【代表相続人】委任状の書き方!親族に相続手続を任せる注意点

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遺産相続

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【代表相続人】委任状の書き方!親族に相続手続を任せる注意点

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相続手続きは本来、相続人それぞれが行うものです。しかし実務では、相続人から1人を「代表相続人」に選び、まとめて手続きを進めることが少なくありません。仕事や育児、遠方居住、体調不良などで全員が窓口に出向くのは現実的でないからです。

このとき欠かせないのが「委任状」です。本記事では、代表相続人が親族の代わりに手続きする際の委任状の役割、手続き別の要否、書き方、家族間で気をつけたいリスクまで解説します。

代表相続人(親族)が手続きを代行する場合の委任状の基本

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相続手続きは原則として相続人本人が行いますが、本人が手続きできないケースも多くあります。その場合、相続人の中から代表相続人を選び、ほかの相続人が手続きを任せる方法があります。相続人本人以外が行政窓口や金融機関で手続きするには、「委任状」の提出が必要です。

委任状とは、本人(委任者)が本人以外(代理人・受任者)に手続きの代理を頼んだことを証明する書面です。親族に依頼する場合のほか、弁護士・司法書士・行政書士へ依頼するときにも必要です。

代表相続人への委任が必要になる相続手続きのケース

主に次のとおりです。

  • 被相続人・相続人の戸籍謄本等の取得
  • 自筆証書遺言がある場合の検認
  • 被相続人の預貯金口座の名義変更・解約・払い戻し
  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 自動車の名義変更
  • 相続税の申告 など

一方、相続人が次の立場の場合は委任状なしで手続きできます。

  • 未成年 → 原則として親権者(未成年の相続人との続柄がわかる戸籍謄本等は必要)
  • 親権者のいない未成年者 → 原則として未成年後見人(未成年後見人の記載がある本人の戸籍謄本は必要)
  • 成年被後見人 → 原則として成年後見人(成年後見人の印鑑証明書・成年後見の登記事項証明書が必要)

【注意】家族が代理人になり報酬を受け取ると法律違反になる場合がある

親族間の代行で見落とされがちなのが「報酬」の問題です。

弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で他人の法律事務(遺産分割協議への介入など)を業として行うことは、弁護士法第72条が禁じる「非弁行為」にあたる可能性があります。税理士が相続税申告の依頼がないのに遺産分割協議に介入したとして、報酬の返還等を求められた事例があります(東京地裁令和4年1月28日判決/出典:みらい総合法律事務所)。

これは専門家に限りません。代行した親族が実費(交通費・郵送代・証明書発行手数料など)を超える「報酬」を受け取ると、同様の法的リスクが生じます。家族間の代行は実費の精算にとどめ、報酬のやり取りは避けるのが安全です。

相続手続き別・代表相続人の委任状の要否とポイント

委任状の要否や記載は手続きの種類で異なります。代表的な手続きごとに整理します。

不動産の相続登記①:法定相続分と異なる割合で登記する場合は委任状が必須

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相続登記は、被相続人が亡くなったとき登記名義を相続人へ変更する手続きです。2024年4月1日から相続登記は義務化され、相続による不動産取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象です。

遺産分割協議で取得者を決めた場合や遺言で指定されている場合、その不動産を引き継ぐ相続人本人が手続きしない限り、委任状が必要です。代表相続人がほかの相続人に代わって申請するなら委任状を用意します。

なお、未成年の相続人なら親権者または未成年後見人、成年被後見人なら成年後見人がいれば、原則として委任状は不要です。

不動産の相続登記②:法定相続分通りでも委任状がないと『登記識別情報』が発行されないデメリットがある

法定相続分(例:配偶者と子が相続人なら配偶者2分の1・子2分の1。子が複数なら頭数で按分)どおりに登記する場合、共有相続人の1人はほかの共有相続人の委任状を提出せずに申請できます(保存行為としての申請)。

ただし、委任状を作成しなかった相続人には、登記識別情報通知(12桁の英数字が記載された通知)が発行されません

相続後に不動産を売却して買主へ所有権移転登記をする際は、原則としてこの登記識別情報を法務局に提供します。ないと本人確認の追加手続き(事前通知制度や資格者代理人による本人確認情報の作成など)が必要となり、手間と費用が増えます。

将来の売却や担保設定を考えると、法定相続分どおりの登記でも、各相続人から委任状をもらい全員に登記識別情報が発行されるようにする方が無難です。

預貯金の手続き:代表相続人に一任するための『相続同意書』と委任状の関係

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被相続人の預貯金の払い戻しや名義変更は、原則として相続人全員の同意のもとで行います。実務では代表者を選び、ほかの相続人が委ねる形式が一般的です。

多くの金融機関は独自書式を用意し、それが委任状や同意書を兼ねます。三菱UFJ信託銀行は「相続手続依頼書(兼同意書)」、肥後銀行は「相続に関する委任状」という書式があり、いずれも相続人全員の署名・実印の押印を求めます(出典:三菱UFJ信託銀行 相続手続依頼書)。

