を整える時間がかかり、選任までに1ヵ月程度の期間がかかることもあります。

いずれの方法も、遺言の執行が円滑に進むためには適切な選び方が重要です。

遺言執行者の報酬の決め方と相場

遺言執行者に支払う報酬は法律で決められていないものの、遺産総額の約1%から3%が相場です。ここでは、ケースごとの報酬の決め方についてみてみましょう。

遺言書に報酬が記載されている場合

遺言者が報酬について「遺言執行者に指定した〇〇〇〇へ、報酬として金〇〇万円を支払う。」という形で遺言書の中に明記されていれば、基本的に報酬はその金額となります。

また、遺言書に「報酬は遺言執行対象財産の〇%を支払う。」と、相続財産に対する割合で明記する方法もあります。

報酬の支払い方法やタイミングについても記載し、明確に定めておくと手続きがスムーズに進みます。

なお、遺言書で指定された人が、指定された報酬額に不満がある場合、遺言執行者を辞退しても構いません。

遺言書で決まっている報酬額が相場よりも高い場合

上記で解説した通り、遺言執行者の報酬は、遺言書で定められている場合もあります。

その報酬額が相場よりも高い場合は、遺産分割協議や家庭裁判所での調停を通じて、報酬額を減らすように相談することが有効です。遺産の価値や遺言執行者が行う業務内容を踏まえて、適正な金額に調整することが求められます。

遺言書に報酬の記載がない場合の決め方

遺言書に報酬の記載がない場合には、相続人との協議、もしくは家庭裁判所で報酬を決めます。

相続人との協議で決める場合

遺言書に報酬が明記されていなかった場合、遺言執行者から相続人や受遺者に対して相当な報酬額を提示して、報酬をどうするか話し合いで決めます。その上で遺言執行者と相続人や受遺者との間で話し合いがまとまれば、その報酬額によることになります。なお、遺言執行者となる人が無報酬で良い場合、報酬額の取り決めは不要です。

相続人で取り決める場合も、報酬額に不満があれば辞退できます。

家庭裁判所で報酬を決める場合

遺言書に報酬が明記されていない、遺言執行者と相続人や受遺者の話し合いで報酬が決まらなかった、家庭裁判所から遺言執行者として選任された、というケースでは家庭裁判所に報酬付与の申立てをして決めてもらいましょう。

申立人は遺言執行者本人であり、遺言執行終了後に遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てます。主に次の書類を準備し、家庭裁判所へ提出します。

  • 遺言執行者報酬付与申立書:家庭裁判所で取得
  • 死亡記載のある遺言者の戸籍謄本:本籍地の市区町村役場で取得
  • 遺言執行者の住民票または戸籍附票:住所地または本籍地の市区町村役場で取得
  • 遺言書の写し
  • 遺言執行報告書・相続財産目録・遺産に関する資料

専門家に依頼する場合の報酬相場

遺言執行者は親族の他、専門家や法人へ依頼が可能です。相続手続きを専門とする専門家や法人に頼むことで迅速・正確な遺言執行が期待できます。ただし、第三者に頼むと報酬が発生します。報酬額は各事務所・法人で自由に設定しています。

ここでは士業専門家、金融機関で決定する報酬額の相場をみてみましょう。

弁護士の報酬相場

弁護士に依頼する場合の基本料金は30万円から40万円程度です。報酬については、相続財産の1から3%が目安となります。また、交通費や日当、戸籍謄本などの証明書手数料、その他の諸手続きの手数料が別途発生する場合があります。

遺言内容によって相続人の揉め事が発生するおそれを考慮する場合、報酬額は高めでも紛争解決に対応できる弁護士を遺言執行者として選んだ方が無難です。

相続人の揉め事を家庭裁判所の調停・審判等で解決する際、当事者の代理人としてサポートしてくれるのは弁護士だけです。

司法書士の報酬相場

司法書士に遺言執行を依頼する場合の基本料金は、20万円から35万円程度で、報酬は相続財産の1から2%が相場です。

司法書士は裁判所に提出する書類作成をサポートし、不動産登記などの手続きにも精通しているため、財産に不動産が多い場合に適任です。また、弁護士よりも比較的割安な報酬でサービスを提供しています。