つまり代表相続人が窓口に立つ場合でも、払い戻しや名義変更には原則として相続人全員の意思確認(署名・実印・印鑑証明書)が求められます。書式の名称や運用は金融機関ごとに異なるため、取引先ごとに事前確認が不可欠です。

なお、遺産分割が済んでいない段階でも、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」により、一定額(同一金融機関ごとに「相続開始時の預金残高×3分の1×払戻しを行う相続人の法定相続分」、上限150万円)まで単独で払い戻しを受けられます。

その他の手続き:戸籍謄本の取得や自動車名義変更で親族に委任する場合

戸籍謄本・身分証明書の取得

委任状には次を記載します。

  • 必要な証明書の申請および受領の件
  • 必要な戸籍の本籍・筆頭者の氏名
  • 証明書の種類(戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書、身分証明書等)
  • 必要部数

2024年3月1日から戸籍の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも、本人・配偶者・直系の親族であれば請求者本人が窓口に出向いて戸籍謄本等をまとめて取得できます(広域交付は代理人請求・郵送請求は不可)。

自動車の名義変更

自動車を共同相続し代表相続人が手続きする場合、次が必要です(出典:国土交通省 関東運輸局)。

  • 被相続人の死亡と相続人全員が確認できる戸籍謄本(または法定相続情報一覧図の写し)
  • 相続人全員の印鑑証明書(発行後3か月以内)
  • 相続人全員の実印が押された委任状
  • 遺産分割協議書で代表相続人が自動車を取得すると決まっている場合はその協議書

運輸支局のサイトに公式の手続き方法と必要書類が明記されているため、申請前に確認しましょう。

代表相続人(親族)向け:委任状の具体的な書き方

記載が最も複雑な「不動産の相続登記」を例に説明します。委任状は委任者が自分で作成できます。法務局のウェブサイトには相続登記の申請書様式や記載例が掲載されており、委任状を作成する際の参考になります。(出典:法務局

委任状に必ず記載すべき項目一覧と基本の書き方

相続登記の委任状には、上から順に次を記載します。

1. 表題と代理人(受任者)の住所・氏名

一番上に「委任状」と記載し、代理人の住所・氏名を記入します。住所は住民票上の住所を正確に書き写します。

2. 登記申請を委任する旨

例)「私は、上記の者を代理人と定め、次の権限を委任する。」

3. 不動産に関する情報(登記の目的・原因・相続人・不動産表示)

登記の目的:被相続人の単独所有なら「所有権移転」、共有なら「〇〇 〇〇(被相続人氏名)持分全部移転」。単独か共有かは登記事項証明書で確認。

原因:相続発生日(例:「令和〇年〇月〇日相続」)。

相続人:被相続人の氏名を( )内に記載し、次行に不動産を相続する人の住所・氏名を記載。複数で共有する場合はそれぞれの持分(〇分の〇)も記載。

不動産表示:土地は不動産番号・所在・地番・地目・地積、建物は不動産番号・所在・家屋番号・種類・構造・床面積。法務局で取得できる全部事項証明書(書面請求は1通600円)を参考に正確に記入。

4. 代理人が行える権限の明記

登記識別情報通知の受領、原本還付請求、登録免許税の還付金受領など、想定される権限を委任していると明記します。

5. 作成日・委任者の住所・氏名・押印

作成日と委任者の住所・氏名を記入し押印します。押印は実印のほか認印でも可ですが、提出先によっては実印と印鑑証明書を求められるため事前確認をおすすめします。

委任状は1枚に収めるのが理想です。複数枚になる場合はホチキスで留め、契印でつなぎます。契印には委任者の署名横の印鑑と同じものを使用します。

上記の項目を上から順にすべて盛り込めば、相続登記用の委任状として整います。記載漏れや住所氏名の表記ミスがあると手続きが滞るため、作成後は登記事項証明書や住民票と突き合わせて再確認しましょう。

代表相続人から司法書士等へ再委任するための『復代理人選任』の記載

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代表相続人自身も忙しく、司法書士などにさらに任せたい場合に備え、委任状には復代理人を選任できる旨の一文を盛り込みましょう。

例)「復代理人を選任する権限」

これにより代理人がさらに代理人(復代理人)を選んで手続きできます。付与する権限が漏れていると、その部分は委任者本人が行わねばならないため、想定される権限は漏れなく記載します。

遺言執行者の復任権は2019年7月1日施行の民法改正でルールが変わりました。改正後は遺言執行者は「自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる」とされ、原則として専門家への復代理が認められます。ただしこの規定は2019年7月1日以降に作成された遺言書に適用され、それ以前の遺言書では原則として「やむを得ない事由」がなければ復代理人を選任できません。

手続き先が最新の法解釈に精通していないこともあります。遺言書の作成日付が改正後であったため、自己の責任で専門家に委任できると説明して手続きを進められたケースも報告されています。復代理を行う場合は、根拠となる法律や遺言書・遺産分割協議書の内容を手続き先へ正確に説明できるよう準備しましょう。