税理士の報酬相場

税理士の基本料金は、20万円から30万円程度で、報酬は相続財産の1から2%が相場です。

相続税の申告が必要になるケースでは、税の専門家である税理士に依頼するのが適切です。財産に対する税務の処理が必要な場合、税理士の知識と経験が役立ちます。

信託銀行の報酬相場

信託銀行等の金融機関に遺言執行の依頼が可能です。信託銀行では遺言書の作成や保管、遺言執行を包括したトータル的なサポート・サービス(遺言信託)を提供しています。

充実したサポート・サービスが受けられるので、遺言者や相続人も安心して任せられます。ただし、執行自体は士業専門家に業務委託するので外注費用が上乗せされることに注意しましょう。

報酬相場は相続財産の1から3%を目安としているものの、最低報酬額は100万円と設定している金融機関が多いです。

遺産総額が多い場合に金融機関は頼れる存在ですが、まず遺言者の方で保有している資産や負債をよく確認してから依頼した方が無難です。

一般の人が遺言執行者となる場合の報酬

親族に遺言執行者を頼む場合、頼んだ相手が無報酬で良いなら無理に報酬の設定は不要です。遺言書で報酬について明記されていたり、相続人で取り決めたりした内容に従います。

得られる遺産から差し引いて報酬を取得しますが、概ね20から30万円となるケースが多いようですが、士業などに依頼する場合より相場は低くなります。

家庭裁判所が決める報酬の相場

家庭裁判所で報酬を決める場合は、明確に報酬額が法定されているわけではありません。次の諸事情を考慮し算定されます。

  • 遺言者との関係性:遺言執行者は遺言者の親族か第三者か
  • 相続財産の種類や状況:相続財産はどれ位あるのか、負債等も考慮
  • 執行事務の内容・難易度:執行する財産の種類や額、相続人で揉め事がないか等
  • 遺言執行者の地位・収入

これらの状況を踏まえ、報酬額がどれ位になるのかは家庭裁判所の裁量次第です。

遺言執行者の報酬を決める際の法的手続き

遺言書に遺言執行者の報酬金額が記載されておらず、相続人との協議でも報酬が決まらなかった場合、家庭裁判所が報酬を決めることになります。

家庭裁判所で報酬付与審判を申請する方法

遺言執行者に対する報酬付与申立ては、遺言執行者が申立書と必要書類を家庭裁判所に提出することによって行います。

申立先と必要な書類

報酬付与審判の申立先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

必要書類は、以下の通りです。

  • 家事審判申立書
  • 申立人(遺言執行者)・被相続人の戸籍謄本
  • 遺言書の写し
  • 財産目録
  • 遺言執行報告書

申立てにかかる費用

申立にかかる費用は、収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手数百円程度です。

報酬額の変更や減額を求める手続き

まず、遺言執行者と相続人が話し合い、報酬額の変更や減額を協議します。遺言書に報酬額が記載されていない場合や、報酬が不当だと感じた場合は、双方で合意できる額に調整できる可能性があります。この方法が最もスムーズで迅速な解決方法です。

話し合いで合意に至らない場合には、家庭裁判所に報酬額を決定してもらうことができます。ただし、この申し立ては遺言執行者自身が行う必要があります。そのため、遺言執行者が対応してくれない場合は、報酬額の変更を求めるのが難しくなる可能性があります。

遺言執行者の報酬は誰がいつ支払うのか

遺言執行者の報酬は、遺言執行の完了後に、相続財産の中から払うことが一般的です。

報酬の支払いタイミングと支払者

遺言執行者の報酬は、基本的に相続財産の範囲内で相続人や受遺者が負担し、遺言執行の完了後に支払います。

自己資金で支払うのではなく、相続財産の中から報酬を支払うケースが多いです。

また、遺言執行者が途中で業務を放棄した場合、報酬は受け取れません。

ただし、相続放棄などにより相続人がいなくなった場合は、遺言執行の業務が完了した部分の報酬を受け取ることが可能です。

報酬は相続財産から支払われるのか

遺言執行者の報酬は、主に相続財産から支払われるのが一般的です。

もしも相続人自身が遺言執行者を務める場合、現金で報酬を支払う必要はなく、報酬に見合った遺産分を他の相続人より多めに取得する形で調整することも可能です。

報酬と遺言執行費用の違い

遺言執行にかかる費用と報酬は異なります。具体的には、以下のような費用は報酬には含まれません。

  • 相続財産管理費用
  • 不動産の移転登記費用
  • 預貯金の解約・払戻の費用
  • 相続財産目録の作成費用

これらの費用を遺言執行者が立て替えた場合、遺言執行者に対して報酬に上乗せして支払うことが一般的です。また、遺言執行者と協議の上で、遺言執行費用の全額や一部を前払いすることも可能です。

契約書や文書の作成が報酬に含まれるかどうかについては、遺言書に「契約書や文書の作成に関しては、遺言執行者の報酬に含まれる」と明記しておくとトラブルを避けられます。ただし、このような記載がない場合は、遺言執行者と追加の報酬について相談して取り決めを行う必要があります。

遺言執行者の報酬を支払えない場合

遺言書に明記されていた遺言執行者への報酬が、遺産が少ないにもかかわらず、数千万円・数億円等とあまりにも高額ならば、相続人達は遺言執行者に辞退してもらうか、辞任を要求しても構いません。

遺言執行者が辞退・辞任しても遺言書に影響はありません。また、遺言執行者を立てなくても、相続人が手分けして遺言内容を実行することは可能です。

適正な報酬価格で遺言執行者に遺言を執行してもらいたい場合は、相続人で改めて話し合うか、家庭裁判所から遺言執行者を選任してもらうのも良い方法です。

遺言執行者に関するよくあるトラブル

遺言執行者に関するトラブルや問題が発生した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。以下に、一般的なトラブルの事例とその対処方法を紹介します。

遺言執行者の業務遂行能力の問題

遺言執行者が業務を適切に遂行できない場合があります。たとえば、高齢で認知症が進行しており、意思疎通が困難になっている場合や、精神的に不安定で判断力が低下している場合などです。

この場合、遺言執行者を解任することができます。解任の手続きについては、弁護士などの士業に相談することが必要です。

遺言執行者の報酬に関する問題

遺言執行者の報酬に関する問題が生じる場合があります。たとえば、遺言執行者が相場より高い報酬を請求してきた場合や、報酬についての取り決めが明確でない場合です。

この場合、遺言執行者との契約内容や報酬に関する書面を確認し、必要に応じて弁護士などの士業に相談することが必要です。

遺言執行者の業務遂行に関する紛争の問題

遺言執行者が遺産の分配についての紛争や、その他の業務遂行に関する紛争が生じる場合があります。この場合、まずは遺言書や契約内容を確認し、解決策を模索することが必要です。もし自力で解決できない場合は、弁護士などの士業に相談することをお勧めします。

以上のように、遺言執行者に関するトラブルや問題が生じた場合には、解決するために遺言書や契約内容を確認し、必要に応じて弁護士などの士業に相談することが大切です。また、遺言執行者を選ぶ際には、信頼できる人物を選ぶことが重要です。

遺言執行者に関するよくある質問と注意点

最後に、遺言執行者に関するよくある質問と注意点を解説します。

遺言執行者の報酬は誰が負担するのか?

遺言執行者の報酬は、相続財産から支払われます。具体的には、遺言執行費用として相続財産から控除される形で処理されます。執行者が相続財産を管理している場合、費用を上回る金銭資産があれば、その中から報酬を支払うことが一般的です。

報酬に関するトラブルを避けるためのポイントは?