委任者・代理人の住所氏名は必ず住民票の通りに正確に記載する

委任状の住所・氏名は、委任者・代理人ともに住民票(または印鑑証明書)の記載どおりに正確に書き写します。番地の表記やマンション名の有無など、わずかな違いでも手続きが滞ります。

代理人からはあらかじめ正確な住所を教えてもらいましょう。印鑑証明書を添付する手続きでは、委任状の住所氏名と印鑑証明書の記載の一致が前提です。

家族間でも要注意!代表相続人に委任状を渡す際のリスクと注意点

委任状は本人の意思を他人に託す重要な書面です。家族同士でも油断するとトラブルにつながります。作成・交付時の注意点を解説します。

署名押印のみの『白紙委任状』は悪用のリスクがあるため絶対厳禁

委任内容を空欄にしたまま署名押印だけして渡す「白紙委任」は、代理人やほかの相続人による恣意的な記入を許し、委任者に不利な内容へ改変されるリスクがあります(例:共有持分を大幅に減らされる等)。

相続人の1人が被相続人の通帳を管理し、意識がなくなった後に多額の引き出しが判明した事例も報告されています。このケースでは司法書士がほかの相続人からの通帳開示要求を拒否し、不適切な財産管理が疑われました。

委任者自らが内容を決め、自分で作成する方法が最も安全です。白紙委任状は絶対に避けてください。

勝手な訂正・加筆を防ぐため『捨印』は押さない(書き間違えは訂正印で対応)

書き間違えた場合は、間違った箇所を二重線で消し、訂正印を押したうえで上下どちらかに正しい字を記入します。

書面の余白にあらかじめ押す「捨印」は誤りを一括訂正できて便利ですが、委任者以外でも書類を訂正・加筆できてしまう点に注意が必要です。勝手な変更を防ぐため捨印は押さないのが無難で、書き間違いはその都度訂正印で対応します。

勝手な委任状作成や代筆の危険性(本人の明確な意思が必要)

委任者が高齢で字を書くのが難しくても、署名を代筆させたり押印を受任者に任せたりするのは危険です。

本人の署名・押印でないと判明した場合や本人以外が三文判を押したような場合、委任状の効力が疑われます。裁判で争われれば、相続登記などの手続きが無効になるリスクも生じます。委任状は委任者本人の意思が正確に表示されていなければなりません。

委任者が認知症などで判断能力を欠く場合、その委任状は無効です。判断能力が不十分な相続人がいる場合は、委任状ではなく成年後見制度の利用を検討します。

代表相続人に委任状を渡す際は、委任する権限の範囲を明確にし、財産状況の定期的な報告を求めるなど透明性を確保しましょう。特定の相続人と専門家が緊密な関係にある場合は、ほかの相続人もその業務執行を注意深く確認します。

弁護士・司法書士・行政書士を代理人にする場合も委任状は作成しますが、専門家側で書式を用意しているため一から作る必要はありません。付与したい権限が明記されているか、登記内容が合っているかをよく確認したうえで署名・押印します。

委任状の相談は相続診断士へ

委任状の作成をはじめ、相続手続きの悩みや不明点があれば、相続の専門資格者「相続診断士」に相談しましょう。

委任状作成のポイントを的確に指摘し、相談者の事情に応じたアドバイスが期待できます。相続診断士は弁護士・司法書士・行政書士への橋渡し役も担うため、専門家がいない場合は紹介してもらえます。

【無料相談】相続に関するお悩みは相続診断士へ

相続は十人十色、十家十色の事情や問題があるもので、その解決策は一通りではないものです。

本記事で抱えている問題が解決できているのであれば大変光栄なことですが、もしまだもやもやしていたり、具体的な解決方法を個別に相談したい、とのお考えがある場合には、ぜひ相続のプロフェッショナルである「相続診断士」にご相談することをおすすめします。

本サイト「円満相続ラボ」では、相続診断士に無料で相談できる窓口を用意しております。お気軽にご相談ください

この記事を監修したのは…

元木  翼

司法書士法人ミラシア・行政書士事務所ミラシア 代表 株式会社ミラシアコンサルティング 代表取締役

元木 翼(もとき つばさ)

◦千葉商科大学 特別講師
◦一般社団法人OSDよりそいネットワーク 理事
◦日本弔い委任協会 理事
◦生前対策実務家倶楽部ミラシア 代表

相続、遺言、後見、家族信託などが専門。終活・相続関連の相談実績は累計1,000件を超える。豊富な経験・事例を基に、“オーダーメイド”の終活・相続対策サービスを展開している。

【保有資格】
司法書士・行政書士・宅地建物取引士・AFP
【メディア実績】
フジテレビ「とくダネ!」、朝日新聞、産経新聞、東京新聞、毎日新聞、夕刊フジ、週刊朝日、サンデー毎日他多数

サイトURL:https://mirasia-times.jp/

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