遺言執行者の報酬額が高額である場合、相続人との間で不満やトラブルが発生することがあります。

トラブルを避けるためには、遺言書を作成する段階で、遺言執行者の報酬額を相続人にしっかりと説明し、合意を得ておくことが大切です。合意を得るためのポイントを以下で説明します。

明確な報酬基準と内訳を設定することの重要性

遺言執行者の報酬に関するトラブルを回避するためには、最初の段階で明確な報酬基準と内訳をしっかり設定することが重要です。具体的な報酬基準がないと、相続人との間で誤解や不満が生じやすくなるため、事前に合意を得ておくことで後々の問題を防ぐことができます。

追加費用や契約内容の確認

遺言執行者の基本報酬に加えて発生する可能性がある追加費用についても、事前に詳細を明記しておくことが重要です。たとえば、交通費や書類取得費などが該当し、これらの費用について具体的な項目と見積もりを提示することで、透明性が確保され、相続人とのトラブルを防ぐことができます。

法律では、遺言執行者が業務に必要な費用を立て替えた場合、その費用を後から請求できることが定められています(民法第1012条第3項、第650条第1項)。

ただし、費用を前もって請求する権利は認められていません(民法第1012条第3項は、民法第649条を適用しないため)。

しかし、実務上は、相続人から事前に費用を預かり、後で清算する形が一般的です。この手順を事前に確認し、契約内容に明記しておくことで、スムーズな進行が期待できます。

トラブルが発生した場合の解決方法

報酬に関するトラブルが発生した際は、早急に対応することが重要です。まずは、問題の原因を明確にし、報酬の内訳や支払い条件に関する誤解を解き、関係者全員で正確な情報を共有しましょう。その後、話し合いによる解決を目指し、冷静かつ建設的な議論を心がけて進めることが大切です。

話し合いで解決しない場合は、弁護士など第三者の専門家に依頼することを検討します。専門家の介入によって、より公正な解決策を導きやすくなります。

さらに解決が難航する場合は、家庭裁判所での調停や仲裁を利用することも視野に入れましょう。裁判所の仲裁によって、公正な判断が下され、トラブルを解決しやすくなります。ただし、その過程では関係者に金銭的なコストや心理的な負担がかかることも多いため、その点を十分に考慮する必要があります。

遺言執行者から高額な報酬が要求された場合は?

高額な報酬が要求された際には、まず冷静に話し合いを行い、解決しない場合は、家庭裁判所の審判に委ねるのが一般的な解決方法です。

通常、遺言書に報酬額が記載されている場合は、その内容に従いますが、記載がない場合は、遺言執行者と相続人が話し合いで報酬額を決める必要があります。双方の合意が得られれば、その金額に基づいて報酬が支払われます。

もし合意に至らない場合には、遺言執行者が家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てることになります。家庭裁判所は、相続財産の規模や遺言執行の難易度などを総合的に考慮し、適切な報酬額を決定します。

遺言執行者を変更したい場合の対応方法は?

遺言執行者を解任するには、一定の条件を満たす必要があります。

まずは、相続人、受遺者、被相続人の債権者など、相続の利害関係者全員が解任に同意している必要があります。

さらに、遺言執行者が任務を怠った場合や、長期不在や病気などの正当な理由がある場合にのみ解任が認められます。財産目録を公開しない、不正に財産を使うなどの行為なども解任の理由となります。

解任を希望する場合は、相続人や受遺者が家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。手続きは遺言者の最終住所地を管轄する家庭裁判所で行われ、申立人の戸籍謄本や住民票、遺言書のコピーなど必要書類を準備します。申立書には解任の理由を詳細に記載する必要があり、手数料として800円の収入印紙が必要です。

解任が認められると、家庭裁判所から審判書が発行され、遺言執行者の解任が正式に確定します。解任後は、新たに遺言執行者を選任する必要があります。

解任審判までには1ヵ月ほどかかることがあります。

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この記事を監修したのは…

小出 亮

こいで司法書士事務所 代表司法書士

小出 亮(こいで りょう)

千葉県流山市の司法書士。10年以上の業務経験を活かし、主に相続手続き・生前準備(遺言など)・不動産・会社の登記手続きを専門としている。丁寧・親切・誠実をモットーに、きめ細やかなサービスと柔軟でスピーディーな対応が強み。一般市民の方向けの講演・セミナー・相談会を通じて、司法書士は身近な存在かつ頼りになることを多くの方に知ってもらうために積極的な活動を行っている。

サイトURL:https://ny-shoshi.com/

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